時を奏でる境界線

シャオえる

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54. 憧れの人は、みんなも同じ

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 クリルとカノンが、話をしている頃、本部の学園に到着した、ノエルとリエルとメイナ。付き添いでカリアとバルバ。そして、ダングも一緒に付いてきた

「何度見てもスゴいお城だね……」

 メイナが学園の建物と学生の多さに圧倒されている。その隣では、リエルが人酔いで不機嫌状態になっている
「ちょっとクリルが嫌がるのが分かる気がする……」
 前よりも学生と街の人々で、街の活気が更に溢れ、ノエルも呆気に取られている

「洋服が同じだけど……ちょっと違うのはなに?」

 女子男子で別れて、それぞれ服に男子は、右袖に一本線で、女子はワンピース風の服の腰の紐の部分に、橙色、緑色と二種類別れている様子
「あれは、制服といってな。色違いはどちらの時間の子か分かるためだよ。授業時間が被るから見分けつくようにしてるんだよ」

「あっ!カリアさん!!」
 一人の女子生徒が気づいて騒ぎ始める。周りもその声にカリアの存在に気づいて、ざわつき始める
「本当だ……」
「素敵……」
 段々周りに人が囲うように集まってくる。学生の視線はカリアに向いているが、初めての光景に、戸惑うメイナ達。まだ、ざわつきが収まらない。手を振り答えてくカリアは、状況に慣れてる様子

「……カリアさんって人気者?」
 ビクビクとするリエル。人酔い対策で抱いているリーリルを更に強く抱き締めて、この状況を踏ん張って耐えている
「そりゃあ、魔術本部1位2位を争う、午前レクト魔術師だからな。この学校の目標の人だよ」
 バルバやダングもこの状況に慣れている様子で笑ってカリアを待っている
「そんなスゴい人が、僕らと一緒で良いんですか?」
 
「ああ、それは上層部からも直々の命令来ているから問題はないが……」

 人混みから近寄ってくる人影
「バルバ大佐、ダングにカリアさん、こんにちは……」
 黒髪で長髪の暗そうな男性が、声をかけ近寄ってくる
「やあ、問題はないかい?」
 バルバも、挨拶をする。どうやら、ここの先生のようである
「……問題ない。この子達は?」
 男性が、ノエル達をちらりと見る。怖そうな雰囲気に一瞬、強張るリエル達
「今度入学予定の子達だよ。あと一人男子がいるが……」
「どこかで見た顔だな……」
 ノエルとリエルを凝視する、長髪の男性。更に怖じ気づく三人
「……アゼルの子だよ」
 バルバがそう言うと、驚きと納得といった表情の男性
「そうか……。アゼルから連絡が数ヶ月前にあったが子供の話は無かったが……」

 連絡があったという情報に、驚くノエルと、ノエル以上に驚くバルバとダング
「それは……あとで話が聞きたいのだが……」

「聞くといっても、この街の時間と天気を聞かれただけだからな……話すことはない」

 そう言うとくるりと、ノエル達に背を向け学園の方へと歩き始める男性。周りはまだ、カリアへの憧れの声が響いている。男性の雰囲気に負けて、メイナとリエルがリーリルを抱き締めて不安そうに固まったまま。そんな二人に気づいた男性がニヤリと笑う

「アゼルの子とは、君達も大変だな……。まあ、好きに学園を見ていくが良い」
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