時を奏でる境界線

シャオえる

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43. 昔の面影がよく似合う

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「とても嫌だな……」
「帰りたい……」

 時刻は、午後ラクト4時
 とても嫌そうなノエルとリエルは本部の離れに、練習をするためにやってきたが、乗り気は全く無さそう
「まあ、見学者も増えたことですし、元気出して」
 今回は、ダングも見学にやって来た。そのそばにいる、クリル達は対戦を楽しみに待っている様子
「はあ……」
 外の雰囲気を見て、するしかないと諦めるノエル。リエルも、はぁ。とため息をつく
 
「あっ、リエルちゃん、前の魔法止めてもらえます?」
 カノンが話す魔法は、大きな本が出てくるリエルの魔術。もう少しで、カノンを倒せそうだったのがあと一歩で逃げられた魔術
「この建物古いんですよ。あれ地面に落ちたら崩れる可能性あったらしく、いやはや始末書なるところでしたよ」
 笑って話すカノン。お気に入りが使えないと分かって不満そうなリエル
「じゃあ今日は、ノエル君の必殺技見せてー」
 カノンからのお願いに
「嫌です」
 と、即答で返すノエル
「えー?良いじゃないか」
 返事に不満そうな様子。カノンよりも、不服な人達が、外で騒いでいる
「見せろー」
「頑張れー!」
 クリルとメイナが、ノエルの魔術に期待して叫んでいる
「……ほらほら、皆さんの期待に答えなきゃ」
「クリル……他人事だと思って……」
 外にいる人たちの方が楽しそうな雰囲気に、笑ってしまうカノンと、呆れるノエル

「じゃあ、カノンさんの必殺技は?」
 今度はリエルからの提案。聞かれたカノンは、ちょっとだけ悩む
「そうですねぇ……始末書書くのは嫌なので、今度でいいです?」
 提案を断られて、つまんなそうなリエル。ノエルも不満そうな顔
「まあ、近々ということで、見学者の方が待ちぼうけしてますから、始めましょうか」

 開始の合図もなく、突然始まった対戦。前回と同様、激しい攻防戦が続いていく
 ノエル達を応援するクリル達も、声を枯らすかのごとく、大声で応援している

「おー、なかなか……」
 ノエル達の対戦を初めて見るダングは、二人の戦いを関心している
「面影あるよな……」
 バルバの問いかけに頷くダング。何だか懐かしいような表情をしている
「ああ、特に妹が母上に似ているな。なあカリア」
「ええ……」
 大人達がノエルとリエルの戦いに昔を思い出していると、ガラガラと少し建物崩れ、揺れ動いた
 前よりも大分早い決着。今回は、カノン隊長の圧勝で終わった
 大怪我で動けないノエルとリエル、そして無傷のカノンが、何だか不思議な空間を作っている
「今日の対戦は終わりましょ、続きはまた明日。お疲れさまです」
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