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第4章 新たなる試練
5 猛牛の忠誠
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「バッカモンッ!!」
「ひぃいい!」
頭上から落ちてきた凄まじい雷鳴に、アトロポスは首をすくめて竦み上がった。二千人以上の冒険者たちを束ねるグランド・ギルドマスターの怒りは、アイザックの比ではなかった。
「誰が全員の手足を切り落とせと言ったッ! それも、女神サマルリーナ様のおわす礼拝堂を血の海に変えるとは、何事だッ!」
「ご、ごめんなさい……」
涙目になりながら、アトロポスは消え入るような声で謝罪した。
(だから、バッカスさん、やりすぎだって……)
助けを求めるように、アトロポスは隣に座るバッカスの顔を見つめた。だが、バッカスが告げた言葉はアルフレードの怒りに油を注いだ。
「ギルマス、姐御の命令で暴れたのは俺だぜ。姐御一人を怒るのは違うんじゃねえのか?」
(バッカスさん、ちょっと……その言い方、まずい……)
「ほう……。ローズに命じられたんだな、バッカス?」
「ああ、この俺が、尊敬する姐御に逆らえるはずないだろう?」
何の悪気もなく、バッカスが堂々とのたまった。
(だめだ……終わった……)
「ローズッ! バッカスの言うことは本当なんだなッ!」
「ひぃい! ほ、本当ですッ! ごめんなさいッ!」
アルフレードの凄まじい剣幕に本気でビビりながら、ローズは慌てて頭を下げた。
(怖いよぉ! アイザックさんより、ずっと迫力があるわぁ!)
だが、自分がバッカスに手加減不要で痛めつけろと言ったことは事実なので、アトロポスはアルフレードの怒りが収まるのを待つしかなかった。
「ローズッ!」
「は、はいッ!」
ビクンッと肩を震わせると、アトロポスは恐る恐るアルフレードの顔を見上げた。
「今回の件で、ギルド本部は二箇所から苦情を受けた」
「二箇所ですか……?」
一箇所は分かった。間違いなく、セント・ルミナス教会だ。礼拝堂を血の海にしたのだから、苦情が来るのは当然だった。
「セント・ルミナス教会とダリウス将軍だ」
「教会からの苦情は分かります。でも、ダリウス将軍からの苦情というのは納得できません」
苦情を言う前に、自分の息子の教育を怠った責任を取れとアトロポスは言いたかった。だが、アルフレードが次に告げた言葉は、アトロポスの反論を封じた。
「ダリウス将軍はアルタイルの処分をギルドに一任すると言ってきた。息子の愚行についての責任は自分にあるので、どんな処分を下しても文句は言わないそうだ。ただし、アルタイル付きの近衛騎士三名については、謝罪を要求すると言ってきた。アルタイルの命令に逆らえる立場にない彼らに対して、その手足を斬り落とした行為は過剰な暴力の行使以外の何ものでもないとのことだ」
アルフレードは真剣な眼差しでアトロポスを見据えながら告げた。
「あの男たちの中に、近衛騎士団の騎士がいたんですか?」
予想もしていない事実に、アトロポスは驚きのあまり黒瞳を大きく見開いた。
(言われてみれば、たしかに他と雰囲気が違う男がいたわ……)
アトロポスは、きちんと鎧を着こなしていた男がアルタイルの側に数名いたことを思い出した。
「ローズ、ダリウス将軍から近衛騎士団長の名前で、お前に出頭命令が出された。明日、昼の一つ鐘に近衛騎士団本部まで謝罪に来るようにとのことだ。どうする?」
近衛騎士団長の命令となれば、いかにグランド・ギルドマスターと言えども無視するわけにはいかないはずだと、アトロポスは思った。だが、アルフレードはその選択権をアトロポスに委ねてきた。それは、アトロポスが拒めば、冒険者ギルドを挙げて近衛騎士団と対立するという意思表示に他ならなかった。
(これって、私が断ったら、ギルドと近衛騎士団との間に重大な確執が生まれるってことよね? それを覚悟でアルファードさんは、私に選ばせようとしてくれている……)
アルファードの優しさに感謝すると、アトロポスは彼の灰眼を見つめながら告げた。
「分かりました。行きます。ただし、やり過ぎた部分はあったにせよ、非は向こうにあります。ですから、謝罪はしません。それでいいですか?」
「構わん。お前は剣士クラスSだ。クラスSの冒険者は、ギルドマスターが不在の時にはその代理を務める権限を持つ。お前の判断で行動しろ。骨は拾ってやる」
そう告げると、アルフレードはニヤリと微笑んだ。それをみて、アトロポスも微笑みを浮かべた。
(やっぱり、ギルマスって意地悪で、とっても怖くて……優しいわね)
「ローズの姐御、一人で近衛騎士団に乗り込むなんて、無茶だ! 俺もお供します!」
横に座るバッカスが、身を乗り出しながら叫んだ。その気持ちに感謝しながら、アトロポスは彼を諭すように優しく告げた。
「バッカスさん、これは元々、私がアルフレードさんから受けた依頼です。それにあなたを巻き込んでしまったのは、私の責任です。それに、私はダリウス将軍とは面識があります。きちんと話を聞いてくれれば、和解できるはずです」
(話を聞いてくれれば……ね。ダリウス将軍の性格からすれば、剣で言葉を交わしそうだけど……)
「しかし、姐御……」
「心配しないでください。それよりも、バッカスさんは明日の剣士クラスA昇格試験をがんばってください」
そう告げると、アトロポスはバッカスを安心させるように微笑んだ。
「姐御……。分かりました、お気をつけて……」
「ありがとう、バッカスさん」
「ローズ、ダリウス将軍の人となりは俺も良く知っている。あの方は、言葉よりも剣に重きを置いている。お前の話を信用するかどうかを、剣を交えて確認するはずだ」
「はい。私もそう思います」
アルファレードの言葉に、アトロポスは頷いた。
「だが、彼も貴族の一人だ。人前で恥辱を受けることをよしとしない。だから、絶対に彼には勝つな。互角のつばぜり合いを演じて、最後に僅差で負けろ。今のお前の実力なら、ダリウス将軍相手でも十分にそれができるはずだ」
「分かりました。そうします」
アトロポスはミランダの言葉を思い出した。彼女はダリウス将軍がお忍びでザルーエク支部を訪れ、アイザックと模擬戦を行うと言っていた。そのとき、アイザックは熱戦の末にわざとダリウス将軍に負けると告げていた。
(あれは、そう言う意味だったのね)
「色々とありがとうございます、アルフレードさん」
「気を引き締めて行けよ」
「はい」
アトロポスは席を立つと、アルフレードが差し出した右手を握りしめた。そして、左横にいるバッカスを振り向くと、アトロポスが告げた。
「では、行きますよ、バッカスさん」
「え? どこに……?」
アトロポスの言葉の意味が分からずに、バッカスは強面の顔をキョトンとさせた。
「地下の訓練場です。今日付き合ってもらったお礼です。明日の昇格試験に合格できるように、私があなたを鍛えてあげます。心配しないで大丈夫ですよ。上級回復ポーションなら五本ありますから、手足の五本や十本なくしてもすぐに治してあげます」
「あ、姐御……」
ニッコリと微笑みながら告げたアトロポスの言葉に、バッカスは蒼白になって顔を引き攣らせた。
「まさか、本当に腕を斬り落とされるとは思いもしませんでしたぜ」
火酒を満たした杯を呷ると、バッカスが笑いながら言った。ギルドの地下訓練場でバッカスを扱いた後、アトロポスは近くの酒家で彼と夕食を共にしていた。
『酔竜館』というこの店はバッカスの行きつけで、二十人も入れば一杯になる安酒家だった。二人はカウンター席の奥に並んで座り、杯を交わしていた。
「覇気を使えるようになるには、実際に相手の覇気を自分の身で感じることが一番の近道なんです。痛い思いはしたかも知れませんが、そのおかげでバッカスさんも覇気を纏えるようになったので、結果は出せたと思います」
笑顔でそう告げると、アトロポスは桜色に揺れる紅桜酒を一口飲んだ。甘さの中にもほろ苦さを感じるこの酒に、アトロポスはすっかり魅了されていた。
「さすがに剣士クラスSだけありますね、姐御。その若さで色々な経験を積んでいる」
「バッカスさん、本当に姐御は止めてください。年上の男性からそう呼ばれるのは、さすがに恥ずかしすぎますよ」
照れと酔いから頬を赤く染めながら、アトロポスが左横に座るバッカスの顔を見上げて言った。座っていても、バッカスはアトロポスよりも顔半分は高かった。
「いや、姐御は姐御だ。こればっかしは譲れませんぜ。それより、姐御の方こそバッカスって呼び捨ててくださいな。俺はもう姐御の舎弟みてえなもんですから……」
「無茶振りしないでください。十歳近くも年上の男性を呼び捨てるなんてできるはずありません」
「たぶん、十も離れてませんぜ。俺はまだ二十四なんで……」
「じゃあ、八歳ですね。十歳も八歳も大して変わりません。十六の私からみれば、どっちも立派なおじさんです」
「おじさん……」
その言葉に絶句したバッカスを見て、アトロポスはケラケラと笑った。それに釣られてバッカスも笑い始めると、爆笑の渦が二人を包み込んだ。
「おっ、バッカスじゃねえか? 何だ、こんな小娘を誑し込んで? おめえ、いつから幼女趣味になったんだ?」
突然、頭の上から聞こえてきた下卑た声に、アトロポスはムッとして振り向いた。二人の男がニヤけ顔でアトロポスを値踏みするように見つめていた。いずれの男もくたびれた革鎧を着崩しており、冒険者というよりも犯罪者のように見えた。
(剣士と槍士ね。二人とも覇気を感じないからクラスBくらいかな? それにしても、こいつの視線、いやらしいわね)
無遠慮に体を睨め回す視線に嫌悪感を感じながら、アトロポスは男たちの力量を見極めるように睨みつけた。
目の前に立つ男はバッカスより若干背が低く、百九十セグメッツェくらいだった。逆に横幅はバッカスを一回り大きくした感じで、筋骨隆々という言葉が似合いそうな印象だった。髪の毛と眉毛をすべて剃った禿頭に、猛禽のような鋭い目つきの男だった。右の額から左頬にかけての刀傷が、男の持つ残忍さを一層際立たせていた。
左腰に差しているのは両手片刃剣で、剣身の長さだけでも百セグメッツェ以上あった。
その隣に立つ男は、細身だが二メッツェを超す長身だった。背負った長槍は二メッツェ以上あり、長い腕からそれを繰り出されたら間合いに入ることは難しそうだった。肩まで伸ばした銀髪には緑や赤のメッシュが入っており、狐のように釣り上がった眼と鷲鼻、そして薄い唇が男の持つ酷薄な凶暴性を物語っていた。
(どっちも私の好みじゃないわね。冒険者って本当にこういった人たちが多いのね)
最初に知り合ったクロトーやレオンハルトが例外の部類であることに、アトロポスは最近になって気づいてきた。
「ハリーとオリバーか? 何の用だ?」
バッカスが席を立ち、アトロポスを護るように男たちとの間に立ちはだかった。その目が細められ、敵意に満ちていることをアトロポスは見て取った。
「『猛牛殺し』ともあろうお方が、こんな小便臭いガキが好みだったとは知らなかったぜ。『処女殺し』とでも名前を変えたらどうだ?」
「ハリー、俺のことはともかく、姐御を愚弄するのは許さんッ! 表に出ろッ!」
『猛牛殺し』の名に恥じない大音声で、バッカスが怒鳴った。
「姐御だぁ? てめえ、頭にカビ生えてるんじゃねえか? それとも、あねごぉ、俺を踏んでくだせえ、もっと強くぅってやつか?」
「オリバー、貴様ッ!」
バッカスが怒りに顔を赤く染めながら、右手で背中の両手剣の柄を握った。
(さすがにお店の中じゃまずいわね……)
アトロポスは席から立ち上がると、バッカスの右腕を素早く押さえながら言った。
「バッカスさん、外に出ましょう。そこの二人も付いてきなさい」
「あ、姐御……分かりました」
バッカスは、アトロポスが秘めた怒りに気づくと、ビクッと体を震わせながら彼女の言葉に従って歩き出した。だが、ハリーたちの反応は違った。
「おい、ガキが何仕切ってやがるんだ? 俺たちを誰だと……」
「誰でも構わないッ! 外に出ろって言ってるのが聞こえないのッ!」
アトロポスはハリーの方を振り向くと、凄まじい威圧を放ちながら告げた。剣士クラスSの圧倒的な覇気を正面からまともに受けて、ハリーは一瞬で硬直し竦み上がった。
「は、はいッ……」
「な、何だ、あいつ……?」
全身に鳥肌を立て、背筋から冷や汗を流しながら、ハリーとオリバーがお互いの顔を見つめ合った。それぞれの瞳に映った相手の顔が、かつて見たことがないほど蒼白になっていた。二人は震えながら頷くと、急いでアトロポスの後に続いて店を出て行った。
「あんたたち、冒険者よねッ! クラスと名前を言いなさいッ!」
「あ、姐御……抑えてください。さっき、ギルマスに怒られたばかり……」
慌てて宥めようとしたバッカスはジロリと睨まれると、言葉を失って立ち尽くした。
「アルファードさんはこうも言ったわよ! ギルマスがいないときには私に代理となれってね! そこの二人、さっさとクラスと名前を言いなさいッ!」
全身に漆黒の覇気を纏わせながら、アトロポスはハリーたちを睨みつけた。
「け、剣士クラスBのハリーだ……です」
「槍士クラスBのオリバーです……」
アトロポスが放つ凄まじい覇気に気圧され、ハリーたちは無意識にガタガタと体を震わせていた。
(な、何なんだ、こいつ……? 凄えやばい気がする……)
(こんなガキに……この俺がビビってる? 何でだ……?)
「姐御、お願いですから、抑えてください! SS級魔獣を一人で倒す姐御が覇気を放ったら、こいつらを殺すだけじゃなく、このあたり一帯に被害が……」
バッカスの言葉に、ハリーたちが驚愕した。
「え、SS級魔獣を一人で倒すって……!?」
「ば、バッカス……この人はいったい……?」
激甚な恐怖に震え始めたハリーたちを、黒曜石の瞳がギロリと睨みつけた。
「私は、剣士クラスSのローズ。二つ名は『夜薔薇』よ!」
そう告げた瞬間、アトロポスの全身から黒炎が燃え上がった。
「ひッ……!」
「け、剣士クラスS……ッ!?」
悲鳴のような声が、ハリーたちの口から漏れた。彼らは自分たちが誰に喧嘩を売っていたのかを、初めて知った。そして、『猛牛殺し』と恐れられるバッカスが、何故その少女を姐御と呼んでいるのかをさえも、瞬時に理解した。
「取り消しなさいッ!」
アトロポスはガクガクと震撼しているハリーたちを見据えながら、冷たい声で告げた。
「は、はい……?」
「な、何を……?」
「バッカスさんに言った『幼女趣味』と『処女殺し』という言葉を、取り消しなさいッ!」
「は、はいッ! 取り消しますッ!」
「わ、悪かった、バッカスッ! 取り消すから、許してくれッ!」
ハリーとオリバーが、バッカスに対して深く頭を下げた。
「あ、姐御……俺のために怒って……?」
二人の謝罪を受けながら、バッカスは呆然としてアトロポスを見つめた。バッカスの焦げ茶色の瞳に映った光が、驚愕から感謝、尊敬、そして崇拝へとめまぐるしく色を変えていった。
「よし、もう行っていいわよ。二度目は許さないから、そのつもりでいなさい!」
「は、はいッ! し、失礼しました!」
「分かりましたッ! 失礼しますッ!」
ハリーとオリバーは直立不動の姿勢からアトロポスに頭を下げると、逃げるように走り去っていった。
「バッカスさん、お店に戻りましょう。気分直しに、今夜はとことん飲むわよ!」
「はい、姐御ッ! どこまでもお付き合いいたしますッ!」
満面の笑みを浮かべたアトロポスに、バッカスは嬉しそうに答えた。
(姐御、ありがとうございます! このバッカス、生命が尽きるまで姐御にお付き合いしますぜ!)
アトロポスはこの瞬間から、『猛牛殺し』の忠誠が自分に向けられたことに気づいてもいなかった。
「ひぃいい!」
頭上から落ちてきた凄まじい雷鳴に、アトロポスは首をすくめて竦み上がった。二千人以上の冒険者たちを束ねるグランド・ギルドマスターの怒りは、アイザックの比ではなかった。
「誰が全員の手足を切り落とせと言ったッ! それも、女神サマルリーナ様のおわす礼拝堂を血の海に変えるとは、何事だッ!」
「ご、ごめんなさい……」
涙目になりながら、アトロポスは消え入るような声で謝罪した。
(だから、バッカスさん、やりすぎだって……)
助けを求めるように、アトロポスは隣に座るバッカスの顔を見つめた。だが、バッカスが告げた言葉はアルフレードの怒りに油を注いだ。
「ギルマス、姐御の命令で暴れたのは俺だぜ。姐御一人を怒るのは違うんじゃねえのか?」
(バッカスさん、ちょっと……その言い方、まずい……)
「ほう……。ローズに命じられたんだな、バッカス?」
「ああ、この俺が、尊敬する姐御に逆らえるはずないだろう?」
何の悪気もなく、バッカスが堂々とのたまった。
(だめだ……終わった……)
「ローズッ! バッカスの言うことは本当なんだなッ!」
「ひぃい! ほ、本当ですッ! ごめんなさいッ!」
アルフレードの凄まじい剣幕に本気でビビりながら、ローズは慌てて頭を下げた。
(怖いよぉ! アイザックさんより、ずっと迫力があるわぁ!)
だが、自分がバッカスに手加減不要で痛めつけろと言ったことは事実なので、アトロポスはアルフレードの怒りが収まるのを待つしかなかった。
「ローズッ!」
「は、はいッ!」
ビクンッと肩を震わせると、アトロポスは恐る恐るアルフレードの顔を見上げた。
「今回の件で、ギルド本部は二箇所から苦情を受けた」
「二箇所ですか……?」
一箇所は分かった。間違いなく、セント・ルミナス教会だ。礼拝堂を血の海にしたのだから、苦情が来るのは当然だった。
「セント・ルミナス教会とダリウス将軍だ」
「教会からの苦情は分かります。でも、ダリウス将軍からの苦情というのは納得できません」
苦情を言う前に、自分の息子の教育を怠った責任を取れとアトロポスは言いたかった。だが、アルフレードが次に告げた言葉は、アトロポスの反論を封じた。
「ダリウス将軍はアルタイルの処分をギルドに一任すると言ってきた。息子の愚行についての責任は自分にあるので、どんな処分を下しても文句は言わないそうだ。ただし、アルタイル付きの近衛騎士三名については、謝罪を要求すると言ってきた。アルタイルの命令に逆らえる立場にない彼らに対して、その手足を斬り落とした行為は過剰な暴力の行使以外の何ものでもないとのことだ」
アルフレードは真剣な眼差しでアトロポスを見据えながら告げた。
「あの男たちの中に、近衛騎士団の騎士がいたんですか?」
予想もしていない事実に、アトロポスは驚きのあまり黒瞳を大きく見開いた。
(言われてみれば、たしかに他と雰囲気が違う男がいたわ……)
アトロポスは、きちんと鎧を着こなしていた男がアルタイルの側に数名いたことを思い出した。
「ローズ、ダリウス将軍から近衛騎士団長の名前で、お前に出頭命令が出された。明日、昼の一つ鐘に近衛騎士団本部まで謝罪に来るようにとのことだ。どうする?」
近衛騎士団長の命令となれば、いかにグランド・ギルドマスターと言えども無視するわけにはいかないはずだと、アトロポスは思った。だが、アルフレードはその選択権をアトロポスに委ねてきた。それは、アトロポスが拒めば、冒険者ギルドを挙げて近衛騎士団と対立するという意思表示に他ならなかった。
(これって、私が断ったら、ギルドと近衛騎士団との間に重大な確執が生まれるってことよね? それを覚悟でアルファードさんは、私に選ばせようとしてくれている……)
アルファードの優しさに感謝すると、アトロポスは彼の灰眼を見つめながら告げた。
「分かりました。行きます。ただし、やり過ぎた部分はあったにせよ、非は向こうにあります。ですから、謝罪はしません。それでいいですか?」
「構わん。お前は剣士クラスSだ。クラスSの冒険者は、ギルドマスターが不在の時にはその代理を務める権限を持つ。お前の判断で行動しろ。骨は拾ってやる」
そう告げると、アルフレードはニヤリと微笑んだ。それをみて、アトロポスも微笑みを浮かべた。
(やっぱり、ギルマスって意地悪で、とっても怖くて……優しいわね)
「ローズの姐御、一人で近衛騎士団に乗り込むなんて、無茶だ! 俺もお供します!」
横に座るバッカスが、身を乗り出しながら叫んだ。その気持ちに感謝しながら、アトロポスは彼を諭すように優しく告げた。
「バッカスさん、これは元々、私がアルフレードさんから受けた依頼です。それにあなたを巻き込んでしまったのは、私の責任です。それに、私はダリウス将軍とは面識があります。きちんと話を聞いてくれれば、和解できるはずです」
(話を聞いてくれれば……ね。ダリウス将軍の性格からすれば、剣で言葉を交わしそうだけど……)
「しかし、姐御……」
「心配しないでください。それよりも、バッカスさんは明日の剣士クラスA昇格試験をがんばってください」
そう告げると、アトロポスはバッカスを安心させるように微笑んだ。
「姐御……。分かりました、お気をつけて……」
「ありがとう、バッカスさん」
「ローズ、ダリウス将軍の人となりは俺も良く知っている。あの方は、言葉よりも剣に重きを置いている。お前の話を信用するかどうかを、剣を交えて確認するはずだ」
「はい。私もそう思います」
アルファレードの言葉に、アトロポスは頷いた。
「だが、彼も貴族の一人だ。人前で恥辱を受けることをよしとしない。だから、絶対に彼には勝つな。互角のつばぜり合いを演じて、最後に僅差で負けろ。今のお前の実力なら、ダリウス将軍相手でも十分にそれができるはずだ」
「分かりました。そうします」
アトロポスはミランダの言葉を思い出した。彼女はダリウス将軍がお忍びでザルーエク支部を訪れ、アイザックと模擬戦を行うと言っていた。そのとき、アイザックは熱戦の末にわざとダリウス将軍に負けると告げていた。
(あれは、そう言う意味だったのね)
「色々とありがとうございます、アルフレードさん」
「気を引き締めて行けよ」
「はい」
アトロポスは席を立つと、アルフレードが差し出した右手を握りしめた。そして、左横にいるバッカスを振り向くと、アトロポスが告げた。
「では、行きますよ、バッカスさん」
「え? どこに……?」
アトロポスの言葉の意味が分からずに、バッカスは強面の顔をキョトンとさせた。
「地下の訓練場です。今日付き合ってもらったお礼です。明日の昇格試験に合格できるように、私があなたを鍛えてあげます。心配しないで大丈夫ですよ。上級回復ポーションなら五本ありますから、手足の五本や十本なくしてもすぐに治してあげます」
「あ、姐御……」
ニッコリと微笑みながら告げたアトロポスの言葉に、バッカスは蒼白になって顔を引き攣らせた。
「まさか、本当に腕を斬り落とされるとは思いもしませんでしたぜ」
火酒を満たした杯を呷ると、バッカスが笑いながら言った。ギルドの地下訓練場でバッカスを扱いた後、アトロポスは近くの酒家で彼と夕食を共にしていた。
『酔竜館』というこの店はバッカスの行きつけで、二十人も入れば一杯になる安酒家だった。二人はカウンター席の奥に並んで座り、杯を交わしていた。
「覇気を使えるようになるには、実際に相手の覇気を自分の身で感じることが一番の近道なんです。痛い思いはしたかも知れませんが、そのおかげでバッカスさんも覇気を纏えるようになったので、結果は出せたと思います」
笑顔でそう告げると、アトロポスは桜色に揺れる紅桜酒を一口飲んだ。甘さの中にもほろ苦さを感じるこの酒に、アトロポスはすっかり魅了されていた。
「さすがに剣士クラスSだけありますね、姐御。その若さで色々な経験を積んでいる」
「バッカスさん、本当に姐御は止めてください。年上の男性からそう呼ばれるのは、さすがに恥ずかしすぎますよ」
照れと酔いから頬を赤く染めながら、アトロポスが左横に座るバッカスの顔を見上げて言った。座っていても、バッカスはアトロポスよりも顔半分は高かった。
「いや、姐御は姐御だ。こればっかしは譲れませんぜ。それより、姐御の方こそバッカスって呼び捨ててくださいな。俺はもう姐御の舎弟みてえなもんですから……」
「無茶振りしないでください。十歳近くも年上の男性を呼び捨てるなんてできるはずありません」
「たぶん、十も離れてませんぜ。俺はまだ二十四なんで……」
「じゃあ、八歳ですね。十歳も八歳も大して変わりません。十六の私からみれば、どっちも立派なおじさんです」
「おじさん……」
その言葉に絶句したバッカスを見て、アトロポスはケラケラと笑った。それに釣られてバッカスも笑い始めると、爆笑の渦が二人を包み込んだ。
「おっ、バッカスじゃねえか? 何だ、こんな小娘を誑し込んで? おめえ、いつから幼女趣味になったんだ?」
突然、頭の上から聞こえてきた下卑た声に、アトロポスはムッとして振り向いた。二人の男がニヤけ顔でアトロポスを値踏みするように見つめていた。いずれの男もくたびれた革鎧を着崩しており、冒険者というよりも犯罪者のように見えた。
(剣士と槍士ね。二人とも覇気を感じないからクラスBくらいかな? それにしても、こいつの視線、いやらしいわね)
無遠慮に体を睨め回す視線に嫌悪感を感じながら、アトロポスは男たちの力量を見極めるように睨みつけた。
目の前に立つ男はバッカスより若干背が低く、百九十セグメッツェくらいだった。逆に横幅はバッカスを一回り大きくした感じで、筋骨隆々という言葉が似合いそうな印象だった。髪の毛と眉毛をすべて剃った禿頭に、猛禽のような鋭い目つきの男だった。右の額から左頬にかけての刀傷が、男の持つ残忍さを一層際立たせていた。
左腰に差しているのは両手片刃剣で、剣身の長さだけでも百セグメッツェ以上あった。
その隣に立つ男は、細身だが二メッツェを超す長身だった。背負った長槍は二メッツェ以上あり、長い腕からそれを繰り出されたら間合いに入ることは難しそうだった。肩まで伸ばした銀髪には緑や赤のメッシュが入っており、狐のように釣り上がった眼と鷲鼻、そして薄い唇が男の持つ酷薄な凶暴性を物語っていた。
(どっちも私の好みじゃないわね。冒険者って本当にこういった人たちが多いのね)
最初に知り合ったクロトーやレオンハルトが例外の部類であることに、アトロポスは最近になって気づいてきた。
「ハリーとオリバーか? 何の用だ?」
バッカスが席を立ち、アトロポスを護るように男たちとの間に立ちはだかった。その目が細められ、敵意に満ちていることをアトロポスは見て取った。
「『猛牛殺し』ともあろうお方が、こんな小便臭いガキが好みだったとは知らなかったぜ。『処女殺し』とでも名前を変えたらどうだ?」
「ハリー、俺のことはともかく、姐御を愚弄するのは許さんッ! 表に出ろッ!」
『猛牛殺し』の名に恥じない大音声で、バッカスが怒鳴った。
「姐御だぁ? てめえ、頭にカビ生えてるんじゃねえか? それとも、あねごぉ、俺を踏んでくだせえ、もっと強くぅってやつか?」
「オリバー、貴様ッ!」
バッカスが怒りに顔を赤く染めながら、右手で背中の両手剣の柄を握った。
(さすがにお店の中じゃまずいわね……)
アトロポスは席から立ち上がると、バッカスの右腕を素早く押さえながら言った。
「バッカスさん、外に出ましょう。そこの二人も付いてきなさい」
「あ、姐御……分かりました」
バッカスは、アトロポスが秘めた怒りに気づくと、ビクッと体を震わせながら彼女の言葉に従って歩き出した。だが、ハリーたちの反応は違った。
「おい、ガキが何仕切ってやがるんだ? 俺たちを誰だと……」
「誰でも構わないッ! 外に出ろって言ってるのが聞こえないのッ!」
アトロポスはハリーの方を振り向くと、凄まじい威圧を放ちながら告げた。剣士クラスSの圧倒的な覇気を正面からまともに受けて、ハリーは一瞬で硬直し竦み上がった。
「は、はいッ……」
「な、何だ、あいつ……?」
全身に鳥肌を立て、背筋から冷や汗を流しながら、ハリーとオリバーがお互いの顔を見つめ合った。それぞれの瞳に映った相手の顔が、かつて見たことがないほど蒼白になっていた。二人は震えながら頷くと、急いでアトロポスの後に続いて店を出て行った。
「あんたたち、冒険者よねッ! クラスと名前を言いなさいッ!」
「あ、姐御……抑えてください。さっき、ギルマスに怒られたばかり……」
慌てて宥めようとしたバッカスはジロリと睨まれると、言葉を失って立ち尽くした。
「アルファードさんはこうも言ったわよ! ギルマスがいないときには私に代理となれってね! そこの二人、さっさとクラスと名前を言いなさいッ!」
全身に漆黒の覇気を纏わせながら、アトロポスはハリーたちを睨みつけた。
「け、剣士クラスBのハリーだ……です」
「槍士クラスBのオリバーです……」
アトロポスが放つ凄まじい覇気に気圧され、ハリーたちは無意識にガタガタと体を震わせていた。
(な、何なんだ、こいつ……? 凄えやばい気がする……)
(こんなガキに……この俺がビビってる? 何でだ……?)
「姐御、お願いですから、抑えてください! SS級魔獣を一人で倒す姐御が覇気を放ったら、こいつらを殺すだけじゃなく、このあたり一帯に被害が……」
バッカスの言葉に、ハリーたちが驚愕した。
「え、SS級魔獣を一人で倒すって……!?」
「ば、バッカス……この人はいったい……?」
激甚な恐怖に震え始めたハリーたちを、黒曜石の瞳がギロリと睨みつけた。
「私は、剣士クラスSのローズ。二つ名は『夜薔薇』よ!」
そう告げた瞬間、アトロポスの全身から黒炎が燃え上がった。
「ひッ……!」
「け、剣士クラスS……ッ!?」
悲鳴のような声が、ハリーたちの口から漏れた。彼らは自分たちが誰に喧嘩を売っていたのかを、初めて知った。そして、『猛牛殺し』と恐れられるバッカスが、何故その少女を姐御と呼んでいるのかをさえも、瞬時に理解した。
「取り消しなさいッ!」
アトロポスはガクガクと震撼しているハリーたちを見据えながら、冷たい声で告げた。
「は、はい……?」
「な、何を……?」
「バッカスさんに言った『幼女趣味』と『処女殺し』という言葉を、取り消しなさいッ!」
「は、はいッ! 取り消しますッ!」
「わ、悪かった、バッカスッ! 取り消すから、許してくれッ!」
ハリーとオリバーが、バッカスに対して深く頭を下げた。
「あ、姐御……俺のために怒って……?」
二人の謝罪を受けながら、バッカスは呆然としてアトロポスを見つめた。バッカスの焦げ茶色の瞳に映った光が、驚愕から感謝、尊敬、そして崇拝へとめまぐるしく色を変えていった。
「よし、もう行っていいわよ。二度目は許さないから、そのつもりでいなさい!」
「は、はいッ! し、失礼しました!」
「分かりましたッ! 失礼しますッ!」
ハリーとオリバーは直立不動の姿勢からアトロポスに頭を下げると、逃げるように走り去っていった。
「バッカスさん、お店に戻りましょう。気分直しに、今夜はとことん飲むわよ!」
「はい、姐御ッ! どこまでもお付き合いいたしますッ!」
満面の笑みを浮かべたアトロポスに、バッカスは嬉しそうに答えた。
(姐御、ありがとうございます! このバッカス、生命が尽きるまで姐御にお付き合いしますぜ!)
アトロポスはこの瞬間から、『猛牛殺し』の忠誠が自分に向けられたことに気づいてもいなかった。
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