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ヒロインと仲良くなったけど、なんか嫌われているっぽい
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「あんた、リュカ王子じゃないでしょう。一体誰なのよ」
いつものあかるい笑顔はどうした。うっふふきゃっきゃ笑っているあの笑みは何処に捨ててきたって聞きたくなるぐらい鋭い眼差しで俺を睨みつけてきたのはヒロインであった。デフォルトの名前はサラ。
ふわふわした金髪の髪をして、ちょっと釣り眼のアデールとは対照的な垂れ眼の女の子。優しい顔立ちで可愛くて、まあ、ヒロインって感じの子なんだけど、睨みつけてくる姿はラスボスのようにも思えてしまって俺はあんぐりと口を開けてしまった。
ヒロインが聞いてきた台詞は俺が言いたい事だった。
言おうとしたことだった。
あれからもヒロインは攻略対象そっちのけにしてアデールとの距離を詰めていて絶対何かおかしいとヒロインに直接聞きだせる機会を待っていたら、ヒロインの方から声を掛けてきたので今回こそ聞いてやろうとそう意気込んでいた。
なんて言うか決めてまで言ったのにそれを言う前に言われたのが前の台詞。
言ってきたヒロインは凄い顔で睨んできて、で誰なのよと詰め寄ってくる。
待て待て待てと焦った声がでたのは仕方ないだろう。
「俺がリュカじゃないってどういうことだよ。ってかお前の方こそ誰なんだよ。絶対広いんじゃないだろう!」
あっと言ってから思った。つい勢い余ってゲームでの言い方をしてしまったのだ。やってしまったと思うが、ヒロインは訝しむことなくやっぱりと叫び返してくる。
「その言い方、あんたこの世界がゲームだって言うこと知ってるのね! 私と同じでなり替わりやがったんでしょう。何てことするのよ」
「へ、私と同じって」
「分かるでしょう。私もこの子、サラ・オーディアンになり替わったのよ。元は高校生だったのに間違って車にひかれたばかりになり替わっちゃったの。
まあ、なり替わったものは仕方ないから、このせいをおうかしてやりますけどね。むしろ大好きなアデール様の傍にいられるなんてラッキー。リアアデを間近で観察できるなんて幸せ以外の何物でもないんだけど、
だけど、なんでリュカ様まで入れ替わっているのよ。しかも絶対貴方アデール様をおしてるでしょう」
「へ? え? ええ?」
女の迫力ってすごいものでまくしたてられるのに何を言われたかなんて全く分からなくなる。分かるのは怒っていることと後俺と同じ境遇であることだけだ。いや、俺は死んでないからそこは違うけど。え、俺死んでないよね。もしかして死んでたりする。え、嫌だ。知りたくねえ。分かんねえことにする。
「聞いてる。アデール様、推してるんでしょう」
「え、お、推して」
なんて考えていたらヒロインはますます詰め寄ってきてその迫力に負けながら俺は情けない声を出していた。好きっていう事よとヒロインは半ば起こりながら言ってくる。
「それならそうだけど」
「やっぱりもう最悪。アデール様のファンがいるのは仕方ないけど、まさかそのファンが入れ替わってるなんて、は、まさかあんたアデール様と結婚しようなんて考えてないでしょうね
」
「は考えるも何もリュカなんだから結婚するだろう。アデールとはこんやくしてるんだからな」
「はあああああ!」
ヒロインの絶叫が響いた。耳がキンキンするほどの声だ。なんで女の声ってこんなに耳に居たいんだろうな。滅茶苦茶びっくりしたし、耳がつらい
「な、なんだよ。当然だろう」
「当然なんかじゃないです。アデール様は素晴らしいお方なのに貴方なんかと結婚するはずないでしょう。リュカ様だとしても結婚しないから。
ってか、あんた」
あちくりとヒロインの大きな目が俺を見た。突然騒いでいたのが嘘みたいに静かになってじっと俺のことを見てくる。あーーと何度か口が開いてもしかしてという。
「ゲームはやっていてもそれ以外は知らない感じ?」
「は? それ以外ってなんだよ。ゲームはゲームだろう」
「あ……。うんうん。何でもない。それより思う所は色々あるけど、アデール様と結婚しようだなんて分不相応なことを考えていることについてはいろいろ言いたいことあるけど、でもゲームギャラになり替わったなんてこんな特殊な状態、一人じゃ抱えきれない事だってあるし仲間がいたのは嬉しいわ。
これから仲良くやっていきましょう。アデール様との仲は認めないけど」
女ってやつはみんなこうなのだろうか。移り変わりが早くておれはとてもじゃないけどついていけない。それでもまあ、ヒロインが言うことは分かるので頷いていた。ただ一つを覗いて
「お前に認められなくても俺はアデールとイチャイチャラブラブして見せる」
「は、きっも」
いつものあかるい笑顔はどうした。うっふふきゃっきゃ笑っているあの笑みは何処に捨ててきたって聞きたくなるぐらい鋭い眼差しで俺を睨みつけてきたのはヒロインであった。デフォルトの名前はサラ。
ふわふわした金髪の髪をして、ちょっと釣り眼のアデールとは対照的な垂れ眼の女の子。優しい顔立ちで可愛くて、まあ、ヒロインって感じの子なんだけど、睨みつけてくる姿はラスボスのようにも思えてしまって俺はあんぐりと口を開けてしまった。
ヒロインが聞いてきた台詞は俺が言いたい事だった。
言おうとしたことだった。
あれからもヒロインは攻略対象そっちのけにしてアデールとの距離を詰めていて絶対何かおかしいとヒロインに直接聞きだせる機会を待っていたら、ヒロインの方から声を掛けてきたので今回こそ聞いてやろうとそう意気込んでいた。
なんて言うか決めてまで言ったのにそれを言う前に言われたのが前の台詞。
言ってきたヒロインは凄い顔で睨んできて、で誰なのよと詰め寄ってくる。
待て待て待てと焦った声がでたのは仕方ないだろう。
「俺がリュカじゃないってどういうことだよ。ってかお前の方こそ誰なんだよ。絶対広いんじゃないだろう!」
あっと言ってから思った。つい勢い余ってゲームでの言い方をしてしまったのだ。やってしまったと思うが、ヒロインは訝しむことなくやっぱりと叫び返してくる。
「その言い方、あんたこの世界がゲームだって言うこと知ってるのね! 私と同じでなり替わりやがったんでしょう。何てことするのよ」
「へ、私と同じって」
「分かるでしょう。私もこの子、サラ・オーディアンになり替わったのよ。元は高校生だったのに間違って車にひかれたばかりになり替わっちゃったの。
まあ、なり替わったものは仕方ないから、このせいをおうかしてやりますけどね。むしろ大好きなアデール様の傍にいられるなんてラッキー。リアアデを間近で観察できるなんて幸せ以外の何物でもないんだけど、
だけど、なんでリュカ様まで入れ替わっているのよ。しかも絶対貴方アデール様をおしてるでしょう」
「へ? え? ええ?」
女の迫力ってすごいものでまくしたてられるのに何を言われたかなんて全く分からなくなる。分かるのは怒っていることと後俺と同じ境遇であることだけだ。いや、俺は死んでないからそこは違うけど。え、俺死んでないよね。もしかして死んでたりする。え、嫌だ。知りたくねえ。分かんねえことにする。
「聞いてる。アデール様、推してるんでしょう」
「え、お、推して」
なんて考えていたらヒロインはますます詰め寄ってきてその迫力に負けながら俺は情けない声を出していた。好きっていう事よとヒロインは半ば起こりながら言ってくる。
「それならそうだけど」
「やっぱりもう最悪。アデール様のファンがいるのは仕方ないけど、まさかそのファンが入れ替わってるなんて、は、まさかあんたアデール様と結婚しようなんて考えてないでしょうね
」
「は考えるも何もリュカなんだから結婚するだろう。アデールとはこんやくしてるんだからな」
「はあああああ!」
ヒロインの絶叫が響いた。耳がキンキンするほどの声だ。なんで女の声ってこんなに耳に居たいんだろうな。滅茶苦茶びっくりしたし、耳がつらい
「な、なんだよ。当然だろう」
「当然なんかじゃないです。アデール様は素晴らしいお方なのに貴方なんかと結婚するはずないでしょう。リュカ様だとしても結婚しないから。
ってか、あんた」
あちくりとヒロインの大きな目が俺を見た。突然騒いでいたのが嘘みたいに静かになってじっと俺のことを見てくる。あーーと何度か口が開いてもしかしてという。
「ゲームはやっていてもそれ以外は知らない感じ?」
「は? それ以外ってなんだよ。ゲームはゲームだろう」
「あ……。うんうん。何でもない。それより思う所は色々あるけど、アデール様と結婚しようだなんて分不相応なことを考えていることについてはいろいろ言いたいことあるけど、でもゲームギャラになり替わったなんてこんな特殊な状態、一人じゃ抱えきれない事だってあるし仲間がいたのは嬉しいわ。
これから仲良くやっていきましょう。アデール様との仲は認めないけど」
女ってやつはみんなこうなのだろうか。移り変わりが早くておれはとてもじゃないけどついていけない。それでもまあ、ヒロインが言うことは分かるので頷いていた。ただ一つを覗いて
「お前に認められなくても俺はアデールとイチャイチャラブラブして見せる」
「は、きっも」
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