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55. きっと、大丈夫
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「それでは……。ツミキ君には前に、うたってもらった曲をお願いしようか」
始まったツミキのうたの力の検査。緊張で顔がこわばるツミキ。カエデもツミキをまだ見れずにミオリに抱かれ目を背けている
「あまり、力がどうとか、気にせずツミキ君の好きなようにうたってくれ」
「……はい」
返事をして目をつぶって気持ちを落ち着かせるツミキ。その様子を見守るゼフド達がいる部屋でも緊張感が漂っている
「ツミキ……」
「カエデちゃん、ミオリさん。きっと大丈夫」
ぽつりと呟くカエデの声に気づいたツミキが二人に微笑む。小さくすぅ。と息を吸い、ゆっくりうたい始めると、またバタバタと隣の部屋が慌ただしくなった
「うたの変化は?」
ツミキのうた声を録っているノア隊員に声をかけるゼフド
「あまり変化はないように感じます。前よりちょっと緊張しているかな?というくらいですね」
ゼフドも前回録ったうたのデータを見比べていく。やはり、あまり変化はない様子
「力はどうなっている?」
まだツミキが、うたい続けているトレーニング場では、恐る恐るツミキを見るカエデとミオリがいた
「何も起こらない……力はない。ということ?」
「あの……終わりましたけど」
うたい終え、ホッとするツミキ。隣の部屋では見守っていた全員、安堵の表情。そしてまた、バタバタとうた声を調べるため、動き始めた
「ありがとう。それでは、違うテンポというか曲調を変えてうたってくれるかい?」
「……は、はい」
ゼフドにそう言われ、何をうたうのかを、ちょっと考えると最近はやりのうたをうたい始めた。好きな明るめの曲を、緊張感が少しほぐれてきたのか楽しそうにうたうツミキ。その隣の部屋にいるゼフドやノア隊員達には、緊張感が戻っていた
「どうだ?」
「データ収集完了しました。あの子と合わせてみます」
カエデと戦っている時の、シキのうたと会わせるノア隊員。その間もツミキはうたい続けていた
「また、何も起こらない……」
ツミキのいるトレーニング場では、カエデとミオリが何も起こらないことに、ホッと気持ちが落ちついて、楽しそうなツミキを見守る二人
「ツミキ君、お疲れさま。もう大丈夫だ。カエデ君やミオリ君もお疲れさま」
うたの良い所で終わってしまったため、ちょっと残念そうに二人のもとに行くと、勢いよく二人に抱きしめられて、そのまま三人一緒に倒れてしまった。笑って謝る二人に、笑って怒るツミキ。楽しそうな三人を見て、隣の部屋にいる大人達は、安堵でみんなため息ついた
「しばらくは三人その部屋にいるように。ツミキ君、体調に何か変化があればすぐに言うように」
始まったツミキのうたの力の検査。緊張で顔がこわばるツミキ。カエデもツミキをまだ見れずにミオリに抱かれ目を背けている
「あまり、力がどうとか、気にせずツミキ君の好きなようにうたってくれ」
「……はい」
返事をして目をつぶって気持ちを落ち着かせるツミキ。その様子を見守るゼフド達がいる部屋でも緊張感が漂っている
「ツミキ……」
「カエデちゃん、ミオリさん。きっと大丈夫」
ぽつりと呟くカエデの声に気づいたツミキが二人に微笑む。小さくすぅ。と息を吸い、ゆっくりうたい始めると、またバタバタと隣の部屋が慌ただしくなった
「うたの変化は?」
ツミキのうた声を録っているノア隊員に声をかけるゼフド
「あまり変化はないように感じます。前よりちょっと緊張しているかな?というくらいですね」
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「力はどうなっている?」
まだツミキが、うたい続けているトレーニング場では、恐る恐るツミキを見るカエデとミオリがいた
「何も起こらない……力はない。ということ?」
「あの……終わりましたけど」
うたい終え、ホッとするツミキ。隣の部屋では見守っていた全員、安堵の表情。そしてまた、バタバタとうた声を調べるため、動き始めた
「ありがとう。それでは、違うテンポというか曲調を変えてうたってくれるかい?」
「……は、はい」
ゼフドにそう言われ、何をうたうのかを、ちょっと考えると最近はやりのうたをうたい始めた。好きな明るめの曲を、緊張感が少しほぐれてきたのか楽しそうにうたうツミキ。その隣の部屋にいるゼフドやノア隊員達には、緊張感が戻っていた
「どうだ?」
「データ収集完了しました。あの子と合わせてみます」
カエデと戦っている時の、シキのうたと会わせるノア隊員。その間もツミキはうたい続けていた
「また、何も起こらない……」
ツミキのいるトレーニング場では、カエデとミオリが何も起こらないことに、ホッと気持ちが落ちついて、楽しそうなツミキを見守る二人
「ツミキ君、お疲れさま。もう大丈夫だ。カエデ君やミオリ君もお疲れさま」
うたの良い所で終わってしまったため、ちょっと残念そうに二人のもとに行くと、勢いよく二人に抱きしめられて、そのまま三人一緒に倒れてしまった。笑って謝る二人に、笑って怒るツミキ。楽しそうな三人を見て、隣の部屋にいる大人達は、安堵でみんなため息ついた
「しばらくは三人その部屋にいるように。ツミキ君、体調に何か変化があればすぐに言うように」
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