時を奏でる境界線

シャオえる

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57. 怖くて聞けない、でも聞きたい

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「さて、何話そうかな?」
 いつものソファーに座って、のんびりするカノンと、ちょっと緊張気味のノエルの二人
 バタバタしている周りは、夜中でもノエルの存在に気づいてなさそう

「今日はどうだったかい?学園には通えそう?」

「ええ。リエルも楽しそうでしたし、大丈夫と思います」
 小さめの声で話すノエル。表情もまだカノンに申し訳なさそうな様子
「そうかい。君もクリル君も、本当に妹思いだね」
 自身のことより、すぐに妹の事を話すノエルと、第一にメイナの事を思っているクリルに、肝心するカノンと、なんで、クリルの話が出てきたのか不思議そうなノエル

「誰か先生にも会えた?」
「ええ、ラック先生という方に……」
 意外な先生にあったのか、驚いて笑うカノン
「あー、雰囲気怖いでしょ。本人はそんな事ないって思ってるみたいだけどねぇ。夜中に会ったら驚くよねー」

 その後もあれやこれやと、二人で話を続けて、話すことが少なくなってきた頃、ノエルがずっと聞こうとしていたことを、カノンが先手をとって聞いてきた
「ノエルくんさ、何か困ったことでもあるのかい?」
「あの……僕らの父さんは……」
 やっと聞こうとしていた質問を話せたノエル。やっぱりか。そんな表情のカノン
「アゼルのこと、気になる?」
 その言葉に小さく頷き、困り顔になる
「ラック先生という方も、いい顔しなかったので……」
 そうかと、思わずふふっと笑うカノン
「えー、そうなの?似たり寄ったりだけどね。あの二人」

「それに、アゼルはまだ、連絡もなにも分からないから、答えは言えないけどね。どうしよっか……」
 どう話すか、うーんと考えはじめる。しばらく沈黙が続いた。何も言えないノエルも、また申し訳なさそうな表情で、カノンを見ている

「まだ起きれる?一旦眠る?」
 しばらく経った後、再び話始めたカノン。今度はノエルが質問に考えはじめる
「バルバやカリアも混ぜて、色々話そうか。やっぱり気になるでしょ?」
「……はい」
 小さく頷き答えるノエル
「そうだよね。当初の目的そうだもんね。じゃあ……」

「リエルも一緒に……」
 そうノエルが提案すると、首を小さく横に振るカノン
「んー、君とがいいかな?」
 そう話すと、無言になる二人。周りのざわつきが静かに感じた瞬間

「一度眠ります。落ち着いてから、話を聞いても良いですか?」
 ノエルが答える。話を聞きたいけど、怖くて聞けない。そんな様子である
「もちろん。その間にバルバ達にも声をかけておくから……」
 それに気づいているのか、いないのか、にっこり笑って了解するカノン
「ありがとうございます……おやすみなさい」
 おじぎをして、ゆっくり部屋へと戻っていく。うつ向いたまま歩いているノエルを、またふぅ。と、ため息ついて見送る
「おやすみ。いい夢を……」
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