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第百六十一話
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「ですから、ナナミがセヴラン様と適度なスキンシップをすることによって魔力操作が安定したり、使える魔力量が増えるのであれば、それは喜ばしいですが、万が一にもセヴラン様が理性を失って殿方の本能が暴走された場合のことを、わたしは恐れています。セヴラン様ご自身の名誉にも瑕がつきますし、ナナミの魔力が減ったり使えなくなってしまうことは、国家的な損失です。絶対に防がなければなりません」
奈々実の額に輝くゴールドのマジカル・スター。その魔力量は、巨大隕石の落下にも等しいエネルギー量であるとされる。
月の満ち欠けによって魔力量が変動するイネスが、ほとんどの満月の時には赤にしかならないけれど、時々、シルバーまで魔力量が増える。そのシルバーの魔力量で、火山の噴火くらいのエネルギー量であるという。ゴールドとシルバーの間にはちょっと差がありすぎる気がするが、どっちにしても抽象的な表現で、数値化されているわけではないので、そこはつっこみどころではないらしい。つっこみどころはそこではなくて、奈々実はきちんとコントロールはできないけれど、今のところは全くマジカル・スターが変化せず、つまり表示上は魔力量が増減せず、ずうっとゴールドの量があるはずなわけで、それがセヴランの理性崩壊と本能解放によって変化してしまうことは一大事なわけで、国家として、それは回避しなければならない。
普通は、魔力量によってマジカル・スターは色を変えるのに、ゴールドのままであること。それはもといた世界なら政治家とかVIPのようにボディ・ガードをつけたり二十四時間監視をしたいくらいに貴重極まり無いことなのだ。セヴランのせいでも、またそうではない別の要因のせいであっても、万が一、ゴールドではなくなってしまったとして、それがまたゴールドに戻る可能性があるのか、戻るとしたらどのような条件を満たせばいいのかも探求したいモニークにしてみれば、奈々実から目を離すわけにはいかない。
奈々実のゴールド・スターの魔力をベルチノアという国家が重要視しているのだと、改めて認識する。ベルチノアだけではない。シエストレムのような危険な国、またその他の国も、国ではなくてどんな組織や個人だって、できることなら手に入れたいと思っている。奈々実がきちんとコントロールできなくて首輪をつけていたこと、それとベアトリスに攻撃される非常事態にシエストレムの鎖が手近にあったという二つの状況があったから、セヴランが奈々実を『繋留』したけれど、セヴランがそれをしなかったら、どこの誰が奈々実を拉致監禁したとしても、不思議ではなかった。
「・・・セヴラン様の本能が暴走してわたしを抱いてしまわれたら、マジカル・スターがゴールドじゃなくなってしまうかもしれない。モニーク様はそれを危惧して、わたしがセヴラン様と一緒にいないほうがいいとお考えなのですね?」
「そうです。ごめんなさい。セヴラン様を信頼していますけど、殿方の性衝動は原始的で、箍が外れたが最後、止められるものではありません。セヴラン様のように高潔なお人柄であっても、絶対の保証はありません」
奈々実の額に輝くゴールドのマジカル・スター。その魔力量は、巨大隕石の落下にも等しいエネルギー量であるとされる。
月の満ち欠けによって魔力量が変動するイネスが、ほとんどの満月の時には赤にしかならないけれど、時々、シルバーまで魔力量が増える。そのシルバーの魔力量で、火山の噴火くらいのエネルギー量であるという。ゴールドとシルバーの間にはちょっと差がありすぎる気がするが、どっちにしても抽象的な表現で、数値化されているわけではないので、そこはつっこみどころではないらしい。つっこみどころはそこではなくて、奈々実はきちんとコントロールはできないけれど、今のところは全くマジカル・スターが変化せず、つまり表示上は魔力量が増減せず、ずうっとゴールドの量があるはずなわけで、それがセヴランの理性崩壊と本能解放によって変化してしまうことは一大事なわけで、国家として、それは回避しなければならない。
普通は、魔力量によってマジカル・スターは色を変えるのに、ゴールドのままであること。それはもといた世界なら政治家とかVIPのようにボディ・ガードをつけたり二十四時間監視をしたいくらいに貴重極まり無いことなのだ。セヴランのせいでも、またそうではない別の要因のせいであっても、万が一、ゴールドではなくなってしまったとして、それがまたゴールドに戻る可能性があるのか、戻るとしたらどのような条件を満たせばいいのかも探求したいモニークにしてみれば、奈々実から目を離すわけにはいかない。
奈々実のゴールド・スターの魔力をベルチノアという国家が重要視しているのだと、改めて認識する。ベルチノアだけではない。シエストレムのような危険な国、またその他の国も、国ではなくてどんな組織や個人だって、できることなら手に入れたいと思っている。奈々実がきちんとコントロールできなくて首輪をつけていたこと、それとベアトリスに攻撃される非常事態にシエストレムの鎖が手近にあったという二つの状況があったから、セヴランが奈々実を『繋留』したけれど、セヴランがそれをしなかったら、どこの誰が奈々実を拉致監禁したとしても、不思議ではなかった。
「・・・セヴラン様の本能が暴走してわたしを抱いてしまわれたら、マジカル・スターがゴールドじゃなくなってしまうかもしれない。モニーク様はそれを危惧して、わたしがセヴラン様と一緒にいないほうがいいとお考えなのですね?」
「そうです。ごめんなさい。セヴラン様を信頼していますけど、殿方の性衝動は原始的で、箍が外れたが最後、止められるものではありません。セヴラン様のように高潔なお人柄であっても、絶対の保証はありません」
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