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127. 静かな白昼夢
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「残り5秒で行こうか」
「……了解」
「……大丈夫だろうか」
「まぁ、今、出来なくても夜にやり直しが出来るそうだから、気楽に……」
時刻が近づくにつれ、静かさが際立っていく。ノエル達も静かに魔術の行方を見守る
「あと10秒です」
「マリヤ。見守っていて……」
アゼル達にも緊張感が高まっていく。気づかれないように少しずつ、本部の元へと向かっていく
「あと5秒です」
「……行くぞ」
ガサガサ鳴る、木々の音にメイナが気づいて音のする場所に振り向くと、見たことのある人影が、駆け抜けていった
「あっ、あの人……!」
「あと2秒です!」
女性隊員の声を合図に、魔方陣に向かって何やら唱え始める本部の魔術者達。その間を何かが通り抜けていく
「なん……だ?どうした?」
確かに12時になったはず。だが、何も起こらない静かな屋上に、思わずバルバも声を出す。だがすぐに魔術者達のざわつく音が聞こえてきた
「……間に合った。なんとか成功。かな?」
魔術者達の見つめる先には魔方陣の真ん中にニコニコ笑っているアゼルの姿。呆気に取られる魔術者達。参加していたカノンも一瞬、何が起こった分からない様子
「アゼル、何をした!」
予想外の人物の登場に思わず大声をあげる。カノンに気づいても笑顔のまま、足元の魔方陣の確認をしている
「説明はちょっと待ってね。リック、他の場所はどんな感じ?」
「大丈夫そうだ。今のところ地鳴りも声も聞こえない」
アゼルから少し離れた、魔術者達に紛れて本部の周りを確認している。フラワードや学園からの変化のない様子に一安心している。魔術者達や他の隊員達のざわつきが大きくなっていくのをよそに、マイペースに話を進めていく二人
「そっか。それは良かった。意外とあっさりだね。魔力はどんな感じ?」
「さぁ?……まだ分からないな。成功か失敗か……」
「……リックだと!」
「まさか、リック・バータナ……」
二人の名前を聞いた隊員達が慌て始める。バタバタと本部の中に戻り、二人の存在を伝えに行く者、周りの魔術者達と話し合う者。二人を囲う人々が各々焦りだしている
「えっ?なに?」
「バルバさん、ダングさん、どうなってるんですか?」
四人の前に立ち、ざわつきを感じ守っていた二人。騒ぎから聞こえてくる名前に焦りだす
「アゼル。それに、リックだと……」
ダングが呟いた言葉に、四人も驚く
「その名前お父さんの……」
「……お父さん!」
叫びながら、人混みの中走っていくリエル。その後をノエルも追っていく
「リックって、父さんの名前じゃ……」
クリルの言葉にメイナも走り出した。先に魔術者達の集まる場所に着いたリエル。魔方陣の真ん中に笑顔で立っている人物に見入っていると、ノエル達も遅れてリエルの元にやって来た
「メイナ、クリル……」
「ノエルとリエルも。久しぶりだね」
四人に気づいたアゼルとリック。ノエルが話しかけようとした時、カノンとカリアが四人の前に立ち、話を遮る
「アゼル、どういうことか説明しろ」
怒っている様子のカノン。話している最中にリックもアゼルの元に来て、魔術や体調の確認している。リックの心配をよそに、ご機嫌なアゼルはカノンの質問にテンション高く答える
「んー?マリヤの夢を叶えただけさ。やっと叶えたんだ。もう少し喜んでくれてもいいんじゃない?」
「……了解」
「……大丈夫だろうか」
「まぁ、今、出来なくても夜にやり直しが出来るそうだから、気楽に……」
時刻が近づくにつれ、静かさが際立っていく。ノエル達も静かに魔術の行方を見守る
「あと10秒です」
「マリヤ。見守っていて……」
アゼル達にも緊張感が高まっていく。気づかれないように少しずつ、本部の元へと向かっていく
「あと5秒です」
「……行くぞ」
ガサガサ鳴る、木々の音にメイナが気づいて音のする場所に振り向くと、見たことのある人影が、駆け抜けていった
「あっ、あの人……!」
「あと2秒です!」
女性隊員の声を合図に、魔方陣に向かって何やら唱え始める本部の魔術者達。その間を何かが通り抜けていく
「なん……だ?どうした?」
確かに12時になったはず。だが、何も起こらない静かな屋上に、思わずバルバも声を出す。だがすぐに魔術者達のざわつく音が聞こえてきた
「……間に合った。なんとか成功。かな?」
魔術者達の見つめる先には魔方陣の真ん中にニコニコ笑っているアゼルの姿。呆気に取られる魔術者達。参加していたカノンも一瞬、何が起こった分からない様子
「アゼル、何をした!」
予想外の人物の登場に思わず大声をあげる。カノンに気づいても笑顔のまま、足元の魔方陣の確認をしている
「説明はちょっと待ってね。リック、他の場所はどんな感じ?」
「大丈夫そうだ。今のところ地鳴りも声も聞こえない」
アゼルから少し離れた、魔術者達に紛れて本部の周りを確認している。フラワードや学園からの変化のない様子に一安心している。魔術者達や他の隊員達のざわつきが大きくなっていくのをよそに、マイペースに話を進めていく二人
「そっか。それは良かった。意外とあっさりだね。魔力はどんな感じ?」
「さぁ?……まだ分からないな。成功か失敗か……」
「……リックだと!」
「まさか、リック・バータナ……」
二人の名前を聞いた隊員達が慌て始める。バタバタと本部の中に戻り、二人の存在を伝えに行く者、周りの魔術者達と話し合う者。二人を囲う人々が各々焦りだしている
「えっ?なに?」
「バルバさん、ダングさん、どうなってるんですか?」
四人の前に立ち、ざわつきを感じ守っていた二人。騒ぎから聞こえてくる名前に焦りだす
「アゼル。それに、リックだと……」
ダングが呟いた言葉に、四人も驚く
「その名前お父さんの……」
「……お父さん!」
叫びながら、人混みの中走っていくリエル。その後をノエルも追っていく
「リックって、父さんの名前じゃ……」
クリルの言葉にメイナも走り出した。先に魔術者達の集まる場所に着いたリエル。魔方陣の真ん中に笑顔で立っている人物に見入っていると、ノエル達も遅れてリエルの元にやって来た
「メイナ、クリル……」
「ノエルとリエルも。久しぶりだね」
四人に気づいたアゼルとリック。ノエルが話しかけようとした時、カノンとカリアが四人の前に立ち、話を遮る
「アゼル、どういうことか説明しろ」
怒っている様子のカノン。話している最中にリックもアゼルの元に来て、魔術や体調の確認している。リックの心配をよそに、ご機嫌なアゼルはカノンの質問にテンション高く答える
「んー?マリヤの夢を叶えただけさ。やっと叶えたんだ。もう少し喜んでくれてもいいんじゃない?」
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