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第百七十四話
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身体中が軋むように痛い。
「う・・・」
痛くて、意識がもどった、らしい。でも、もどらなければよかったのにと、すぐに思った。長い棒かなにかで脇腹を思い切り突き飛ばされて、馬から突き落とされた。その時に肩と腰を思い切り打ったらしいし、脇腹がめちゃくちゃ痛くて、もしかしたら肋骨にヒビが入っているのではないかと思う。それなのに、手足を縛って冷たい地面に転がしておくとか、こいつら鬼か、悪魔か、と、頭の中に罵詈雑言を並べる。口に猿轡がされているので、しゃべることはできない。
「・・・ん、うぐっ、うっ」
なにやら苦し気な声がする。目隠しはされていないので、不自由な身体をよじって、声のするほうを見る。と、すぐ目の前でおぞましい行為が繰り広げられていた。
「・・・!」
最初に目に入ったのは、女の足だった。足首がどす黒い赤や紫になって腫れあがっているのは、落馬する際に足が鐙から抜けず、捻ったか骨折してしまったらしい。他にも腕とか頬の傷が手当されないままの痛々しいすがたで、グレースが男達に凌辱されていた。犬のように四つん這いにさせられて、後ろからは肉のたるんだ醜怪な中年男がグレースの下肢を割っておのれのイチモツを突き入れていた。ガツガツと腰を振るその男と、もう一人、年配の男がグレースの顔のほうにいて、彼女の濃い茶色の短髪を乱暴に鷲掴みにして、自分のモノをむりやりに口に押し込んでいた。
「もっと奥まで咥えろ、オラッ!」
汗が飛んでくるような至近距離で行われている恐ろしい行為に、奈々実は息が止まりそうになる。男が腰を打ちつける、肉体と肉体のぶつかり合う音や粘着質な水音が聞こえて、それがなんのために、どこでしている音なのかわかって、信じたくなくて、耳を塞ぎたいと思った。醜悪な男のモノをぐいぐいと押し込まれて、苦痛に顔を歪めているグレースの涙が、頬の擦過傷の上を流れる。涙を傷口にすりこむかのように、男がグレースの顔を掴んでいる。怪我をしているのに、その傷のある頬の皮膚をいっぱいに引き伸ばされる様と、口角が切れて血が滲んでいる様子が、見えた気がした。グレースが呼吸ができなくて窒息してしまう恐怖と、喉まで突き入れようとしている男のおぞましさに鳥肌が立ち、血が凍った。
新しい命を生み出すためや、愛し合うためではない、暴力としての性行為。それは恐ろしくて汚くて、人間のすることとは思えなかった。鬼とか悪魔とか、野獣がそこにいるのだと思った。見てはいけないのだろうと思ってぎゅっと目を閉じたけれど、きれいだったはずのグレースの肌が傷だらけにされた状態と、男達の毛むくじゃらでむさくるしい身体のコントラストの残像が、瞼の裏にこびりついて消えない。目は閉じることができても手足を縛られていて耳を塞ぐことができないので、グレースの苦しそうな嗚咽のような呻き声がぐさぐさと耳をえぐる。聞いているのがつらくて、自分の脳が耳から無理矢理に入り込んでくる黒いどろどろしたものに侵食されて犯されていくようにつらい。
「う・・・」
痛くて、意識がもどった、らしい。でも、もどらなければよかったのにと、すぐに思った。長い棒かなにかで脇腹を思い切り突き飛ばされて、馬から突き落とされた。その時に肩と腰を思い切り打ったらしいし、脇腹がめちゃくちゃ痛くて、もしかしたら肋骨にヒビが入っているのではないかと思う。それなのに、手足を縛って冷たい地面に転がしておくとか、こいつら鬼か、悪魔か、と、頭の中に罵詈雑言を並べる。口に猿轡がされているので、しゃべることはできない。
「・・・ん、うぐっ、うっ」
なにやら苦し気な声がする。目隠しはされていないので、不自由な身体をよじって、声のするほうを見る。と、すぐ目の前でおぞましい行為が繰り広げられていた。
「・・・!」
最初に目に入ったのは、女の足だった。足首がどす黒い赤や紫になって腫れあがっているのは、落馬する際に足が鐙から抜けず、捻ったか骨折してしまったらしい。他にも腕とか頬の傷が手当されないままの痛々しいすがたで、グレースが男達に凌辱されていた。犬のように四つん這いにさせられて、後ろからは肉のたるんだ醜怪な中年男がグレースの下肢を割っておのれのイチモツを突き入れていた。ガツガツと腰を振るその男と、もう一人、年配の男がグレースの顔のほうにいて、彼女の濃い茶色の短髪を乱暴に鷲掴みにして、自分のモノをむりやりに口に押し込んでいた。
「もっと奥まで咥えろ、オラッ!」
汗が飛んでくるような至近距離で行われている恐ろしい行為に、奈々実は息が止まりそうになる。男が腰を打ちつける、肉体と肉体のぶつかり合う音や粘着質な水音が聞こえて、それがなんのために、どこでしている音なのかわかって、信じたくなくて、耳を塞ぎたいと思った。醜悪な男のモノをぐいぐいと押し込まれて、苦痛に顔を歪めているグレースの涙が、頬の擦過傷の上を流れる。涙を傷口にすりこむかのように、男がグレースの顔を掴んでいる。怪我をしているのに、その傷のある頬の皮膚をいっぱいに引き伸ばされる様と、口角が切れて血が滲んでいる様子が、見えた気がした。グレースが呼吸ができなくて窒息してしまう恐怖と、喉まで突き入れようとしている男のおぞましさに鳥肌が立ち、血が凍った。
新しい命を生み出すためや、愛し合うためではない、暴力としての性行為。それは恐ろしくて汚くて、人間のすることとは思えなかった。鬼とか悪魔とか、野獣がそこにいるのだと思った。見てはいけないのだろうと思ってぎゅっと目を閉じたけれど、きれいだったはずのグレースの肌が傷だらけにされた状態と、男達の毛むくじゃらでむさくるしい身体のコントラストの残像が、瞼の裏にこびりついて消えない。目は閉じることができても手足を縛られていて耳を塞ぐことができないので、グレースの苦しそうな嗚咽のような呻き声がぐさぐさと耳をえぐる。聞いているのがつらくて、自分の脳が耳から無理矢理に入り込んでくる黒いどろどろしたものに侵食されて犯されていくようにつらい。
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