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9. 騒がしさを止める声

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 次の日の朝、ガヤガヤと騒がしいログの教室。だいぶグレニア学園の雰囲気やクラスメイトにも慣れてきたのか初日よりもあちらこちらから話し声が聞こえてくる。そんななか一人、眠そうにアクビをするログの机の上にフランが教科書を背もたれにしてクラスの女子から貰ったクッキーを食べようと口を開けた時、二人の前に少し怒った顔をしたマオがいつの間にか立っていた
「ログ……」
 教室の騒がしさに消されそうなほど小さな声で名前を呼ぶ。マオの雰囲気に押されフランが慌てるようにログの側に駆け寄り肩に乗った
「校長先生から話を聞いたわ……」
「話?なんの?」
「学園対抗の新入生の魔術大会の出場を断ったそうね」
「ああ、そうだけど……」
「なんで?せっかくこの学園にも強い生徒がいるって知らせられるきっかけなのに!」
 マオの声が大きかったのか、近くにいた生徒達が驚いた顔でマオを見た。フランも戸惑った様子でログとマオの顔を交互に見ている。フランと目が合ったログが、ふぅ。とため息をついた
「じゃあ、ボクは出ないけれどフランと出てみたら?」
「えっ、私ですか?」
 ログの提案に驚いたフランが大声で返事をする。肩に乗っていたせいで耳元で言われたログが片目を閉じてフランを睨んだ
「フランが出れるなら私は嬉しいけれど、ログがいないとダメでしょう?」
「いえ、ご主人様がいなくても私は別に……」
 フランの言葉を聞いてマオが首をかしげた。それを見たフランが続きを言わないように、さっき食べられずにいたクッキーを食べはじめた
「マオさん、そろそろ席に座ってくださいね」
 いつの間にか来ていたレイカに声をかけられたマオ。ふと辺りを見渡すとマオ以外の生徒はもう席に座っていた
「また後でね」
 フランに手を振り、マオが自分の席につくとレイカが話をはじめた
「では、みなさん揃いましたか?」
 教室を見渡して生徒達を確認すると、ニコッと微笑みまた話しはじめた。レイカの話を聞きながらクッキーを食べ終えたフランが、ログの肩に乗り直して、頬を何度か優しく叩いた

「ご主人様、本当に私が出るんですか?」
 レイカの話を遮らないように、フランがヒソヒソと小声で話しかけると、マオを一瞬見て、またはぁ。とため息をついた
「別に出なくても良いとは思うけど、フランが遊びに行く感じで出るのも悪くはないだろうし」
 そう言いながらフランを見ると嬉しそうに微笑んでいた
「魔力に影響しない程度にな」
「はい、もちろんです。お土産はなんにしましょうか?」
 そうフランが聞くと、ログがフフッと笑って教科書を一冊手に取りページをめくった
「そうだな。お土産は大会の優勝賞品を楽しみに待っておくよ」
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