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14. 見失っていく道しるべ
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「ルト、ララ。もうちょっと頑張って!」
重く大きい本に、ルトとララと悪戦苦闘しながら、本棚から引っ張り出すとゆっくりと下ろしてく。その様子をレアスが何にも言わず見守っている
「……はい。この本で良いの?」
「ええ」
ドスンと音をたてて本を床に置くと、疲れたのかペタンと座り込むツムギ。ルトとララもツムギに寄り添うように、ぐったりとしている
「疲れた……。思ってたより重かったね、ねえ……」
「飲み物ならキッチンにあると思うから、勝手に飲んで」
「ううん、飲み物はいいけど……」
ツムギ達の心配もそこそこに、険しい表情でページを読み進めてく
「ナオとカホ、来ないな……ねえ、レアス」
恐る恐る話しかけたツムギの言葉を無視して、ずっと、本を読み続けてくレアス。パラパラとページをめくる音だけが、部屋に響いている
「レアス、二人を探してくるね……。ルト、行くよ」
そう言うと、ゆっくりと立ち上がり、ルトと共に部屋を出ていくツムギ。パタンと扉が閉まる音が聞こえると本を読み続けていたレアス、ふぅ。とため息つきながら本を閉じた
「まだ足りなかったのか……。ララ、どうしようか」
レアスの声を聞いて本の上に乗り、じっとレアスを見つめるララ。すると、レアスがララをそっと手に乗せて、ニコッと微笑んだ
「ねえララ、あの子のこと好きになれそう?」
レアスに聞かれて、答えるように頬にぎゅっと抱きついたララ。そんなララに、レアスがぎゅっと頬にもっと寄せた
「そう。でも、もうちょっとだけ我慢してね」
「ナオ、カホ。どこ?」
屋敷から出て玄関先で叫ぶツムギ。だが、返事もなく辺りを見渡しても二人の姿は見当たらず、仕方なく屋敷の周りを歩きだした
「ナツメー。ココもどこ?」
「ツムギ。ここだよ」
木々をかき分けて進んでいるとすぐ、少し離れた場所からナオの声が聞こえて、急いで声のする方に行くと、ツムギを探し疲れていたナオとカホが、ベランダにあった椅子で休んでいた
「どこ行ってたの?探したんだよ」
「えっと、お家の中に……」
ナオの質問にエヘヘと笑って答えるツムギに、驚くナオ。カホも困ったように、ツムギに問いかけた
「レアスのお家に、勝手に入ったの?」
「うん。けど、レアスがいて……。そうだ。レアス、怪我してたの。カホ治せない?」
「怪我にもよるけど、擦り傷程度なら多分……」
「じゃあ、急いでレアスの所に……って、痛い!」
突然、背中をドンッと強く押されてよろけながら、後ろを見ると、レアスと一緒にいたはずのララがいた
「ララ……なんで」
ツムギに返事するように、ジタバタとなにかを伝えようとしているララ。だが、ツムギにはうまく伝わらずララのジタバタを見て、首をかしげている
「なにか言おうとしてるの?」
「うん、多分……」
ルトやナツメ、ココも一緒にララの動きを見ると、ウンウンと頷いてララに寄り添う。ルト達の動きを見て、また首をかしげるツムギ。すると、ララがふわりと浮かんでツムギの肩に乗った
「二人とも、早くレアスの所に行こう。何かあったのかもしれないから」
重く大きい本に、ルトとララと悪戦苦闘しながら、本棚から引っ張り出すとゆっくりと下ろしてく。その様子をレアスが何にも言わず見守っている
「……はい。この本で良いの?」
「ええ」
ドスンと音をたてて本を床に置くと、疲れたのかペタンと座り込むツムギ。ルトとララもツムギに寄り添うように、ぐったりとしている
「疲れた……。思ってたより重かったね、ねえ……」
「飲み物ならキッチンにあると思うから、勝手に飲んで」
「ううん、飲み物はいいけど……」
ツムギ達の心配もそこそこに、険しい表情でページを読み進めてく
「ナオとカホ、来ないな……ねえ、レアス」
恐る恐る話しかけたツムギの言葉を無視して、ずっと、本を読み続けてくレアス。パラパラとページをめくる音だけが、部屋に響いている
「レアス、二人を探してくるね……。ルト、行くよ」
そう言うと、ゆっくりと立ち上がり、ルトと共に部屋を出ていくツムギ。パタンと扉が閉まる音が聞こえると本を読み続けていたレアス、ふぅ。とため息つきながら本を閉じた
「まだ足りなかったのか……。ララ、どうしようか」
レアスの声を聞いて本の上に乗り、じっとレアスを見つめるララ。すると、レアスがララをそっと手に乗せて、ニコッと微笑んだ
「ねえララ、あの子のこと好きになれそう?」
レアスに聞かれて、答えるように頬にぎゅっと抱きついたララ。そんなララに、レアスがぎゅっと頬にもっと寄せた
「そう。でも、もうちょっとだけ我慢してね」
「ナオ、カホ。どこ?」
屋敷から出て玄関先で叫ぶツムギ。だが、返事もなく辺りを見渡しても二人の姿は見当たらず、仕方なく屋敷の周りを歩きだした
「ナツメー。ココもどこ?」
「ツムギ。ここだよ」
木々をかき分けて進んでいるとすぐ、少し離れた場所からナオの声が聞こえて、急いで声のする方に行くと、ツムギを探し疲れていたナオとカホが、ベランダにあった椅子で休んでいた
「どこ行ってたの?探したんだよ」
「えっと、お家の中に……」
ナオの質問にエヘヘと笑って答えるツムギに、驚くナオ。カホも困ったように、ツムギに問いかけた
「レアスのお家に、勝手に入ったの?」
「うん。けど、レアスがいて……。そうだ。レアス、怪我してたの。カホ治せない?」
「怪我にもよるけど、擦り傷程度なら多分……」
「じゃあ、急いでレアスの所に……って、痛い!」
突然、背中をドンッと強く押されてよろけながら、後ろを見ると、レアスと一緒にいたはずのララがいた
「ララ……なんで」
ツムギに返事するように、ジタバタとなにかを伝えようとしているララ。だが、ツムギにはうまく伝わらずララのジタバタを見て、首をかしげている
「なにか言おうとしてるの?」
「うん、多分……」
ルトやナツメ、ココも一緒にララの動きを見ると、ウンウンと頷いてララに寄り添う。ルト達の動きを見て、また首をかしげるツムギ。すると、ララがふわりと浮かんでツムギの肩に乗った
「二人とも、早くレアスの所に行こう。何かあったのかもしれないから」
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