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第4章 新たなる試練

9 昇格試験

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 先ほどの応接室に戻ると、ダリウスは目の前に座るアトロポスとマグノリアの前に一枚の手紙を置いた。リギアが持ってきた二十年前のカーメリアからの置き手紙だった。
「読んでみてくれ、マグノリア殿」
「はい……」
 ダリウスの言葉に頷くと、マグノリアは白磁のような白い手で手紙を取った。そして、ゴクリと喉を鳴らすと、二人に聞かせるために声に出して読み始めた。


『親愛なるダリウス様へ

 昨日、申し上げたとおり、私は貴方様のお子を宿しました。女としてこれほど幸せなことはございません。

 しかし、その幸せを良く思わない方々がこの屋敷にはいらっしゃいます。どなたとは申し上げませんが、以前からたびたび私は生命を狙われております。お茶に毒が入っていたり、頭上から植木鉢が落ちてきたり、階段から突き落とされたこともございます。今までは運良く大事には至りませんでしたが、貴方様のお子を宿した身となれば安穏としてはいられません。

 少なくても、この子が自分の足で歩けるようになるまでは、この屋敷を出て安全な場所で育てたいと思います。無事に戻ることができましたら、この子に名前をつけていただきとうございます。それまでの間は、私が仮の名をつけることをお許しください。

 男であれば王のように光り輝くと言う意味で、レグルスと……。女であれば高潔で慈愛に満ちた心を持つように、マグノリアと名付けとう存じます。

 なお、一年経っても私が戻らない時には、すでにこの世にいないものと思し召しください。その時には、私の命に賭けてもお子だけは助かるようにできる限りの手を尽くします。

 再び、貴方様にお目にかかる日を夢見ております。どうか、それまでご自愛くださいませ。

 カーメリア=フォン=シルヴェスター 』


 手紙を読み終えると、マグノリアは肩を震わせながら嗚咽した。美しい碧眼から涙が溢れて、白い頬を伝って流れ落ちた。
「お母様……」
 マグノリアの薄紅色の唇から、悲しみに満ちた呟きが漏れた。
「マグノリア……」
 そっと震える肩を抱くと、マグノリアはアトロポスに抱きついてきた。アトロポスは、声を押し殺しながら泣くマグノリアの背中を優しく撫ぜた。

「すまない、マグノリア殿。貴女にこの手紙を読ませるなど、私が無神経だった。許してくれ」
 そう告げると、ダリウスがマグノリアに頭を下げた。マグノリアは嗚咽を堪えながらアトロポスから離れると、ダリウスに向かって告げた。
「いえ……読ませていただいて……感謝しています。ありがとう……ございました……」

「ダリウス将軍、マグノリアという文字の筆跡を比べてみてください」
「分かった……」
 アトロポスの言葉に頷くと、ダリウスが二枚の手紙を手に取って見比べ始めた。アトロポスはマグノリアの手を握りながら、ダリウスの言葉を待った。

「俺には……同じに見える。アトロポス、お前も見てくれ」
「はい……。失礼します」
 ダリウスから二枚の手紙を受け取ると、アトロポスは「マグノリア」という文字を見比べた。カーメリアの筆跡はやや癖があった。「g」の上の○が小さく、「j」のように見えるのだ。それが二枚とも共通していた。

「私にも同じに見えます。特に、gがjに見えるところなど、同じ筆跡かと思います」
「言われてみれば、たしかに……」
 ダリウスが再び二枚の手紙を見比べて頷いた。そして、濃茶色の瞳に優しさと愛情を浮かべながらマグノリアを見つめた。
 ダリウスはソファから立ち上がると、ゆっくりとマグノリアの隣りに足を進めた。

「マグノリア……」
 ダリウスの呼びかけに、マグノリアも席を立った。そして、涙に濡れた美しい碧眼でダリウスの顔を見上げた。
「お父……様……?」
「マグノリア……」
 ダリウスがマグノリアの体を優しく抱き寄せた。マグノリアもダリウスの背中に腕をまわすと、彼の胸に顔をうずめながら肩を震わせた。

 二十年という長い時を経て、父と娘は再会を果たした。


 マグノリアは、ダリウスが手配してくれた近衛騎士団の馬車でセント・ルミナス教会に向かった。
 ダリウスは一週間後に迎えに行くので、それからは自分の屋敷に移って欲しいとマグノリアに告げた。世話になった人々への挨拶や身辺の整理もあるが、何よりマグノリアが心の準備をする期間が必要だと考えたダリウスなりの配慮だった。
 マグノリアは嬉しそうにダリウスに微笑みかけ、「お待ちしています」と告げた。

「何なの、あのダリウス将軍の親馬鹿ぶりは? 王宮最強の騎士は、いったいどこに行っちゃったのかな? あの様子じゃ、マグノリアが結婚する時なんて、大変よ」
 馬車の中で隣に座るマグノリアに、アトロポスは笑いながら告げた。セント・ルミナス教会に行く途中にある冒険者ギルド・レウルーラ本部まで、アトロポスは馬車に便乗させてもらったのだ。

「ダリウス将軍って、そんなに強いの?」
「ダリウス将軍じゃなくて、お父様でしょ?」
 ニヤリと笑いながら、アトロポスが揶揄からかった。
「だって、まだ照れくさくって……」
「まあ、急にはなかなか呼べないわよね。で、ダリウス将軍だけど、強いわよ。さっき、模擬戦をしたけど、冒険者なら剣士クラスAは間違いないわね」
 ダリウスの覇気攻撃を思い出し、アトロポスが太鼓判を押した。

「そうなんだ? 剣士クラスAって言われても、あんまりピンとこないけど……」
 冒険者の力量を知らないマグノリアにとっては、当然のことだとアトロポスは思った。
「剣士クラスAっていうのは、覇気攻撃ができるのよ。剣を振っただけで、数十メッツェ先の相手を両断できるレベルよ」
「凄い……。そんなことができるんだ?」
 美しい碧眼を大きく見開きながら、マグノリアが訊いた。

「うん。王宮最強どころか、レウルキア王国の騎士団でもトップクラスじゃないかな?」
「素敵ね……。あたしもそんな人と結婚したいなぁ」
 マグノリアの言葉を聞いて、アトロポスは思った。
(親馬鹿に、父親愛着ファザコンかぁ……。これじゃあ、当分マグノリアの結婚はないわね)

「そう言えば、ジェラードの件はどうするの? 院長先生に聞いてみる?」
 マグノリアがジェラードと本当の兄妹かどうか確認しようと話したことを思い出し、アトロポスが訊ねた。
「ううん、もういいわ。血が繋がっていようが繋がってなかろうが、ジェラードが兄さんであることには変わりないから……」
「そうね。その通りよね」
 笑顔で告げたマグノリアの言葉に、アトロポスも微笑みながら頷いた。


 冒険者ギルドの前で馬車を止めてもらい、アトロポスはマグノリアを見送ると、ギルドの観音扉を押して中に入った。アトロポスは空いている受付に走り寄って、受付嬢に訊ねた。
「すみません、剣士クラスAの昇格試験って終わっちゃいましたか?」
「いえ、二回戦までは終わりましたが、決勝とギルマスによる本試験はこれからですよ。そろそろ、決勝が始まる頃だと思います」
「ありがとうございます」
 笑顔で教えてくれたエルフの美人受付嬢に礼を言うと、アトロポスは地下訓練場に続く階段を駆け下りていった。

(良かった! バッカスさん、決勝に残ってるわ!)
 地下訓練場に入ると、アトロポスは入口近くの観戦席に座って訓練場の中央にいる二人の剣士を見つめた。一人は見慣れた革鎧姿のバッカスで、すでに両手剣バスターソードを抜いて右上段に構えていた。
 もう一人はバッカスを一回り大きくした巨漢の男だった。武器は普通の長剣だが、左右に一本ずつ持った二刀流の剣士だった。普通は両手で扱う長剣を片手で持つだけあり、三角筋から上腕筋は異様に発達していた。二の腕の太さはバッカスよりも太かった。

(覇気は……バッカスさんと同じくらいね)
 火属性の真紅の覇気を薄らと纏っているバッカスに対して、その巨漢からは水属性の蒼い覇気が見えた。
(火と水か……。相性最悪じゃない?)
 相反する属性の場合、少しでも覇気が強い方が有利だった。だが、二人の覇気の大きさは、ほとんど同じくらいにアトロポスには感じられた。

(覇気による攻撃が相殺されるとなると、純粋に剣技の速さと威力ちからが勝る方が勝ちそうね。威力では相手の方が強そうだけど、バッカスさん大丈夫かな?)
「これより剣士クラスA昇格試験の決勝を始める。この試合に勝った方が、本試験に進んで俺と戦える権利を得る。準備はいいか、バッカス、ブレイド?」
「おう!」
「いつでもいいぜ!」
 二人は気合いの入った声で叫んだ。
「よし、始めッ!」
 アルフレードが頭上に掲げた長剣を振り落とすと同時に開始の合図を告げた。


「くッ……!」
 頭上からの斬撃を両手剣バスターソードで受けると、左脇腹を狙った薙ぎをバッカスは大きく後ろに飛び退いて躱した。
(くそッ! 二刀流ってのはやりずれえぜ! こっちを避けたらあっちが来やがる!)
 両手剣バスターソードを右上段に構えながら、バッカスはブレイドの顔を見据えた。

(こいつ、意外と綺麗な顔してやがるな?)
 別にバッカスはブレイドに見蕩れたわけではない。剣士クラスAにまでなろうというわりには、ブレイドは顔や体にほとんど傷がないのだ。クラスB以下の冒険者はよほどのことがない限り、上級や中級の回復ポーションなど使わない。依頼の報酬に対して、ポーションの方が高く赤字になるからだ。そのため、傷がないというのは、防御が上手いということだった。

「ハッ!」
 バッカスは右上段からの袈裟懸け、左からの薙ぎ、右下からの逆袈裟、上段からの振り落としと、連撃を放った。だが、そのすべてをブレイドは二本の剣で受け止め、払い、流した。

(やっぱりだ! こいつ、受けに特化してやがる!)
 先ほど受けたブレイドの斬撃は、かなりの速度だった。だが、重さはさほどでもなかった。別にブレイドが非力という訳ではない。むしろ、単なる膂力を比べたら、バッカスよりも強いだろう。軽いと感じたのは、武器の差だった。四ケーゲムもあるバッカスの両手剣バスターソードと比べ、ブレイドの長剣はその半分以下の重量しかない。攻撃の威力に差が出るのは必然だった。

(さて、どうするか……?)
 どう攻めるか考える時間を作るために、バッカスは両手剣バスターソードを正眼に構えた。正眼の構えというのは、剣術の基本である。防御にも攻撃にも即座に対応できる構えだ。だから、ある程度の心得がある剣士ならば、無闇に斬り込んで来ない。逆襲を受ける可能性が強いからだ。

(……! 姐御……!?)
 正眼に構えた両手剣バスターソードの切っ先に、今朝別れたはずのアトロポスの姿が見えた。アトロポスはダリウス将軍に会うために、近衛騎士団本部に行ったはずである。
(もう、用件を済ませてきたのか? さすがに姐御だ)
 細かい内容は訊いていなかったが、近衛騎士団長のダリウス将軍との会合が簡単なはずはないことくらい、バッカスにも容易に想像がついた。

(姐御の前で無様なところは見せられねえわな!)
 バッカスの全身を纏っている覇気が、その濃度を増した。薄らとした赤だったのが、急激に濃度と彩度を増していき、ついには深紅色クリムゾンの輝きを放ち始めた。
「ハァアアッ!」
 丹田で練っていた覇気を、バッカスは一気に開放した。全身から放たれていた深紅色クリムゾンの覇気が爆発すると、真紅の火焔がバッカスの体から燃え上がった。
 剣士クラスAに相応しい深紅の猛火が、壮絶な威圧を伴いながらバッカスを包み込んだ。


(姐御、見ててくれよッ!)
 バッカスにとってアトロポスは、今や女神に勝るとも劣らない崇拝の対象だった。

 初めて会った時、バッカスはアトロポスを生意気な小娘と侮蔑し、ひどい口調で愚弄した。アルフレードに、アトロポスに傷一つでもつけたら昇格させてやると言われ、ギルマスもおかしくなったかと本気で思った。どう見ても冒険者になりたてのアトロポスなど、自分の敵ではないと確信していた。
 だが、アトロポスの実力は、バッカスの想像を遥かに超えていた。彼女が剣士クラスSだと知り、SS級魔獣を一人で討伐したと訊いた時、バッカスは驚愕を通り越して戦慄さえ感じた。

 バッカスは以前にダンジョンでSS級魔獣の水龍と遭遇したことがあった。衝撃波ブレス一つで森さえも消滅させる水龍は、もはや天災そのものだった。その時は幸運にも命を失わずに逃げることができたが、バッカスはあんな化け物を倒せるパーティなどないことを実感した。
 その天災を、目の前の小さな少女は一人で・・・倒したと言う。半信半疑のバッカスに、その少女は腰の刀を振ってみせた。すると、三十メッツェは離れているアダマンタイト製の人形が両断され、地響きを立てながら地面に落ちた。

 バッカスはアトロポスに興味を持った。魅了されたと言っても過言ではなかった。この少女の近くで、彼女の起こす奇跡をもっと見てみたい。もはや、その感情は恋愛に近かった。

 アトロポスが受けた依頼に同行し、バッカスはセント・ルミナス教会で二十人の男たちを斬り倒した。教会を血の海にしたことにより、アトロポスはギルマスのアルフレードから激怒された。年相応に涙目になってビビりまくるアトロポスを、バッカスは可愛いと思った。その後、バッカスはアトロポスから覇気の使い方を教わった。それはバッカスの腕を斬り落とすほど凄まじい訓練だった。少女のあどけなさと非情の戦士の心を併せ持つアトロポスに、バッカスはますます惹かれていった。

 昨夜、アトロポスと一緒に飲んでいた時、顔見知りの冒険者たちに絡まれた。アトロポスを愚弄した彼らに怒りを感じ、バッカスは喧嘩を買おうとした。だが、アトロポスはバッカスを止め、彼らと一緒に店を出た。そして、凄まじい覇気で脅しつけて彼らを追い払った。そして、笑顔を浮かべながら気分直しにとことん飲もうと告げてきた。彼女が自分のために怒っていたことを知り、バッカスは感動した。そして、これからもずっとこの少女を護り抜こうと心に誓った。


(まずいッ!)
 バッカスの全身が深紅の劫火に包まれたのを見て、アトロポスは席を立った。
(ダリウス将軍といい、バッカスさんといい……何でこうなの!?)
 あのままバッカスが覇気の奔流を放ったら、目の前のブレイドを殺してしまうことは確実だった。それだけの威力をバッカスの覇気は持っていた。
 アトロポスは天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに漆黒の覇気を流し込むと、速度強化を最大にして駆けだした。


「ハァアアッ!」
 裂帛の気合いとともに、バッカスが上段から両手剣バスターソードを振り抜いた。深紅色クリムゾンの覇気が螺旋を描きながら、真紅の奔流となってブレイドに襲いかかった。
 ブレイドは驚愕のあまり両目を大きく見開くと、咄嗟に両手に持った長剣を顔の前で交差させた。だが、そんなことでバッカスの覇気の激流を止められるはずはなかった。

「ひっ……!」
 短い悲鳴がブレイドの口から漏れた。ブレイドは固く眼を閉じると、訪れる死の衝撃を待った。だが、いつまで経っても、死神の鎌は落ちてこなかった。
(……?)
 ゆっくりと眼を開くと、漆黒の滝のような長い黒髪が揺れていた。それが、自分よりも遥かに小さな少女だと気づくと、ブレイドは呆然とした。その少女はブレイドの方を振り返ると、ニッコリと微笑みながら訊ねてきた。
「大丈夫ですか?」


「何ッ……?」
 渾身の力で放った覇気の奔流が、突然消滅した。驚きと不信の表情を浮かべたバッカスの眼に、居合抜きを放ったアトロポスの姿が映った。
「姐御……?」
(何で姐御がここに……?)
 つい一瞬前まで、アトロポスは二十メッツェ以上も先の観戦席に座っていたはずだ。それが、今は美しい蒼い刀身の剣を右上段に振り上げていた。紛れもなく、居合いを放った直後の体勢だった。

「大丈夫ですか?」
 アトロポスが後ろを振り返り、ブレイドに声を掛けた。呆然とした表情のブレイドが頷くと、アトロポスはバッカスを睨むように見据えてきた。

「バッカスさん、何考えてるんですか?」
「え……?」
 バッカスはアトロポスの告げた言葉の意味が分からなかった。
(今、決勝戦の最中だよな? 何で姐御が突然現れるんだ?)

「殺すつもりですかッ?」
 先ほどよりも強い口調で言われ、バッカスはアトロポスの顔を見つめた。アトロポスが何を言っているのか、バッカスには本当に分からなかった。
(殺す? 誰を……?)

「私が止めなかったら、この人、死んでましたよ。自分の攻撃力くらい、きちんと把握しておいてください!」
「死んでた……?」
 そこまで言われて、バッカスは何でアトロポスがここに現れて怒っているのか、その理由に気づいた。

 しばらくの間、アトロポスはバッカスを睨んでいたが、フッとため息をつくと視線を外した。その視線の先には、アルフレードの姿があった。
「アルフレードさん、どうしますか?」
 アトロポスがチラッとバッカスの顔を見て、アルフレードに訊ねた。アルフレードは無言でアトロポスに近づくと、短く一言告げた。

「どう思う?」
 アルフレードの問いに、アトロポスは難しい表情を浮かべると、再びバッカスを見つめた。
「能力は問題ないと思います。ですが、それを使いこなせていません。私がしごくってことでどうですか?」
「ふむ……。まあ、いいだろう」
 アルフレードがバッカスの顔を見ながら頷いた。バッカスには、二人が何を言っているのか、まったく分からなかった。

「バッカスさん、合格です。おめでとうございます」
 不意に、アトロポスが笑顔を浮かべながら、バッカスに告げた。
「え……?」
 バッカスはキョトンとした表情で、アトロポスを見つめながら言った。
「え、じゃないですよ。剣士クラスAの昇格試験、合格です。ただし、条件付きですけどね」
「合格って……? 条件……?」
 呆然とした表情で、バッカスがアトロポスを見つめた。

「明日から五日間、私がバッカスさんを訓練します。その間に、自分の覇気を使いこなせるようになってください。あ、後で、上級回復ポーションを十本くらい買っておきますね」
「上級を……十本も……?」
 バッカスは顔を引き攣らせながら、アトロポスに訊ねた。
「はい、十本で足りるかな? やっぱり、二十本にしましょう」
 笑顔で告げたアトロポスの言葉に、バッカスは本気で逃げ出したくなった。
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