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16. ずっと一緒にいるから寂しくない
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「あまり、進んでいないのね」
「はい。ごめんなさい……」
アルノの部屋に集まったサクラ達。椅子に座りながらサクラの本をパラパラとめくり、ため息をつくアルノに、恐る恐る謝りながら、少しずつ後退りしてアルノから離れていくサクラ。ユリの体に当たって、そのままぎゅっとサクラを抱きしめたユリ。二人の様子を見ていたアルノがクスッと笑った
「時間はまだあるんだし、大丈夫だけど……」
と、ユリやナツメ、ツバキの本を開いて読み進めていくアルノ。一通り四人の本を目を通し終えると、不安そうな顔をしているナツメを見て話しかけた
「ナツメちゃん、今日はこれから本を書きに行くの?」
「はい。ツバキと一緒に……」
と言うと、ツバキを見たナツメ。小さく頷いたツバキを見て、またナツメがクスッと笑う
「そう。ユリちゃんは?」
「私は……サクラと……」
とまだ抱きしめていたサクラの顔を見るように、顔を少し
動かした。サクラもユリの顔を見るように、少し顔を動かした
「私は、今日はもう帰るから……」
「ミツバの側に行かないの?」
「本は持っているし、ナツメちゃんも行かないでしょ?」
ちょっと、言葉強めに話をするサクラとナツメ。二人の会話を聞いて、アルノが少し困ったような顔をしてサクラに話しかけた
「ミツバちゃんは、まだ思い出してないの?」
「……はい。でも……」
アルノの質問に、あまり答えずうつ向くサクラ。その様子を見てアルノが椅子から立ち上がると、サクラの頭をそっと撫でた
「サクラ、本を書くのは大変?」
と、アルノに問われてサクラがゆっくりと頷いた
「私も昔は大変だったわ。サクラみたいに、たくさんのお友達と、あっちこっちと動いては書いて、毎日忙しかったわ」
「お母さんは、本を書くの嫌じゃなかったの?」
「そうね。ちょっと疲れる事もあったけれど、楽しかったから……」
と言うと、さっきまでいた所に戻ると、無造作に置かれていた本達が、ふわふわとアルノの周りに浮いて、たくさんの本に囲まれた。その中の一冊を取って、ページをめくると書かれている文字を見て懐かしそうに目を細めた
「もう、みんな居なくなってしまったけれど、本は残っているから、寂しくはないわね」
その後も数冊の本を取ってはめくって、懐かしむアルノ。その姿を顔を見合わせ戸惑うサクラ達。すると、パタンと本を閉じたアルノがサクラ達を見て微笑んだ
「あら、ちょっと嫌な気持ちになったかしら……」
「いえ……私たちは……」
アルノから顔を背け答えるナツメ。サクラ達も返事が出来ずにうつ向いていると、コンコンと部屋の扉を叩くと共に家政婦達が部屋の中に入ってきた
「アルノ様、お食事のご用意が出来ましたが……」
家政婦の言葉を聞いて、ふわふわと浮いていた本達を本棚に戻すと、サクラの頬をそっと触れると、少し顔を上げて不安そうにアルノの顔を見たサクラに、ふと微笑んだ
「サクラ達も、一緒にお昼ご飯でも食べましょ。また次も食事を出来ることを願って……」
「はい。ごめんなさい……」
アルノの部屋に集まったサクラ達。椅子に座りながらサクラの本をパラパラとめくり、ため息をつくアルノに、恐る恐る謝りながら、少しずつ後退りしてアルノから離れていくサクラ。ユリの体に当たって、そのままぎゅっとサクラを抱きしめたユリ。二人の様子を見ていたアルノがクスッと笑った
「時間はまだあるんだし、大丈夫だけど……」
と、ユリやナツメ、ツバキの本を開いて読み進めていくアルノ。一通り四人の本を目を通し終えると、不安そうな顔をしているナツメを見て話しかけた
「ナツメちゃん、今日はこれから本を書きに行くの?」
「はい。ツバキと一緒に……」
と言うと、ツバキを見たナツメ。小さく頷いたツバキを見て、またナツメがクスッと笑う
「そう。ユリちゃんは?」
「私は……サクラと……」
とまだ抱きしめていたサクラの顔を見るように、顔を少し
動かした。サクラもユリの顔を見るように、少し顔を動かした
「私は、今日はもう帰るから……」
「ミツバの側に行かないの?」
「本は持っているし、ナツメちゃんも行かないでしょ?」
ちょっと、言葉強めに話をするサクラとナツメ。二人の会話を聞いて、アルノが少し困ったような顔をしてサクラに話しかけた
「ミツバちゃんは、まだ思い出してないの?」
「……はい。でも……」
アルノの質問に、あまり答えずうつ向くサクラ。その様子を見てアルノが椅子から立ち上がると、サクラの頭をそっと撫でた
「サクラ、本を書くのは大変?」
と、アルノに問われてサクラがゆっくりと頷いた
「私も昔は大変だったわ。サクラみたいに、たくさんのお友達と、あっちこっちと動いては書いて、毎日忙しかったわ」
「お母さんは、本を書くの嫌じゃなかったの?」
「そうね。ちょっと疲れる事もあったけれど、楽しかったから……」
と言うと、さっきまでいた所に戻ると、無造作に置かれていた本達が、ふわふわとアルノの周りに浮いて、たくさんの本に囲まれた。その中の一冊を取って、ページをめくると書かれている文字を見て懐かしそうに目を細めた
「もう、みんな居なくなってしまったけれど、本は残っているから、寂しくはないわね」
その後も数冊の本を取ってはめくって、懐かしむアルノ。その姿を顔を見合わせ戸惑うサクラ達。すると、パタンと本を閉じたアルノがサクラ達を見て微笑んだ
「あら、ちょっと嫌な気持ちになったかしら……」
「いえ……私たちは……」
アルノから顔を背け答えるナツメ。サクラ達も返事が出来ずにうつ向いていると、コンコンと部屋の扉を叩くと共に家政婦達が部屋の中に入ってきた
「アルノ様、お食事のご用意が出来ましたが……」
家政婦の言葉を聞いて、ふわふわと浮いていた本達を本棚に戻すと、サクラの頬をそっと触れると、少し顔を上げて不安そうにアルノの顔を見たサクラに、ふと微笑んだ
「サクラ達も、一緒にお昼ご飯でも食べましょ。また次も食事を出来ることを願って……」
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