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30. 見つめる先にあるもの

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 ミオが帰り、騒がしかった公園の広場が、マオがふぅ。と一つ深呼吸をする音が少し離れたログに聞こえるほど静かになった。ログが近くにある木々や空を見ていると、マオが近づいてログの周りをキョロキョロと見渡しはじめた
「あれ?フランは?」
「今は、出ないように言っている。あまり魔力を見られても困るからな」
 ログの言葉を聞いたマオがしょんぼりとうつ向いた。それを横目で見たログがはぁ。と一つため息をついた
「でも、美味しいデザートを食べに行くと聞けば勝手に出てくるかもな」
 そうログが小声で言うと、うつ向いていたマオがガバッと顔を上げ、ログの周りをキョロキョロとまた見渡しはじめた
「ねえ、ログ。風邪を治してくれたお礼に、私が奢りで美味しいデザートを食べに行こう!」
「行きます!是非、行きましょう!」
 マオのスカートのポケットから嬉しそうに返事をするフランの声が聞こえてきた。意外な場所から聞こえてきて驚いたマオがスカートのポケットの中を開いて覗くと、フランが少し顔を出した
「ログも一緒に行くでしょ?」
「いや、僕は甘いものはあまり好きじゃないから行かない。フラン、あまり遅くならないように」
「了解です。マオさん、早くデザート食べに行きましょう!」
「う、うん……」
 フランに急かされながら公園の入り口へと向かっていくマオ。時折フランと話しているのかポケットがある方に顔を向けている。公園から出て姿が見えなくなると、一人残ったログが少し離れた所にある木に向かい、木の枝に止まっている白い小鳥を見つけた。睨むように見ていると、白い小鳥がバサッと翼を広げ大きく揺らした。羽根が数枚ヒラヒラと舞い、ログの近くにも羽根が落ちてきた。その羽根を見ていると、白い小鳥がいた方からクスクスと笑う声が聞こえてきた
「あーあ、気づかれちゃった」
 白い小鳥がいた木の枝にミオが残念そうに頬に手を添え座っていた。ログがミオに目線を向けると、ミオが足をユラユラと揺らし勢いをつけて木から飛び降りた
「改めまして、こんにちは。私はマオの双子の妹のミオって言います」
 頭や服についた葉っぱを払いながらミオがそう言うとログをチラチラと見て不思議に首をかしげた
「あれ?もう一人の魔力の強い人はどこにいますか?」
「もう一人?」
「ええ、私の小鳥達を跳ね返す魔力が二つあったので気になっていたんです。一つは、さっきお姉ちゃんの風邪を治したと言っていたあなたの魔力と似てました。けど、もう一つが見当たらないので気になって……」
 そう言いながらフフッと笑うミオ。ログは特に返事をせず、ミオの様子を見ていると、一羽の白い小鳥がミオの肩に乗り少し羽根を広げた。ヒラリと舞い落ちた一枚の白い羽根が、ログとミオの間に落ちると、ミオがまた木の枝に飛び乗り、ログを見て嬉しそうにフフッと笑った
「言わないのなら別にそれでいいです。また会いましょう」
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