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第一章 春
プロローグ
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ここは北燈高校。
ここに通う俺──与田佑には『推し』がいる。
『推し』と言っても、アイドルや芸能人、アニメやゲームのキャラではない。俺の『推し』は視線の先の茶色っぽい髪をボブにした小柄な女子──クラスメートの三柴杏実である。
そして、俺の掛けている眼鏡が見つめる先の『推し』はと言うと──目下、意中の男子である幾田碧との会話に勤しんでいるのだが……上手くいかなかった様子。
肩を落として俺の方にふらふらとやってきた杏実さんは俺にこんな事を言う。
「会話……続かなかった…………」
「う~ん、俺から見ても確かにちょっとぎこちない感じが出てたかな…」
「どうすればいいのかな……」
う~む分からん……と思い、杏実さんの方をちらと見ると当然といえば当然だが困り顔。そして困ってる顔も可愛い。
可愛いとはいえ、『推し』を困らせたままにするのは非常によろしくない。
しかし俺1人で対処するのは難しいので、仲間の力を借りよう。
「おーい、ちょっとカモン」
と声をかけると、数名の男子が集まってくる。口々に「なんかあった?」とか呟きながら俺の方に寄ってくる彼らに杏実さんのことを話すと、いつものように議論が始まる。
「やっぱさ、大事なのは共通の話題じゃない?」
「いや、それよりも直前の授業の話みたいなタイムリーやつの方が……」
このように、俺たちは杏実さんの恋路が上手くいくように、陰ながらアドバイスなどをしている。実際ただのお節介みたいなものだが、彼女が頼ってくれるから、それにできるだけ応えようとしている。
そして、今日は「話題を上手く繋ぐことが大切」という結論に至り、杏実にこれを託す。
俺たちにできるのはここまで、あとは杏実が頑張るしかないので、再び碧の元に向かう彼女の背をそっと見守る。
このように、俺たちは今日も『推し』の杏実さんの恋路を陰から支え、頑張る彼女を応援している。
ここに通う俺──与田佑には『推し』がいる。
『推し』と言っても、アイドルや芸能人、アニメやゲームのキャラではない。俺の『推し』は視線の先の茶色っぽい髪をボブにした小柄な女子──クラスメートの三柴杏実である。
そして、俺の掛けている眼鏡が見つめる先の『推し』はと言うと──目下、意中の男子である幾田碧との会話に勤しんでいるのだが……上手くいかなかった様子。
肩を落として俺の方にふらふらとやってきた杏実さんは俺にこんな事を言う。
「会話……続かなかった…………」
「う~ん、俺から見ても確かにちょっとぎこちない感じが出てたかな…」
「どうすればいいのかな……」
う~む分からん……と思い、杏実さんの方をちらと見ると当然といえば当然だが困り顔。そして困ってる顔も可愛い。
可愛いとはいえ、『推し』を困らせたままにするのは非常によろしくない。
しかし俺1人で対処するのは難しいので、仲間の力を借りよう。
「おーい、ちょっとカモン」
と声をかけると、数名の男子が集まってくる。口々に「なんかあった?」とか呟きながら俺の方に寄ってくる彼らに杏実さんのことを話すと、いつものように議論が始まる。
「やっぱさ、大事なのは共通の話題じゃない?」
「いや、それよりも直前の授業の話みたいなタイムリーやつの方が……」
このように、俺たちは杏実さんの恋路が上手くいくように、陰ながらアドバイスなどをしている。実際ただのお節介みたいなものだが、彼女が頼ってくれるから、それにできるだけ応えようとしている。
そして、今日は「話題を上手く繋ぐことが大切」という結論に至り、杏実にこれを託す。
俺たちにできるのはここまで、あとは杏実が頑張るしかないので、再び碧の元に向かう彼女の背をそっと見守る。
このように、俺たちは今日も『推し』の杏実さんの恋路を陰から支え、頑張る彼女を応援している。
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