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第百十五話
しおりを挟む 翌日、キースはキラを胸に抱き、イオと共にワイトデ自治区へと向かった。
『移動』してしまうので、時間はかからない。
イオの屋敷の敷地内に『移動』してきて辺りを見回した。
数日前までは灰色に染まっていた町も、色を取り戻していた。
イオに聞くと、町中の灰は、風を扱える者が集めて袋に入れ、町外れに回収しているらしい。
そこから必要な分だけもらっていって、水捌けの悪い土地の土に混ぜて作物を作ったり、土嚢として使うらしい。
過去にもそうやって灰を利用して来たそうだ。
屋敷の中には入ると、領主、イオの両親がいて、お礼を言われた。
ここへ来てくれたおかげで、長引かず住民達も早く家に帰れる事になって、喜んでいると。
そしてチハヤに服を着替えされされ、彼らに連れられて、近くの社に来ていた。
そこはワイトデ自治区のアリミネ火山を祀る社。
そして、多くの人が集まりザワザワとしていたが、キースがキラを連れて姿を現すと、辺りはシーンと静まり返る。
キラは驚いたのか、キースの服にしがみついて離そうとはしない。
そんなところも可愛い…などと思っていると、イオに社の前に立つように言われ、こっそりと耳打ちされる。
「炎の結晶石をここで作って見せれるか?」
「…う~ん。どうだろう…」
キースは抱えていたキラを地面に降ろし、隣に座り込む。
「キラ、ギュウッて、熱を集めれる?」
キースが聞くとキラはじっとキースを見て、空を見上げた。
風が吹き始め、キラの頭上に集まり始める。
…始まった。
「イオ。炎の結晶石を冷やす場所はある?」
「社の池を使うと良い」
そう言って、イオは隣に有る池を視線で示す。
「お湯が涌き出ている池だから、冷たくはないが…」
無いよりはましだろう。
そんな会話をしているうちに、キラの頭上に炎の結晶石が赤くキラキラと輝いていた。
回りにいるもの達は、その美しさに見惚れている。
風が収まり、落ちてくる炎の結晶石をキースは風で包み込み、落下する場所をイオが言った池へと誘導する。
ポトンと音がして、水蒸気が舞い上がった。
辺り一面、真っ白な水蒸気に包まれ、しばらくすると次第に収まり、視界がもとに戻っていく。
イオが池に入り、炎の結晶石を拾ってきて、キラのもとへ持って来た。
そしてキラの前に膝を付いて、炎の結晶石を掲げた。
「キラ様。我らワイトデ自治区は、キラ様をアリミネ火山の守護竜としてお慕いいたします。どうぞ、お守りください」
イオがそう言うと、回りにいた人々も膝を付いて座り込み、頭を下げた。
ギュウッ!
キラがそう鳴くと、イオは微笑みキラの頭を撫でる。
「よろしく。キラ様」
キラは撫でられて気持ち良さそうに目を細める。
そして、社で宴会が始まった。
キラの前にいろんな食べ物が運ばれてきて、キラは興味深々に覗き込み、キースが食べるとキラも口を開けて催促する。
キースは少量づつ手のひらに乗せて、キラに食べさせていた。
…何でも食べるんだ。
そこへチハヤが近づいてくる。
「キラちゃん。美味しい?」
ギュウッ!
チハヤはニコニコ微笑んで、手のひらに果物を乗せてキラに食べさせてあげる。
「…お祭り騒ぎになっちゃったね」
ぽそりとチハヤが言ってくる。
「キラが認めてもらえれば良いよ。…でもこれが、後三回続くと思うと、そっちの方が気が重い…」
キースが苦笑いすると、その言葉にチハヤは笑った。
キラが炎の結晶石を作れるのは一日一個までだ。
その日の気温と、お腹の減り具合にもよる。
初めて炎の結晶石を作ったときは、お腹が減りすぎて貪るように作って食べていたらしい。
魔力の制御をするようになって、人族と同じ食べ物を食べるようになって、身体と魔力のバランスが取れるようになってきたようだ。
明日は熊族の町に行く。
賑やかな宴が終わり、イオの屋敷の客室でキラと一緒の部屋で眠った。
夜中に重くて目が覚めると、キースが眠るベッドの掛け布団の上に丸くなって、キラが眠っていた。
…キラは良い子だ。
キースは微笑みを浮かべて再び眠りについた。
『移動』してしまうので、時間はかからない。
イオの屋敷の敷地内に『移動』してきて辺りを見回した。
数日前までは灰色に染まっていた町も、色を取り戻していた。
イオに聞くと、町中の灰は、風を扱える者が集めて袋に入れ、町外れに回収しているらしい。
そこから必要な分だけもらっていって、水捌けの悪い土地の土に混ぜて作物を作ったり、土嚢として使うらしい。
過去にもそうやって灰を利用して来たそうだ。
屋敷の中には入ると、領主、イオの両親がいて、お礼を言われた。
ここへ来てくれたおかげで、長引かず住民達も早く家に帰れる事になって、喜んでいると。
そしてチハヤに服を着替えされされ、彼らに連れられて、近くの社に来ていた。
そこはワイトデ自治区のアリミネ火山を祀る社。
そして、多くの人が集まりザワザワとしていたが、キースがキラを連れて姿を現すと、辺りはシーンと静まり返る。
キラは驚いたのか、キースの服にしがみついて離そうとはしない。
そんなところも可愛い…などと思っていると、イオに社の前に立つように言われ、こっそりと耳打ちされる。
「炎の結晶石をここで作って見せれるか?」
「…う~ん。どうだろう…」
キースは抱えていたキラを地面に降ろし、隣に座り込む。
「キラ、ギュウッて、熱を集めれる?」
キースが聞くとキラはじっとキースを見て、空を見上げた。
風が吹き始め、キラの頭上に集まり始める。
…始まった。
「イオ。炎の結晶石を冷やす場所はある?」
「社の池を使うと良い」
そう言って、イオは隣に有る池を視線で示す。
「お湯が涌き出ている池だから、冷たくはないが…」
無いよりはましだろう。
そんな会話をしているうちに、キラの頭上に炎の結晶石が赤くキラキラと輝いていた。
回りにいるもの達は、その美しさに見惚れている。
風が収まり、落ちてくる炎の結晶石をキースは風で包み込み、落下する場所をイオが言った池へと誘導する。
ポトンと音がして、水蒸気が舞い上がった。
辺り一面、真っ白な水蒸気に包まれ、しばらくすると次第に収まり、視界がもとに戻っていく。
イオが池に入り、炎の結晶石を拾ってきて、キラのもとへ持って来た。
そしてキラの前に膝を付いて、炎の結晶石を掲げた。
「キラ様。我らワイトデ自治区は、キラ様をアリミネ火山の守護竜としてお慕いいたします。どうぞ、お守りください」
イオがそう言うと、回りにいた人々も膝を付いて座り込み、頭を下げた。
ギュウッ!
キラがそう鳴くと、イオは微笑みキラの頭を撫でる。
「よろしく。キラ様」
キラは撫でられて気持ち良さそうに目を細める。
そして、社で宴会が始まった。
キラの前にいろんな食べ物が運ばれてきて、キラは興味深々に覗き込み、キースが食べるとキラも口を開けて催促する。
キースは少量づつ手のひらに乗せて、キラに食べさせていた。
…何でも食べるんだ。
そこへチハヤが近づいてくる。
「キラちゃん。美味しい?」
ギュウッ!
チハヤはニコニコ微笑んで、手のひらに果物を乗せてキラに食べさせてあげる。
「…お祭り騒ぎになっちゃったね」
ぽそりとチハヤが言ってくる。
「キラが認めてもらえれば良いよ。…でもこれが、後三回続くと思うと、そっちの方が気が重い…」
キースが苦笑いすると、その言葉にチハヤは笑った。
キラが炎の結晶石を作れるのは一日一個までだ。
その日の気温と、お腹の減り具合にもよる。
初めて炎の結晶石を作ったときは、お腹が減りすぎて貪るように作って食べていたらしい。
魔力の制御をするようになって、人族と同じ食べ物を食べるようになって、身体と魔力のバランスが取れるようになってきたようだ。
明日は熊族の町に行く。
賑やかな宴が終わり、イオの屋敷の客室でキラと一緒の部屋で眠った。
夜中に重くて目が覚めると、キースが眠るベッドの掛け布団の上に丸くなって、キラが眠っていた。
…キラは良い子だ。
キースは微笑みを浮かべて再び眠りについた。
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