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25.遠い過去の真実
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そのあと、魔王に抱きかかえられるようにして自室に戻ったけれど、すべてを知っちゃったからか、今までのようには動けなく、ぎこちない動きしかできなかった。
「不安か」
私がソワソワしているのに気づいたのか、魔王は私にやさしく問いかけてきた。もちろん元凶はコイツだけれど、すがるのもまた、コイツしかない。
コクリと頷くと、だろうなと頭を撫でてきた。
「大丈夫だ。今は威嚇以外のことはしない」
“今は威嚇以外しない”ということは、この先もなにかするつもりなのだろう。
でも、それを考えていたって仕方がない。私はその不確かな保障に黙るしかできなかった。
「そういえば聞きたかったんですけれど、そもそもなんで私が『厄除け』を持っているってわかったんですか」
しばらくして、私は思いだしたことを尋ねた。
いい加減にはぐらかさないでほしい。そう思って尋ねると、目を細めて私の頬を撫でる。ひんやりとした手は私の心のような感じだった。
「お前が使ったからだ」
えーっと、ごめんなさい。もうちょっとわかりやすく説明して欲しいな。
「ヒトの世界では、様々な分野で魔術の行使記録をたどるだろう? それと同じもんだ。私の場合にはそれを簡単に行える権能、すなわち道具を持っている」
私の視線で気づいたのだろう。魔王はすらすらと説明してくれたのだが、ウェイト。
なんかいきなり特殊用語、というか専門用語ださないで。
「権能?」
「まあ、魔王ならではの特権と認識しておけ」
苦笑いしながらも、目の前の男は説明してくれる。
いい人なんだか、悪い人なんだか。
「私の場合には二つ、魔王ガープとしての権能を持っている。擬態と毒性付与で、どちらも他の魔王にはなかったものだ。そして時間操作、スキル制作、魔界への鍵と呼ばれる三つの権能のようにほかの魔王にも持っているものも持ち合わせている」
魔王の言葉に再びウェイトをかける。
え、ちょっと待ってくださいよ。いくら創造主と対する存在であっても、なんでもできすぎじゃないの!?
私の質問に呆れたように見てくる魔王。
「その通りだな。そもそも創造主の分身が“原初の魔王”だからな。だからなんでもできすぎて当然だ」
いまだになんかよくわからないけれど、すごいことに巻きこまれちゃったんだなぁ、私。
呆けてた私はふと気づく。
「そういえば今更ですけれど、そもそも魔王ってもう封印されてしまったんじゃなかったんですか? なんであなただけは封印を解くことができたんですか」
「簡単な質問だ」
へ?
間抜けな声を出した私に、魔王はにやりと笑う。
「そもそも魔王はすべて封印されたという根本が違っている」
ぱーどぅん?
もうちょっとよく説明くださいな。
私のまったくわかってない表情に仕方ないというそぶりを見せながら説明を始めてくれた。
「たしかに創造主とその代理人のヒトに敗れて封印された原初の魔王の方が数は多い。だが、いまだに封印されてない魔王だっている。私の場合はともに戦った原初の魔王の一人、ボティスが身代わりになったおかげで封印を免れたようなものだ」
もっとも大半の魔力は失ったのだがなと魔王は自嘲するが、いや、十分あなたの魔力ってすごいですよねと私は思ってしまった。
だって、城を丸ごと魔界へ持ってくるなんていう芸当、普通だったら、できないはずだからね?
「だからほかの魔王に仕えているはずの魔物は世界に点在しているだろう? それに魔王が姿を見せないのは、ヒトに興味を示さなくなっただけだ。興味がないから創造主の代理人との争いの数は大きく減っただけで、虎視眈々と世界を支配するのを企んでいるだろうね」
はっはぁ。
なんだかよくわからないけれど、とりあえず人間を攻撃する魔物がまだ生きている理由だけはよくわかったよ。
私は事の大きさに驚いていたのだけれど、魔王はかなりマイペースで、私のまとめてあった髪をあのときと同じように髪留めを外して、梳かした。
それされると、まとめるのが大変なんだけれどと思いつつも、なされるがままになっていた。
「しかし、キミのスキルはなかなかだね」
「はぁ……」
どういう意味じゃい。
たしかに『厄除け』はギルドで指定されるSSSランクだけれど、過去に何人も持っていたのだから、ユニークかどうか聞かれればそんなにユニークではないものだ。
首をちょこんと傾げると、お前は自分の価値をわかっていないのだなと呆れられてしまった。
「役に立たない『洗浄』と『厄除け』、それに……いや、言わないでおこうか。五つのスキル所持者なんて何十年、いや何百年ぶりだろうね。一応、スキルの保持に貴賤関係ないっていうけれど、正直、平民上がりでそれって、よっぽど前の生で善行をなしてきたのだろうかねぇ」
ごめん、さっきからこの人の言っていることがよくわからないんだけれど。
だれか説明して……と思ったけれど、だれも周りにいないんだったよ。
「ククク。私が言っている意味がわからないのならば、それでいい。戻れることがあるのならば、あちらで聞いてみなさい」
魔王は私の様子に目を細めるが、答えを言ってくれる気配がない。
ええい、もう自棄で大きなため息吐いてやれ。なんかもう、この人の前で取り繕う気がなくなってきた。
「それとキミのアンクレット、この城に来た以上、もう必要ないだろうから外しておくよ」
迂闊にスキルを使わないようにねという魔王のウィンクに、はいぃ!?と目を剥いてしまった。やっぱ、これってなにかの呪いの道具でしたかぁ!!
「このアンクレットは私ではない召喚者がキミにつけたものだ」
私の心の叫びに今度は気づかなかったようで、外れたアンクレットを拾い上げた魔王は独身女性にこんな鎖つけるなんて、悪趣味でしかないよねぇと憮然としていた。
いや、だったら外さないでそのままにしておいてよ。
また面倒なことに巻きこまれそうで怖いんだから。
というか、あなたもこの前、鎖をつけてましたよね!?
それから魔界時間で五日後、最近の定番になっている魔王の私室でのおやつタイムを過ごしていた。
「なかなかアルキスは善戦しているようだね」
「それって、人間側が苦戦しているということですか」
「そういうことだな」
昨日までの四日間はなにもそういった話は聞いていなかったから、どうやら今朝、もしくはさっきまでに入ってきた情報のようだ。
なんか複雑。
もちろん人間たち、いやレヴィヨン王国の人たちには勝ってほしいけれど、そもそも魔王の“願い”をきちんと聞いていなかったような気がする。“創造主の代理人に対抗できるのならば、どういう形だっていい”というようなことを言っていたような気がするけれど、それはいったいどんな形なのだろうか。
場合によっては……いや、それでも私には人間、レヴィヨン王国の人たちに勝ってもらいたい。
「ねぇ、キミは私が世界を征服した暁には何が欲しいのかい?」
「なにもいりません」
私の逡巡に魔王は気づいたようで、私の望みを訪ねてくるが、私にはそんなものはない。
「ふぅん、そうなんだ。つまらないな」
心底つまらなさそうに鼻を鳴らした魔王だけれど、仕方ないでしょ。
「つまらなくて結構です」
「はい、これ」
「なんですか?」
ツンとした私に魔王は猫を餌付けするように果物の乗った皿を私の前に差しだす。魔王の皿に乗っているのはモリノンの実かぁ。なんだか今日は私はあまり食欲がなくて、甘酸っぱい赤い果実をさっき食べたけれど、これも食べるかぁ。
「モリノンの実だよ」
「それは見ればわかりますが……」
「大丈夫、毒は入ってないから」
「はぁ、そうですか」
「つまらないな」
「仕方ないですよね」
どちらかというと物理的におなかがいっぱいで、もういいやとなっているんだよねぇ。私の反応の薄さに魔王はじゃあと食事以外の提案をしてきた。
「“外”を覗いてみるかい?」
その提案はちょっとした禁断の果実だった。
「ヒトどもが我々相手に戦っている有様を」
どこかの城の大佐のように“人がごみのようだ”とか言うのかなとちょっと考えてしまったけれど、少しでもいいから情報を得たい。
そう思って魔王の手を握った瞬間、私たちがちょうど今いたところの真下辺りでズッドーンという鈍い音が響き渡った。
「なにが起こった?」
いや、私にもさっぱり。
魔王の問いかけに私は首を振る。
もう一度、鈍い音が響いた後に私たちが立っている場所から十五メートルほど離れた場所に大きなくぼみができていた。
「なんだ、あれは?」
私に聞かれたってわかるはずないでしょうが。
「不安か」
私がソワソワしているのに気づいたのか、魔王は私にやさしく問いかけてきた。もちろん元凶はコイツだけれど、すがるのもまた、コイツしかない。
コクリと頷くと、だろうなと頭を撫でてきた。
「大丈夫だ。今は威嚇以外のことはしない」
“今は威嚇以外しない”ということは、この先もなにかするつもりなのだろう。
でも、それを考えていたって仕方がない。私はその不確かな保障に黙るしかできなかった。
「そういえば聞きたかったんですけれど、そもそもなんで私が『厄除け』を持っているってわかったんですか」
しばらくして、私は思いだしたことを尋ねた。
いい加減にはぐらかさないでほしい。そう思って尋ねると、目を細めて私の頬を撫でる。ひんやりとした手は私の心のような感じだった。
「お前が使ったからだ」
えーっと、ごめんなさい。もうちょっとわかりやすく説明して欲しいな。
「ヒトの世界では、様々な分野で魔術の行使記録をたどるだろう? それと同じもんだ。私の場合にはそれを簡単に行える権能、すなわち道具を持っている」
私の視線で気づいたのだろう。魔王はすらすらと説明してくれたのだが、ウェイト。
なんかいきなり特殊用語、というか専門用語ださないで。
「権能?」
「まあ、魔王ならではの特権と認識しておけ」
苦笑いしながらも、目の前の男は説明してくれる。
いい人なんだか、悪い人なんだか。
「私の場合には二つ、魔王ガープとしての権能を持っている。擬態と毒性付与で、どちらも他の魔王にはなかったものだ。そして時間操作、スキル制作、魔界への鍵と呼ばれる三つの権能のようにほかの魔王にも持っているものも持ち合わせている」
魔王の言葉に再びウェイトをかける。
え、ちょっと待ってくださいよ。いくら創造主と対する存在であっても、なんでもできすぎじゃないの!?
私の質問に呆れたように見てくる魔王。
「その通りだな。そもそも創造主の分身が“原初の魔王”だからな。だからなんでもできすぎて当然だ」
いまだになんかよくわからないけれど、すごいことに巻きこまれちゃったんだなぁ、私。
呆けてた私はふと気づく。
「そういえば今更ですけれど、そもそも魔王ってもう封印されてしまったんじゃなかったんですか? なんであなただけは封印を解くことができたんですか」
「簡単な質問だ」
へ?
間抜けな声を出した私に、魔王はにやりと笑う。
「そもそも魔王はすべて封印されたという根本が違っている」
ぱーどぅん?
もうちょっとよく説明くださいな。
私のまったくわかってない表情に仕方ないというそぶりを見せながら説明を始めてくれた。
「たしかに創造主とその代理人のヒトに敗れて封印された原初の魔王の方が数は多い。だが、いまだに封印されてない魔王だっている。私の場合はともに戦った原初の魔王の一人、ボティスが身代わりになったおかげで封印を免れたようなものだ」
もっとも大半の魔力は失ったのだがなと魔王は自嘲するが、いや、十分あなたの魔力ってすごいですよねと私は思ってしまった。
だって、城を丸ごと魔界へ持ってくるなんていう芸当、普通だったら、できないはずだからね?
「だからほかの魔王に仕えているはずの魔物は世界に点在しているだろう? それに魔王が姿を見せないのは、ヒトに興味を示さなくなっただけだ。興味がないから創造主の代理人との争いの数は大きく減っただけで、虎視眈々と世界を支配するのを企んでいるだろうね」
はっはぁ。
なんだかよくわからないけれど、とりあえず人間を攻撃する魔物がまだ生きている理由だけはよくわかったよ。
私は事の大きさに驚いていたのだけれど、魔王はかなりマイペースで、私のまとめてあった髪をあのときと同じように髪留めを外して、梳かした。
それされると、まとめるのが大変なんだけれどと思いつつも、なされるがままになっていた。
「しかし、キミのスキルはなかなかだね」
「はぁ……」
どういう意味じゃい。
たしかに『厄除け』はギルドで指定されるSSSランクだけれど、過去に何人も持っていたのだから、ユニークかどうか聞かれればそんなにユニークではないものだ。
首をちょこんと傾げると、お前は自分の価値をわかっていないのだなと呆れられてしまった。
「役に立たない『洗浄』と『厄除け』、それに……いや、言わないでおこうか。五つのスキル所持者なんて何十年、いや何百年ぶりだろうね。一応、スキルの保持に貴賤関係ないっていうけれど、正直、平民上がりでそれって、よっぽど前の生で善行をなしてきたのだろうかねぇ」
ごめん、さっきからこの人の言っていることがよくわからないんだけれど。
だれか説明して……と思ったけれど、だれも周りにいないんだったよ。
「ククク。私が言っている意味がわからないのならば、それでいい。戻れることがあるのならば、あちらで聞いてみなさい」
魔王は私の様子に目を細めるが、答えを言ってくれる気配がない。
ええい、もう自棄で大きなため息吐いてやれ。なんかもう、この人の前で取り繕う気がなくなってきた。
「それとキミのアンクレット、この城に来た以上、もう必要ないだろうから外しておくよ」
迂闊にスキルを使わないようにねという魔王のウィンクに、はいぃ!?と目を剥いてしまった。やっぱ、これってなにかの呪いの道具でしたかぁ!!
「このアンクレットは私ではない召喚者がキミにつけたものだ」
私の心の叫びに今度は気づかなかったようで、外れたアンクレットを拾い上げた魔王は独身女性にこんな鎖つけるなんて、悪趣味でしかないよねぇと憮然としていた。
いや、だったら外さないでそのままにしておいてよ。
また面倒なことに巻きこまれそうで怖いんだから。
というか、あなたもこの前、鎖をつけてましたよね!?
それから魔界時間で五日後、最近の定番になっている魔王の私室でのおやつタイムを過ごしていた。
「なかなかアルキスは善戦しているようだね」
「それって、人間側が苦戦しているということですか」
「そういうことだな」
昨日までの四日間はなにもそういった話は聞いていなかったから、どうやら今朝、もしくはさっきまでに入ってきた情報のようだ。
なんか複雑。
もちろん人間たち、いやレヴィヨン王国の人たちには勝ってほしいけれど、そもそも魔王の“願い”をきちんと聞いていなかったような気がする。“創造主の代理人に対抗できるのならば、どういう形だっていい”というようなことを言っていたような気がするけれど、それはいったいどんな形なのだろうか。
場合によっては……いや、それでも私には人間、レヴィヨン王国の人たちに勝ってもらいたい。
「ねぇ、キミは私が世界を征服した暁には何が欲しいのかい?」
「なにもいりません」
私の逡巡に魔王は気づいたようで、私の望みを訪ねてくるが、私にはそんなものはない。
「ふぅん、そうなんだ。つまらないな」
心底つまらなさそうに鼻を鳴らした魔王だけれど、仕方ないでしょ。
「つまらなくて結構です」
「はい、これ」
「なんですか?」
ツンとした私に魔王は猫を餌付けするように果物の乗った皿を私の前に差しだす。魔王の皿に乗っているのはモリノンの実かぁ。なんだか今日は私はあまり食欲がなくて、甘酸っぱい赤い果実をさっき食べたけれど、これも食べるかぁ。
「モリノンの実だよ」
「それは見ればわかりますが……」
「大丈夫、毒は入ってないから」
「はぁ、そうですか」
「つまらないな」
「仕方ないですよね」
どちらかというと物理的におなかがいっぱいで、もういいやとなっているんだよねぇ。私の反応の薄さに魔王はじゃあと食事以外の提案をしてきた。
「“外”を覗いてみるかい?」
その提案はちょっとした禁断の果実だった。
「ヒトどもが我々相手に戦っている有様を」
どこかの城の大佐のように“人がごみのようだ”とか言うのかなとちょっと考えてしまったけれど、少しでもいいから情報を得たい。
そう思って魔王の手を握った瞬間、私たちがちょうど今いたところの真下辺りでズッドーンという鈍い音が響き渡った。
「なにが起こった?」
いや、私にもさっぱり。
魔王の問いかけに私は首を振る。
もう一度、鈍い音が響いた後に私たちが立っている場所から十五メートルほど離れた場所に大きなくぼみができていた。
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私に聞かれたってわかるはずないでしょうが。
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