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プロローグ
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異世界、チートな世界。なんでもござれなご都合主義の漫画、アニメ、小説。
それは、オタクにとって一度は夢見る世界だと思う。
俺こと、藤里縁もその一人だ。ただし、おまけとして「腐男子」という呼称もついてくる。一応、周りには隠して行動していたし、それ以外はこれといった問題もなかったので友人もそこそこいたと思う。運動もできなかった訳じゃないから、踊ってみたとかもやってたから、ダンス好きな子達とストリートダンスしに行く事もたまにあったからな。
そんな理由もあって、オタクとしては体つきが肥満体系になってしまう事もなく、人間関係も良好…だったはずなんだけど、どうしてこうなった。
俺は、異世界 しかも魔族の王座の前に飛ばされていた。
◆
飛ばされる前も特にこれといった事もなく学校から帰ってから、先日通販で購入したばかりのBL同人誌を読もうと、ベッドに横になってから開いた所だった。
そんな瞬間に、魔法陣のようなものが俺を囲うようにして現れた。
なんだこれ!もしかして、異世界へGOか?わーい、たのしみ!なんて考えていたのだけどね。どっかの神様が、勇者とかにして異世界に送り込んだのかなって。
でも、目の前に写るヒト…ヒトというか、角が生えていらっしゃる方々や、まずヒト型じゃないよねっていうような生き物が僕のほうをじっと見つめている。
えええええっ?!
って思うよね!無理もないよ!しかもイカツイヒト達ばかりなので俺は、正直ビクビクするしかない。
ソッと王座らしい大きな椅子のほうには、やはり魔王様のようなヒトがマントを覆って居座っていた。左右には、近衛兵らしい魔族たちだ。
「よく来たな、勇者よ」
「えっと…?」
たぶんだけど、誤解だよねとも思うよね。思わず反芻してしまいそうになる。
「お前だお前!」
「お、俺?なんで勇者?」
「オレ達がお前を召喚したんだ、ありがたく思えよ?」
「・・・はい?」
異世界人に勇者として召喚されるならまだ解るけど。え、まさか魔族に召喚されるってありなの?!
僕はそのまま呆けてしまっていたのか、近衛の一人らしい魔族に揺さぶられるまで思考をとめていたようだ。
「おいコラてめえ、いい加減起きろ!」
ぺしん、と最後には頭を叩かれた。痛い。
「は、え?なんで勇者?魔族が呼ぶの?」
「それは私が答えよう」
魔王さんらしい魔族が言う。
「実は、この世界では人間は殆ど生きていないのだ。希少生物と言ってもいい。
だから、私らが保護、管理するしかなかったんだが…その、ついに三桁になってしまってな。このままではこの世界の存続すら危うくなってしまう故、お前を召喚してどうにか解決していければと、思った次第だ。すまないが、この世界を、助けてほしい。」
言葉が見つからない。ヒトが少ないっていう事もそうだけど、まさか魔族とヒトがごく普通に共存しているとか。なぜ召喚する必要があるのが勇者なのかとか、ツッコミたい所がありすぎる。
「…あの、大体の事情は分かりましたけど。でもそういうのって、勇者というより神子とか賢者とかそちら方面の方々がいいのでは?」
勇気を振り絞っていってやった。やったさ!でも、まだ魔王さんは続いて言う。
「ああ、説明が不十分だったな。勇者とは、あくまで私らにとっての救世主の総称として言っているだけにすぎない。もちろん、その辺は後で君のステータスを調べた上で向上できるようお願いする」
あ、僕が何かをしなきゃいけないのは決定事項なわけですねわかりました。
怪訝な顔をしたままではあるが、おそらく解決するまで日本に帰してもらえるわけでもないだろう。決められた自分の道にげんなりしながら、俺はただため息をこぼすしかなかった。
◆
俺にあてがわれた部屋は、それなりに綺麗な部屋だった。
あくまで、魔族にしては…というおまけ付きだけど。部屋にはちらほらと髑髏デザインのインテリアやら、何かの牙や角で作られているのであろうインテリアもある。さすがにそこまでは人間のために考慮はできないか。でも、それ以外は寝泊まりするには十分な部屋だろう。見たくないデザインのインテリアには無視を決め込んで、ベッドに腰を落ち着かせていく。
カサリという音に気付いて俺は、手元を見やる。
そういえば、転移された際、何を持っていたっけ?
嫌な予感がしながらじっくり手元のモノを見ると…そこには、確かに読む予定だったあの、BL本がそこにあった。
それは、オタクにとって一度は夢見る世界だと思う。
俺こと、藤里縁もその一人だ。ただし、おまけとして「腐男子」という呼称もついてくる。一応、周りには隠して行動していたし、それ以外はこれといった問題もなかったので友人もそこそこいたと思う。運動もできなかった訳じゃないから、踊ってみたとかもやってたから、ダンス好きな子達とストリートダンスしに行く事もたまにあったからな。
そんな理由もあって、オタクとしては体つきが肥満体系になってしまう事もなく、人間関係も良好…だったはずなんだけど、どうしてこうなった。
俺は、異世界 しかも魔族の王座の前に飛ばされていた。
◆
飛ばされる前も特にこれといった事もなく学校から帰ってから、先日通販で購入したばかりのBL同人誌を読もうと、ベッドに横になってから開いた所だった。
そんな瞬間に、魔法陣のようなものが俺を囲うようにして現れた。
なんだこれ!もしかして、異世界へGOか?わーい、たのしみ!なんて考えていたのだけどね。どっかの神様が、勇者とかにして異世界に送り込んだのかなって。
でも、目の前に写るヒト…ヒトというか、角が生えていらっしゃる方々や、まずヒト型じゃないよねっていうような生き物が僕のほうをじっと見つめている。
えええええっ?!
って思うよね!無理もないよ!しかもイカツイヒト達ばかりなので俺は、正直ビクビクするしかない。
ソッと王座らしい大きな椅子のほうには、やはり魔王様のようなヒトがマントを覆って居座っていた。左右には、近衛兵らしい魔族たちだ。
「よく来たな、勇者よ」
「えっと…?」
たぶんだけど、誤解だよねとも思うよね。思わず反芻してしまいそうになる。
「お前だお前!」
「お、俺?なんで勇者?」
「オレ達がお前を召喚したんだ、ありがたく思えよ?」
「・・・はい?」
異世界人に勇者として召喚されるならまだ解るけど。え、まさか魔族に召喚されるってありなの?!
僕はそのまま呆けてしまっていたのか、近衛の一人らしい魔族に揺さぶられるまで思考をとめていたようだ。
「おいコラてめえ、いい加減起きろ!」
ぺしん、と最後には頭を叩かれた。痛い。
「は、え?なんで勇者?魔族が呼ぶの?」
「それは私が答えよう」
魔王さんらしい魔族が言う。
「実は、この世界では人間は殆ど生きていないのだ。希少生物と言ってもいい。
だから、私らが保護、管理するしかなかったんだが…その、ついに三桁になってしまってな。このままではこの世界の存続すら危うくなってしまう故、お前を召喚してどうにか解決していければと、思った次第だ。すまないが、この世界を、助けてほしい。」
言葉が見つからない。ヒトが少ないっていう事もそうだけど、まさか魔族とヒトがごく普通に共存しているとか。なぜ召喚する必要があるのが勇者なのかとか、ツッコミたい所がありすぎる。
「…あの、大体の事情は分かりましたけど。でもそういうのって、勇者というより神子とか賢者とかそちら方面の方々がいいのでは?」
勇気を振り絞っていってやった。やったさ!でも、まだ魔王さんは続いて言う。
「ああ、説明が不十分だったな。勇者とは、あくまで私らにとっての救世主の総称として言っているだけにすぎない。もちろん、その辺は後で君のステータスを調べた上で向上できるようお願いする」
あ、僕が何かをしなきゃいけないのは決定事項なわけですねわかりました。
怪訝な顔をしたままではあるが、おそらく解決するまで日本に帰してもらえるわけでもないだろう。決められた自分の道にげんなりしながら、俺はただため息をこぼすしかなかった。
◆
俺にあてがわれた部屋は、それなりに綺麗な部屋だった。
あくまで、魔族にしては…というおまけ付きだけど。部屋にはちらほらと髑髏デザインのインテリアやら、何かの牙や角で作られているのであろうインテリアもある。さすがにそこまでは人間のために考慮はできないか。でも、それ以外は寝泊まりするには十分な部屋だろう。見たくないデザインのインテリアには無視を決め込んで、ベッドに腰を落ち着かせていく。
カサリという音に気付いて俺は、手元を見やる。
そういえば、転移された際、何を持っていたっけ?
嫌な予感がしながらじっくり手元のモノを見ると…そこには、確かに読む予定だったあの、BL本がそこにあった。
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