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29. 何も言わぬ優しさ
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時間が過ぎてあっという間に午前6時
兄弟組は夢の中にいる頃、静かに本部から外出しようとしているカリアの姿があった
「カリア、どうしたんだ?」
ちょうど本部に到着していたバルバ大佐が、カリアの姿を見つけて、声をかけてきた
「休暇を頂きまして……出掛けようかと……」
まだ、体調が悪そうなカリア
「そうか、あの兄妹の相手も疲れるからな」
二人が話していると、がさごそと、どこからか近づいてくる足音
「おやおや、お二人とも奇遇ですね」
呼ばれていないのに、来たのはカノン
「お早い出勤で」
「お前もな」
カノンとバルバが話に盛り上がっているその隣では、うつ向き二人の会話に入らないカリアの姿
「すみません、先に失礼します……」
顔を下に向けたまま、早足で二人のもとから、去っていくカリア
昨日休みだったバルバは、不安そうにその姿を見送る
「どうしたんだ?カリア」
カノンも少し困った様子でカリアの後を見送っている
「んー……、マリヤ・ライムの生死判明したそうで、それで……」
カノンの説明を全部とは聞かずとも何かに気付いたバルバ。どう言葉を返そうか悩む
「そうか……なら仕方ない」
カリアの姿が見えなくなったその道を、何となく見つめる二人
「ところで今日、学園見学に行くのですが……」
暗くなった雰囲気の気分を変えようと、ちょっと明るめの声で、バルバに話しかけてみる
「そうか。頑張ってくれ」
嫌な気配を感じたバルバが、カノンから逃げようとする
「何を言ってるんです?一緒に行ってくれなきゃ困ります」
ガシッと腕を掴んで、ニコニコ笑顔で誘うカノンに、嫌そうなバルバ
「すまないが、他に仕事が……」
どうにか逃げようとするが、逃がさないように前を塞がれている
「いーじゃないですか。どうせ、気になるでしょ?アゼルの子達」
「まあ……」
「じゃ、決定ね。後で許可取るから、よろしく!」
ずっとニコニコ笑って話していたカノンを、不信そうにその顔をじーっと見るバルバ
「お前……」
はぁ。と朝から大きなため息をつく
「楽しそうだな、あの子達が来てから」
「ええ、それはここの本部の皆そうですから……」
兄弟組は夢の中にいる頃、静かに本部から外出しようとしているカリアの姿があった
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まだ、体調が悪そうなカリア
「そうか、あの兄妹の相手も疲れるからな」
二人が話していると、がさごそと、どこからか近づいてくる足音
「おやおや、お二人とも奇遇ですね」
呼ばれていないのに、来たのはカノン
「お早い出勤で」
「お前もな」
カノンとバルバが話に盛り上がっているその隣では、うつ向き二人の会話に入らないカリアの姿
「すみません、先に失礼します……」
顔を下に向けたまま、早足で二人のもとから、去っていくカリア
昨日休みだったバルバは、不安そうにその姿を見送る
「どうしたんだ?カリア」
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「んー……、マリヤ・ライムの生死判明したそうで、それで……」
カノンの説明を全部とは聞かずとも何かに気付いたバルバ。どう言葉を返そうか悩む
「そうか……なら仕方ない」
カリアの姿が見えなくなったその道を、何となく見つめる二人
「ところで今日、学園見学に行くのですが……」
暗くなった雰囲気の気分を変えようと、ちょっと明るめの声で、バルバに話しかけてみる
「そうか。頑張ってくれ」
嫌な気配を感じたバルバが、カノンから逃げようとする
「何を言ってるんです?一緒に行ってくれなきゃ困ります」
ガシッと腕を掴んで、ニコニコ笑顔で誘うカノンに、嫌そうなバルバ
「すまないが、他に仕事が……」
どうにか逃げようとするが、逃がさないように前を塞がれている
「いーじゃないですか。どうせ、気になるでしょ?アゼルの子達」
「まあ……」
「じゃ、決定ね。後で許可取るから、よろしく!」
ずっとニコニコ笑って話していたカノンを、不信そうにその顔をじーっと見るバルバ
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