28 / 110
28. 願いと思惑
しおりを挟む
ご飯もお菓子も食べ終え、夜も遅い時間。ツミキを真ん中にベットに眠る三人。身動きとれないほど狭いスペース。少し動いたら床に落ちそうなカエデと、壁とツミキに挟まれているミオリ。そんな二人に挟まれているツミキは、何だか恥ずかしくて、布団で少し顔を隠したり照れ笑いをしている
「ミオリさん、本当に戻ってもいいんですか?」
「どうせ、ゼフドさん達が来るように言うでしょ?」
微笑むミオリにホッとするツミキ。眠たくなってきたカエデの方も向いて微笑むと、ポツリと呟き話し始めた
「私、ずっと一人暮らしだったから、みんなで住むの楽しみなんです。本当はそう思っちゃダメなんでしょうけど……」
苦笑いで話すツミキを見つめるミオリ。そんな二人の様子をカエデが不安そうに見ている
「……けどツミキ、約束があるんだ」
「うたは唄わないで……。ツミキに、どんなうたの力があるのか分からないけど、戦いの場に出る事は望んでいない。ツミキは、私達の側で笑ったり遊んだり、励ましてくれたらいいんだ」
ミオリの思いに、カエデも体を起こして頷く
「そうだよ。怪我ばっかりする戦いなんてしないほうがいいよ。きっとあのシキって子も……」
二人の話に黙ってしまったツミキ。沈黙に耐えられなくなったカエデも再び横になって寝たふりをする
「もう眠ろう。明日は朝から荷物をまとめないといけないからな」
「何を見ているの?」
指令室に用事があって来たルモカ。部屋の端でパソコンのモニターを見ていたゼフドに声をかける
「ツミキ君と、シキという子のデータだ」
モニターを見るように諭すと、二人でデータを見ていく
「……とても似ているわね」
淡々と二人のデータを次々と見ていくルモカ。その一つに、二人の声のサンプルが載っている。それを食い入るように見ているルモカ。その隣でゼフドが深刻そうな顔で腕を組み深いため息をついた
「そう。ツミキ君の唄声は聞いていないから、確証はまだないが、もしかするとな」
「ミオリさん、本当に戻ってもいいんですか?」
「どうせ、ゼフドさん達が来るように言うでしょ?」
微笑むミオリにホッとするツミキ。眠たくなってきたカエデの方も向いて微笑むと、ポツリと呟き話し始めた
「私、ずっと一人暮らしだったから、みんなで住むの楽しみなんです。本当はそう思っちゃダメなんでしょうけど……」
苦笑いで話すツミキを見つめるミオリ。そんな二人の様子をカエデが不安そうに見ている
「……けどツミキ、約束があるんだ」
「うたは唄わないで……。ツミキに、どんなうたの力があるのか分からないけど、戦いの場に出る事は望んでいない。ツミキは、私達の側で笑ったり遊んだり、励ましてくれたらいいんだ」
ミオリの思いに、カエデも体を起こして頷く
「そうだよ。怪我ばっかりする戦いなんてしないほうがいいよ。きっとあのシキって子も……」
二人の話に黙ってしまったツミキ。沈黙に耐えられなくなったカエデも再び横になって寝たふりをする
「もう眠ろう。明日は朝から荷物をまとめないといけないからな」
「何を見ているの?」
指令室に用事があって来たルモカ。部屋の端でパソコンのモニターを見ていたゼフドに声をかける
「ツミキ君と、シキという子のデータだ」
モニターを見るように諭すと、二人でデータを見ていく
「……とても似ているわね」
淡々と二人のデータを次々と見ていくルモカ。その一つに、二人の声のサンプルが載っている。それを食い入るように見ているルモカ。その隣でゼフドが深刻そうな顔で腕を組み深いため息をついた
「そう。ツミキ君の唄声は聞いていないから、確証はまだないが、もしかするとな」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません
真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...
まもののおいしゃさん
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
まもののおいしゃさん〜役立たずと追い出されたオッサン冒険者、豊富な魔物の知識を活かし世界で唯一の魔物専門医として娘とのんびりスローライフを楽しんでいるのでもう放っておいてくれませんか〜
長年Sランクパーティー獣の檻に所属していたテイマーのアスガルドは、より深いダンジョンに潜るのに、足手まといと切り捨てられる。
失意の中故郷に戻ると、娘と村の人たちが優しく出迎えてくれたが、村は魔物の被害に苦しんでいた。
貧乏な村には、ギルドに魔物討伐を依頼する金もない。
──って、いやいや、それ、討伐しなくとも、何とかなるぞ?
魔物と人の共存方法の提案、6次産業の商品を次々と開発し、貧乏だった村は潤っていく。
噂を聞きつけた他の地域からも、どんどん声がかかり、民衆は「魔物を守れ!討伐よりも共存を!」と言い出した。
魔物を狩れなくなった冒険者たちは次々と廃業を余儀なくされ、ついには王宮から声がかかる。
いやいや、娘とのんびり暮らせれば充分なんで、もう放っておいてくれませんか?
※魔物は有名なものより、オリジナルなことが多いです。
一切バトルしませんが、そういうのが
お好きな方に読んでいただけると
嬉しいです。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第七部開始】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
幼馴染の婚約者聖女が勇者パーティー追放されたから、俺も一緒に離脱する事にした。
古森きり
ファンタジー
幼馴染の聖女セレーナは前世の記憶を持つ転生者。
それを打ち明けられた時、それはもう驚いた。
だが、俺の想いは変わらない。ずっと君の側で君を守る。
そう約束した数年後、神託通りに異世界から勇者が召喚されてきた。
しかし召喚されてきたニホンジン、ユイ殿はとんでもない我が儘娘。
なんと、婚約者のいる俺に言い寄ってきた。
拒むとなぜかセレーナをパーティーから追放すると言い出したので、俺も我慢の限界を迎え、セレーナを追ってパーティーを出て行く事にした。
「結婚前の独身最後の旅行にしようか」
「ヤダー、もうライズったらぁー!」
魔王? 知らん。
※ノベルアップ+さんにえげつない読み直しナッシング書き溜め中。
改稿版は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに掲載予定です。
婚約破棄の現場に遭遇した悪役公爵令嬢の父親は激怒する
白バリン
ファンタジー
田中哲朗は日本で働く一児の父であり、定年も近づいていた人間である。
ある日、部下や娘が最近ハマっている乙女ゲームの内容を教えてもらった。
理解のできないことが多かったが、悪役令嬢が9歳と17歳の時に婚約破棄されるという内容が妙に耳に残った。
「娘が婚約破棄なんてされたらたまらんよなあ」と妻と話していた。
翌日、田中はまさに悪役公爵令嬢の父親としてゲームの世界に入ってしまった。
数日後、天使のような9歳の愛娘アリーシャが一方的に断罪され婚約破棄を宣言される現場に遭遇する。
それでも気丈に振る舞う娘への酷い仕打ちに我慢ならず、娘をあざけり笑った者たちをみな許さないと強く決意した。
田中は奮闘し、ゲームのガバガバ設定を逆手にとってヒロインよりも先取りして地球の科学技術を導入し、時代を一挙に進めさせる。
やがて訪れるであろう二度目の婚約破棄にどう回避して立ち向かうか、そして娘を泣かせた者たちへの復讐はどのような形で果たされるのか。
他サイトでも公開中
ひとまず一回ヤりましょう、公爵様4
木野 キノ子
ファンタジー
21世紀日本で、ヘドネという源氏名で娼婦業を営み、46歳で昇天…したと思ったら!!
なんと中世風異世界の、借金だらけ名ばかり貴族の貴族令嬢に転生した!!
第二の人生、フィリーという名を付けられた、実年齢16歳、精神年齢還暦越えのおばはん元娼婦は、せっかくなので異世界無双…なんて面倒くさいことはいたしません。
小金持ちのイイ男捕まえて、エッチスローライフを満喫するぞ~…と思っていたら!!
なぜか「救国の英雄」と呼ばれる公爵様に見初められ、求婚される…。
ハッキリ言って、イ・ヤ・だ!!
なんでかって?
だって嫉妬に狂った女どもが、わんさか湧いてくるんだもん!!
そんな女の相手なんざ、前世だけで十分だっての。
とは言え、この公爵様…顔と体が私・フィリーの好みとドンピシャ!!
一体どうしたら、いいの~。
一人で勝手にどうでもいい悩みを抱えながらも、とりあえずヤると決意したフィリー。
独りよがりな妬み嫉みで、フィリーに噛みつこうとする人間達を、前世の経験と還暦越え故、身につけた図太さで乗り切りつつ、取り巻く人々の問題を解決していく。
しかし、解決すればまた別の問題が浮上するのが人生といふもの。
嫉妬に狂った女だけでもメンドくせぇのに、次から次へと、公爵家にまつわる珍事件?及びしがらみに巻き込まれることとなる…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる