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第二章 陽だまり
5-15 画策(後)
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「では、明日までわたくしとともに情報集めをしていただきます」
「それはかまわないが、なぜリエラさんが?」
「あなたの力を見届ける人間は必要でしょう。それに、わたくしもアンリ様の役に立つ道をいろいろ探らなければなりません」
「あれ、役に立つからアンリくんのそばにいるんじゃないの?」
「あなたとは前提が違います。わたくしはアンリ様の所有物ですから、そばにいるのが当然です」
ビットーリオがいろいろな意味を込めた、総じて生暖かい目でぼくを見る。リュミエラさん、なんということをこの状況で口走ってくれますか!
「いろいろすごいね、アンリくんは」
「あ、あのね、ニュアンスってものがあってさ、ぼくはリエラを奴隷として買っただけで……」
「あら、あいが……」
「わーーっ!」
「……ホントすごいね」
心に小さくない傷は負ったが、結論は悪くない。シルドラはアメリとしては魔法使いだから、表だって諜報活動をさせるわけにはいかない。リュミエラは、たぶんビットーリオのそばで情報収集のノウハウを学びたいというのもあるのだろう。ぼくとしても、彼女にできることが増えるのは歓迎である。
「本気であの変態をこの先も使うつもりでありますか?」
聖の日の昼過ぎに合流することをきめて、リュミエラがビットーリオとともに居酒屋を出ていくと、シルドラが真剣な口調でぼくに問いかけてきた。変態だからダメ、とかそういうレベルで訊いているのではなさそうだ。
「まだわからないよ。彼はぼくに興味は持っているみたいだけど、それだけじゃたりないし。ただ、使える限りは使ってみるのもいいんじやないかな。リュミエラがあれだけ買ってるんだもの。その勘を信じてみるのもいいかな、って」
「まあ、役に立つことは間違いないでありますよ。それで、完全にあの二人待ちでありますか?」
「正確な情報がないと動けないんだけどさ、ちょっと考えてることはあるんだよね。さっきはギエルダニアにぜんぶ責任を被せるつもりだったんだけどさ、考えてみると、この交流教育ってけっこう役に立つんだよね、主に他国の情報を入手するためにさ)
「言っておくでありますが、それは交流の狙いではまったくないでありますよ?」
「もちろんわかってるさ。でも、二年に一度だそうだから、次はドルニエで二年後、ぼくが三回生の年だよね。たかだか十歳で、カルターナにいながらにして向こうから情報がやって来るのは大きいよ」
「とことん自己中でありますな。惚れ惚れするでありますよ。しかし、それならどうするでありますか?」
「ピンチを騎士養成学校の生徒が救ったら、英雄的かな、と。国同士がこれ以上接近せずに学校同士は関係が深まるかもしれない、とか思ったりして」
「向こうの生徒を利用するでありますか。なんともゲスいであります。ひょぅとして、利用する人物にも心当たりがあるでありますか?」
「やっぱり、ローリエしかいないよね?」
「ローリエくんは乗せられてくれるでありますか?」
「いや、利用するとは言ったけど、乗せるって考えじゃダメな気がする。隠しごとをしても、カンが鋭い彼はすぐに気づくんじゃないかな」
「しかし、カンが鋭いのであればなおさら、へたな持っていき方だと逆に怪しまれるでありますよ。素人がこんな話を持ち出しても、うさんくさいだけであります」
ぼくもさすがに考え込まざるをえない。いくらなんでも、ぼくが彼に「実はラグシャンが……」とか言っても医務室につれていかれるのがオチだし、彼と面識のない人間がいきなりこんな話をしたら、逆に怪しいよね。
「正直いえば、ローリエはわるいヤツじゃないし、正面から協力を頼みたい気もするんだ。でも、それだとギエルダニアに責任を押しつける、という部分がうまくいかない。それに、相手が好きか嫌いかで行動を決めるのは、ぼくがやるべきではないことなんだよね」
「遠征にはアンリ様も行くでありますか?」
「補助要員とはいえ、派遣団員だからね。少なくともほかの四人は行くだろうし、一回生が一人で残るのは変だと思うよ?」
「そしてローリエくんは遠征には行かないでありますな? なら、賊が遠征先にたどり着く前に、彼に途中で賊を迎え撃たせるのがよいと思うであります。それができれば、賊の全滅を防いで小細工を残すことができるであります」
「その保証は?」
「わたしが賊に紛れこむであります。適当なところで撤退させるでありますよ。拠点に撤収したところで一網打尽であります」
うん、方向としては悪くない。
「ただ、いくらなんでもローリエひとりって訳にはいかないでしょ。賊に十歳の子供が一人で立ち向かう絵面は、面白いけど非現実的だよね。ローリエだって支援を求めるだろうし、そうすると話がややこしくなる。リュミエラと二人で行動させることはできないかな?」
「ひとつ手の内をさらしてしまうでありますが、明日のうちにリュミエラをアンリ様の知り合いの冒険者として紹介するしかないでありますな。ビットーリオよりはましだと思うであります」
「そうなると、一網打尽の方はシルドラとビットーリオのコンビだね。拠点にビットーリオをさきまわりさせとくのかな?」
「変態の力を借りるのはもちろんイヤでありますが、この場合しょうがないであります。わたしひとりでは追い込みきれないでありますから」
まあ、そうだろうな。でも、ビットーリオを入れてもこちらは四人だ。しかも、遠征に同行しているぼくはノーカウント。ひとりで何役もこなしてもらわないと舞台が回らない。
「当日は時間との闘いだね。当日まではローリエになにも知らせず,しかも襲撃者が兄様たちのところにたどり着く前に、ローリエが襲撃者に追いつかなければならないんだ」
「月曜までにリュミエラがローリエから十分な信頼を得られるかも重要でありますよ」
そこは、実はあまり心配していない。この半年のあいだリュミエラを観察していて気づいたが、彼女は人の心に入りこむ才能を持っている。妙に相手の警戒心を解くのがうまいのだ。
当然ながらこの半年、リュミエラが上流階級および富裕層の人々と接触する機会はなく、彼女が触れあうのは冒険者や街の商人がほとんどだ。しかし、公爵家令嬢として育てられた彼女がなぜ、と思うぐらいうまく溶けこんでいる。
「自然な形でローリエとリュミエラを会わせることができれば、その辺は心配ないと思うよ。むしろ、ぼくやシルドラが余計な考えを巡らせない方がいいかも」
「否定はできないであります。アンリ様は中身が中年でありますから、子供の心はわからないであります。子供は、いつも大人は自分たちを理解できないというものでありますからな」
「それそのままシルドラに返すから」
「それはかまわないが、なぜリエラさんが?」
「あなたの力を見届ける人間は必要でしょう。それに、わたくしもアンリ様の役に立つ道をいろいろ探らなければなりません」
「あれ、役に立つからアンリくんのそばにいるんじゃないの?」
「あなたとは前提が違います。わたくしはアンリ様の所有物ですから、そばにいるのが当然です」
ビットーリオがいろいろな意味を込めた、総じて生暖かい目でぼくを見る。リュミエラさん、なんということをこの状況で口走ってくれますか!
「いろいろすごいね、アンリくんは」
「あ、あのね、ニュアンスってものがあってさ、ぼくはリエラを奴隷として買っただけで……」
「あら、あいが……」
「わーーっ!」
「……ホントすごいね」
心に小さくない傷は負ったが、結論は悪くない。シルドラはアメリとしては魔法使いだから、表だって諜報活動をさせるわけにはいかない。リュミエラは、たぶんビットーリオのそばで情報収集のノウハウを学びたいというのもあるのだろう。ぼくとしても、彼女にできることが増えるのは歓迎である。
「本気であの変態をこの先も使うつもりでありますか?」
聖の日の昼過ぎに合流することをきめて、リュミエラがビットーリオとともに居酒屋を出ていくと、シルドラが真剣な口調でぼくに問いかけてきた。変態だからダメ、とかそういうレベルで訊いているのではなさそうだ。
「まだわからないよ。彼はぼくに興味は持っているみたいだけど、それだけじゃたりないし。ただ、使える限りは使ってみるのもいいんじやないかな。リュミエラがあれだけ買ってるんだもの。その勘を信じてみるのもいいかな、って」
「まあ、役に立つことは間違いないでありますよ。それで、完全にあの二人待ちでありますか?」
「正確な情報がないと動けないんだけどさ、ちょっと考えてることはあるんだよね。さっきはギエルダニアにぜんぶ責任を被せるつもりだったんだけどさ、考えてみると、この交流教育ってけっこう役に立つんだよね、主に他国の情報を入手するためにさ)
「言っておくでありますが、それは交流の狙いではまったくないでありますよ?」
「もちろんわかってるさ。でも、二年に一度だそうだから、次はドルニエで二年後、ぼくが三回生の年だよね。たかだか十歳で、カルターナにいながらにして向こうから情報がやって来るのは大きいよ」
「とことん自己中でありますな。惚れ惚れするでありますよ。しかし、それならどうするでありますか?」
「ピンチを騎士養成学校の生徒が救ったら、英雄的かな、と。国同士がこれ以上接近せずに学校同士は関係が深まるかもしれない、とか思ったりして」
「向こうの生徒を利用するでありますか。なんともゲスいであります。ひょぅとして、利用する人物にも心当たりがあるでありますか?」
「やっぱり、ローリエしかいないよね?」
「ローリエくんは乗せられてくれるでありますか?」
「いや、利用するとは言ったけど、乗せるって考えじゃダメな気がする。隠しごとをしても、カンが鋭い彼はすぐに気づくんじゃないかな」
「しかし、カンが鋭いのであればなおさら、へたな持っていき方だと逆に怪しまれるでありますよ。素人がこんな話を持ち出しても、うさんくさいだけであります」
ぼくもさすがに考え込まざるをえない。いくらなんでも、ぼくが彼に「実はラグシャンが……」とか言っても医務室につれていかれるのがオチだし、彼と面識のない人間がいきなりこんな話をしたら、逆に怪しいよね。
「正直いえば、ローリエはわるいヤツじゃないし、正面から協力を頼みたい気もするんだ。でも、それだとギエルダニアに責任を押しつける、という部分がうまくいかない。それに、相手が好きか嫌いかで行動を決めるのは、ぼくがやるべきではないことなんだよね」
「遠征にはアンリ様も行くでありますか?」
「補助要員とはいえ、派遣団員だからね。少なくともほかの四人は行くだろうし、一回生が一人で残るのは変だと思うよ?」
「そしてローリエくんは遠征には行かないでありますな? なら、賊が遠征先にたどり着く前に、彼に途中で賊を迎え撃たせるのがよいと思うであります。それができれば、賊の全滅を防いで小細工を残すことができるであります」
「その保証は?」
「わたしが賊に紛れこむであります。適当なところで撤退させるでありますよ。拠点に撤収したところで一網打尽であります」
うん、方向としては悪くない。
「ただ、いくらなんでもローリエひとりって訳にはいかないでしょ。賊に十歳の子供が一人で立ち向かう絵面は、面白いけど非現実的だよね。ローリエだって支援を求めるだろうし、そうすると話がややこしくなる。リュミエラと二人で行動させることはできないかな?」
「ひとつ手の内をさらしてしまうでありますが、明日のうちにリュミエラをアンリ様の知り合いの冒険者として紹介するしかないでありますな。ビットーリオよりはましだと思うであります」
「そうなると、一網打尽の方はシルドラとビットーリオのコンビだね。拠点にビットーリオをさきまわりさせとくのかな?」
「変態の力を借りるのはもちろんイヤでありますが、この場合しょうがないであります。わたしひとりでは追い込みきれないでありますから」
まあ、そうだろうな。でも、ビットーリオを入れてもこちらは四人だ。しかも、遠征に同行しているぼくはノーカウント。ひとりで何役もこなしてもらわないと舞台が回らない。
「当日は時間との闘いだね。当日まではローリエになにも知らせず,しかも襲撃者が兄様たちのところにたどり着く前に、ローリエが襲撃者に追いつかなければならないんだ」
「月曜までにリュミエラがローリエから十分な信頼を得られるかも重要でありますよ」
そこは、実はあまり心配していない。この半年のあいだリュミエラを観察していて気づいたが、彼女は人の心に入りこむ才能を持っている。妙に相手の警戒心を解くのがうまいのだ。
当然ながらこの半年、リュミエラが上流階級および富裕層の人々と接触する機会はなく、彼女が触れあうのは冒険者や街の商人がほとんどだ。しかし、公爵家令嬢として育てられた彼女がなぜ、と思うぐらいうまく溶けこんでいる。
「自然な形でローリエとリュミエラを会わせることができれば、その辺は心配ないと思うよ。むしろ、ぼくやシルドラが余計な考えを巡らせない方がいいかも」
「否定はできないであります。アンリ様は中身が中年でありますから、子供の心はわからないであります。子供は、いつも大人は自分たちを理解できないというものでありますからな」
「それそのままシルドラに返すから」
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