愛するあなたのために薔薇は舞う

椎名 将也

文字の大きさ
上 下
33 / 60
第3章 女豹の掟

3 レイプ

しおりを挟む
「姫川課長が無断欠勤……?」
「はい。携帯に電話しても、留守電になるんです。折り返しもかかってこないなんて、ちょっと変だと思いませんか?」
 昨日、瑞紀の取り調べに同席してもらった早瀬はるかが、心配そうな表情を浮かべながら告げた。彼女の言葉を聞いて、中西勇介は怪訝な顔で頷いた。部下にも厳しいが、それ以上に自分に厳しい玲奈が無断で欠勤するなど、今までに一度もなかったことだ。

「課長から最後に連絡があったのはいつだ?」
「昨日の夕方四時過ぎです。外出先からそのまま直帰すると……」
「どこに行っていたかは聞いたのか?」
「いえ、そこまでは……。でも、その時は特におかしな様子はありませんでした」
 勇介の質問に、はるかは昨日の姫川との会話を思い出しながら答えた。

「課長はどこに住んでいたっけ?」
「初台のマンションです。一度お邪魔したことがあります」
 憧れの玲奈のマンションに行ったという早川に羨望を覚えたが、そんな状況ではないことを思い出して勇介が告げた。
「今から課長の自宅に行く。君も一緒に来てくれ」
「はいッ!」
 独身女性の部屋を一人で訪れることに躊躇ためらいを感じて、勇介が早川を誘った。

 勇介は、課長席の横にある拳銃保管庫にIDカードをかざして、SIG P330を取り出した。その様子を見て、はるかが驚きの声を上げた。
「課長のお見舞いに行くのに、拳銃を持っていくんですか?」
「見舞い? 何寝ぼけたこと言ってるんだ? 昨日の電話では不審なところはなかったんだろう? だとしたら、それ以降に何か事件に巻き込まれた可能性が高い。そうじゃなければ、あの課長が無断欠勤などするはずないだろう?」
 はるかの言葉に呆れながら、勇介が告げた。この状況で「見舞い」という言葉が出てくる思考回路に、勇介は逆に驚いた。

「そうですね。じゃあ、あたしも持っていこうっと……。これ、撃つの楽しみなんですッ!」
 そう告げると、はるかは嬉しそうな表情を浮かべながら、拳銃保管庫から自分のSIG P330を手に取った。
(そう言えば、こいつ、射撃の腕は西新宿署でもトップクラスだったっけか?)
 警察官採用試験に合格して間もないはるかが、西新宿署で最も危険だと言われる組織犯罪対策課に配属になった理由は、彼女のずば抜けた射撃技術だったことを勇介は思い出した。はるかは幼い頃から銃マニアで、ファッションやコスメティックよりも拳銃や自動小銃を好む銃器オタクだったのだ。

「まさか、刑事になってSIG P330が撃てるなんて思ってもみませんでした」
 SIG P330はスイスのSIG社とドイツのザウエル&ゾーン社が共同開発した警察および軍用の自動拳銃だ。9mmパラベラム弾、.45APC弾、.38スペシャル弾、.30ルガー弾の四種類の弾丸を九発装填可能で、有効射程距離は五十メートル、銃口初速は秒速三百五十メートルという高性能自動拳銃だ。

 西新宿署では一般の警察官や刑事には.38スペシャル弾を装填可能なS&W M50などの小型回転式拳銃リボルバーが支給されるのだが、危険な任務が多い組織犯罪対策課だけにはSIG P330が制式採用されていた。SIG P330はその性能の高さから、通常は警視庁警備部の特殊部隊SATか自衛隊しか採用されていないのだ。

「所構わずにぶっ放すなよ。行くぞッ!」
「分かってますッ! 待ってくださいよッ!」
 大きな胸にたすき掛けにしたショルダーホルスターにSIG P330を差すと、淡いベージュのサマージャケットを羽織ってSIG P330を隠しながらはるかは勇介の後を追いかけた。この一歩が戦慄すべき大事件に続いているとは、その時のはるかには想像もできなかった。


「……!」
 口の中に強烈な異物感を感じた。
 同時に、玲奈の意識は急速に覚醒した。
(何、これは……!)
 喉の奥まで圧迫する巨大なモノを咥えさせられていた。熱く猛りきった男根だった。慌てて吐き出そうとすると、前髪を掴まれてより深く挿入された。喉の奥まで塞がれて、玲奈は呼吸困難に陥りながら必死でもがいた。

(何で、こんなッ……! やだッ! 助けて、純一郎ッ!)
 玲奈は自分が全裸であることに気づいた。その上、両腕は後ろ手に縛られ、両脚を広げて四つん這いの格好をさせられていた。男根を咥えさせている男とは別の男が、玲奈の両脚の間に体を入れて後ろから乳房を握り締めてきた。

(犯されるッ……! いやッ! 助けてッ!)
 後ろの男が乳房を揉みしだきながら、男根を秘唇に押しつけてきた。玲奈は激しく腰を振って、男の挿入を拒絶した。
「嫌がる女を無理矢理犯るのは興奮するぜッ!」
 乳房から手を離すと、後ろの男が強い力でガッシリと玲奈の腰を両手で押さつけた。それでも玲奈は全力で腰を動かし続けた。それがレイプを防ぐ唯一の方法だと信じたからだ。

「これだけ暴れられると挿れづらいだろう。手伝ってやろう」
 下卑た笑いを浮かべながら、目の前の男が告げた。そして、髪を掴んでいた手を離すと、男が両手を玲奈の双乳に伸ばしてきた。次の瞬間、両乳首を握りつぶされ、千切れそうなほど引っ張られた。
「んッ、くぅうううッ……!」
 女の急所に加えられた凄まじい激痛に、玲奈は大きく仰け反って動きを止めた。あまりの痛みに涙が溢れ出て頬を伝って流れ落ちた。

「悪いな。助かるぜッ!」
 玲奈が動きを止めた瞬間、後ろの男がグイッと腰を突き出した。メリメリと肉襞をこじ開けながら、長大な男根が濡れてもいない女性器にねじ込まれた。
「んッ、ひぃいいッ……!」
 下半身に焼けた鉄杭を打ち込まれたかのような衝撃に、玲奈は大きく瞳を開いてガクガクと震えた。それは紛れもなく女の尊厳を踏みにじる蹂躙に他ならなかった。

「こいつ、締まりはいいが、全然濡れてねえな。少し解してやろうぜ……」
「そうだな。せっかく二本も咥えてるんだ。楽しませてやらねえとな……」
 目の前の男が先ほどとは打って変わった調子で、玲奈の豊かな胸をシナシナと揉みしだき始めた。そして、痛みに震えている乳首を摘まむとコリコリと扱きだした。
 後ろの男は更に悪辣だった。右手で玲奈の叢をかきわけると、慣れた手つきでクルンと突起の薄皮を剥き上げた。そして真っ赤に充血した真珠粒クリトリスを唾をつけた指先で転がすように嬲りだした。

(いやぁあッ……! こんなの、だめぇッ! 気がおかしくなるッ!)
 女の弱点である乳房を揉みしだかれ、乳首を扱かれ、真珠粒クリトリスを同時に嬲られたら堪ったものではなかった。その上、太い男根を咥えさせられ、喉の奥まで何度も抜き挿しされた。それだけでなく、熱い樹液が溢れてきた花唇を犯され、ゴリゴリと天井部分Gスポットを擦られた。三十三歳という女盛りの女体は、鳥肌を立てながら急激に燃え上がり始めた。

「んッ、んくッ……んぁッ、ん、んはッ……ん、やぁッ……!」
(だめッ、感じちゃ……! 犯されて、感じるはずないッ! いやッ……だめッ……!)
 乳房からの甘い愉悦が、乳首からの鋭い歓悦が、真珠粒クリトリスからの峻烈な快絶が途切れることなく玲奈に襲いかかった。その上、花唇に挿れられたが悪魔の律動を始めたのだ。粒だった天井部分Gスポットを三度擦り上げると、肉襞を抉りながら一気に子宮口まで貫いてきた。それは紛れもなく女を狂わせる三浅一深の調律リズムに他ならなかった。

 玲奈の白い背中が紅潮して汗ばみ、ビクッビクッと震えだした。太い男根を咥えさせられながら、鼻にかかった喘ぎ声が漏れ出した。花唇からはクチュクチュという音とともに、蜜液が溢れて白い太股を伝って流れ落ちた。閉じた睫毛がブルブルと震え、眉間に深い縦皺が刻まれた。

「こいつ、もうすぐイクぜ。俺のを締め上げてきた」
 パンパンと肉のぶつかり合う音を立てながら、後ろの男が動きを加速させた。三浅一深から一転して、怒濤の如く玲奈を責めだした。
「出したら交代しろよ……」
「ああ、分かってる……」
 頭上で交わされる男たちの会話も、玲奈にはすでに理解できなかった。

「んッ、はぁッ……! あッ、あッ……んめッ……! んやッ……あッ、あんッ……アァアアッ……!」
 腰骨が灼き溶け、甘美の火柱が背筋を伝わって脳天に雷撃を落とした。凄まじい快絶が意識を真っ白に灼き尽くし、脳髄さえもドロドロに溶かした。

(だめッ……我慢できないッ! いやッ……イカされるッ! だめぇえッ! イクぅううッ!)
 ビックンビックンッと激しく裸身を痙攣させると、玲奈は望まない絶頂オーガズムを極めた。プシャッという音を奏でて花唇から大量の蜜液が迸り、白いシーツに淫らな染みを描いた。
 玲奈の激しい締め付けに、蜜壺の最奥でが弾けた。熱い滾りを子宮口に何度も叩きつけられた。後ろの男が果てるのとほぼ同時に、口の中で別のがビクンと震えた。次の瞬間、喉の奥に大量の熱精を注ぎ込まれた。

(やっと……終わった……)
 愉悦アクメの硬直を解き放つと、玲奈はグッタリと弛緩してシーツの波間に沈み込んだ。ハァ、ハァと炎の吐息を漏らす唇からは、飲みきれなかった白精がドロリと糸を引いて垂れ落ちた。ビクンビクンッと痙攣を続けている両脚の間からは、白く濁った愛液とともに男が放った精液が溢れ出ていた。

「よし、交替するぞ……」
「待ってたぜッ! 早く場所を空けろよ」
 下卑た笑いを浮かべながら、男たちが位置を入れ替えた。
(うそ……まだ、続くの……)
 地獄の時間が終わっていないことを知り、玲奈は絶望のあまり眼を閉じた。赤く染まった目尻から涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちた。
(純一郎……助けて……)

 その後、男たちは代わる代わる口で二回、性器で二回ずつ玲奈を犯して果てた。二度目のレイプから、玲奈は一切の抵抗を止めた。抵抗し続けると殺される可能性があったからだ。
 だが、それ以上に、自意識プライドを保持したままレイプされるということは、レイプという行為を認めることになると思った。それが玲奈には耐えられなかった。
 玲奈は自ら人形になることにした。そうすれば、レイプを認識することにはならないと考えた。それが玲奈にできる最後の抵抗であった。


「お掛けになった電話番号は、ただいま電波の届かないところにいるか、電源が入っていません。ピーッという音の後に……」
 神崎純一郎はスマートフォンの通話アイコンをオフにした。事務所にある六十インチのTVモニターには、大きな白い字でテロップが流れていた。

『警視庁西新宿署の姫川玲奈警視の自宅が荒らされて、本人は行方不明。誘拐事件発生か?』
 男のニュースキャスターが興奮したように早口でリポートを述べていた。その後ろには、玲奈の住む初台のマンションが映されていた。
 純一郎はリモコンを取り上げると、TVの電源をオフにした。そして、再びスマートフォンを手に取ると、ゆずりは瑞紀の連絡先を表示して通話アイコンをプッシュした。

『はい、ゆずりはです……』
「神崎だ。ニュースを見たか?」
『見ました。玲奈さんの件ですね?』
 電話の向こうから、瑞紀の緊張した様子が伝わって来た。
「<一条組>が解散した後、誰が玲奈を誘拐したのか分からない。俺に怨みを持つ相手なのか、それとも玲奈個人を怨んでのことなのか……。どちらにせよ、玲奈を助けたい」
 純一郎にとっては珍しく言葉を飾らずに本音を語った。それを悟ったのか、瑞紀が即答してきた。

『玲奈さんと知り合ってから間もないですが、私も同じ気持ちです。すぐに調査を始めます』
「いや、そうじゃない」
『えッ……?』
 純一郎の言葉に、瑞紀が驚きの声を上げた。それを無視して、純一郎が続けた。
「ヤクザの俺は、<星月夜シュテルネンナハト>に正式な依頼ができない。そこで、お前から<星月夜シュテルネンナハト>に玲奈救出の依頼を出して欲しい」

『それは構いませんが……。<ゆずりは探偵事務所>も<星月夜シュテルネンナハト>と協力して……』
「お前は動くなッ!」
 思いの外に強い口調で純一郎が告げた。電話の向こうで、瑞紀が黙り込んだ。
「相手が誰だか分からないが、あの玲奈を簡単に誘拐できる連中だ。お前が単独で動くのは危険すぎる。下手をしたら、お前まで拉致られるぞ。美咲の時の失敗を忘れるなッ!」

『分かりました……』
 美咲を助けようとして瑞紀自身も拉致されたことを指摘されると、黙り込むしかなかった。
「今回のお前への依頼は、<星月夜シュテルネンナハト>に玲奈の救出を要請することだ。絶対に余計なことはするなよ」
 そう告げると、瑞紀の返事を待たずに純一郎は通話を切った。だが、それは瑞紀の性格を知らなすぎるにもほどがあった。そのことを純一郎は後悔することになるのだった。


「人を舐めるのもいい加減にしなさいよッ!」
 リスト・タブレットの通話スイッチをオフにすると、瑞紀は荒々しい口調で文句を言った。
 若い女が犯罪組織に拉致されてどんな眼に遭うのかは、瑞紀自身が嫌というほど知っていた。<狗神会《こうじんかい》>、<蛇咬会じゃこうかい>、<一条組>に捕まり、凄まじい凌辱と暴行を受けたことがあったからだ。
「玲奈さんをあんな眼に遭わせる訳にはいかないッ! 絶対に助け出してみせるッ!」

 玲奈は西新宿署の組織犯罪対策課長で、キャリア警視だ。その彼女が誘拐されたのだとしたら、警察の威信に賭けても大規模な捜査が行われるはずだった。その組織力だけを取れば、<星月夜シュテルネンナハト>は警察に遥かに及ばない。だが、個人およびチームとしての戦闘力と危機対応能力は、<星月夜シュテルネンナハト>の特別捜査官エージェントが警察のそれを大きく上回っていることは確実だった。
 つまり、捜査は警察が主流となって進め、実際の救出活動は<星月夜シュテルネンナハト>が担うというのが理想なのだ。

「神崎さん、あなたの言うとおり、一人じゃ動かないわッ! その代わり、龍成たちと一緒に玲奈さんを助け出してみせるッ!」
 左肩に掛けたバーキンに右手を入れてM93RMK2の存在を確かめると、瑞紀は<星月夜シュテルネンナハト>のある西新宿六丁目を目指して走り出した。


 レイプが終わると、玲奈はゴミ屑のように放置された。
 二人の男に二回ずつ、合計四回も犯された玲奈は、両腕を後ろに拘束された体をビクンビクンッと痙攣させながらベッドの上に横たわっていた。人形のように心を閉じていたとは言え、成熟した女体がセックスの快感を無視することなどできるはずはなかった。四回の凌辱の間に、玲奈は望まない絶頂オーガズムを何度も極めさせられた。

 男たちは玲奈が達するたびに、屈辱の言葉を投げかけてきた。
「こいつ、またイキやがったぜ。本当はかなりの好き者じゃねえのか?」
「これだけいい躰をしているんだ。セックスが大好きな淫乱なんだろう。その証拠に、レイプされて感じまくっていやがる」
 そんなことはない、違うと叫びたかった。だが、返事をすればレイプという行為を容認することになる。玲奈は唇を噛みしめて、感情を押し殺した。

(ここはどこなんだろう……?)
 涙で滲んだ視界に、蛍光灯が映った。よく事務所で見かける縦長の蛍光管が四本あるタイプだった。天井の広さから、この部屋は二、三十平方メートルほどであることが分かった。玲奈が寝ているダブルサイズのベッド以外には、小さなサイドテーブルが一つ置いてあるだけだった。窓もなく、部屋の中には時計も置いてなかった。拉致されてからどのくらいの時間が経っているのかさえ、玲奈には分からなかった。

(少なくても、あたしが出勤しなければ誰かが異変に気づくはず……。警視が誘拐されたと知ったら、警視庁ほんしゃを含めた大規模な合同捜査本部が設置される。助けは必ず来るわ。今は、耐えるしかない……)
 だが、玲奈の希望を打ち砕くかのように、ある衝動が襲ってきた。その衝動はどんなに強固な意志を持っても抑えきれないものだった。尿意を催したのである。

(まずい……。我慢しないと……)
 部屋にはトイレなどなかった。入口のドアが一枚あるだけだ。しばらくの間、排尿の欲求に耐えていたが、だんだんと限界に近づいてくるのが自分で分かった。
 男の尿道が平均十八センチなのに対して、女の尿道は三、四センチしかない。男性に比べて女性は体の構造上、尿意を我慢することができないのだ。

「だ、誰かいないの……! 誰かッ……!」
 額から脂汗を流しながら、玲奈が切羽詰まった声で叫んだ。このままでは失禁の恥を晒してしまうことは確実だった。
「お願いッ……! 誰か来てッ……!」
 自分をレイプした男に懇願することは屈辱だったが、今はそれどころではなかった。崩壊の危機が目の前に迫っていたのだ。

「何だ? まだ犯られ足りないのか?」
 ドアが開き、玲奈をレイプした二人の男が入ってきた。そのうちの一人がニヤリと薄ら笑いを浮かべながら告げた。最初に玲奈の口を犯した男だった。
「お願い、トイレに行かせて……」
 玲奈の言葉に二人の男は顔を見合わせると、楽しそうに笑った。

「何かと思えば、トイレだとよ」
「あたし、漏れちゃいそうなの……ってか?」
 男たちの戯れ言に付き合っている余裕など、玲奈にはなかった。我慢の限界がすぐ目の前に迫っていた。
「お願いッ! トイレに行かせてッ! もう、限界なのッ!」
 玲奈の様子を見つめると、男の一人が頷いた。その合図を受けて、もう一人が笑みを浮かべながら部屋から出て行った。

「待っていろ、今、準備してやる」
 残った男が楽しそうにニヤけながら告げた。
(準備……? どういうこと……?)
 男はすぐに戻ってきた。そして、玲奈の疑問に対する答えを、男が突きつけてきた。それを見て、玲奈は蒼白になった。男が目の前に尽きだしたものは、おまる・・・だったのだ。
「まさか……それで……?」
 男の意図を知り、玲奈は激しく首を振った。

「嫌よッ! トイレに行かせてッ! お願いよッ!」
「嫌なら別に構わん。そこですればいい。<西新宿の女豹>のお漏らしというのも一興だ」
 男が愉快そうに笑いながら、玲奈に告げた。その言葉に、玲奈は唇を噛みしめた。全裸でおまる・・・に跨がり、男たちの視線に晒されながら排尿するなど、レイプされる以上の屈辱だった。だが、尿意はすでに限界を超えていた。玲奈はベッドから起き上がると、急いでおまる・・・の前に立った。

「ここでするわッ! だから、お願いッ! 向こうを向いてッ!」
 だが、男の一人がポケットからスマートフォンサイズの箱形の機械を取り出した。その先端にレンズが光っていることに気づくと、玲奈は驚愕した。それは、MDCマイクロ・データ・チップビデオだった。
「まさか……? 嫌よッ! やめてッ! お願いッ!」
 男が排尿シーンを録画しようとしていることを知り、玲奈が激しく首を振って哀願した。

 そのおまる・・・は上から見ると長方形をしており、前方の角に十センチほどのポールが立っていた。つまり、座るとそのポールによって両脚が広げられる仕様になっているのだ。両手を後ろ手に縛られている状態でそこに座ったら、排尿している秘部さえ丸見えになってしまうことに玲奈は気づいた。その上、それを正面から録画しようというのだ。

「あなたたちは、人間じゃないわッ! 女をレイプしただけでなく、こんな恥辱まで与えるなんてッ!」
「別に俺たちはこれを使うことを強要していないぞ。使いたくなければ、その場で垂れ流すがいい」
 玲奈の怒りに満ちた抗議を、男たちは平然と笑いながら受け止めた。

「くッ……。お願いします……。映すのだけは……許してください……」
 屈辱のあまり涙を滲ませながら、玲奈が男たちに頭を下げた。だが、ビデオを持つ男はこれ見よがしに録画スイッチを押した。MDCマイクロ・データ・チップビデオの上部にあるパイロットスイッチが赤く点灯した。
「お願いッ! 撮らないでッ!」
 そう告げた瞬間、秘唇からチョロリと黄金水が漏れた。限界が訪れたのだ。玲奈は急いでおまる・・・に跨がり、両脚を大きく広げた。

「<西新宿の女豹>の放尿シーンだ。闇ルートに流したら、高値で売れるぞ」
 男が身をかがめると、玲奈の股間にビデオを近づけた。
「やめて……撮らないで……。あッ、だめッ! いやぁああッ……!」
 玲奈がブルッと体を震わせると悲鳴を上げた。次の瞬間、ジャァアーッという音を立てて、黄金の潮流が迸り、おまる・・・の底を激しい勢いで叩きつけた。

「お願い……撮らないでぇッ! お願いッ……!」
 羞恥のあまり真っ赤に顔を染めながら、玲奈が哀願した。だが、一度堰を切った波濤はとうは、とどまることを知らない大河のように玲奈の意志を裏切って奔出ほんしゅつし続けた。
「凄え溜まってたんだな。まるで馬並みだぜ」
「<西新宿の女豹>のションベンも、臭えな。アンモニアの臭いがプンプンしやがる」

 男たちの嘲笑を旋律メロディにしながら、恥辱の放尿は続いた。やがてその勢いが衰え、ポタポタと黄金の雫が垂れ落ちた。ビデオを持っていない男の方がティッシュを取り出し、玲奈の股間を何度も擦りながら雫を拭き取った。
 全裸で両脚を広げた放尿シーンを録画され、その後始末までされた玲奈は嗚咽に肩を震わせた。悔しさと恥ずかしさで、涙が止まらなかった。

「もう……いや……。うッ、くッ、うぅううッ……」
 美しい貌を歪めて泣き出した玲奈に、男はニヤリと笑いながら追い打ちをかけた。
「気が強い女の放尿シーンってのは、なかなか興奮するな。おい、どうせならこいつがよがり狂ってイキまくる様子も録画しねえか?」
「いいぜ。飽きたら代われよ」
 ビデオを持つ男が頷くのを見て、男は後ろから玲奈の両脚を持って持ち上げた。小さな女の子におしっこをさせるような格好をさせられて、玲奈は恥ずかしさのあまり悶え泣いた。

「いやぁああッ……! やめてぇえッ! 許してぇッ!」
 玲奈は両脚をばたつかせながら暴れたが、そのまま寝台まで運ばれた。男は玲奈をベッドの上に放り投げると、衣服をすべて脱ぎ捨てた。男の逸物はすでに天を向いて猛り勃っていた。そして、玲奈の両腕を背中で縛っている縄を掴むと、男は力任せに四つん這いにさせた。

「お願いッ! 許してぇえッ! いやぁああッ……!」
 玲奈の泣き叫ぶ声さえ、男にとっては天上の調べにしか聞こえなかった。長大な男根を玲奈の秘唇に充てがうと、男はヌプリと挿し入れた。
「ひぃいいッ……! もう、許してぇッ! やぁああッ……!」
 濃茶色ダーク・ブラウンの髪を振り乱しながら、玲奈が男に哀願した。そこには気丈な<西新宿の女豹>の姿は、見る影もなかった。

 姫川玲奈にとっての地獄が再び始まった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...