時を奏でる境界線

シャオえる

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91. 早起きと布団の温もり

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 夜が明けて、午前レクト6時。久々に早起きをしたクリル。まだ寝ているノエルを起こさないように、部屋を出ようとしていると突然、部屋の扉が開いた

「おはよう、もう起きたの?」
 ちょっと疲れてフラフラなカノンが、勝手に部屋に入ってきた
「カノンさん、なんでここに?」
 驚くクリルの横を通りすぎ一直線に、クリルのベットに向かって、そのまま倒れこんで、布団に潜り込む
「なんでって眠りに来たよー」
 布団の温もりに負けそうになりながら、何とかクリルとの会話をしている。だが目は閉じたまま、今にも眠りそう 
「先に起きたところ悪いけど、みんなさっきまで仕事していたから、二人と練習は出来ないよ」
 段々声が小さくなりながら何とか伝えて、もう気持ちは夢の中
「カリアさんとダングさんも?」
 カノンに話しかけても返事がない。来て数分もたたない内に眠ってしまった様子。ノエルも起きず、寝床を奪われたクリルは、仕方なしに二人を起こさないように、本部の方へと向かう


「どうするか……」
 独り言を呟きながら本部へ着いて、回りを見渡してみても、誰も見当たらない。玄関近くのソファーに一人、誰か来るかと待ってみても、バルバやダングも来ないまま、時間が過ぎていく。待ちぼうけに飽きたクリルは、魔術練習ができる練習場へと向かってく

 ここも誰もいない広い練習場で、久しぶりに一人で練習をしていると、周りから本部の午前レクトの人達が練習しているような音や声が聞こえてくる。しばらく練習をして、床や壁をボロボロにした頃
、ちょっと疲れて、入り口側に座り込む

「なぁ、どう思う?どうする?メイナ」
 いつから居たのか、メイナが隠れるように入り口近くで見ていた様子。クリルに名前を呼ばれて、急ぐように駆け寄って隣に座る。しばらくぼーっと、話すこともなく二人座って、また静かな時間が過ぎていく

「メイナ、フラワードに行くか?ここに残る?それとも、ドーケムに……」
 クリルが話し始めて、ぎゅっとリーリルを強く抱きしめる
「リエルとカリアさんと一緒にいたい」
「……そうだよな。それがいい」

「お兄ちゃんは?」
「もう一度、フラワードに行くよ」
 先日のフラワードの人々の事を思い出して不安そうにクリルを見る。メイナの視線に気づいて、なぜかリーリルの頬をちょっと触り始める
「大丈夫だ。バルバさん達も一緒だし、話を聞きに行くだけだから。すぐ帰ってくるよ」
「……うん」
 また話が止まり静かになる。本部の人達の練習も終わったのか、練習場の回りも静かになっている

「それよりメイナ、久しぶりに練習しようか」
 クリルの提案を聞いたメイナ。突然立ち上がり、リーリルをポンッと天井に向かって投げると、巨大化するリーリル。右肩に飛び乗ったと思えばクリルに向かってリーリルが殴りかかっていく
「手加減なんてしないよ?」
 特許のリーリルからの攻撃に、間一髪逃げれたクリル。久々のメイナとの対決に笑顔になる
「望むところだ。メイナ、リーリル」
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