4 / 9
襲撃と契約
しおりを挟む
早めの夕食を取ったレオノーラは騎士団で用意された装備品を身に着け、城下の巡回に向かった。
第三師団は総勢二十九人。その中で新人とベテランの組み合わせの三人一組で巡回するが、今回は師団長のレオノーラは騎士団に入団して八年目の中堅騎士マルツィオと二人で行動する。
戦場に行く重装備ではないけれど、それでも身分証明書代わりの隊服なので、城下の人々は彼らの格好を見ると、『騎士さんたちが見回りに来てくれたよ』と手を振ってくれたり、子供たちは『かっこいいです!』と差し入れを持ってきてくれたりすることもある。
「師団長はやっぱりお強いんですね」
「どういう意味だ」
日が沈みきった城下町、騎士たちの詰め所に向かう途中でマルツィオがパン屋の女将からあまりもののパンやクッキーをもらったあと、そう言ってきた。
この騎士は軽口も叩かない騎士として有名で、レオノーラも二歳年下の彼に対して普段はあまりしゃべらないうえに、ほかの団員たちよりも真面目だという印象しかない。だが、今はなぜかにやにやと笑っている。おそらくは昼間の剣術試合のことだろうなと思いながら尋ねると、今年の団長はひと際強かったですよと想定通りの言葉を返されてしまった。
もちろんレオノーラだって鍛錬は怠らない。
できる限り毎日、ほかの騎士たちよりも早く起き、彼らへの指導前に自分も同じ訓練をする。
しかし、マルツィオはそういう意味じゃありませんよと首をゆっくり振る。
「ベルガン師団長とコンビを組むことで、なんかさらにパワーアップした感じ?ってみんな言っていますよ。なんか、恋人というよりも夫婦っていう感じがし――」
「冗談じゃない」
否定はできない。たしかに騎士学校のときも、教員たちと決闘するときには必ずコジモのほうから組むことを命令され、戦った後は必勝ペアとして崇められた記憶がある。
ただ、あの男は自分を毛嫌いしていて、自分がコジモに負けるたびに『これだから女性騎士は』と言われる始末。勝ったら勝ったで『女騎士ごときに』と言われ、それでも指名してくるので、なんで毎回自分を指名するのか理解できず、今回のペア戦も嫌味こそ言われていないが、理解はできなかった。
「大体あの男は……――」
後輩相手に愚痴ってやろうと思ったレオノーラだが、前方に彼女たちをにらみつけているならずものを数人、発見してしまった。
マルツィオも敵を認知したようで抜剣の構えに入っていたが、レオノーラはそれを止める。
「お前はそっちからこの先の詰め所に行って、応援を呼んでこい」
「しかし……!!」
「大丈夫だ。あと五人増えたところで私は勝てる」
マルツィオはそれでもと必死に食い下がろうとしたが、レオノーラはそれを許さなかった。
短いやり取りを終えあと、ならずものたちがマークしていなかった細い路地を入っていく彼を見たレオノーラは抜剣をして構える。ならずものたちは戦闘態勢になった彼女にじりじりと近寄っていく。
最初に彼女に襲いかかってきたのは背の低い男で、手に持ったダガーをめいっぱい振りあげてくるが、レオノーラはあっさりと腕をひねって地面に叩きつける。ちゃっかりとダガーを奪いとることは忘れない。
二人目からもダガーやナイフで襲いかかってくるが、彼女の敵とするところではない。昼に行われた剣術大会での初戦と比べても赤子の手をひねるようなものだった。
五人目を倒し終わり、転がしたならずものを腰にぶら下げていたロープで手早く縛り終えたレオノーラは異変を感じた。
残りの二人のまとう雰囲気が今までとは違う。
今までのならずものは城下の二級武具屋でも手に入るようなダガーやナイフ、直剣が多く、どう見ても訓練されていない本物のならずもののようだった。しかし、目の前にいる二人が持っているのは見た目からもわかるほど立派な長剣で、立ち姿もシュッとしていて、先ほどまでの本物のならずものとは違う風格があった。それに、顔には白い仮面もつけている。なにか彼女に顔を見られて困る事情があるのか、それとも。
彼女がそう推測している間に、ならずものもどきたちが襲いかかってくる。
レオノーラは薙ぎ払おうとするが、二人が揃って振りかぶってきた一撃が重すぎて簡単に払いのけることができなかった。
まだ手練れの騎士二人をいっぺんに相手したことがなかった彼女は、それを頭上で留めることが精いっぱいだった。
普段はスピードで相手を圧倒させるか、罠を使って勝ちにいくスタイルのレオノーラにはこの耐久戦が辛かった。時間ばかり経って、得られるのは体力の消耗だけ。とくに今日の剣術大会でケガをした右腕が悲鳴をあげている。
どんな理由があろうとも、ここで倒れるわけにはいかない。
こうやって対峙している間に脂汗がじっとり流れているのがわかる。
さすがに男二人分の力には敵わなかったのだろう。じりじりと押されていくレオノーラ。
これ以上、この場を持たせるのは無理だ。
詰め所には連絡いっただろうから、あえてこのまま逃すか。そして、警備の人数を増やしてもらうしかないか。《雷》の師団長だろうが、逃げるが勝ちのときもある。そうレオノーラが諦めた瞬間、レオノーラを押さえつける二人の剣が軽くなった。
「……――!!」
その瞬間を見計らって後ずさった彼女以上に、押さえつけていた二人が驚いている。二人の視線の先をたどると、似たような黒い仮面をつけた人物が立っていた。
まさか新たな襲撃者か。
剣を構え直したが、先にその人物が口を開く。
「失せろ」
たった一単語発しただけだが、その言葉はどこまでも冷たく、襲われていたはずのレオノーラにも十分威力があった。二人の襲撃者が消え去ったあと、硬直した状態の彼女の頭に黒仮面の人物は手を乗せ、反対の手で構えた剣をそっと取りあげられた。
「よく持ちこたえてくれた」
「なんで、あんたが……――!?」
目の前の人物は黒仮面を外すと、彼女に微笑んでみせた。
この時間はミーティングを行っているはずのコジモがなんでいるのか。驚きで二の句が継げられないレオノーラに彼はなんか嫌な予感があったとだけ告げる。
「さっきマルツィオとすれ違ったから、レオノーラになにかあったんじゃないかと思ってやってきたんだ。お前の力だときっとやられているんじゃないかと思ってな」
コジモの言葉にレオノーラはぐうの音も出なかった。
たしかに彼が来なければ、あと少しでやられていたのは間違いないから。
「それに第一師団の手柄にもなるだろ? こんな“おいしいヤマ”を逃したくない」
彼の言葉にクソッタレと思ってしまった。
こいつはそういう性格だ。
学生時代の決闘でペアを組むのはいいけれど、結局、いつもおいしいところ持っていき、自分にはまるで無能だと言わんばかりの視線が集中したレオノーラ。事実、自分は体格以外でも劣っていて、彼に勝る要素なんてないから特別気にしていなかったのだが、それでも改めて突きつけられるとクソッタレとしか思わない。
「ところで、レオノーラ」
「なんだ?」
「一つ提案がある」
手首をつかんだまま、コジモは真剣な目でレオノーラを見つめている。その眼差しになにかあるのだろうかと期待してしまいたくなったが、すでに前例は嫌というほどある。この男に期待してはならないと舞いあがることはなかった。
しかし、耳元で囁かれた言葉に本気で馬鹿じゃないのかとツッコんでしまったレオノーラ。それは、自分は前世でよほど悪いことをしたのだろうかと呪いたくなる提案だった。
第三師団は総勢二十九人。その中で新人とベテランの組み合わせの三人一組で巡回するが、今回は師団長のレオノーラは騎士団に入団して八年目の中堅騎士マルツィオと二人で行動する。
戦場に行く重装備ではないけれど、それでも身分証明書代わりの隊服なので、城下の人々は彼らの格好を見ると、『騎士さんたちが見回りに来てくれたよ』と手を振ってくれたり、子供たちは『かっこいいです!』と差し入れを持ってきてくれたりすることもある。
「師団長はやっぱりお強いんですね」
「どういう意味だ」
日が沈みきった城下町、騎士たちの詰め所に向かう途中でマルツィオがパン屋の女将からあまりもののパンやクッキーをもらったあと、そう言ってきた。
この騎士は軽口も叩かない騎士として有名で、レオノーラも二歳年下の彼に対して普段はあまりしゃべらないうえに、ほかの団員たちよりも真面目だという印象しかない。だが、今はなぜかにやにやと笑っている。おそらくは昼間の剣術試合のことだろうなと思いながら尋ねると、今年の団長はひと際強かったですよと想定通りの言葉を返されてしまった。
もちろんレオノーラだって鍛錬は怠らない。
できる限り毎日、ほかの騎士たちよりも早く起き、彼らへの指導前に自分も同じ訓練をする。
しかし、マルツィオはそういう意味じゃありませんよと首をゆっくり振る。
「ベルガン師団長とコンビを組むことで、なんかさらにパワーアップした感じ?ってみんな言っていますよ。なんか、恋人というよりも夫婦っていう感じがし――」
「冗談じゃない」
否定はできない。たしかに騎士学校のときも、教員たちと決闘するときには必ずコジモのほうから組むことを命令され、戦った後は必勝ペアとして崇められた記憶がある。
ただ、あの男は自分を毛嫌いしていて、自分がコジモに負けるたびに『これだから女性騎士は』と言われる始末。勝ったら勝ったで『女騎士ごときに』と言われ、それでも指名してくるので、なんで毎回自分を指名するのか理解できず、今回のペア戦も嫌味こそ言われていないが、理解はできなかった。
「大体あの男は……――」
後輩相手に愚痴ってやろうと思ったレオノーラだが、前方に彼女たちをにらみつけているならずものを数人、発見してしまった。
マルツィオも敵を認知したようで抜剣の構えに入っていたが、レオノーラはそれを止める。
「お前はそっちからこの先の詰め所に行って、応援を呼んでこい」
「しかし……!!」
「大丈夫だ。あと五人増えたところで私は勝てる」
マルツィオはそれでもと必死に食い下がろうとしたが、レオノーラはそれを許さなかった。
短いやり取りを終えあと、ならずものたちがマークしていなかった細い路地を入っていく彼を見たレオノーラは抜剣をして構える。ならずものたちは戦闘態勢になった彼女にじりじりと近寄っていく。
最初に彼女に襲いかかってきたのは背の低い男で、手に持ったダガーをめいっぱい振りあげてくるが、レオノーラはあっさりと腕をひねって地面に叩きつける。ちゃっかりとダガーを奪いとることは忘れない。
二人目からもダガーやナイフで襲いかかってくるが、彼女の敵とするところではない。昼に行われた剣術大会での初戦と比べても赤子の手をひねるようなものだった。
五人目を倒し終わり、転がしたならずものを腰にぶら下げていたロープで手早く縛り終えたレオノーラは異変を感じた。
残りの二人のまとう雰囲気が今までとは違う。
今までのならずものは城下の二級武具屋でも手に入るようなダガーやナイフ、直剣が多く、どう見ても訓練されていない本物のならずもののようだった。しかし、目の前にいる二人が持っているのは見た目からもわかるほど立派な長剣で、立ち姿もシュッとしていて、先ほどまでの本物のならずものとは違う風格があった。それに、顔には白い仮面もつけている。なにか彼女に顔を見られて困る事情があるのか、それとも。
彼女がそう推測している間に、ならずものもどきたちが襲いかかってくる。
レオノーラは薙ぎ払おうとするが、二人が揃って振りかぶってきた一撃が重すぎて簡単に払いのけることができなかった。
まだ手練れの騎士二人をいっぺんに相手したことがなかった彼女は、それを頭上で留めることが精いっぱいだった。
普段はスピードで相手を圧倒させるか、罠を使って勝ちにいくスタイルのレオノーラにはこの耐久戦が辛かった。時間ばかり経って、得られるのは体力の消耗だけ。とくに今日の剣術大会でケガをした右腕が悲鳴をあげている。
どんな理由があろうとも、ここで倒れるわけにはいかない。
こうやって対峙している間に脂汗がじっとり流れているのがわかる。
さすがに男二人分の力には敵わなかったのだろう。じりじりと押されていくレオノーラ。
これ以上、この場を持たせるのは無理だ。
詰め所には連絡いっただろうから、あえてこのまま逃すか。そして、警備の人数を増やしてもらうしかないか。《雷》の師団長だろうが、逃げるが勝ちのときもある。そうレオノーラが諦めた瞬間、レオノーラを押さえつける二人の剣が軽くなった。
「……――!!」
その瞬間を見計らって後ずさった彼女以上に、押さえつけていた二人が驚いている。二人の視線の先をたどると、似たような黒い仮面をつけた人物が立っていた。
まさか新たな襲撃者か。
剣を構え直したが、先にその人物が口を開く。
「失せろ」
たった一単語発しただけだが、その言葉はどこまでも冷たく、襲われていたはずのレオノーラにも十分威力があった。二人の襲撃者が消え去ったあと、硬直した状態の彼女の頭に黒仮面の人物は手を乗せ、反対の手で構えた剣をそっと取りあげられた。
「よく持ちこたえてくれた」
「なんで、あんたが……――!?」
目の前の人物は黒仮面を外すと、彼女に微笑んでみせた。
この時間はミーティングを行っているはずのコジモがなんでいるのか。驚きで二の句が継げられないレオノーラに彼はなんか嫌な予感があったとだけ告げる。
「さっきマルツィオとすれ違ったから、レオノーラになにかあったんじゃないかと思ってやってきたんだ。お前の力だときっとやられているんじゃないかと思ってな」
コジモの言葉にレオノーラはぐうの音も出なかった。
たしかに彼が来なければ、あと少しでやられていたのは間違いないから。
「それに第一師団の手柄にもなるだろ? こんな“おいしいヤマ”を逃したくない」
彼の言葉にクソッタレと思ってしまった。
こいつはそういう性格だ。
学生時代の決闘でペアを組むのはいいけれど、結局、いつもおいしいところ持っていき、自分にはまるで無能だと言わんばかりの視線が集中したレオノーラ。事実、自分は体格以外でも劣っていて、彼に勝る要素なんてないから特別気にしていなかったのだが、それでも改めて突きつけられるとクソッタレとしか思わない。
「ところで、レオノーラ」
「なんだ?」
「一つ提案がある」
手首をつかんだまま、コジモは真剣な目でレオノーラを見つめている。その眼差しになにかあるのだろうかと期待してしまいたくなったが、すでに前例は嫌というほどある。この男に期待してはならないと舞いあがることはなかった。
しかし、耳元で囁かれた言葉に本気で馬鹿じゃないのかとツッコんでしまったレオノーラ。それは、自分は前世でよほど悪いことをしたのだろうかと呪いたくなる提案だった。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?【カイン王子視点】
空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。
身に覚えのない罪状をつらつらと挙げ連ねられて、第一王子に婚約破棄された『精霊のいとし子』アリシア・デ・メルシスは、第二王子であるカイン王子に求婚された。
そこに至るまでのカイン王子の話。
『まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/368147631/886540222)のカイン王子視点です。
+ + + + + +
この話の本編と続編(書き下ろし)を収録予定(この別視点は入れるか迷い中)の同人誌(短編集)発行予定です。
購入希望アンケートをとっているので、ご興味ある方は回答してやってください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScCXESJ67aAygKASKjiLIz3aEvXb0eN9FzwHQuxXavT6uiuwg/viewform?usp=sf_link
まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?
空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。
その王立学園の一大イベント・舞踏会の場で、アリシアは突然婚約破棄を言い渡された。
まったく心当たりのない理由をつらつらと言い連ねられる中、アリシアはとある理由で激しく動揺するが、そこに現れたのは──。
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
【完結】ドケチ少女が断罪後の悪役令嬢に転生したら、嫌われ令息に溺愛されました。
やまぐちこはる
恋愛
仁科李依紗は所謂守銭奴、金を殖やすのが何よりの楽しみ。
しかし大学一年の夏、工事現場で上から落ちてきた鉄板に当たり落命してしまう。
その事故は本当は男子学生の命を奪うものだったが、李依紗が躓いた弾みで学生を突き飛ばし、身代わりになってしまったのだ。
まだまだ寿命があったはずの李依紗は、その学生に自分の寿命を与えることになり、学生の代わりに異世界へ転生させられることになった。
異世界神は神世に現れた李依紗を見て手違いに驚くが今回は李依紗で手を打つしかない、いまさらどうにもならぬと、貴族令嬢の体を与えて転生させる。
それは李依紗の世界のとある小説を異世界神が面白がって現実化したもの。
李依紗も姉のお下がりで読んだことがある「帝国の気高き薔薇」という恋愛小説。
それは美しい子爵令嬢と王太子のラブストーリー。そして李依紗は、令嬢を虐めたと言われ、嫌われることになるありがちな悪役令嬢リイサ・サレンドラ公爵令嬢の体に入れ替わってしまったのだ。
===============================
最終話まで書き終え、予約投稿済です。年末年始は一日3〜4話、それ以外は毎日朝8時に更新です。
よろしくお願い致します。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
男装の公爵令嬢ドレスを着る
おみなしづき
恋愛
父親は、公爵で騎士団長。
双子の兄も父親の騎士団に所属した。
そんな家族の末っ子として産まれたアデルが、幼い頃から騎士を目指すのは自然な事だった。
男装をして、口調も父や兄達と同じく男勝り。
けれど、そんな彼女でも婚約者がいた。
「アデル……ローマン殿下に婚約を破棄された。どうしてだ?」
「ローマン殿下には心に決めた方がいるからです」
父も兄達も殺気立ったけれど、アデルはローマンに全く未練はなかった。
すると、婚約破棄を待っていたかのようにアデルに婚約を申し込む手紙が届いて……。
※暴力的描写もたまに出ます。
辺境の獣医令嬢〜婚約者を妹に奪われた伯爵令嬢ですが、辺境で獣医になって可愛い神獣たちと楽しくやってます〜
津ヶ谷
恋愛
ラース・ナイゲールはローラン王国の伯爵令嬢である。
次期公爵との婚約も決まっていた。
しかし、突然に婚約破棄を言い渡される。
次期公爵の新たな婚約者は妹のミーシャだった。
そう、妹に婚約者を奪われたのである。
そんなラースだったが、気持ちを新たに次期辺境伯様との婚約が決まった。
そして、王国の辺境の地でラースは持ち前の医学知識と治癒魔法を活かし、獣医となるのだった。
次々と魔獣や神獣を治していくラースは、魔物たちに気に入られて楽しく過ごすこととなる。
これは、辺境の獣医令嬢と呼ばれるラースが新たな幸せを掴む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる