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第1章 女豹蹂躙

3 咽び啼く女体

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「この女を攫え……」
 レオナルド=ベーカーは黒檀でできたエグゼクティブ・デスクの上に一枚の写真を置いた。そこには、二十歳過ぎの若い女の上半身が写っていた。ウェーブがかった茶色い髪を肩で切り揃えた可愛らしい女だった。焦げ茶色ダーク・ブラウンに輝く大きな瞳とぷっくりとした淡い紅色の唇が、実際の年齢よりもその女性をあどけなく見せていた。

「名前は、七瀬美咲……。<ゆずりは探偵事務所>のアルバイト事務員だ。こいつを餌にして、ゆずりは瑞紀を呼び出すんだ……」
「はい……。しかし、たかが女一人。そんなまどろっこしい手を使わなくても、直接かっ攫っちまえばいいじゃないですか?」
 レオナルドの指示に怪訝な表情を浮かべながら、男が訊ねた。

 男の名前は、周俊傑シュウ・シュンジエ。歌舞伎町を根城とする中国系マフィア<玉龍会ぎょくりゅうかい>の会長だった。三十五歳という若さにもかかわらず、<蛇咬会じゃこうかい>から直接さかずきを受ける知能派マフィアである。瑞紀が訪ねた<櫻華会>とはシマを接しており、幾度となく鍔迫つばぜり合いを演じていた。

ゆずりは瑞紀はベレッタM93Rを扱う凄腕の射撃手シューターだ。それに、ヤツの後ろには白銀龍成りゅうせいと<星月夜シュテルネンナハト>がついている。一年前、李昊天リ・ハオティエンは白銀たちを甘く見て失敗した」
 一度は瑞紀の拉致に成功したが、龍成が率いる<星月夜シュテルネンナハト>の奇襲を受けて<狗神会《こうじんかい》>は壊滅し、李は瑞紀に射殺されたのだった。

「そのてつを踏む必要はない。今回はこの七瀬美咲を餌にして、ゆずりは瑞紀には誰にも告げずに一人で来いと命じればいい。武器ベレッタ連絡手段リスト・タブレットさえ持たせなければ、ゆずりは瑞紀と言えどもただの女だ」
 レオナルドが彫りの深い容貌に冷酷な笑みを浮かべながら告げた。
「分かりました。ところで、ゆずりはを拉致した後、この女はどうしますか?」
 周が美咲の写真に目を移しながら訊ねた。上半身しか写っていないが、周の視線は美咲の盛り上がった胸を舐めるように見つめていた。

「顔を見られたら解放するわけにもいかないだろう。飽きるまで慰み物にして本国に売り飛ばすもよし、<サキュバス>を使って性人形セックス・ドールとするもよし……。好きにしろ」
「分かりました。早速準備にかかります」
(<サキュバス>を使って狂うまで犯し抜いてから、本国に売りさばくってのも悪くないな……)
 レオナルドの言葉にニヤリと笑みを浮かべると、周はもう一度美咲の写真を見つめた。その瞳には嗜虐的サディスティックな光が浮かんでいた。


「絶対に二人は付き合ってると思うんだけどなぁ……」
 夕食として買った唐揚げ弁当とコールスローサラダ、ストレートティのペットボトルをレジ袋に入れると、美咲はコンビニを後にしながら瑞紀の言葉を思い出した。

『龍成とは相棒バディを組んでいただけよ。特別な関係じゃないわ』

(特別な関係じゃないひとが、あんなに汗だくになって走ってくるなんて、あるはずないじゃない……?)
 昨日、銃弾を撃ち込まれたと瑞紀が連絡したとき、五分と経たずに事務所に飛び込んできた龍成の姿を美咲は思い浮かべた。それは愛する女性の安否を気遣う行動以外の何ものでもなかった。

「いいなぁ……。あたしもあんな彼氏欲しいな……」
 一年前、美咲にも新城直人という彼氏がいた。モデルのように整った容貌で人当たりの良い性格をした新城に口説かれ、美咲は恋に落ちた。四歳年上の新城は、美咲が初めて接する大人の優しさと包容力に満ちていた。三回目のデートでホテルに誘われ、美咲は新城に処女を捧げたのだった。

 だが、新城の優しさは偽りだった。母親の入院費が足りないと言う新城に、美咲は十万円を貸した。その後の食事代やデート代なども美咲が払い続けた。大学二年生だった美咲にとって、それは大きな出費だった。なけなしの貯金はすぐに底をつき、美咲は時給の良いキャバクラでアルバイトを始めた。そこで知り合った先輩のキャバクラ嬢が、男に貢ぐために店のお金に手を出した。そのキャバクラ嬢が貢いでいた男の言動が新城とそっくりであることを知り、美咲はショックを受けた。家に戻ると美咲は、特技を用いて新城のPCをハッキングした。そこで信じがたいデータを見つけたのだった。

 新城を信じたい気持ちと彼のPCに保存されていたデータとのはざまで悩んだ美咲は、たまたま自宅の郵便受けに入っていたチラシに目を留めた。<ゆずりは探偵事務所>という文字の下に、「開設記念、浮気調査特価」と大きく赤字で書かれていた。所長の名前が女性であることも美咲の決意を後押しした。翌日、美咲はチラシを持って<ゆずりは探偵事務所>の扉を叩いた。

 初めて会ったゆずりは瑞紀は、女の美咲から見ても美しい女性だった。年齢も美咲とさほど変わらず、二十五歳だと告げられた。新城のPCにある隠しフォルダに侵入して多数の女性と性交渉している写真と多額の入金記録を見つけた話をすると、瑞紀は美咲にここのPCからハッキングできるか訊ねてきた。瑞紀の目の前で新城のPCに入ると、美咲は写真と入金記録をモニターに表示させた。

 瑞紀は美咲の手腕を褒め称え、ぜひ<ゆずりは探偵事務所>で働いて欲しいと言ってきた。そして、本来は数十万円かかる調査費用を無料にし、二度と新城が美咲の前に現れないようにしてあげると告げた。美咲が頷くと、瑞紀は約束通り新城から美咲に二度と近づかないという誓約書を取ってきた。その上、美咲が貢いだ二十万円も取り返してくれた。

 美しく有能で優しい瑞紀に憧れと尊敬の念を抱いた美咲は、<ゆずりは探偵事務所>で働き始めた。昨日、その瑞紀の危機に駆けつけたのが白銀龍成だった。瑞紀を心配する龍成の態度は愛情に溢れており、龍成を見つめる瑞紀の瞳は愛する男を見つめる女そのものだった。美咲の女の直感が、二人はできていると告げていた。

「何であんなにバレバレなのに、付き合ってることを隠すのかな……?」
 コンビニのレジ袋を左手に提げながら、美咲は首を捻りながら歩いていた。いつもであれば人通りの少ないこのあたりを夜歩くときは足を速めるのだが、考えに沈んでいた美咲は周囲を警戒することを忘れていた。

 その黒いワンボックスが美咲の横で急停止し、助手席から飛び出してきた男に気づいた時にはすでに手遅れだった。口元に布を押しつけられ、美咲は悲鳴を上げることさえできなかった。強い刺激臭が鼻についた瞬間、美咲の意識は急速に闇の中へと沈んでいった。美咲の体を後部席に押し込めると、男を乗せたワンボックスは急発進をした。
 後にはコンビニの弁当が入ったレジ袋と、ベージュのパンプスが片方だけ残されていた。


『七瀬美咲を預かった。無事に返して欲しければ、十三時ちょうどに京王プラザ前のロータリーに一人で来い。白銀龍成や<星月夜シュテルネンナハト>は当然のこと、警察や<ゆずりは探偵事務所>の所員など誰にも言うな。誰かに話をした時点で、七瀬美由紀は殺す。なお、ベレッタM93Rなどの武器とリスト・タブレットなどの通信機は事務所に置いたままで来い。お前の行動は監視されていることを忘れるな』

 そのメールを眼にした瞬間、瑞紀は心臓が止まったかのような衝撃を受けた。顔が蒼白になるのが自分で分かった。全身に震えが走り、冷や汗が噴き出した。顔を上げて壁に掛けられたアナログ・クロックを見ると、十二時二十分だった。この<ゆずりは探偵事務所>から京王プラザホテルまでは徒歩で十五分かかる。リミットは二十五分しかなかった。

「どうしたんですか、瑞紀さん?」
 瑞紀の様子を不審に感じたのか、右手に包帯を巻いた俊誠が声をかけてきた。こんな時に頼りになる錦織は外出しており、事務所には俊誠一人しかいなかった。
「何でもないわ……」
(トシ君を巻き込むわけにはいかない。でも、たぶん相手は<蛇咬会じゃこうかい>かその関連組織……。何か手を打たないと……)
 一年前に拉致された記憶が瑞紀の脳裏に蘇った。最悪の場合、美咲もあの凄まじい凌辱を受ける可能性があった。

(私なら何をされても構わない……。だけど、美咲だけは守らないと……)
 二十一歳の美咲があのような凌辱を受けたら、自殺するかも知れなかった。瑞紀自身でさえ龍成の支えがなかったら、自ら命を絶っていたことは間違いなかったのだ。
(監視しているってことは、どこかに隠しカメラがあるってことだわ。下手な行動をしたらすぐにバレる。敵の目を欺いて連絡を取らないと……)

 連絡を取る相手は誰にすべきか、瑞紀は必死で考えた。龍成はだめだ。自分が監視されていると言うことは、龍成にも監視が付いていると考えた方がいい。錦織はどうだろうか。いや、だめだ。錦織には単独でマフィアを相手にする力はない。彼に助けを求めると言うことは、錦織の古巣である警察を動かすことに繋がる。そうなったら、美咲の生命はない。

(そうなると後は……神崎さんしかいない!)
 マフィアを相手にする度胸と組織力を持っているのは、龍成を除けば<櫻華会>の若頭である神崎純一郎しか思い浮かばなかった。美咲はスキニージーンズの尻ポケットから一枚のメモを取り出した。昨日、神崎の舎弟である早川義一からもらった彼の携帯番号が書かれたメモだった。それを握り締めると、美咲は席を立って俊誠の席へと歩き出した。

「トシ君、急用ができたから出かけるわ。二、三日かかるかも知れないから、今日は帰っていいわよ。オリさんにもそう伝えて……」
「どうしたんですか、急に……?」
 驚きの表情を浮かべながら見つめてくる俊誠の近くを通りながら、瑞紀は彼の机に手をついて義一のメモを隠し置いた。

「ミサキラチ、ヒトサンマルマル、ケーピーエイチ」
 そう小声で囁くと何事もなかったかのように右手を上げながら、瑞紀は笑顔を浮かべて言った。
「じゃあ、行ってくるわね。後はよろしく……」
 リスト・タブレットとベレッタM93Rは、机の上に置いたバーキンのバッグに入れたまま事務所に残した。後は俊誠の裁量に賭けるしかなかった。

「美咲さん、今のは……?」
 背後から聞こえてきた俊誠の声を無視すると、瑞紀は<ゆずりは探偵事務所>から出て行った。
(トシ君、頼むわよ……)
 このような緊急事態エマージェンシーに慣れていない俊誠に、すべてを託すのは不安があった。だが、他に選択肢がない以上は仕方がなかった。

(美咲、必ず助けるからね……)
 愛用のベレッタM93Rもなく徒手空拳のまま、瑞紀は地獄のあぎとへと向かって足を踏み出した。


「あッ……あんッ……んあッ……んッ……あッ、あぁあッ……」
 艶めかしい女の喘ぎ声が聞こえた。情欲に兆しきったその嬌声が、自分の口から放たれていることに気づいて美咲の意識は急速に覚醒した。
 一糸纏わぬ全裸の状態でX字型に拘束され、四肢をベッドの四隅に縄で括りつけられていた。仰向けにされてもツンと上向いた双乳を男の手が揉みしだいていた。濡れた花唇には別の男の指が二本挿し込まれ、クチュクチュと卑猥な音色を奏でながら抜き挿しされていた。

「ひッ……! いや……アッ、やだッ……! やめッ……ア、アッ、アァアッ……!」
 腰骨を灼くような愉悦が背筋を舐め上げ、硬く尖った乳首から峻烈な喜悦が四肢の先端まで甘く痺れさせた。美咲は両手を縛っている縄を握り締めると、白い喉を仰け反らせて恥ずかしい声を上げた。

(何なの、これ……! 何で、こんなことに……?)
 状況を把握しようとする思考を惑乱させるかのように、快感のパルスが全身を駆け抜けて美咲の口から熱い喘ぎ声が溢れ出た。
(こんなイヤらしい声を、あたしが……? いやだ、恥ずかしい……!)

 美咲の男性経験は、一年前に付き合った新城直人だけだった。それも処女だった美咲は何度抱かれても快感よりも痛みしか感じなかった。当然のことながら、絶頂オーガズムに達したことなど一度もなかった。だが、今自分の体が歓悦の頂点へと向かっていることが美咲自身にも分かった。目の前に白い閃光がチカチカと瞬き、体中の細胞が蕩けるような悦びに震えていた。

「あッ、あッ、あひッ……! いやッ、だめッ……! こわいッ……! アッ、アンッ……アァアアッ……!」
 乳首が痛いほどそそり勃ち、花唇から溢れ出た愛蜜は内股を伝ってシーツに淫らな染みを描いていた。ビクッビクッと全身が痙攣を始め、閉じた目尻からは涙が溢れ頬を伝って流れ落ちた。
(あたし、イクの……? こわい……! どうなるの……?)
 その思考が頭をよぎった瞬間、かつてない衝撃が美咲の全身を襲った。

「ひッ、ひぃいいッ……! だめぇえッ! アッ、アッ、アァアアッ……!」
 壮絶な歓悦が背筋を伝って脳天で弾けると、ビックンッビックンッと総身を激しく痙攣させて美咲は生まれて初めての絶頂オーガズムを極めた。そして、愉悦アクメの潮流を噛みしめるかのように全身をガクガクッと硬直させると、美咲はグッタリと弛緩してベッドの中に沈み込んだ。

「はぁッ……はひッ……はぁ、はッ……はぁ、はぁあッ……」
(何、これ……? こんなの……知らない……。凄い……気持ちいい……)
 かつてないほどの壮絶な快感に、美咲の全身はビクンッビクンッと痙攣していた。閉じた目尻から涙が溢れ、唇の端からは涎がトロリと糸を引きながら垂れ落ちた。乳首は痛いほど勃起し、花唇から溢れた愛蜜が内股をビッショリと濡らしているのが自分でも分かった。

「<サキュバス>をキメた愉悦アクメは堪らねえだろう……? 続けてイッてみるか?」
 左側にいる男がニヤリと笑いながら告げると、美咲の乳房を再び両手で揉みしだき始めた。それに呼応するかのように右側の男が、ビッショリと濡れた花唇に舌を這わせ始めた。

「いやッ……やめてッ……!」
 女の最も恥ずかしい部分をピチャピチャと音を立てて舐め上げられ、羞恥のあまり美咲が叫んだ。だが、次の瞬間、美咲はビックンッと痙攣すると大きく背中を仰け反らせた。男が慣れた手つきで薄皮を剥き上げ、剥き出しにした真珠粒クリトリスにネットリと舌を這わしたのだ。

「ひぃッ……! そこッ、いやぁあッ……! アッ、アヒィイッ……!」
 腰骨を灼き溶かすほどの峻烈な快感に、美咲は両手で縄を握り締めながら激しく首を振った。イッたばかりの女体が、女の最大の弱点を嬲られたら堪ったものではなかった。一瞬たりともじっとしていることができず、美咲は茶色く染めた髪を振り乱しながら悶え啼いた。

「あッ、あッ、あぁああッ……!」
 乳房を揉みしだいていた男が、硬くそそり勃った右の乳首をカリッと歯で噛んだ。もう一人の男はコリコリと真珠粒クリトリスを扱きながら、花唇に指を二本挿し込んで粒だった天井部分を爪で引っ掻き始めた。

「ひぃいいい……! だめぇえッ……! いやぁあああッ!」
 乳首、真珠粒クリトリス、Gスポットと、女の三大弱点を同時に責められ、ビックンッビックンッと痙攣しながら美咲は二度目の絶頂オーガズムに押し上げられた。脳髄さえもドロドロに蕩かせるほどの愉悦に呑み込まれ、美咲は生まれて初めての凄絶な女の悦びにのたうち回った。

「黙ってイクとは女の嗜みがないな。イクときは、イクと言葉で言えッ……!」
 そう告げると、花唇に顔を埋めた男が美咲の中に挿し入れた指を鉤状に折り曲げ、激しく抜き挿しし始めた。それにタイミングを合わせるかのように、ピチャピチャと卑猥な音を奏でながら真っ赤に充血した真珠粒クリトリスを舌でねぶられた。
 もう一人の男は美咲の乳房を強く絞り上げると、唇と歯と舌とをフルに使って硬く屹立した乳首を嬲った。

「アッ、アッ、イヤッ……! 許してぇえッ……! だめぇえッ……! おかしくなるッ……!」
 二度も絶頂オーガズムを極めさせられた女体が、その壮絶な責めに耐えられるはずなどなかった。美咲はあっという間に三度目の絶頂オーガズムに駆け上らされた。だが、男たちは美咲に歓喜の愉悦を噛みしめるいとまさえ与えなかった。

「また黙ってイキやがったなッ! イクときには、ちゃんと『イクッ』と言えッ!」
 一切の手加減なく凄絶な快感を送り込んでくる男たちに、美咲は涙と涎とを垂れ流しながら哀願した。
「おね……がいッ……! ゆる……してッ……! おかしく……なっちゃう! だめッ……また……! アッ、アッ、アァア……!」

「イクと言えッ……!」
「ひぃいいいッ……! イクッ……! イクぅ……ぅううッ!」
 断末魔を告げる言葉を叫ぶと、総身を大きく仰け反らせながら美咲は凄まじい極致感オルガスムスに襲われた。ビックンッビックンッと激しく痙攣すると、プシャアッと音を立てて花唇から大量の愛蜜を迸らせた。歓悦の頂点を極めた裸身をガクッガクッと硬直させると、グッタリと全身の力を抜き放って美咲はベッドへと沈み込んだ。

(もう……だめ……。たすけて……みずき……さん……)
 その思考を最後に、ガックリと首を折って美咲は失神した。涙と涎を垂れ流したあどけなさの残る貌は、官能の愉悦に翻弄された哀しい女の色香に濡れ塗れていた。


「どこに連れて行く気なの……?」
 湧き上がる恐怖の感情を強い意志の力で押し殺しながら、瑞紀が訊ねた。
 京王プラザホテルの前で黒いワンボックスの後部座席に座らされると、瑞紀は目隠しアイマスクをされて視界を奪われた。そして、両手を後ろ手にされ、カシャリと金属製の手錠で拘束された。運転席と助手席、そして瑞紀の左右に一人ずつ、ワンボックスには合計四人の男がいた。そのいずれもが黒いスーツ姿で濃いサングラスをしていた。

「二度と帰れない場所だ。まだしばらく時間がかかるから、少し緊張をほぐしてやろう……」
 そう告げると、左側に座る男が瑞紀のスーツをガバッと開き、手錠をかけた両手に沿って背中にずり下げた。
「いやッ……! 何するのッ……! やめなさいッ……!」
 上半身を揺さぶりながら抵抗した瑞紀に対して、右側の男が笑いを含んだ声で告げた。

「七瀬美咲を殺されたいのなら、抵抗しても構わないぞ」
「くッ……」
 男の言葉に瑞紀は唇を噛みしめながら動きを止めた。それを待っていたかのように、右側の男が瑞紀のブラウスのボタンを外し始めた。そして、上着と同様に大きく前を開きながら背中へとずり下げた。白い肩が現れ、淡青色のブラジャーに包まれた豊かな胸の谷間が男たちの眼に晒された。

「ほう……。でかい胸だな。乳首はどんな色だ……?」
 ニヤリと笑みを浮かべながら、男がブラジャーのフロントホックを外した。プルンと揺れながら白い乳房が空気にさらされた。その頂点には薄紅色の乳首が緊張の余り震えていた。
「綺麗な色をしているな。感度はどうだ……?」
 左右から手が伸びてきて、二人の男たちが瑞紀の乳房をそれぞれ掴み取った。そして、力加減も触り方も異なる二本の手で、瑞紀の官能を引きずり出すかのようにシナシナと揉みしだき始めた。

「拘束して目隠しまでした女を裸にするなんて、最低ね。やはり、あなたたちは人間のクズだわ……」
 男たちが与えてくる刺激を無視して、瑞紀が平然と告げた。
「噂通り気が強い女だな……。だが、目的地に到着するまでにはまだまだ時間がある。その間、強気な態度のままいられるかな?」
「当然よ……。こんな下手くそな愛撫で感じるはずないわ」
 挑発するような瑞紀の言葉に、男たちがニヤリと笑いを浮かべた。

「そうか……。それは失礼した。では、こういうのはどうだ……?」
「ひッ……! やッ……やめッ……! くッ……ひぃッ……!」
 男たちが左右から瑞紀の耳に舌を挿し込み、熱い息とともにねぶりだしたのだ。同時に、豊かな胸を揉みしだきながら、親指と人差し指で乳首を摘まんでコリコリと扱き始めた。
「どうした? そんな声を出して……? 感じるはずないんだろう?」

「あたり……まえ……んッ……くッ……ん、んくッ……」
 言葉を話すと恥ずかしい声が漏れそうになり、瑞紀は慌てて唇を噛みしめた。
 ピチャピチャと音を立てながら耳穴を舐められると、脳味噌を直接められるようなゾクゾクとした愉悦が全身を襲った。硬く自己主張を始めた乳首をコリコリと扱かれると、峻烈な快感が背筋を走り抜け、子宮がキュッと収縮した。

「どうした……? 体が汗ばんで来たぞ。息も荒くなってきたな……?」
「そんな……こと、ない……んッ……んぁッ……!」
 二十五歳の健全な女体が、男たちの与える刺激に無反応でいることなどできるはずがなかった。左側の男が指摘したとおり、瑞紀の肉体は徐々に快感に震え始めていた。

(こいつら……女の体に慣れている……。このままじゃ、まずい……)
 形が変わるほど強く揉まれたかと思えば、触るか触らないほど微妙なタッチで胸を触られた。コリコリと乳首を扱いたかと思えば、円を描くように先端を押しつぶしながら転がされた。耳穴だけでなく耳から首筋までネットリと舌を這わされ、耳たぶを甘噛みされると、瑞紀は思わず白い喉を仰け反らせて熱い吐息を漏らした。

「はぁッ……くッ……もう……いいでしょ……いいかげんに……して……んッ、アッ……!」
「そうか、いいかげんにこっちも触って欲しかったのか……?」
 そう告げると、左側の男がジーンズのボタンを外し、ジッパーをずり下げた。そして、淡青色のパンティの上から花唇にそって指を這わした。

「いやッ……! やめ……なさいッ……! あッ、くッ……んあぁあッ……!」
 男が下着の上から敏感な突起をコリコリと引っ掻いた瞬間、瑞紀は白い喉を仰け反らせて大きく喘いだ。
「やめろというわりには、パンティをびっしょりと濡らしてるじゃねえか? そんなに気持ちいいんなら、直接触ってやろうか……?」
 男の右手がパンティの中に侵入してきた。そして、柔らかく茂ったくさむらをかきわけると、濡れた花唇を擦りながらズブッと指を挿し込んできた。

「ひッ……! やめッ……! 抜いてッ……! だめッ……! アッ、アッ、イヤッ……!」
 右側の男が、瑞紀の中に入れた中指を激しく抜き挿しし始めた。それに合わせるかのように、左側の男が両手で乳房を揉みしだきながら、尖りきった乳首を咥えて舌で転がし始めた。
 目隠しされて視界を奪われるということは、何をされるか分からない恐怖とともに、与えられた刺激にどうしても集中してしまう。それによって、全身がいつもよりも敏感になり、快感を逃せなくなるのだ。

「どうした、そんなに腰をモジモジさせて……? 感じないんじゃなかったのか?」
「んッ……か……感じて……なんて……んあッ……ないッ……あッ、いやッ……!」
 瑞紀の全身がビクッビクッと痙攣を始めた。その崩壊が近づいていることは、誰の目にも明らかだった。当然のことながら、それは瑞紀自身が一番良く分かっていた。
(だめッ……このままじゃ……イッちゃう……が、我慢しないと……)
 だが、一度溢れ出た水を戻すことができないように、官能の階段を上り始めた女体を押しとどめることなど不可能だった。

「アッ、アッ……だめッ……! やめッ……イヤッ……! おね……がいッ……! アッ、アッ……アァアアッ……!」
 瑞紀が切羽詰まった声で啼き始めた。裸身が赤く染まり、ビクンッビクンッと痙攣が激しくなった。
「イキそうなんだろう……? なら、手伝ってやるよ……!」
 男が花唇からズボッと指を引き抜いた。そして、そのすぐ上にある肉の突起を慣れた手つきでクルンッと剥き上げた。
「ひッ……! だめぇえッ!」
 白い喉を仰け反らせて、瑞紀がビクンッと激しく痙攣した。だが、男は溢れ出た愛蜜を掬い取ると、剥き出しにした真珠粒クリトリスをコリコリと転がしながら塗りつけてきた。

「ひぃいいぃッ……! いやぁああ……!」
 限界まで昂ぶらされた女体が、女の最大の弱点を嬲られたら堪ったものではなかった。
 ビックンッビックンッと総身を激しく痙攣させると、瑞紀は望まない絶頂オーガズムを極めた。プシャアッと花唇から蜜液が溢れ出て、淡青色のパンティをビッショリと濡らした。そして、ガクッガクッと全身を硬直させて官能の愉悦を噛みしめると、グッタリと弛緩してガクリと首を折った。

「感じないと言っておきながら、随分と盛大にイッたものだな、ゆずりは瑞紀……」
 ハア、ハアと熱い喘ぎを漏らし、真紅の薔薇が咲いた胸を揺らしながら、瑞紀は囁くように告げた。
「……て……ない……」
「何だと……?」
「イッて……ない……」
 それが虚勢であることは、瑞紀自身が一番良く分かっていた。その証拠に、全身はビクッビクンッと痙攣し続け、せわしなく熱い吐息を漏らす唇の端からはネットリとした涎が糸を引いて垂れ落ちていた。

「そうか……。では、目的地に到着するまでの間、その言葉が本当かどうか確認してやろうか……?」
 ニヤリと右側の男が笑みを浮かべると、電動歯ブラシのようなものを手に取った。電動マッサージ器、通称電マと呼ばれるものだった。その先端部にある長さ二センチほどのアタッチメントは先端がU字型に割れていた。女性の真珠粒クリトリスをここに挟み、一分間に一万五千回という激震を送り込むのだ。

「な……何を……? アッ、イヤッ……!」
 男たちが瑞紀のブーツを脱がし、スキニージーンズとパンティを両脚から抜き取った。痙攣が治まりきっていない瑞紀は両脚に力が入らず、ろくに抵抗もできないまま下半身を剥き出しにされた。二人の男は瑞紀の両脚を抱え込むとM字型に開脚し、自分たちの体を使って閉じられないようにシートに押しつけた。

「やめてッ……! こんな格好……いやぁあ……!」
 アイマスクされたままの顔を、瑞紀は羞恥のあまり激しく振った。舞い乱れる長い黒髪が、匂い立つような女の色香を撒き散らした。ヴィーンッという振動音が突然鳴り響き、瑞紀はビクンと体を強張らせた。以前に使われたローターの音を思い出したのだ。

「な、何……? いや……やめてッ……!」
 ローターで両耳を嬲られると思った瑞紀は、逃げ出そうと頭を仰け反らせた。だが、男が手にしていた物は、ローターなど比較にならないほどの快感で女体を責め苛む道具だった。男が瑞紀の真っ赤に充血した真珠粒クリトリスに電マのU字部分を押し当てた。ヴィーンッという振動音とともに、一分間に一万五千回という激震が女の最大の急所に襲いかかった。

「ひぃいいいッ……!」
 一瞬の我慢さえ許されず、瑞紀は全身を大きく仰け反らせると絶頂オーガズムを極めた。全身をビックンッビックンッと激しく痙攣させると、プシャアッという音とともに大量の愛蜜が花唇から噴出した。腰骨を灼き溶かすような愉悦が背筋を駆け抜け、脳髄さえもドロドロに溶かした。だが、瑞紀には官能の喜悦を噛みしめる時間さえ与えられなかった。ガクッガクッと硬直を続けているにも拘わらず、電マは瑞紀の真珠粒クリトリスに激震を送り続けた。


「いやぁああ……! とめてぇえッ……! だめぇえッ……!」
 ビックンビックンッと激しく痙攣をしながら、長い黒髪を振り乱して瑞紀が啼き叫んだ。だが、真珠粒クリトリスを襲う激震は、微塵も止まる気配がなかった。ビックンッと大きく仰け反ると、瑞紀は三回目の絶頂オーガズムを極めた。白い肌は真っ赤に染まり、左胸の真紅の薔薇は汗に塗れて妖しく咲き濡れていた。淡紅色の乳首はガチガチにそそり勃ち、濡れそぼった花唇からはプシャップシャッと恥ずかしい飛沫が噴出し続けた。
 だが、男は平然と瑞紀の痴態を見つめながら、勃起して一回り大きくなっている真珠粒クリトリスに電マを当て続けた。

「おね……がいッ……! 狂うッ……! 狂っ……ちゃうッ……! ゆる……してぇえ……!」
 切れ目のない絶頂オーガズムの奔流が、瑞紀の全身をドロドロに溶かした。イッたと思った瞬間には、次の愉悦アクメが瑞紀を呑み込んだ。腰骨が灼き溶け、背筋が震撼し、脳髄さえグチャグチャに溶かされた。次の瞬間、花唇からプシャアアッっという音とともに、勢いよく黄金水が迸った。限界を遥かに超える極致感オルガスムスに、瑞紀が失禁したのだ。

「こいつ、良すぎて漏らしやがったッ……!」
 ビッショリと濡れた電マを瑞紀の真珠粒クリトリスから外すと、右側の男が笑いながら告げた。振動を続けている電マから、ポタポタと黄金の雫が垂れ落ちた。
「ビデオ撮ってるか?」
 左側の男が、助手席を振り返って訊ねた。
「バッチリです。こんな決定的な瞬間を撮り逃がすはずありませんぜ……」
 ニヤリと笑みを浮かべながら、助手席の男が告げた。彼は瑞紀がアイマスクをされてから、その痴態をすべて録画していたのだ。

「ハヒィッ……ハアッ……ハヒッ……ハアァッ……」
 激しく肩を上下させながらフイゴのように熱い呼吸をしながら、灼け爛れた意識で瑞紀は男たちの会話を聞いた。
(ビデオって……? こんな姿を撮られてた……? そんなッ……)
 絶頂オーガズムを極める瞬間は、女にとっては誰にも見られたくない最も恥ずかしい姿だ。それを何度も撮影された上、失禁したところまで録画されたと知り、瑞紀は蒼白になった。

ゆずりは瑞紀……。お前がイッたかどうかは、この映像を白銀龍成に鑑賞してもらって判断してもらうとしようか?」
「……やめ……て……」
 他の男の手によって何度も絶頂オーガズムを極めた姿など、龍成には絶対に見られたくなかった。激しい絶頂オーガズムによって全身は綿のように疲れ切り、凄まじい官能に脳髄さえ溶かされた瑞紀は、正常な判断などできない状態だった。

「おね……がい……。何でも……するから……、龍成……には……見せないで……」
「ほう……。何でもする、か……? その言葉も録画されていることは、分かっているんだろうな?」
 右手の男が、ニヤリと口元に笑みを浮かべながら告げた。それに小さく頷くと、瑞紀は痙攣の止まらない体を震わせながら哀願した。

「私は……何をされても……構わない……。だから……美咲は……返して……」
「素晴らしい自己犠牲の精神だな。では、それが本当かどうか、見せてもらおうか。目的地に到着するまでの間、よがり狂う様を見せるがいいッ……!」
 そう告げると、再び男は電マを瑞紀の真珠粒クリトリスに押しつけた。

「ひぃいいいッ……! だめぇえッ! やめてぇええッ……!」
 壮絶な激震に限界まで上体を仰け反らせながら、瑞紀は一瞬のうちに絶頂オーガズムを極めさせられた。真っ赤に染まった総身はビックンッビックンッと激しく痙攣し、花唇からは愛蜜と黄金水とが交互に飛び散った。
「本当に……狂っちゃうッ……! イクの……止まらないぃッ……! ゆる……してぇッ……! また、イクッ……! イクぅ……ぅううッ……!」
 その壮絶な拷問は、瑞紀が失神するまで続けられた。
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