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84. 見覚えのあるもの
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「ミナモ、ちょっとこれは……」
「大分良くないな。ここまで来ると、本棚の修理が不可能になる」
その頃、リンとミナモ達のいる本棚では、雨が勢いを増して、どんどん足元は雨水で埋まり本棚の一番下の本が半分程、水で浸かっている
「メルガはいないし、クロウは本を守って動けないし……これはどうしたものか」
「早く帰って来れれば問題はないが……」
「本に入ったのは、ヒカリの娘だろう?多分、帰って来れないだろう」
と、リンとミナモが話をしていると、ノスカが話しに割って入り、膝まで雨水が溜まってきているせいで少し歩きづらそうにしながら二人の傍まで歩いてきた
「なんで分かるのです?」
「それは、ヒカリが望んだことだからな。最後の本に残していた願いだ」
「それは、どういう……」
リンが不思議そうにノスカに問いかけていると、本棚を守っていた人達の中から一人、バシャバシャと雨音を立てながら近づいてきた
「ダメです!雨が止みそうにありません!ここも浸水します。早く避難を!」
リン達に向かって大声で叫ぶ男性に、リンがまた不思議そうに首をかしげた
「避難?君達の術なら、こんな雨なんてどうにか……」
「この雨がその術がかかっている。それもとても強力な、私でも勝てない魔術だ」
「本棚の管理者の中でも一番の魔力の持ち主のあなたでも勝てないとは、一体誰の魔術……」
「ヒカリだ」
と、リンの疑問に答えるように、ミナモがポツリと呟いた
「あの魔方陣は、ヒカリのものだ」
ミナモが天井を見上げながらそう言うと、リンもミナモが見つめる場所を見ると、見覚えのある巨大な魔方陣が本棚の真上に現れていた。その真下で雨を止めようと術を読む人達が、魔方陣の力に負けて次々と雨水のない場所まで避難をしていた
「本当だ……。でもなんで……」
二人が少しずつ範囲が大きく魔力も増していく魔方陣に戸惑っていると、ノスカがため息まじりにリンとミナモに話しかけてきた
「本と本棚、そして娘達の魔力も使って、何かの魔術を発動させようとしているようでな。いなくなってもなお、面倒な事を起こすもんだ……」
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その頃、リンとミナモ達のいる本棚では、雨が勢いを増して、どんどん足元は雨水で埋まり本棚の一番下の本が半分程、水で浸かっている
「メルガはいないし、クロウは本を守って動けないし……これはどうしたものか」
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「本に入ったのは、ヒカリの娘だろう?多分、帰って来れないだろう」
と、リンとミナモが話をしていると、ノスカが話しに割って入り、膝まで雨水が溜まってきているせいで少し歩きづらそうにしながら二人の傍まで歩いてきた
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「それは、どういう……」
リンが不思議そうにノスカに問いかけていると、本棚を守っていた人達の中から一人、バシャバシャと雨音を立てながら近づいてきた
「ダメです!雨が止みそうにありません!ここも浸水します。早く避難を!」
リン達に向かって大声で叫ぶ男性に、リンがまた不思議そうに首をかしげた
「避難?君達の術なら、こんな雨なんてどうにか……」
「この雨がその術がかかっている。それもとても強力な、私でも勝てない魔術だ」
「本棚の管理者の中でも一番の魔力の持ち主のあなたでも勝てないとは、一体誰の魔術……」
「ヒカリだ」
と、リンの疑問に答えるように、ミナモがポツリと呟いた
「あの魔方陣は、ヒカリのものだ」
ミナモが天井を見上げながらそう言うと、リンもミナモが見つめる場所を見ると、見覚えのある巨大な魔方陣が本棚の真上に現れていた。その真下で雨を止めようと術を読む人達が、魔方陣の力に負けて次々と雨水のない場所まで避難をしていた
「本当だ……。でもなんで……」
二人が少しずつ範囲が大きく魔力も増していく魔方陣に戸惑っていると、ノスカがため息まじりにリンとミナモに話しかけてきた
「本と本棚、そして娘達の魔力も使って、何かの魔術を発動させようとしているようでな。いなくなってもなお、面倒な事を起こすもんだ……」
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