時を奏でる境界線

シャオえる

文字の大きさ
上 下
39 / 132

39. ヒソヒソ話はあっち向きで

しおりを挟む
「はい、ではでは。質問しますよ」
 会議室に来たノエル達、部屋にはたくさんの机に座る本部の人達と、バルバ大佐がいた
 その机の前に立たされる二人。注目を集めて緊張してても、早く終わらせるためサクサクと進めようとしているカノンの服を引っ張る
「えーと……カノンさん、これは」
 小声で話しかけるノエル
「うん、本部の偉い人達だよ」
 会話中もじーっと見られている三人
「帰りてぇ……」
 緊張感で冷や汗が止まらないクリル
「それはムリだねぇ」

 三人が小声で話していると、会議を参加している人達からもヒソヒソと会話が聞こえてくる

「あれが、アゼルの……」
「似ているか?」
「カリアは……」

 会話から自身の父親の名前が聞こえてきて、身構えるノエル。クリルも一気に本部の人達の様子に不機嫌になる

「はーい、聞こえてますよ。大人の方々、悪口は聞こえないようにお願いしますよ」
 大きな声のヒソヒソ話に注意するカノン
「悪口とは……」
 また、ヒソヒソと話始める
「ノエル君が嫌だと思えば、それは悪口ですよ」
 反論の声に強い口調で返すカノン
 
 その言葉に静かになる会議室
 コホンと、ちょっとわざとらしい咳払いで注目を集めて、机に置いていた資料を手に取る
「では、気をとり直しまして……」
 そういうと、隣にいるノエルの方に向くカノン
「まず、ノエル君ですが、今の希望は?」
 
「ここからリエルちゃんと学校に行くで良いかい?」
 優しく問いかけるカノン
「えっと……その」
 あたふたと、上手く答えられないノエル
「まあ、嫌って言っても逃がさないけどね」
 そう言いながら手元の資料をめくり、今度はクリルに話しかける
「次、クリル達はどうする?」
 昨日、逃げたこともあり何も言えず、うつ向くクリル。そうなるだろうと思っていたカノンが、資料を元に話始めていく

「クリル・バータナ、メイナ・バータナ兄妹ね。失礼だけど、色々調べさせてもらったよ。君達がムリだと思う気持ちは分かるけどね。それはそれ、これはこれだから。かといって、ちょっと悪いことしてたみたいだけど……」

 本部の人達も、ノエルとクリルの資料を読んで考え込む
 ちょっと不穏な空気になる会議室。それを感じて元々不機嫌だったのが、更に機嫌悪くなっていくクリル
「まあ、この本部や学園を見て感じて変わればいいよ。この境界線本部や世界の事を二人にも知ってほしいし」
 そんな雰囲気も、ニコニコ笑って誤魔化そうとするカノン。でも、部屋は嫌な空気のまま時間が流れてく
 この雰囲気を消そうと、次の話をとバルバに促されるカノン
 はぁ。とため息ついて、手元の資料を机に置くと、ちょっとだけ真剣表情になり、ノエルに話しかける
「でね、ノエル君に聞きたいことがあるんだけど……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...