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序章
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「六年前のあの少女と二人組を組ませるなんて……。親父さん、いったい何を考えてるんだ……?」
凄まじい凌辱を受けて心身ともに衰弱し、虚ろな瞳をしている少女の姿が脳裏に浮かんだ。白銀龍成は、サイドボードの上に置かれた遺影を見つめながら呟いた。そこにはストレートに伸ばした長い黒髪と大きめの黒曜石の瞳が印象的な美しい女性が写っていた。六年前の少女……楪瑞紀に瓜二つと言っても過言ではない女性だった。強いて言えば、現在の瑞紀に比べると二、三歳年上に見える大人びた女性だった。
彼女の名前は、白銀涼子。二年前の世界同時テロで死んだ白銀の妻だった。そして、彼女は楪瑞紀の実姉でもあった。
涼子の旧姓は高城である。<星月夜>統合作戦本部長である高城雄斗の長女だった。そして、涼子の三歳年下の妹として生まれたのが瑞紀であった。
高城雄斗と楪一也はアメリカのアイビーリーグの一つであるニュージャージー州のプリンストン大学で同期生だった。専攻は雄斗が行政学、一也が経済学であったが、日本人同士ということもあり二人が親友となるまでに時間はかからなかった。
プリンストン大学にはもう一人、日本人の同期生がいた。桂木優紀という心理学専攻の美しい女性だった。雄斗と一也、そして優紀はいつも三人で行動をしており、お互いが親友でもありライバルでもあった。だが、男二人と女一人という関係は、友情以外のものを育み始めた。雄斗と一也はほとんど同時に優紀を愛してしまったのだ。
優紀にとっては、雄斗も一也も同じように大切な友人だった。その二人の間で、優紀の心は揺れ動いた。論文発表のために一也がロードアイランド州にあるブラウン大学へ行っている間に、雄斗と優紀は結ばれた。プリンストン大学に戻った一也はそのことを雄斗から告げられたとき、ショックと同時に諦めにも似た感情を抱いた。心のどこかで、優紀には自分よりも雄斗の方が相応しいと感じていたのだ。
大学を卒業して帰国した後、雄斗は大手警備会社であった<星月夜>に就職し、一也は友人の化学者たちとともに製薬会社を立ち上げた。優紀は帰国後すぐに雄斗と同棲を始め、妊娠を契機に籍を入れた。その後、長女の涼子と次女の瑞紀を産んだ後、交通事故によって命を失った。
その頃、一也はすでに結婚をしていたが、妻の明里が子供の出来にくい体質であることが判明し、彼女と相談して雄斗の娘である瑞紀を養子として迎えることを考えた。雄斗が男手一つで二歳の涼子と生まれたての瑞紀を育てることは困難であったからだ。一也の提案を最初は拒んでいた雄斗であったが、最後には瑞紀を養子に出すことに了承した。
その瑞紀が十八歳の時に、中国系マフィア<蛇咬会>の下部組織に拉致監禁された。一也は真っ先に雄斗に連絡し、瑞紀の救出を依頼した。警察に届けなかったのは犯人の要求に屈したわけでなく、瑞紀を確実に救出して人々の好奇の視線から守るには、<星月夜>の特別捜査部長である雄斗の力を借りる方が良いと判断したからに他ならなかった。
当時、<星月夜>の精鋭部隊を率いて瑞紀を救出したのが、白銀龍成だった。瑞紀はショックのあまり覚えていないようだが、凌辱されて全裸で監禁されていた彼女を毛布で包み、<星月夜>本部まで送り届けたのは白銀だった。
その功績を雄斗に見込まれ、白銀は雄斗の長女である涼子と結婚することになった。もちろん見合いではなく、お互いに愛情を育んだ結果であった。
その涼子を、白銀は二年前の世界同時電子テロに続く暴動で失った。任務中であったとは言え、最愛の涼子を助けられなかったことは白銀の心に大きな傷を残した。<星月夜>を退職したいと申し出た白銀を、雄斗は必死で説得した。すでに白銀は<星月夜>随一のエージェントであったことも説得理由の一つだったが、何よりも彼が退職後に自暴自棄になることが目に見えていたからだ。
白銀は雄斗の説得に応じる条件として、今後二度とチームを組まないことを約束させた。大切な人を失うという悲しみを二度と経験したくなかったからだ。雄斗は「君と相棒を組むに相応しい人間が見つかるまでは、単独捜査を認める」と告げた。
その雄斗が、涼子の妹を白銀の相棒として任命したのだ。彼女が自分の相棒に相応しいとは、白銀にはとても思えなかった。
ピンポーン……。
来客を知らせるチャイムが鳴った。白銀はサイドボードにある涼子の写真立てを伏せ、左脇に吊ったショルダーホルスターから愛用のB&T USW P320を抜いて右手に持ち、安全装置を解除した。この住所は<星月夜>でも極秘扱いになっており、知っている者の数は限られていた。白銀は素早く壁を背にして移動すると、来客用モニターの映像を確認した。そこには、風に靡く黒髪を左手で押さえている瑞紀の姿があった。
「何をしに来た?」
B&T USW P320に安全装置をかけて左脇のホルスターに戻しながら、白銀は来客用モニターのマイクに向かって告げた。
「大切な用件で来ました。中に入れてもらえませんか?」
ハスキーなメゾ・ソプラノの声がスピーカーから聞こえてきた。その声色が緊張に震えていることが伝わってきた。
「入れ……」
ドアのロックを解除し、ドアガードを外すと白銀は外廊下に立っている瑞紀に向かって告げた。
「失礼します」と告げて革のブーツを脱ぐと、瑞紀は廊下を抜けてリビングに入った。七階にある瑞紀の部屋と間取りはほぼ同じだったが、物が少ないためか一回り広いように感じた。
「どうしてここを知った……?」
その質問を無視すると、まるで仇敵に出逢ったかのように、射抜くような視線で白銀を見据えながら瑞紀が告げた。
「抱かれに来ました……」
そして、黒い革ジャンパーを脱ぎ捨てると、身につけていた丸首のセーターや黒のスキニー・デニムを次々と脱ぎ始めた。それは、男に抱かれる女性の恥じらいなど微塵も感じさせない機械的な作業のようであった。
「何を考えている?」
驚きに目を見開きながら、白銀が呆然として訊ねてきた。
「あなたに抱かれたら、私を相棒として認めてくれるんですよね?」
淡青色のブラジャーとパンティだけを身につけた姿で、瑞紀が挑むように告げた。だが、さすがに恥ずかしいのか右手で豊かな胸を抱きしめ、左手は股間を隠していた。頬だけでなく耳元までも真っ赤に染まっていた。
「私は人の弱みにつけ込んで、女の体を要求するような人を軽蔑します。しかし、エージェントとしてのあなたの実績は尊敬に値するものだと思っています。だから、あなたの相棒になるために抱かれに来ました。その代わり、私を抱くのは一度だけにしてください。あなたにとって都合のいいセフレになるつもりはありません」
恥じらいと緊張とで早口になっていることが、自分でも分かった。だから、瑞紀は少しでも早くこの作業を終わらせようと思い、奥の壁側に置かれたベッドに向かって歩き出した。そして、その身を投げ出すかのように仰向けにベッドに横たわると、手足を伸ばして眼を閉じた。
「私の気が変わらないうちに、早く抱いてください……」
それが精一杯の虚勢であることは誰の目にも明白であった。その証拠に、瑞紀の告げた言葉は小さく、その語尾は震えていた。
「分かった……。男の部屋に来て『抱いてくれ』という女を黙って帰すほど、俺は人間ができていない。俺に抱かれたいというのなら、抱いてやる。俺の相棒になりたいというのなら、俺を満足させてみろ」
そう告げると、白銀は下着姿の瑞紀を見つめながら衣服を脱ぎだした。その様子を、瑞紀は挑むような視線で見つめた。
白銀の愛撫は想像以上に瑞紀の官能を刺激した。
瑞紀の体を優しく撫ぜながらその性感を探り当てると、的確な力加減を加えて彼女を昂ぶらせた。恥ずかしい声が漏れそうになり、瑞紀は何度も握りしめた右手の甲を口元に持っていき、歯で噛みしめた。だが、その度に白銀は瑞紀の右手首を掴んでベッドに押しつけながら告げた。
「感じているのなら、素直に声を出したらどうだ? その方がより楽しめるぞ……」
「感じてなんて……いません。誰が声なんて……あッ、んあぁッ……」
プイッと怒ったように顔を逸らせて文句を言おうとした瞬間、腰骨が蕩けるような愉悦が背筋を舐め上げた。抑えきれない嬌声が、瑞紀の唇から溢れ出た。
「いやッ……そこッ……! やめッ……あッ、だめッ……!」
白銀の指先が蜜液を掬い取り、敏感な肉の尖りを捏ね廻しながら塗りつけてきたのだ。瑞紀は慌てて白銀の動きを抑えようと、左手で彼の右手首を掴んだ。だが、白銀は瑞紀の抵抗など無視すると、彼女の官能を引き出すかのように敏感な突起を優しく嬲りだした。そして、慣れた手つきでクルンと薄皮を剥き上げると、赤く充血した真珠粒に直接蜜液を塗り立ててきた。
「ひいぃッ……! やめてッ……だめぇえッ! アッ、アッアァア……!」
女が最も感じるポイントを集中的に責め続けられたら堪ったものではなかった。腰骨を灼き溶かすような快感が背筋を舐め上げ、凄絶な愉悦が脳髄までドロドロに溶かし始めた。恥ずかしい喘ぎ声が止まらなくなり、瑞紀は長い髪を舞い乱して激しく首を振った。
ニヤリと笑みを浮かべながら瑞紀の痴態を見下ろすと、白銀は右手の中指を濡れた花唇に挿し入れた。そして、入口にある天井部分をコリコリと擦り上げながら、同時に蜜液で濡れ光る真珠粒を親指でグイッと押しつぶした。
「アッ、ヒィイイッ……!」
女の最大の弱点に加えられた暴虐に、瑞紀はビックンッと大きく仰け反ると、花唇からプシャアッと飛沫を噴出させた。そして、感電したようにビクンッビクンッと痙攣すると、愉悦の硬直を解き放ってハアァ、ハアァとせわしない吐息を漏らした。
「感じてないんじゃなかったのか?」
瑞紀が歓悦の極みに達したのを確認すると、白銀はニヤリと笑みを浮かべながらすべての動きを停止した。そして、右手の中指と親指で蜜液の糸を引きながら、それを見せつけるように瑞紀の目の前に掲げた。
「くッ……」
自分の性感が昂ぶっている証拠を突きつけられ、瑞紀は恥ずかしさのあまり真っ赤に染まった。そして、ギロリと白銀を睨みつけると、彼の言葉を否定するようにフイッと顔を横に逸らせた。
「気が強いな……。だが、体は正直だぞ……」
そう告げると、白銀は再び右手の指を瑞紀の中へ挿し込んだ。今度は、中指と薬指の二本だった。そして、激しく抜き挿ししながら指を鉤状に折り曲げると、天井部分を引っ掻くように刺激してきた。その動きに呼応させるかのように、親指で小さな円を描きながら真っ赤に充血した真珠粒をコリコリと転がし始めた。
「ひぃッ! いやぁッ! やめッ……アッ、アッアァア……!」
凄絶な愉悦が腰骨を灼き溶かし、瑞紀は大きく仰け反りながら泣き叫んだ。イヤイヤをするように激しく首を振ると、艶やかな黒髪が白いシーツの上を舞い乱れた。ビクンビクンと痙攣を始めた白い肢体は真っ赤に染まり、左胸には真紅の薔薇が浮かび上がって美しく咲き誇った。
「ほう……。薔薇の刺青か……。見事だな……」
驚きと興味を浮かべた視線で紅い薔薇を見つめると、白銀はその薔薇の蜜を吸うかのようにネットリと舌を這わせた。そして、薔薇の茎が巻き付いている中心で硬くそびえ立つ薄紅色の乳首を咥えると、甘噛みしながら舌先で舐め転がした。同時に左手で右の乳房を揉みしだき、親指と人差し指で先端を摘まみながら扱くように捏ね回した。その間も、右手はその動きを加速するかのように二本の指を激しく抜き挿しし、クチャクチャと卑猥な音を奏でながら蜜液を飛散させた。
「ひぃいいい! いやぁ……! やめてぇえ! おかしく……なっちゃうッ! アッ、アッ……アァアア……!」
女の弱点を四箇所も同時に責め立てられ、瑞紀は狂ったように悶え啼いた。舌と指で嬲られている乳首はガチガチに硬く尖り、ビッショリと濡れた花唇は飛沫を散らしながら男を誘うように妖しく光った。黒曜石の瞳は官能の愉悦に蕩け、赤く染まった目尻からは随喜の涙が溢れ出た。せわしなく熱い喘ぎを漏らす唇の端からは、ネットリとした涎が糸を引いて流れ落ちた。瑞紀が女の悦びに翻弄されていることは、誰の目にも明らかであった。
「いやぁあッ……! 許してぇ……! ダメッ、イッちゃうッ! アッ、アッ……! イクッ……、イッ……クゥウッ……!!」
官能の極みを告げる言葉と同時に、瑞紀がビックンッ、ビックンッと総身を激しく痙攣させた。同時にプシャアッと音を立てて蜜液が迸り、シーツに淫らな染みを描いた。そして、恍惚の硬直を解き放つと、瑞紀はグッタリと裸身を弛緩させてベッドに沈み込んだ。
その美しい貌は涙と涎に塗れ、白い裸身はビクンッビクンッと痙攣を続けていた。その左胸には濡れた真紅の薔薇が妖しく咲いていた。
「感じてないと言っておきながら、ずいぶんと派手にイッたな」
気が強い女を屈服させた満足感に浸りながら、白銀がニヤリと笑みを浮かべた。
「……ってない……」
「何……?」
「イッて……なんて……ない……」
官能の愉悦に蕩けた瞳で、瑞紀は白銀を睨んだ。大嫌いな男の手で絶頂を迎えさせられたことを絶対に認めたくなかった。だが、全身を駆け巡る凄まじい悦楽が、それが虚勢であることを告げていた。その証拠に、濡れた唇からは熱い吐息がせわしなく漏れ、真っ赤に染まった総身はビクンッビクンッと痙攣を続けていた。
「そうか、それは悪いことをしたな……。では、最後まできちんとイかせてやろう」
ニヤリと笑みを浮かべながらそう告げると、白銀はビクッビクッと痙攣している瑞紀の太股を掴んで足を大きく広げた。そして、彼女の両脚を自分の両肩で担ぐと、ビッショリと濡れた花唇に舌を這わし始めた。
「ひぃッ……やめッ……いやぁああ……!」
女の最も恥ずかしい部分を舌で嬲られ、瑞紀は羞恥で真っ赤に染まりながら悲鳴を上げた。次の瞬間、凄まじい愉悦が腰骨を蕩かせ、背筋を駆け抜けて脳髄を灼き尽くした。ビクンッと大きく痙攣すると、瑞紀は白い喉を仰け反らせて熱い喘ぎを漏らした。
薄皮を剥き上げられて真っ赤に充血している真珠粒を、白銀がヌメリと舐め上げたのだ。
「アッ、ヒィイッ……それッ……! あッ、だめぇえッ!……、いやぁああ……!」」
絶頂を極めたばかりの女体は全身の神経が剥き出しになったようなものだ。その中で最も敏感な真珠粒を直に嬲られるのは、快感を通り越して拷問に他ならなかった。
「ひぃいいい! ゆる……してぇ……! だめぇえッ! アッ、アッアァア……!」
白銀が唇で真珠粒を啄み、チューッと吸い上げた。その瞬間、プシャアッと恥ずかしい蜜液を迸らせると、総身を大きく仰け反らせながら瑞紀は絶頂した。
だが、白銀はビックンッビックンッと激しく痙攣する瑞紀の腰を押さえると、右手の中指と薬指を濡れた花唇に挿し込んだ。そして、指先を鉤状に折り曲げながら激しく抜き挿しを始めた。同時にヒクつく真珠粒を歯で甘噛みすると、その先端をネットリと舌で嬲り始めた。
「ヒッ……! アッ、ヒィイイ……! やめッ……、おかしくなるッ! だめぇえッ! アッ、アッアァア……!!」
歓喜の頂きを極めているにもかかわらず、白銀は一切の手加減なく瑞紀を責め続けた。凄絶な快感が全身を駆け巡り、脳髄さえも灼き溶かすような愉悦の奔流に瑞紀は本気で悶え啼いた。
「もう……許してぇえ……! 狂っ……ちゃうッ……! アッ、アッアァア……!!」
絶頂したと思った瞬間に、次の極みへと押し上げられた。プシャアッ、プシャアッと恥ずかしい蜜液を迸らせながら、瑞紀は痙攣と硬直を何度も繰り返した。限界を遥かに超える絶頂に支配され、呼吸さえも満足に出来なかった。
「もう、やめてぇッ……! イクの……とまらないッ! 死ん……じゃうッ……! だめぇえッ……! また、イクッ! イグぅううッ……!」
背骨が折れそうなほど大きく仰け反ると、真っ赤に染まった裸身をビックンッビックンッと痙攣させながら瑞紀は絶頂を極めた。プシャアッという音ともに、大量の蜜液が迸ってシーツに大きな染みを描いた。
ガチガチと歯を鳴らせながら歓喜の硬直を噛みしめると、瑞紀はグッタリと弛緩して白いシーツの波間に沈み込んだ。
閉じた睫毛は小刻みに震え、赤く染まった目尻から大粒の涙が流れ落ちた。ハァ、ハァとせわしない吐息を漏らす唇からは、ネットリとした涎が糸を引いて垂れていた。白い裸身はビックンッビックンッと痙攣を続け、四肢の先端まで甘く痺れて指一本動かせなかった。
「どうだ……? 今度は、イッてないなどとは言わせないぞ」
ニヤリと笑みを浮かべながら告げた白銀の言葉を認めるように、瑞紀は小さく頷いた。
「もう……ゆる……して……」
(これ以上……されたら……本当に……おかしくなる……)
だが、次に告げた白銀の台詞に、瑞紀は絶望のあまり恐怖さえ感じた。
「だが、まだ俺は一度もお前を抱いていないぞ。勝手に何度もイキまくる女には、お仕置きが必要だな……」
「おね……がい……ゆる……して……」
官能に蕩けきった黒瞳で白銀を見つめながら、瑞紀は本気で哀願した。そして、その視線が白銀の猛りきった男を捉えた瞬間、瑞紀は心の底から震え上がった。
(いま、あんなものを……入れられたら……私……壊れちゃう……)
それはかつて見た誰よりも太く長大だった。浮き出た血管は瘤のように盛り上がり、大きく張ったカリ部分は女を狂わせる凶器そのものだった。
「今までのは前戯に過ぎないぞ。これからが本番だ……」
そう告げると、怯える瑞紀の両脚を大きく広げながら、白銀がのし掛かってきた。
「いや……許してぇ……! アッ、ヒィイイイッ……!」
瑞紀の拒絶の言葉を無視して、白銀が彼女の中に押し入ってきた。肉壁を擦り上げながら一気に最奥まで貫かれた瞬間、瑞紀はビクンッビクンッと総身を震わせながら絶頂を極めた。その愉悦を噛みしめる間もなく、白銀が律動を始めた。入口付近まで腰を引いたと思うと、肉壁を擦りながら子宮口まで貫かれた。それを何度か繰り返されると、今度は入口の天井部分を巨大なカリで擦り上げられた。
「ひぃいい……! だめぇえッ! いやぁッ……やめッ……アッ、アッ、アァアア……!」
「おか……しく……なるッ……! 狂っちゃ……うッ……! やめてぇ……!」
「アッ、ヒィイイ……! もう……許してぇ……! 死ん……じゃうッ……!」
瑞紀はもはや自分が何を叫んでいるのかさえ分からなかった。数え切れないほどの恍惚が爆発し、壮絶な絶頂が脳髄を灼き溶かした。ビックンビックンと痙攣し、ガクッガクッと硬直を繰り返しながら、瑞紀は必死に白銀にしがみついた。そうしていないと、自分がドロドロに溶けてなくなりそうだった。
時間にしてどのくらいだろうか? 信じがたいほどの恍惚と想像を絶する絶頂を刻み続けられた瑞紀は、ついにその官能地獄に屈した。随喜の涙を流し、涎の糸を垂らしながら、瑞紀は本能の命じるままに激しく腰を動かし始めた。生まれて初めての凄絶な快感を貪り、女の悦びを極めて絶頂と硬直を何度も繰り返した。
「凄いぃッ……! 気持ちいいッ……! こんなの……初めてぇ……! もう……だめぇッ……! また、イクッ……! イグッ……ウゥウウ……!!」
かつてないほどの超絶な歓悦が全身を駆け巡った瞬間、瑞紀は大きく背中を仰け反らせながら凄まじいほどの極致感を極めた。目の前にチカチカと瞬いていた光が膨大な閃光の奔流へと変わり、瑞紀の視界を埋め尽くした。全身の細胞が歓喜のあまり灼き溶かされ、意識さえも快絶の荒波に呑み込まれた。
ビックンッ、ビックンッと全身を激烈に痙攣させると、瑞紀はプシャアッと大量の蜜液を迸らせた。その瞬間、膣壁が急激に収縮し、白銀の男を凄まじい力で締め上げた。
「くぅううッ……!!」
その壮絶な圧迫に耐えきれず、瑞紀の最奥で白銀が爆ぜた。熱い滾りをぶちまけるように、白い奔流が瑞紀の子宮口を何度も叩きつけた。
(ヒィイイ……! 死ぬぅうッ……!)
その思考を最後に、凄絶な官能に硬直した総身を解き放つと、瑞紀はグッタリと首を折って失神した。
真っ赤に上気した目尻から大粒の涙を流し、せわしない喘ぎを漏らす唇からはトロリと涎が糸を引いて垂れ落ちた。ビックンッビックンッと痙攣を続けている肢体の中で、左胸に咲く真紅の薔薇だけが妖しく濡れ光っていた。
凄まじい凌辱を受けて心身ともに衰弱し、虚ろな瞳をしている少女の姿が脳裏に浮かんだ。白銀龍成は、サイドボードの上に置かれた遺影を見つめながら呟いた。そこにはストレートに伸ばした長い黒髪と大きめの黒曜石の瞳が印象的な美しい女性が写っていた。六年前の少女……楪瑞紀に瓜二つと言っても過言ではない女性だった。強いて言えば、現在の瑞紀に比べると二、三歳年上に見える大人びた女性だった。
彼女の名前は、白銀涼子。二年前の世界同時テロで死んだ白銀の妻だった。そして、彼女は楪瑞紀の実姉でもあった。
涼子の旧姓は高城である。<星月夜>統合作戦本部長である高城雄斗の長女だった。そして、涼子の三歳年下の妹として生まれたのが瑞紀であった。
高城雄斗と楪一也はアメリカのアイビーリーグの一つであるニュージャージー州のプリンストン大学で同期生だった。専攻は雄斗が行政学、一也が経済学であったが、日本人同士ということもあり二人が親友となるまでに時間はかからなかった。
プリンストン大学にはもう一人、日本人の同期生がいた。桂木優紀という心理学専攻の美しい女性だった。雄斗と一也、そして優紀はいつも三人で行動をしており、お互いが親友でもありライバルでもあった。だが、男二人と女一人という関係は、友情以外のものを育み始めた。雄斗と一也はほとんど同時に優紀を愛してしまったのだ。
優紀にとっては、雄斗も一也も同じように大切な友人だった。その二人の間で、優紀の心は揺れ動いた。論文発表のために一也がロードアイランド州にあるブラウン大学へ行っている間に、雄斗と優紀は結ばれた。プリンストン大学に戻った一也はそのことを雄斗から告げられたとき、ショックと同時に諦めにも似た感情を抱いた。心のどこかで、優紀には自分よりも雄斗の方が相応しいと感じていたのだ。
大学を卒業して帰国した後、雄斗は大手警備会社であった<星月夜>に就職し、一也は友人の化学者たちとともに製薬会社を立ち上げた。優紀は帰国後すぐに雄斗と同棲を始め、妊娠を契機に籍を入れた。その後、長女の涼子と次女の瑞紀を産んだ後、交通事故によって命を失った。
その頃、一也はすでに結婚をしていたが、妻の明里が子供の出来にくい体質であることが判明し、彼女と相談して雄斗の娘である瑞紀を養子として迎えることを考えた。雄斗が男手一つで二歳の涼子と生まれたての瑞紀を育てることは困難であったからだ。一也の提案を最初は拒んでいた雄斗であったが、最後には瑞紀を養子に出すことに了承した。
その瑞紀が十八歳の時に、中国系マフィア<蛇咬会>の下部組織に拉致監禁された。一也は真っ先に雄斗に連絡し、瑞紀の救出を依頼した。警察に届けなかったのは犯人の要求に屈したわけでなく、瑞紀を確実に救出して人々の好奇の視線から守るには、<星月夜>の特別捜査部長である雄斗の力を借りる方が良いと判断したからに他ならなかった。
当時、<星月夜>の精鋭部隊を率いて瑞紀を救出したのが、白銀龍成だった。瑞紀はショックのあまり覚えていないようだが、凌辱されて全裸で監禁されていた彼女を毛布で包み、<星月夜>本部まで送り届けたのは白銀だった。
その功績を雄斗に見込まれ、白銀は雄斗の長女である涼子と結婚することになった。もちろん見合いではなく、お互いに愛情を育んだ結果であった。
その涼子を、白銀は二年前の世界同時電子テロに続く暴動で失った。任務中であったとは言え、最愛の涼子を助けられなかったことは白銀の心に大きな傷を残した。<星月夜>を退職したいと申し出た白銀を、雄斗は必死で説得した。すでに白銀は<星月夜>随一のエージェントであったことも説得理由の一つだったが、何よりも彼が退職後に自暴自棄になることが目に見えていたからだ。
白銀は雄斗の説得に応じる条件として、今後二度とチームを組まないことを約束させた。大切な人を失うという悲しみを二度と経験したくなかったからだ。雄斗は「君と相棒を組むに相応しい人間が見つかるまでは、単独捜査を認める」と告げた。
その雄斗が、涼子の妹を白銀の相棒として任命したのだ。彼女が自分の相棒に相応しいとは、白銀にはとても思えなかった。
ピンポーン……。
来客を知らせるチャイムが鳴った。白銀はサイドボードにある涼子の写真立てを伏せ、左脇に吊ったショルダーホルスターから愛用のB&T USW P320を抜いて右手に持ち、安全装置を解除した。この住所は<星月夜>でも極秘扱いになっており、知っている者の数は限られていた。白銀は素早く壁を背にして移動すると、来客用モニターの映像を確認した。そこには、風に靡く黒髪を左手で押さえている瑞紀の姿があった。
「何をしに来た?」
B&T USW P320に安全装置をかけて左脇のホルスターに戻しながら、白銀は来客用モニターのマイクに向かって告げた。
「大切な用件で来ました。中に入れてもらえませんか?」
ハスキーなメゾ・ソプラノの声がスピーカーから聞こえてきた。その声色が緊張に震えていることが伝わってきた。
「入れ……」
ドアのロックを解除し、ドアガードを外すと白銀は外廊下に立っている瑞紀に向かって告げた。
「失礼します」と告げて革のブーツを脱ぐと、瑞紀は廊下を抜けてリビングに入った。七階にある瑞紀の部屋と間取りはほぼ同じだったが、物が少ないためか一回り広いように感じた。
「どうしてここを知った……?」
その質問を無視すると、まるで仇敵に出逢ったかのように、射抜くような視線で白銀を見据えながら瑞紀が告げた。
「抱かれに来ました……」
そして、黒い革ジャンパーを脱ぎ捨てると、身につけていた丸首のセーターや黒のスキニー・デニムを次々と脱ぎ始めた。それは、男に抱かれる女性の恥じらいなど微塵も感じさせない機械的な作業のようであった。
「何を考えている?」
驚きに目を見開きながら、白銀が呆然として訊ねてきた。
「あなたに抱かれたら、私を相棒として認めてくれるんですよね?」
淡青色のブラジャーとパンティだけを身につけた姿で、瑞紀が挑むように告げた。だが、さすがに恥ずかしいのか右手で豊かな胸を抱きしめ、左手は股間を隠していた。頬だけでなく耳元までも真っ赤に染まっていた。
「私は人の弱みにつけ込んで、女の体を要求するような人を軽蔑します。しかし、エージェントとしてのあなたの実績は尊敬に値するものだと思っています。だから、あなたの相棒になるために抱かれに来ました。その代わり、私を抱くのは一度だけにしてください。あなたにとって都合のいいセフレになるつもりはありません」
恥じらいと緊張とで早口になっていることが、自分でも分かった。だから、瑞紀は少しでも早くこの作業を終わらせようと思い、奥の壁側に置かれたベッドに向かって歩き出した。そして、その身を投げ出すかのように仰向けにベッドに横たわると、手足を伸ばして眼を閉じた。
「私の気が変わらないうちに、早く抱いてください……」
それが精一杯の虚勢であることは誰の目にも明白であった。その証拠に、瑞紀の告げた言葉は小さく、その語尾は震えていた。
「分かった……。男の部屋に来て『抱いてくれ』という女を黙って帰すほど、俺は人間ができていない。俺に抱かれたいというのなら、抱いてやる。俺の相棒になりたいというのなら、俺を満足させてみろ」
そう告げると、白銀は下着姿の瑞紀を見つめながら衣服を脱ぎだした。その様子を、瑞紀は挑むような視線で見つめた。
白銀の愛撫は想像以上に瑞紀の官能を刺激した。
瑞紀の体を優しく撫ぜながらその性感を探り当てると、的確な力加減を加えて彼女を昂ぶらせた。恥ずかしい声が漏れそうになり、瑞紀は何度も握りしめた右手の甲を口元に持っていき、歯で噛みしめた。だが、その度に白銀は瑞紀の右手首を掴んでベッドに押しつけながら告げた。
「感じているのなら、素直に声を出したらどうだ? その方がより楽しめるぞ……」
「感じてなんて……いません。誰が声なんて……あッ、んあぁッ……」
プイッと怒ったように顔を逸らせて文句を言おうとした瞬間、腰骨が蕩けるような愉悦が背筋を舐め上げた。抑えきれない嬌声が、瑞紀の唇から溢れ出た。
「いやッ……そこッ……! やめッ……あッ、だめッ……!」
白銀の指先が蜜液を掬い取り、敏感な肉の尖りを捏ね廻しながら塗りつけてきたのだ。瑞紀は慌てて白銀の動きを抑えようと、左手で彼の右手首を掴んだ。だが、白銀は瑞紀の抵抗など無視すると、彼女の官能を引き出すかのように敏感な突起を優しく嬲りだした。そして、慣れた手つきでクルンと薄皮を剥き上げると、赤く充血した真珠粒に直接蜜液を塗り立ててきた。
「ひいぃッ……! やめてッ……だめぇえッ! アッ、アッアァア……!」
女が最も感じるポイントを集中的に責め続けられたら堪ったものではなかった。腰骨を灼き溶かすような快感が背筋を舐め上げ、凄絶な愉悦が脳髄までドロドロに溶かし始めた。恥ずかしい喘ぎ声が止まらなくなり、瑞紀は長い髪を舞い乱して激しく首を振った。
ニヤリと笑みを浮かべながら瑞紀の痴態を見下ろすと、白銀は右手の中指を濡れた花唇に挿し入れた。そして、入口にある天井部分をコリコリと擦り上げながら、同時に蜜液で濡れ光る真珠粒を親指でグイッと押しつぶした。
「アッ、ヒィイイッ……!」
女の最大の弱点に加えられた暴虐に、瑞紀はビックンッと大きく仰け反ると、花唇からプシャアッと飛沫を噴出させた。そして、感電したようにビクンッビクンッと痙攣すると、愉悦の硬直を解き放ってハアァ、ハアァとせわしない吐息を漏らした。
「感じてないんじゃなかったのか?」
瑞紀が歓悦の極みに達したのを確認すると、白銀はニヤリと笑みを浮かべながらすべての動きを停止した。そして、右手の中指と親指で蜜液の糸を引きながら、それを見せつけるように瑞紀の目の前に掲げた。
「くッ……」
自分の性感が昂ぶっている証拠を突きつけられ、瑞紀は恥ずかしさのあまり真っ赤に染まった。そして、ギロリと白銀を睨みつけると、彼の言葉を否定するようにフイッと顔を横に逸らせた。
「気が強いな……。だが、体は正直だぞ……」
そう告げると、白銀は再び右手の指を瑞紀の中へ挿し込んだ。今度は、中指と薬指の二本だった。そして、激しく抜き挿ししながら指を鉤状に折り曲げると、天井部分を引っ掻くように刺激してきた。その動きに呼応させるかのように、親指で小さな円を描きながら真っ赤に充血した真珠粒をコリコリと転がし始めた。
「ひぃッ! いやぁッ! やめッ……アッ、アッアァア……!」
凄絶な愉悦が腰骨を灼き溶かし、瑞紀は大きく仰け反りながら泣き叫んだ。イヤイヤをするように激しく首を振ると、艶やかな黒髪が白いシーツの上を舞い乱れた。ビクンビクンと痙攣を始めた白い肢体は真っ赤に染まり、左胸には真紅の薔薇が浮かび上がって美しく咲き誇った。
「ほう……。薔薇の刺青か……。見事だな……」
驚きと興味を浮かべた視線で紅い薔薇を見つめると、白銀はその薔薇の蜜を吸うかのようにネットリと舌を這わせた。そして、薔薇の茎が巻き付いている中心で硬くそびえ立つ薄紅色の乳首を咥えると、甘噛みしながら舌先で舐め転がした。同時に左手で右の乳房を揉みしだき、親指と人差し指で先端を摘まみながら扱くように捏ね回した。その間も、右手はその動きを加速するかのように二本の指を激しく抜き挿しし、クチャクチャと卑猥な音を奏でながら蜜液を飛散させた。
「ひぃいいい! いやぁ……! やめてぇえ! おかしく……なっちゃうッ! アッ、アッ……アァアア……!」
女の弱点を四箇所も同時に責め立てられ、瑞紀は狂ったように悶え啼いた。舌と指で嬲られている乳首はガチガチに硬く尖り、ビッショリと濡れた花唇は飛沫を散らしながら男を誘うように妖しく光った。黒曜石の瞳は官能の愉悦に蕩け、赤く染まった目尻からは随喜の涙が溢れ出た。せわしなく熱い喘ぎを漏らす唇の端からは、ネットリとした涎が糸を引いて流れ落ちた。瑞紀が女の悦びに翻弄されていることは、誰の目にも明らかであった。
「いやぁあッ……! 許してぇ……! ダメッ、イッちゃうッ! アッ、アッ……! イクッ……、イッ……クゥウッ……!!」
官能の極みを告げる言葉と同時に、瑞紀がビックンッ、ビックンッと総身を激しく痙攣させた。同時にプシャアッと音を立てて蜜液が迸り、シーツに淫らな染みを描いた。そして、恍惚の硬直を解き放つと、瑞紀はグッタリと裸身を弛緩させてベッドに沈み込んだ。
その美しい貌は涙と涎に塗れ、白い裸身はビクンッビクンッと痙攣を続けていた。その左胸には濡れた真紅の薔薇が妖しく咲いていた。
「感じてないと言っておきながら、ずいぶんと派手にイッたな」
気が強い女を屈服させた満足感に浸りながら、白銀がニヤリと笑みを浮かべた。
「……ってない……」
「何……?」
「イッて……なんて……ない……」
官能の愉悦に蕩けた瞳で、瑞紀は白銀を睨んだ。大嫌いな男の手で絶頂を迎えさせられたことを絶対に認めたくなかった。だが、全身を駆け巡る凄まじい悦楽が、それが虚勢であることを告げていた。その証拠に、濡れた唇からは熱い吐息がせわしなく漏れ、真っ赤に染まった総身はビクンッビクンッと痙攣を続けていた。
「そうか、それは悪いことをしたな……。では、最後まできちんとイかせてやろう」
ニヤリと笑みを浮かべながらそう告げると、白銀はビクッビクッと痙攣している瑞紀の太股を掴んで足を大きく広げた。そして、彼女の両脚を自分の両肩で担ぐと、ビッショリと濡れた花唇に舌を這わし始めた。
「ひぃッ……やめッ……いやぁああ……!」
女の最も恥ずかしい部分を舌で嬲られ、瑞紀は羞恥で真っ赤に染まりながら悲鳴を上げた。次の瞬間、凄まじい愉悦が腰骨を蕩かせ、背筋を駆け抜けて脳髄を灼き尽くした。ビクンッと大きく痙攣すると、瑞紀は白い喉を仰け反らせて熱い喘ぎを漏らした。
薄皮を剥き上げられて真っ赤に充血している真珠粒を、白銀がヌメリと舐め上げたのだ。
「アッ、ヒィイッ……それッ……! あッ、だめぇえッ!……、いやぁああ……!」」
絶頂を極めたばかりの女体は全身の神経が剥き出しになったようなものだ。その中で最も敏感な真珠粒を直に嬲られるのは、快感を通り越して拷問に他ならなかった。
「ひぃいいい! ゆる……してぇ……! だめぇえッ! アッ、アッアァア……!」
白銀が唇で真珠粒を啄み、チューッと吸い上げた。その瞬間、プシャアッと恥ずかしい蜜液を迸らせると、総身を大きく仰け反らせながら瑞紀は絶頂した。
だが、白銀はビックンッビックンッと激しく痙攣する瑞紀の腰を押さえると、右手の中指と薬指を濡れた花唇に挿し込んだ。そして、指先を鉤状に折り曲げながら激しく抜き挿しを始めた。同時にヒクつく真珠粒を歯で甘噛みすると、その先端をネットリと舌で嬲り始めた。
「ヒッ……! アッ、ヒィイイ……! やめッ……、おかしくなるッ! だめぇえッ! アッ、アッアァア……!!」
歓喜の頂きを極めているにもかかわらず、白銀は一切の手加減なく瑞紀を責め続けた。凄絶な快感が全身を駆け巡り、脳髄さえも灼き溶かすような愉悦の奔流に瑞紀は本気で悶え啼いた。
「もう……許してぇえ……! 狂っ……ちゃうッ……! アッ、アッアァア……!!」
絶頂したと思った瞬間に、次の極みへと押し上げられた。プシャアッ、プシャアッと恥ずかしい蜜液を迸らせながら、瑞紀は痙攣と硬直を何度も繰り返した。限界を遥かに超える絶頂に支配され、呼吸さえも満足に出来なかった。
「もう、やめてぇッ……! イクの……とまらないッ! 死ん……じゃうッ……! だめぇえッ……! また、イクッ! イグぅううッ……!」
背骨が折れそうなほど大きく仰け反ると、真っ赤に染まった裸身をビックンッビックンッと痙攣させながら瑞紀は絶頂を極めた。プシャアッという音ともに、大量の蜜液が迸ってシーツに大きな染みを描いた。
ガチガチと歯を鳴らせながら歓喜の硬直を噛みしめると、瑞紀はグッタリと弛緩して白いシーツの波間に沈み込んだ。
閉じた睫毛は小刻みに震え、赤く染まった目尻から大粒の涙が流れ落ちた。ハァ、ハァとせわしない吐息を漏らす唇からは、ネットリとした涎が糸を引いて垂れていた。白い裸身はビックンッビックンッと痙攣を続け、四肢の先端まで甘く痺れて指一本動かせなかった。
「どうだ……? 今度は、イッてないなどとは言わせないぞ」
ニヤリと笑みを浮かべながら告げた白銀の言葉を認めるように、瑞紀は小さく頷いた。
「もう……ゆる……して……」
(これ以上……されたら……本当に……おかしくなる……)
だが、次に告げた白銀の台詞に、瑞紀は絶望のあまり恐怖さえ感じた。
「だが、まだ俺は一度もお前を抱いていないぞ。勝手に何度もイキまくる女には、お仕置きが必要だな……」
「おね……がい……ゆる……して……」
官能に蕩けきった黒瞳で白銀を見つめながら、瑞紀は本気で哀願した。そして、その視線が白銀の猛りきった男を捉えた瞬間、瑞紀は心の底から震え上がった。
(いま、あんなものを……入れられたら……私……壊れちゃう……)
それはかつて見た誰よりも太く長大だった。浮き出た血管は瘤のように盛り上がり、大きく張ったカリ部分は女を狂わせる凶器そのものだった。
「今までのは前戯に過ぎないぞ。これからが本番だ……」
そう告げると、怯える瑞紀の両脚を大きく広げながら、白銀がのし掛かってきた。
「いや……許してぇ……! アッ、ヒィイイイッ……!」
瑞紀の拒絶の言葉を無視して、白銀が彼女の中に押し入ってきた。肉壁を擦り上げながら一気に最奥まで貫かれた瞬間、瑞紀はビクンッビクンッと総身を震わせながら絶頂を極めた。その愉悦を噛みしめる間もなく、白銀が律動を始めた。入口付近まで腰を引いたと思うと、肉壁を擦りながら子宮口まで貫かれた。それを何度か繰り返されると、今度は入口の天井部分を巨大なカリで擦り上げられた。
「ひぃいい……! だめぇえッ! いやぁッ……やめッ……アッ、アッ、アァアア……!」
「おか……しく……なるッ……! 狂っちゃ……うッ……! やめてぇ……!」
「アッ、ヒィイイ……! もう……許してぇ……! 死ん……じゃうッ……!」
瑞紀はもはや自分が何を叫んでいるのかさえ分からなかった。数え切れないほどの恍惚が爆発し、壮絶な絶頂が脳髄を灼き溶かした。ビックンビックンと痙攣し、ガクッガクッと硬直を繰り返しながら、瑞紀は必死に白銀にしがみついた。そうしていないと、自分がドロドロに溶けてなくなりそうだった。
時間にしてどのくらいだろうか? 信じがたいほどの恍惚と想像を絶する絶頂を刻み続けられた瑞紀は、ついにその官能地獄に屈した。随喜の涙を流し、涎の糸を垂らしながら、瑞紀は本能の命じるままに激しく腰を動かし始めた。生まれて初めての凄絶な快感を貪り、女の悦びを極めて絶頂と硬直を何度も繰り返した。
「凄いぃッ……! 気持ちいいッ……! こんなの……初めてぇ……! もう……だめぇッ……! また、イクッ……! イグッ……ウゥウウ……!!」
かつてないほどの超絶な歓悦が全身を駆け巡った瞬間、瑞紀は大きく背中を仰け反らせながら凄まじいほどの極致感を極めた。目の前にチカチカと瞬いていた光が膨大な閃光の奔流へと変わり、瑞紀の視界を埋め尽くした。全身の細胞が歓喜のあまり灼き溶かされ、意識さえも快絶の荒波に呑み込まれた。
ビックンッ、ビックンッと全身を激烈に痙攣させると、瑞紀はプシャアッと大量の蜜液を迸らせた。その瞬間、膣壁が急激に収縮し、白銀の男を凄まじい力で締め上げた。
「くぅううッ……!!」
その壮絶な圧迫に耐えきれず、瑞紀の最奥で白銀が爆ぜた。熱い滾りをぶちまけるように、白い奔流が瑞紀の子宮口を何度も叩きつけた。
(ヒィイイ……! 死ぬぅうッ……!)
その思考を最後に、凄絶な官能に硬直した総身を解き放つと、瑞紀はグッタリと首を折って失神した。
真っ赤に上気した目尻から大粒の涙を流し、せわしない喘ぎを漏らす唇からはトロリと涎が糸を引いて垂れ落ちた。ビックンッビックンッと痙攣を続けている肢体の中で、左胸に咲く真紅の薔薇だけが妖しく濡れ光っていた。
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