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130. 二人の願いは、未来のため
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「アゼルさん!四人を助けてあげて!」
マリヤのうたが流れて数分経ち、ノエルとクリルも、魔力の反動に耐えられず、苦しみ始めていた。側で支えているカリアの叫びも、アゼルにもリックにもどうすることができず、四人の姿が見れずにいた。反動の強さに苦しむメイナが、ポツリと呟いた
「……お母さん」
すると、どこからか聞こえてくるマリヤのうたを一緒に奏でるように、誰かの声が微かに聞こえてくる。マリヤと同じく少しずつ大きくなっていく声は、女性の歌声。マリヤと共に奏で響く
「この歌声は……カナメ!」
聞こえてきた懐かしい声にリックが叫ぶ
「それ、母さんの名前じゃ……」
「カナメ・バータナだと!どこにいるんだ!」
その名前に、クリルが驚きバルバが叫ぶ。聞かれても答えられず言葉を濁しているリック。話さないならばと、代わりにアゼルが語り始める
「カナメさんは、マリヤと一緒にあの日、フラワードで亡くなったんだ。願いを叶えたいというマリヤと思いが一緒だったから」
「……なんだと?」
カノンが険しい表情で睨む。それに気にせずアゼルが話を続ける
「二人の願いは強かったんだ。午前の人々が暮らす村で生まれたカナメさんと、午後として生まれ嫌みがられ捨てられた姉妹。もう魔法は要らないと、お互いの時間の人達が楽しく暮らしていほしい。と幸せを願った、二人の願い。それを僕らが繋ぎ叶えようと思ったんだ。何が悪いんだ!」
だんだんと荒く叫びだすアゼル。その睨みは誰に向けてか、更に険しくなっていく
「それは、ノエルやリエル、クリル君やメイナちゃんの未来のためだ!幸せな人生を願って、二人は……!」
叫び話す内容に、何も言えないカノン達。アゼルの話を聞いたメイナが、苦しい表情をしながら立ち上がる
「お母さん!私、ここにいるよ!お兄ちゃんとリーリルも一緒にいるよ!リエルやノエルさんだって、一緒にいるんだよ!」
歌声が響く空に叫ぶメイナ。その叫びにリックが背を向ける。泣いてしまったメイナに、少し離れていたリーリルが、トコトコとメイナの側に来て、優しくポンッと頭を触った
「……リーリル」
いつの間にか巨大化が止まっていたリーリルに抱きつくと、それを見ていたリエルもリーリルに抱きついた
「あれ?……苦しくない?」
ゆっくりと立ち上がるノエル。クリルも恐る恐る立ち上がる。大丈夫そうな四人を見て、カリアがほっと胸を撫で下ろす。カノン達も安心するが、まだ流れる二人の歌声の根元を探るように空を見る
「魔力が落ち着いてきているのか、二人のうたで……」
マリヤのうたが流れて数分経ち、ノエルとクリルも、魔力の反動に耐えられず、苦しみ始めていた。側で支えているカリアの叫びも、アゼルにもリックにもどうすることができず、四人の姿が見れずにいた。反動の強さに苦しむメイナが、ポツリと呟いた
「……お母さん」
すると、どこからか聞こえてくるマリヤのうたを一緒に奏でるように、誰かの声が微かに聞こえてくる。マリヤと同じく少しずつ大きくなっていく声は、女性の歌声。マリヤと共に奏で響く
「この歌声は……カナメ!」
聞こえてきた懐かしい声にリックが叫ぶ
「それ、母さんの名前じゃ……」
「カナメ・バータナだと!どこにいるんだ!」
その名前に、クリルが驚きバルバが叫ぶ。聞かれても答えられず言葉を濁しているリック。話さないならばと、代わりにアゼルが語り始める
「カナメさんは、マリヤと一緒にあの日、フラワードで亡くなったんだ。願いを叶えたいというマリヤと思いが一緒だったから」
「……なんだと?」
カノンが険しい表情で睨む。それに気にせずアゼルが話を続ける
「二人の願いは強かったんだ。午前の人々が暮らす村で生まれたカナメさんと、午後として生まれ嫌みがられ捨てられた姉妹。もう魔法は要らないと、お互いの時間の人達が楽しく暮らしていほしい。と幸せを願った、二人の願い。それを僕らが繋ぎ叶えようと思ったんだ。何が悪いんだ!」
だんだんと荒く叫びだすアゼル。その睨みは誰に向けてか、更に険しくなっていく
「それは、ノエルやリエル、クリル君やメイナちゃんの未来のためだ!幸せな人生を願って、二人は……!」
叫び話す内容に、何も言えないカノン達。アゼルの話を聞いたメイナが、苦しい表情をしながら立ち上がる
「お母さん!私、ここにいるよ!お兄ちゃんとリーリルも一緒にいるよ!リエルやノエルさんだって、一緒にいるんだよ!」
歌声が響く空に叫ぶメイナ。その叫びにリックが背を向ける。泣いてしまったメイナに、少し離れていたリーリルが、トコトコとメイナの側に来て、優しくポンッと頭を触った
「……リーリル」
いつの間にか巨大化が止まっていたリーリルに抱きつくと、それを見ていたリエルもリーリルに抱きついた
「あれ?……苦しくない?」
ゆっくりと立ち上がるノエル。クリルも恐る恐る立ち上がる。大丈夫そうな四人を見て、カリアがほっと胸を撫で下ろす。カノン達も安心するが、まだ流れる二人の歌声の根元を探るように空を見る
「魔力が落ち着いてきているのか、二人のうたで……」
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