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122. 見えてきた願いの時
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「練習場以外は無事だそうだ」
慌ただしさも落ち着いた夜、疲れた表情のバルバが、会議室にいたカノンを見つけて報告をする
「誰かが壊したの?ただの地震?」
「本部の結界が弱まったらしい。カリアなら午前の時間なら、ここで魔術が使えるだろうな」
「そうか……。じゃあアゼルも使える感じ?」
「まぁ、そうだな。大分ツラいと思うが……」
連日の出来事を思い返し、はぁ。とため息つく二人。深夜の雰囲気も相まって、疲れが余計に増えていく
「学園の立て直しと学校再開は、今回の件とアゼルの発言により延期になった」
二人のもとに、同じく疲れた表情のダングがやって来た
「練習場の建て直しも、当分無しという事になった」
バルバの隣に座り、さっきまで行われていた緊急会議の内容の説明をしながら、バルバに資料を渡す
「まずは、本部の結界張り直しが優先ということだそうで
……」
ダングが話している側で、資料を読み込む二人。
「いつ直すって?」
「……数日後だな。午後の魔術者も数人必要だそうだが」
そう話すと、ちらりとカノンを見る。何となく嫌な雰囲気を感じて嫌そうな顔
「カノンも呼ばれているからな。頑張れよ」
案の定とばかりに、またため息つくカノン。二人の話に我関せずと資料を読み込んでいく
「もう休もう。明朝、何かまた話が変わるかもしれんからな」
バルバの提案に賛成したカノン達。三人で寝室へと戻っていく。今日も、自宅へ帰れないため落ち込むバルバを宥めるダング。そんな二人の隣で、ふと窓から外を見る。薄暗い本部の外、壊れてしまった練習場が、月明かりと本部の明かりでうっすらと見えている
「もうすぐ満月か……」
「そう、もうすぐ満月だね」
同じく、月明かりに照らされた小屋で、アゼルが誰に向かってか返事をしてる。隣の部屋では、のんびりとお酒を嗜む二人が楽しそうに会話をしている
「フラワードはどう?学園は?」
ほろ酔い気分の二人の間に割り込んで、ラックが持つコップを奪い取って、コップに残っていた押さ飲み干していく
「問題ない。村長や村の人達の魔力も足りそうだ」
奪い返すことなく話を進めてく。二人のやり取りを見ながら、キッチンから新しいコップを持ってくると、アゼルの隣に座りラックに渡す
「学園はどうなの?」
お酒を継ぎ足してもらって、飲む速度もちょっと早まっていく。そばに無造作に置かれている本を取って何となく読み込んでく
「自分一人でどうにかしようか。本部は二人の方がまだ安全だからな。まぁ、今の学園の状態なら、死にはしないだろうしな」
ラックの提案に、不満そうなアゼル。だが人数的にも仕方ない話に渋々納得するしかない。互い健闘を祈って、三人のお酒がよく進む
「やっと、境界線が見えてきたよ。楽しみだね。マリヤ」
慌ただしさも落ち着いた夜、疲れた表情のバルバが、会議室にいたカノンを見つけて報告をする
「誰かが壊したの?ただの地震?」
「本部の結界が弱まったらしい。カリアなら午前の時間なら、ここで魔術が使えるだろうな」
「そうか……。じゃあアゼルも使える感じ?」
「まぁ、そうだな。大分ツラいと思うが……」
連日の出来事を思い返し、はぁ。とため息つく二人。深夜の雰囲気も相まって、疲れが余計に増えていく
「学園の立て直しと学校再開は、今回の件とアゼルの発言により延期になった」
二人のもとに、同じく疲れた表情のダングがやって来た
「練習場の建て直しも、当分無しという事になった」
バルバの隣に座り、さっきまで行われていた緊急会議の内容の説明をしながら、バルバに資料を渡す
「まずは、本部の結界張り直しが優先ということだそうで
……」
ダングが話している側で、資料を読み込む二人。
「いつ直すって?」
「……数日後だな。午後の魔術者も数人必要だそうだが」
そう話すと、ちらりとカノンを見る。何となく嫌な雰囲気を感じて嫌そうな顔
「カノンも呼ばれているからな。頑張れよ」
案の定とばかりに、またため息つくカノン。二人の話に我関せずと資料を読み込んでいく
「もう休もう。明朝、何かまた話が変わるかもしれんからな」
バルバの提案に賛成したカノン達。三人で寝室へと戻っていく。今日も、自宅へ帰れないため落ち込むバルバを宥めるダング。そんな二人の隣で、ふと窓から外を見る。薄暗い本部の外、壊れてしまった練習場が、月明かりと本部の明かりでうっすらと見えている
「もうすぐ満月か……」
「そう、もうすぐ満月だね」
同じく、月明かりに照らされた小屋で、アゼルが誰に向かってか返事をしてる。隣の部屋では、のんびりとお酒を嗜む二人が楽しそうに会話をしている
「フラワードはどう?学園は?」
ほろ酔い気分の二人の間に割り込んで、ラックが持つコップを奪い取って、コップに残っていた押さ飲み干していく
「問題ない。村長や村の人達の魔力も足りそうだ」
奪い返すことなく話を進めてく。二人のやり取りを見ながら、キッチンから新しいコップを持ってくると、アゼルの隣に座りラックに渡す
「学園はどうなの?」
お酒を継ぎ足してもらって、飲む速度もちょっと早まっていく。そばに無造作に置かれている本を取って何となく読み込んでく
「自分一人でどうにかしようか。本部は二人の方がまだ安全だからな。まぁ、今の学園の状態なら、死にはしないだろうしな」
ラックの提案に、不満そうなアゼル。だが人数的にも仕方ない話に渋々納得するしかない。互い健闘を祈って、三人のお酒がよく進む
「やっと、境界線が見えてきたよ。楽しみだね。マリヤ」
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