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第二章 夏
第四十四.五話 千波 at プール
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杏実ちゃんの後を追いかけて、更衣室から飛び出した水着姿の私は、男子二人との集合場所に着いた瞬間に思考が固まってしまった。
理由はただ一つ、『想い人』の姿。
水着を着たことで露わになった、細身だと思っていた佑の体の普段は服で隠れている部分は、私が思っていたよりも男らしかった。
引き締まった腕の筋肉、薄く割れている腹筋。
普段の見かけによらず、そんな体を持っている佑はまさしく「細マッチョ」というものだった。
うん、やばいよこれ。
私は一応女子高生らしくカッコいい俳優とかが筋肉を見せている写真とかは友達と見るし、意外とそういう体に魅力を感じたりもする。
だから……佑にあんな体を見せられちゃうと、本当にやばい。普段よりも1.5倍くらいかっこよく見えちゃう……!
これ、本当に私、今日やっていけるのかな……。
そんな思いを抱えてる事なんて佑や他のみんなは知らない様子で、普通にプールの方に進んで行くので、遅れないように慌てて私も足を動かした。
その後、杏実ちゃんから浮き輪を渡されて、流れるプールに行って、浮き輪に乗ろうとした杏実ちゃんがそれに失敗してちょっと心配したり、流れるプールの中で杏実ちゃんと水をかけあったりと、特に何かある訳でもなく普通に楽しく過ごしていた。
そんな中、突如としてハプニングは起こった。
プールの流れに合わせて進んでいく私達の前に立ち塞がったのは、プールの流れに逆らって遊んでいる小学生達。プール一面に広がって遊んでいるので私達が前に進むのを妨げる形となっている。
先頭にいた佑がその子達に何か声をかけ、その子達の隙間を縫って前に出た。
上手く交渉してくれたんだな、と思って私達も進もうとすると、また小学生がプール一面に広がって遊び始めた。小学生は佑の話を聞き入れてくれなかったみたい。
私達が立ち往生しているのを見て、佑も小学生達の先で困り顔を浮かべている。
どうにかして通らないと、と頭をフル回転させて突破方法を考えていると、何があったのか小学生達がプールの端の方に集まった。
これはチャンス。通るなら今だ。
私がそう思うのと同時に、杏実ちゃんと碧君も動き、私の前に入ると小学生がいたスペースを抜けていく。
そして、私が通ろうとした瞬間、再び小学生達が勢いよく動いた。
周りが見えていない小学生の目に私が映っているはずもなく、浮き輪によって動きが制限されている私はなすすべもなく弾き飛ばされた。
体が宙に浮き、水面が下に見えた。
浮いた体が水面にぶつかる衝撃に覚悟を決め、目を瞑ってその時を待って──────。
私に訪れたのは、硬くて痛い衝撃ではなく、硬くも優しい感触だった。
目を開けると、愛しい人の顔が飛び込んできた。
それを認識した瞬間、顔が熱を帯び、鼓動が速く大きくなるのを感じた。
どうか、どうか、これに佑が気づきませんように。訪れた衝撃のせいで佑に抱えられたまま動けずにいる私はそう祈り続けた。
理由はただ一つ、『想い人』の姿。
水着を着たことで露わになった、細身だと思っていた佑の体の普段は服で隠れている部分は、私が思っていたよりも男らしかった。
引き締まった腕の筋肉、薄く割れている腹筋。
普段の見かけによらず、そんな体を持っている佑はまさしく「細マッチョ」というものだった。
うん、やばいよこれ。
私は一応女子高生らしくカッコいい俳優とかが筋肉を見せている写真とかは友達と見るし、意外とそういう体に魅力を感じたりもする。
だから……佑にあんな体を見せられちゃうと、本当にやばい。普段よりも1.5倍くらいかっこよく見えちゃう……!
これ、本当に私、今日やっていけるのかな……。
そんな思いを抱えてる事なんて佑や他のみんなは知らない様子で、普通にプールの方に進んで行くので、遅れないように慌てて私も足を動かした。
その後、杏実ちゃんから浮き輪を渡されて、流れるプールに行って、浮き輪に乗ろうとした杏実ちゃんがそれに失敗してちょっと心配したり、流れるプールの中で杏実ちゃんと水をかけあったりと、特に何かある訳でもなく普通に楽しく過ごしていた。
そんな中、突如としてハプニングは起こった。
プールの流れに合わせて進んでいく私達の前に立ち塞がったのは、プールの流れに逆らって遊んでいる小学生達。プール一面に広がって遊んでいるので私達が前に進むのを妨げる形となっている。
先頭にいた佑がその子達に何か声をかけ、その子達の隙間を縫って前に出た。
上手く交渉してくれたんだな、と思って私達も進もうとすると、また小学生がプール一面に広がって遊び始めた。小学生は佑の話を聞き入れてくれなかったみたい。
私達が立ち往生しているのを見て、佑も小学生達の先で困り顔を浮かべている。
どうにかして通らないと、と頭をフル回転させて突破方法を考えていると、何があったのか小学生達がプールの端の方に集まった。
これはチャンス。通るなら今だ。
私がそう思うのと同時に、杏実ちゃんと碧君も動き、私の前に入ると小学生がいたスペースを抜けていく。
そして、私が通ろうとした瞬間、再び小学生達が勢いよく動いた。
周りが見えていない小学生の目に私が映っているはずもなく、浮き輪によって動きが制限されている私はなすすべもなく弾き飛ばされた。
体が宙に浮き、水面が下に見えた。
浮いた体が水面にぶつかる衝撃に覚悟を決め、目を瞑ってその時を待って──────。
私に訪れたのは、硬くて痛い衝撃ではなく、硬くも優しい感触だった。
目を開けると、愛しい人の顔が飛び込んできた。
それを認識した瞬間、顔が熱を帯び、鼓動が速く大きくなるのを感じた。
どうか、どうか、これに佑が気づきませんように。訪れた衝撃のせいで佑に抱えられたまま動けずにいる私はそう祈り続けた。
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