上 下
13 / 35
一章.魔法使いと人工キメラ

十話目-大きな進歩と大発見

しおりを挟む
 僕らがゾーノの街を出てから一時間程たった時、僕の体力は尽きようとしていた……。
 
思ったよりも遥かにホウキの魔法消費量が半端じゃなかった……。
 恐らく過重積載と後ろにいる人が絶えず騒いでいるからもあるのだろうが……。

 ともあれ、僕らはゾーノのとイゴロノスの境目にある草原の上空である。
 「うおーっ! スライムがうじゃうじゃ居る!」
 「ここらは水が綺麗だからね」
 「おー!ドラゴンもうじゃうじゃ居る!」
 「……今度は尻尾踏むんじゃないよ……」
 「なにあれ? 金色のスライムがいる!」
 「何っ! 」
 
 よし!もしもこれがゴールデンスライムであれば一攫千金のチャンスだ!
 遠くから見てもその体が純金でできていると分
かるほどの輝きを放っている……。
 
「セシリア、じゃあ近くに下ろすから後ろからぶん殴って仕留めてもらっていい?」
「もちろん!  セシリアお姉さんに任せなさい!」
 
何だろう? 凄く嫌な予感がする……。
セシリアは近くの草原に身を潜めると……弾丸のごとくスライムに突撃し、
 
 「セシリアパーンチ!」
 
という掛け声と共に、ゴールデンスライムを仕留めた。
 あれ?こいつ相当な耐久力を持ってたはずなんだけどな……?
 具体的に言えばゴーレムの改心の一撃でも少し身じろぐ程度でだったはず……。

 「やったー! 倒したー!」
 
 セシリアは自分の拳の痕が付いた獲物を掲げてご満悦だった。
 確か延べ棒一本で十キロぐらいだったからセシリアの持ってるのは……考えないようにしよう……。
  
 僕はゆっくりと降下していきセシリアが待ってる泉のほとりに着地した。

 「どうよ! 私の実力ではざっとこんなもんよ!」
 「うん……明らかにまえより強くなってるよね?」

 龍人恐るべし……。
するとセシリア、
 
「なんだか喉の辺りがイガイガする……」
「え? どれどれ?」
 
 大きく口を開いたセシリアの喉を診てみると、確かに赤くなっている。
うん? 何か赤くと言うより明るく……。

まもなく僕の頭は炎に包まれた。

「あづっ! 」

泉が近くにあって本当に助かった……。
急いで僕は水に頭を突っ込む……。

「大丈夫!? 」
「まあなんとか……」

さっきの炎……セシリアが出したのか?
だとしたらだんだん龍に近付いているんじゃ……。
 
僕はそんなことを考えながらペタペタと顔をさわった。
 幸いにもやけどは軽いようだ。
 髪は少し縮れたけど……。

 うん、いい機会だ。場所もいいし今のうちにやっておこう。

「セシリア、 ちょっと力を貸して貰いたいんだけどいい?」
「もちろん! 何をするの?」
「回復薬を作るよ」
「え?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

完結 歩く岩と言われた少女

音爽(ネソウ)
恋愛
国を護るために尽力してきた少女。 国土全体が清浄化されたことを期に彼女の扱いに変化が……

処理中です...