147 / 200
第百四十六話
しおりを挟む
「お前の魔力が欲しいだけの、欲得ずくの卑しい男だと思っただろう? 魔力が無かったらわたしになんか見向きもしなかったくせに、魔力があるから繋留しただけでしょ、って、思っていただろう?」
「・・・」
それは、セヴランを憎んだり恨んだということになるのだろうか。奈々実が自分自身を卑下することが、セヴランを憎むことになるのか。
「お前の魔力を好きなように借りて使えることは、それはとても魅力的なことだがな、俺は欲張りだから、それを短期間で終わらせたくないし、人のためだけで終わらせるのも嫌なんだよ。これから先お前と共に生きている間ずうっと、人のためとか国のためも含めて、でもお前と自分の幸せのために、お前の魔力を使えるようにしたい」
それはすばらしい未来予想図だが、そのこととエッチをするかしないかがどう関連しているのか、奈々実は全然わからない。きょとんとしている奈々実に、セヴランはため息をつく。
「未成年のお前を抱いたら、俺はこの世界の摂理に従って自分の下半身を切り落とさなければならない。それが嫌なら自死するしかない」
「・・・は・・・?」
下半身って、下半身って、その、つまり、ソレですか? え? 切るって、つまりその、去勢するってこと?
理解するまで数分かかった。そんなの、中国の歴史小説に出て来る宦官じゃあるまいし、意味がわからない。
「なんでそんなことになっちゃうんですか?」
レイプしたのなら、犯罪だったのなら、懲罰としてそういうこともありうるかもしれない。でも、セヴランは奈々実を大切にしてくれていて、守ってくれていて、奈々実は感謝していて、それでも摂理に反するのだろうか。
「証拠が無い、証明ができない、ということなんだろうな・・・。お前だって、事前には大丈夫だと思っていたとしても、いざ、実際にしてみたら、痛かったり事前に思っていたのと違う、とか、ショックで魔力回路を損傷するかもしれない。しないかもしれないが、未成年では損傷する可能性が大きいから、個別の状況はさておき、一律に未成年との行為は禁じたのだと、歴史の本には記されている」
「歴史って、ベルチノアのですか?」
ベルチノアは建国してからまだ日の浅い国だ。歴史の、というほどのものでもないのではないかと、奈々実は思った。
「違うよナナミ。この世界の歴史だ。個々の国のではない。女性には魔力があって、それを守らなければならない、この世界はそれによって成り立っているんだ。だからこの世界の摂理は、法律よりも重いんだよ」
だからつまり、セヴランが未成年の奈々実を抱いてしまった場合にはこの世界の摂理に従って自死する(去勢して生き長らえることはセヴランの選択肢には無い)から、奈々実の魔力を自由にできる期間は短いと言いたいらしい。
「ダイエットだって言って、エロいことしたのは、エッチしたことにはならないんですか?」
かなりエロいことをされたし、させられた。あれだけエロいことをしておいて、エッチはできませんって、いろいろとツッコミどころがありすぎる。
「お前の言うところの、最終形態、まではしてないからな・・・」
少し赤くなりながら、セヴランはそっぽを向く。だんだん、話題に耐えきれなくなってきたらしい。
「最終形態までしなければいいんですね?」
「まあ、・・・そうだ」
それは男の本能を無理矢理に抑え込むことだ。簡単にできれば苦労はしない。
「セヴラン様は、わたしのために、そうしてくださっているんですよね?」
「そのつもりだと言いたいが、自分のためでもあるな。軽蔑するか?」
「素直でたいへんよろしいと思います」
ぶっちゃけ、そう思う。奈々実が大事だから、もあるにしても、自分のことだって大事だと言ってくれるほうが、本音なのだと思えて安心できると思う。
「・・・」
それは、セヴランを憎んだり恨んだということになるのだろうか。奈々実が自分自身を卑下することが、セヴランを憎むことになるのか。
「お前の魔力を好きなように借りて使えることは、それはとても魅力的なことだがな、俺は欲張りだから、それを短期間で終わらせたくないし、人のためだけで終わらせるのも嫌なんだよ。これから先お前と共に生きている間ずうっと、人のためとか国のためも含めて、でもお前と自分の幸せのために、お前の魔力を使えるようにしたい」
それはすばらしい未来予想図だが、そのこととエッチをするかしないかがどう関連しているのか、奈々実は全然わからない。きょとんとしている奈々実に、セヴランはため息をつく。
「未成年のお前を抱いたら、俺はこの世界の摂理に従って自分の下半身を切り落とさなければならない。それが嫌なら自死するしかない」
「・・・は・・・?」
下半身って、下半身って、その、つまり、ソレですか? え? 切るって、つまりその、去勢するってこと?
理解するまで数分かかった。そんなの、中国の歴史小説に出て来る宦官じゃあるまいし、意味がわからない。
「なんでそんなことになっちゃうんですか?」
レイプしたのなら、犯罪だったのなら、懲罰としてそういうこともありうるかもしれない。でも、セヴランは奈々実を大切にしてくれていて、守ってくれていて、奈々実は感謝していて、それでも摂理に反するのだろうか。
「証拠が無い、証明ができない、ということなんだろうな・・・。お前だって、事前には大丈夫だと思っていたとしても、いざ、実際にしてみたら、痛かったり事前に思っていたのと違う、とか、ショックで魔力回路を損傷するかもしれない。しないかもしれないが、未成年では損傷する可能性が大きいから、個別の状況はさておき、一律に未成年との行為は禁じたのだと、歴史の本には記されている」
「歴史って、ベルチノアのですか?」
ベルチノアは建国してからまだ日の浅い国だ。歴史の、というほどのものでもないのではないかと、奈々実は思った。
「違うよナナミ。この世界の歴史だ。個々の国のではない。女性には魔力があって、それを守らなければならない、この世界はそれによって成り立っているんだ。だからこの世界の摂理は、法律よりも重いんだよ」
だからつまり、セヴランが未成年の奈々実を抱いてしまった場合にはこの世界の摂理に従って自死する(去勢して生き長らえることはセヴランの選択肢には無い)から、奈々実の魔力を自由にできる期間は短いと言いたいらしい。
「ダイエットだって言って、エロいことしたのは、エッチしたことにはならないんですか?」
かなりエロいことをされたし、させられた。あれだけエロいことをしておいて、エッチはできませんって、いろいろとツッコミどころがありすぎる。
「お前の言うところの、最終形態、まではしてないからな・・・」
少し赤くなりながら、セヴランはそっぽを向く。だんだん、話題に耐えきれなくなってきたらしい。
「最終形態までしなければいいんですね?」
「まあ、・・・そうだ」
それは男の本能を無理矢理に抑え込むことだ。簡単にできれば苦労はしない。
「セヴラン様は、わたしのために、そうしてくださっているんですよね?」
「そのつもりだと言いたいが、自分のためでもあるな。軽蔑するか?」
「素直でたいへんよろしいと思います」
ぶっちゃけ、そう思う。奈々実が大事だから、もあるにしても、自分のことだって大事だと言ってくれるほうが、本音なのだと思えて安心できると思う。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

拉致られて家事をしてたら、カタギじゃなくなってた?!
satomi
恋愛
肩がぶつかって詰め寄られた杏。謝ったのに、逆ギレをされ殴りかかられたので、正当防衛だよね?と自己確認をし、逆に抑え込んだら、何故か黒塗り高級車で連れて行かれた。……先は西谷組。それからは組員たちからは姐さんと呼ばれるようになった。西谷組のトップは二代目・光輝。杏は西谷組で今後光輝のSP等をすることになった。
が杏は家事が得意だった。組員にも大好評。光輝もいつしか心をよせるように……

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる