時を奏でる境界線

シャオえる

文字の大きさ
上 下
117 / 132

117. 突然の再会は痛みと共に

しおりを挟む
 フラワードから帰ってきた深夜、会議室では本部の人達が慌ただしく動いている。その雰囲気に似合わないカノンがバルバの横で、のんびりしている
「素敵な人だった……って」
 カノンがポツリ呟いた言葉に、バルバが気づく
「メイナちゃんが、あの女性から聞いたってまだ、落ち込んでいるよ」
「そうか……。クリル君は、どうしている?」
「部屋で寝ているよ。ノエル君と一緒だから大丈夫と思うけど」
 あれからずっとうつ向いていたメイナ。その理由が分かって、何となく話が進まない
「ところで、フラワードはどうだったの?」
 ちょっと離れたところで、隊員達と話をしていたダングに声をかけると、隊員と話を終えてこちらに来る
「土地は戻りつつあるな。花が咲くのには時間が掛かるだろうがな。魔術は誰がしたのか結局不明のまま……。学園はラックによると帰宅後に起こった様子だそうで、何が起きたかは分からないそうだ」
 そう話ながらカノンとバルバに数枚資料等を渡すと、読み始める二人。それを見ながらダングは話を進めていく
「建て直しはすぐ出来るそうだが……」
 と、ちょっと話が詰まる。何やらあまり良くない感じである
「何か問題でも?」
「いや、すぐに授業を再開するか否か揉めててな……」
 バルバの質問に、ふぅ。とため息ついて答えるダング。大分揉めている様子。そんな時、会議室に聞き馴染みのある声が聞こえてきた

「すぐに再開は止めた方が良いよ」


「またすぐ壊れちゃうと思うからさ。建て直しも、もうちょっと待った方が良いよ」
 声のする方に、会議室にいた全員が振り向く。笑顔で挨拶するアゼルを見て、カノンが睨むように見ている
「……何しに来たんだ?」
「んー?通り道だったから、ついでにね」
 突然、カノンがアゼルを壁に押し付ける。一瞬の出来事に、全員動けないまま二人を見ている
「おい、カノン止めろ!」
 バルバが叫ぶと、会議室がざわめきだす。まだ、笑顔のアゼルは焦ることなくカノンに睨まれたまま、話しかけていく
「久しぶりに会ったのに痛いじゃないか」
「二人が会えるのを待っている。分かってて色々動いているんだろう?」
 アゼルを掴む手が段々と強くなっていく。それでもまだ余裕そうに笑顔で、見つめあっている。二人の雰囲気に会議室にいる人々の表情が強張っていく
「待てカノン、落ち着け」
 バルバに話しかけられても離さないまま。仕方なしにダングとバルバに無理矢理離されても、睨みつけ落ち着かない。それを見ていてもアゼルは笑ってカノンに話しかける
「そうだよ、落ち着いて。僕はカノンと喧嘩をする為に来た訳じゃないんだからさ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

[完結]まだ愛を知らない

シマ
恋愛
婚約者が、好きな人が出来たと、真実の愛に出会ったと言いに来た。 学校では腫れ物扱いだけど、私は別に気にしていなかった だって、私、彼を愛していなかったもの 私も誰かを愛し、愛されたい キャラに名前の無い話です。 三話で終わります。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。 貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。 貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。 ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。 「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」 基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。 さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・ タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...