時を奏でる境界線

シャオえる

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112. この歌は、みんなの思い出

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「で、何で居るんだ?」
 男子寮の部屋に戻ってきたクリルとノエルが見たのは、ノエルのベットで寝ているカノンの姿
「まぁ、いいじゃないの?」
 ノエルはもう見慣れた様子で、クリルのベットに座りながら、床に散らばった紙を一枚取る
「そういや、読んでいる途中で学園行ったんだっけ……」
 クリルもベットに座って、資料の続きに目を通していく。
カノンが起きるまで静かに読んでいると、ノエルが鼻唄を、唄いだした
「その歌……」
「知ってるの?」
 話しかけられて唄うのを止めクリルを見ると、驚いた表情をしていた
「ああ、母さんがよく唄ってた。メイナの子守唄だ」
「一緒だ。リエルの子守唄だったよ」
 クリルとの意外な共通点に嬉しそうに歌の続きを唄い始めたノエル。二人の話と歌声にカノンが目を覚ましたが、寝たふりをして、話の続きを聞いている
「この曲は、有名なのか?」
「多分違うと思うよ。カノンさん、確かそうだよね」
 ノエルから話しかけられて、ゆっくり起きるカノン。寝起き早々、機嫌悪そうな雰囲気で二人の方を向く
「この曲はマリヤが歌っていた唄。クリル君が知るはずはないと思っていたけど……」



 ノエル達が部屋についた頃、リエル達も女子寮にある部屋に戻ってきた
「カノンさん、居ないね」
「自分のお部屋で休んでいるのかな?」
 カリアが来るのを待つ間、メイナはリーリルの修理を始めていく。リエルは、自分のベットに寝そべって修理の様子を眺めている

「……ふぅ」
 大分時間がかかって、リーリルの修理を終えたメイナ。ほつれた部分が多かったのか、さすがにちょっと疲れた様子
「お疲れさま。リーリルもお疲れ」
 のんびりとしているとコンコンと扉を叩く音が聞こえた
「はい。どうぞー」
 リエルが答えると部屋の扉が開く。少し疲れた表情のカリアがいた
「入っても良いかしら?」
 来ないと思ったいたカリアが来て二人とも急いで玄関へと出迎える
「カリアさん。もしかして、今お仕事終わり?」
「疲れてるよね。休まなきゃ」
 二人でカリアの手を引っ張って、リエルのベットに三人倒れるように布団の中に入っていく
「お歌唄ってあげる。お母さんの子守唄。この前、お兄ちゃんに教えてもらったから」
 楽しそうに唄い始めるリエル。その歌に驚くカリアと、リエルの唄を同じく楽しそうに聞いているメイナも、途中から唄い始めた
「その歌、私も知ってるよ」
「そうなの?じゃあ一緒に唄おう」
 二人でまた続きを唄い始めていく。歌うその曲はやはり、マリヤが作ったであろうカリアも知る曲に飛び起きた。カリアに驚く二人をよそに、何やら呟いている
「どうして、メイナちゃんが知っているの?この曲はマリヤが小さい頃に……」
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