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第2章 究極の鎧

8 闇龍の鎧

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「ハァアアッ!」
 丹田に集中させた魔力を一気に解放すると、アトロポスの全身から濃厚な漆黒の覇気が噴出した。その覇気が爆発するように急激に増大し、巨大な黒炎となってアトロポスを中心に燃え上がった。その大きさは、高さ十メッツェある地下訓練場の天井さえも灼き焦がすほど巨大だった。
 クロトーの推論は、正しかったことが証明されたのだ。

「成功よッ! ローズちゃん、覇気を鎮めてっ! 訓練場が崩壊するわ!」
「はい!」
 焦燥を秘めたクロトーの言葉に、アトロポスは覇気の解放を慌てて中止した。巨大な漆黒の炎が急速に小さくなり、アトロポスの全身に纏わり付きながら消滅した。

(何て覇気なの? レオンハルトと戦った時の比じゃないわ! クラスSでさえ、これほどの覇気を使える者はほとんどいない。覇気の総量だけなら、余裕でクラスSを超えるわね)
 自分の推論の正しさが証明されたことよりも、クロトーは予想を遙かに上回るアトロポスの覇気に驚愕した。
(考えてみれば、天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに相殺されながらも、ローズちゃんは薄らと覇気を纏っていた。それがどれほど凄いことなのか、認識を改める必要があるわね)

「これであたしの推論が正しかったことが証明されたわ。やはり、昨日ローズちゃんが覇気を纏えなかったのは、天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスを身につけていたからよ」
「はい……。そうみたいですね」
 アトロポスは複雑な気持ちで答えた。彼女は覇気を纏えなかった理由が、天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスではない可能性にも少し期待をしていたのだ。原因が自分自身であれば、この鎧をそのまま使えるかも知れなかったからだ。

「では、【属性転換魔法】の付与について説明するわね」
「はい。お願いします」
 アトロポスは真剣な表情で、クロトーの美しく整った容貌を見つめた。
(クロトーさんは、私と鎧との相性によって成功率が変わると言ったわ。本当に、他に成功率を上げる方法はないのかしら?)

「やり方はごく簡単よ。私がこの鎧の光属性を引き出して周囲に浮き上がらせるから、それをローズちゃんの覇気で包み込むの。そして、そのままその光をあなたの闇で呑み込むつもりで吸収して」
「包み込んで、吸収ですか?」
 今ひとつイメージが湧かずに、アトロポスはクロトーに訊ねた。

「そう。たとえは悪いかも知れないけれど、ローズちゃんの闇の覇気であたしが浮き上がらせた光を呑み込んじゃうの。そして、そのまま闇を鎧に戻して鎧自体を闇属性に変える。分かるかしら?」
「えっと……、何となく……」
 クロトーの言っていることは分かったが、実際にそんなことができる自信がアトロポスにはなかった。

「本来、闇の覇気や魔法は光属性である天龍の皮に跳ね返されるのよ。だから、光属性をごっそりと鎧から抜き出して、その光自体を闇で覆い尽くす……いえ、食べ尽くすと言った方がいいかな? 光を食べた闇は、少しだけだけど光に対して親和性が生まれるの。そのため、闇であるにもかかわらず、天龍の皮に吸収されやすくなる。その闇がどこまで天龍の皮に馴染むかが、成功するか失敗するかの分かれ目になるはずよ」
「言っていることは分かります。でも、それって天龍の光を食べた私の闇が、天龍の皮に馴染むかどうかで決まるってことですよね?」
 クロトーの説明を自分なりに理解して、アトロポスが訊ねた。

「そう。光を呑み込んだローズちゃんの闇が天龍に受け入れられるかどうかが、成否の鍵みたいなものよ」
「受け入れられやすくする方法って、何かないんですか?」
 元々、自分の闇属性が天龍の皮に馴染みやすければ、光属性を吸収した後は更に親和性が高まるはずだと、アトロポスは考えた。

「検証はされていないけど、あなたがこの鎧をどれだけ必要としているか、どれだけ大切に思っているかが、親和性を高めるポイントだとあたしは考えているわ」
 クロトーの告げたことは、何の根拠もない精神論だった。だが、不思議とアトロポス心にすんなりと受け入れられた。
(つまり、私がこの鎧をどれだけ愛しているかってことよね? それなら、間違いなく愛している。だって、この鎧にはシルヴァの気持ちが込められているから……)

「やり方は分かりました。始めてもらえますか?」
 五メッツェほど先にある天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスを見つめながら、アトロポスが告げた。そして、人形マネキンに装着してある天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに向かって、心の中で話しかけた。
(心配しないで。必ず成功させるから……。あなたからはシルヴァのぬくもりを感じるの。私にはあなたが必要なのよ。私はこれからもあなたとともに生きていきたい。だから、私を信じて……。あなたが私を受け入れてくれることを、私も信じるから……)

「では、始めるわよ」
 そう告げると、クロトーは右手に持った魔法杖を天井に向けて掲げた。
 クロトーの体から光が溢れだし、その光が徐々に輝きを増していった。光が螺旋を描くようにクロトーの全身を旋回し、急激に光輝に包まれていった。

「生命を司る大地の精霊たちよ、すべてのことわりを観相する精霊の王アルカディオスよ! の者から光を引き離し、闇の力と融合させたまえッ! 精霊王アルカディオスの名において、その加護ちからを我に与えたまえッ! スピリット・カンソリデーション!」

 詠唱を完了すると、クロトーは魔法杖の先端を天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに向けた。
 その瞬間、クロトーの周囲を席巻していた光の乱舞が、急速に魔道杖の宝玉に収斂しゅうれんされていった。
 宝玉が直視できないほどの閃光を放ち、光輝が奔流となって螺旋を描きながら天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに向かってほとばしった。

「……!」
 天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスが凄まじい光輝に包まれ、まるで光が氾濫するかのように幾筋もの閃光が走った。
 次の瞬間、すべての光輝が天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスから抜け出し、直径五メッツェにも及ぶ巨大な光の球となって浮上した。

「今よッ! あの光の球を闇で覆い尽くして!」
「はいッ!」
 アトロポスは全身の魔力を丹田に集中し、光の球に向けて一気に解放した。

「ハァアアッ!」
 巨大な黒炎がアトロポスの全身から噴出し、漆黒の奔流となって光の球に向かって襲いかかった。
 漆黒の奔流は螺旋を描きながら翔破し、超烈な闇の衝撃波となって光の球に激突した。

 次の瞬間……。

 光の球が漆黒の闇に侵食され始めた。光の球の表面に幾筋もの闇の筋が描かれ、光輝がその輝きを徐々に失っていった。白色の輝きが灰色へと変わっていき、その濃度を深めていった。
 そして、ついには黒色……いや、完全なる漆黒へと変色した。

 漆黒の球体の大きさは、光の球の倍近くあった。その表面からは無数の黒い稲妻が迸り、まるで闇が放電をしているようであった。

「ここまでは成功よッ! あとは、その闇の球を天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに戻してッ!」
「はい……ッ!」
 アトロポスは全神経を集中して覇気を放出し続け、ゆっくりと漆黒の球を天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに向かって下降させた。

 漆黒の球が天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスに触れた瞬間、その接触部から闇と光が反発するかのように、バチッバチッと激しい放電が放たれた。
(お願い、天龍ッ! 私を受け入れてッ! 私はあなたッ! あなたは私ッ! 私たちは一心同体なのよッ!)
 アトロポスは天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスを見据えながら、心の中で叫んだ。

 その瞬間、今までの激しい抵抗が嘘のように放電がなくなり、巨大な漆黒の球が天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスへと吸収されていった。
 そして、天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスが漆黒の炎を纏うと、凄まじい黒炎に包まれた。
(天龍……!)
 アトロポスが黒曜石の瞳を見開いた瞬間、黒炎が跡形もなく消失し、天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスがその姿を再び現した。

(色が……!?)
 漆黒の鎧がさらに濃度を増し、深淵の闇そのもののように凄艶な黒色に変わっていた。
 変化はそれだけではなかった。
(これは……!)
 アトロポスにだけは感じられた。闇属性へと変わった天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスが持つ、凄まじいほどの魔力を……。

 アトロポスはゆっくりと鎧に近づくと、左手でそっと触れてみた。その瞬間、闇の鎧から信じられないほどの力が流れ込んできた。同時に、安らぎと愛おしさを実感した。
(シルヴァ……)
 それは紛れもなく、シルヴァレートの腕の中にいる感覚だった。

 クロトーに借りていたローブを脱ぎ捨てると、アトロポスは何の恥じらいもなく下着姿になった。
 そして、人形マネキンから天龍の革鎧ヘルムドラーク・ハルナスを外すと、手際よく身につけだした。
(軽い……。以前も軽かったけど、まるで重さを感じられないわ)
 着心地も変わっていた。クロトーが付与したサイズ調整魔法のおかげで、元々アトロポスの肢体にピッタリとフィットしていたのだが、今は着ているという感じさえなかった。強いて言うのなら、自分の皮膚そのもののようにまったく違和感がないのだ。


「成功したみたいね、ローズちゃん」
 鎧を身につけ終えたアトロポスの様子を見て、クロトーが笑顔で声を掛けた。
「はい。ありがとうございます。ちょっと動いてみます」
 そう告げると、アトロポスは鎧に覇気を流した。そして、正面に立つクロトーの右側を走り抜けて彼女の背後に移動した。

「え……?」
 クロトーが呆然とした表情を浮かべたまま立ち竦んだ。目の前にいたはずのアトロポスの姿が一瞬ブレると、次の瞬間には消失したのだ。

「こっちです、クロトーさん」
 背後から左肩を叩かれ、クロトーは驚いて振り向いた。そこには悪戯そうな笑みを浮かべたアトロポスの姿があった。
「ローズちゃん……?」
「さすがクロトーさんですね。速度強化十倍って凄く速いです」
 嬉しそうなアトロポスの言葉に、クロトーは驚愕した。今のは、速度強化を使って移動したなどというレベルではなかったのだ。魔道士クラスSのクロトーがまったく視認もできず、気配さえも追えなかった。

「今のって、速度強化を使ったの……?」
「そうです。多めに魔力を流したから、たぶん十倍強化だと思います」
「ちょっと待って……」
 クロトーは慌てて周囲を見渡した。そして、人形マネキンに走り寄ると、その右手首を外して指先をアトロポスに向けた。ちょうど、握手を求める感じだった。

「筋力強化十倍にして、この手を握ってみて」
「はい……」
 アトロポスは魔力を流すと、人形マネキンの右手を握りしめた。その瞬間、バキッバキッという音とともに、人形の右手が粉砕された。

「あれ? 力を入れ過ぎちゃいましたか?」
「……」
 クロトーはその結果を見て確信した。速度強化も筋力強化も、十倍どころではないことを……。
(まさか、魔力を流した分だけ際限なく上昇する……なんてこと、ないわよね?)

「ローズちゃん、ちょっと向こうの壁まで走って、ここに戻ってきてくれないかしら?」
 およそ百メッツェ先の壁を指差して、クロトーが言った。
「全力で走ってもいいけど、絶対に・・・壁には手をつかないでね。壁の寸前で止まって戻ってこられる?」
(全力で走っている状態で壁に手なんてついたら、間違いなく地下訓練場は崩れ落ちるわ……)

「はい。分かりました」
 【属性転換魔法】が成功して、鎧の性能が上がったことが嬉しいのだろう。アトロポスは満面の笑みを浮かべながらクロトーに頷いた。だが、クロトーはアトロポスのように単純には喜べなかった。
(往復でおよそ二百メッツェ。一般的な男性なら三十タルザンはかかるはず。クラスAの冒険者でも二十タルザンくらいかしら?)

「あたしが手を叩いたらスタートしてね。いい? 行くわよ。……パンッ!」
 アトロポスの姿が再び消失した。
(一、二……!)
 二タルザン数えないうちに、アトロポスが戻ってきた。
「これでいいんですか?」
「あ、ありがとう。本気で走ってきたの?」
「いえ。まだ魔力調整の感じがよく分からないので、軽く流してきただけです」
 ニッコリと笑顔で告げたアトロポスの表情を見つめて、クロトーは言葉を失った。

(やはり、強化十倍どころじゃないわね。速度強化と筋力強化は同時に上がるから、体に無理な負担はかからないけど……。でも、どこまで強化されているのか、上限だけは見極めた方がいいわね)
「ローズちゃん、その鎧だけど、違和感はない?」
「はい。まったくありません。むしろ、自分の体の一部みたいに感じます」
 アトロポスの答えを聞いて、クロトーは自分の仮説が正しいことを確信した。
(間違いなく、重量軽減やサイズ調整も強化されているわ。もしかしたら、物理耐性や魔法耐性も強化されているかも知れない……)

「ローズちゃん、大切なことだから、一つ約束して」
「はい? 何ですか?」
「その鎧に慣れるまで、練習するとき以外は絶対に魔力を流さないで」
 美しい碧眼に真剣さを映しながら、クロトーが言った。
「はい、分かりました。たしかに速度や筋力が十倍に強化されたら危険ですよね?」
 クロトーの言葉を誤解しながら、アトロポスが頷いた。

「ローズちゃん、正確なことは検証してみないと分からないけど、その鎧はあたしの魔法付与を遥かに超えているわ」
「え? どういう意味ですか?」
 初めて驚きの表情を浮かべると、アトロポスがクロトーの顔を見つめてきた。
「おそらく、速度も筋力も十倍どころじゃない。十五倍か二十倍……もしかしたらそれ以上に強化されているかも知れないわ」
「二十倍って……? だって、クロトーさんが付与してくれたのは十倍強化の魔法ですよね?」
 アトロポスの言葉に頷くと、クロトーが説明をした。

「あたしは魔道士クラスSよ。そのあたしが、ローズちゃんの姿を目で追えないどころか、気配さえも感じられなかった。あの壁までの距離はおよそ百メッツェ、往復で二百メッツェあるわ。それを二タルザンを切る速度で走ったのよ。クラスAの男性冒険者でさえ、二十タルザンはかかるのに、軽く流した・・・・・だけでね」
「……」
「それに、あの人形マネキンは、剣の練習用なの。材質はアダマンタイトでできているわ。その手を粉砕したのよ」
 クロトーの言葉の意味を理解すると、アトロポスの顔色はだんだんと蒼白になっていった。

「想像以上に鎧の性能が上がっていることは間違いないわ。もちろん、嬉しい誤算なんだけど……。ただ、どこまで性能が上がっているのかは見極めておく必要がある。分かるわね?」
「はい……」
 アトロポスの漆黒の瞳に理解の光が浮かんでいることを確認すると、クロトーは笑顔で告げた。

「大丈夫、心配しないで。速度強化と筋力強化は同時に強化されるから、凄い速度を出したからって筋力がズタズタになることは絶対にないわ。むしろ心配なのは、魔力を流すことで想像以上に筋力が強化され、人を傷つけたり、最悪は殺してしまうことよ。それを防ぐためにも、きちんと強化の上限を知って魔力を調整出来るようにする必要があるわ」
「分かりました。でも、どうやって上限を測るんですか?」
 アトロポスの疑問に、クロトーは難しい顔をしながら答えた。

「この訓練場では無理ね。鎧の性能に対して、ここは狭すぎるわ。明日、街の外に出ましょう。広い場所で、全力の強化をした場合と、強化をしなかった場合の違いを検証しましょう」
「はい。分かりました。よろしくお願いします」
 アトロポスがクロトーに頭を下げてきた。

(しかし、この鎧を使いこなした上でドゥリンが鍛えた剣を手に入れたら、ローズちゃんに敵う冒険者なんて誰もいなくなるのは間違いないわね)
 その予想が現実になる日が近いことを、クロトーは確信していた。
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