【ブルー・ウィッチ・シリーズ】灼熱の戦場

椎名 将也

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第10章 古代銀河皇帝

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 どのくらいの間、意識を失っていたのだろうか? あまりの寒さに、テアは意識を取り戻した。
 砂漠では、昼と夜の気温差が激しい。それは、このプライマイオス遺跡でも同様であった。この時期、昼間の最高気温は摂氏四十度を遙かに超える。だが、最低気温は氷点下となることもざらであった。
 砂をかき分けて、テアが立ち上がった。顔の一部以外は、全て砂の下に埋もれていたのだ。

「痛ッ!」
 左腕を動かした瞬間、痛みが全身を疾駆した。迷彩服の腕に、鮮血が滲んでいる。テアはゆっくりと左手の指を動かした。彼女の意志通り、指は反応する。
(神経に異常はないわ。単なる骨折ね)
 たぶん、左肘の関節が折れているのだろう。もっとも、あの爆風を受けて骨折だけですんだことが奇跡だった。

 何メートルくらい吹き飛ばされたのだろうか。周囲は爆風のためか、昼間の景色とは一変していた。
 巨大な蟻地獄のように、グレネード・ランチャーの直撃を受けた場所は、大きなクレーターと化していた。逆に、その周辺は砂塵が降り積もり、小山のように盛り上がっていた。

 テアは持ち物を点検した。
 XWー575マシンガンは、残念ながら彼女の近くには落ちていなかった。砂塵の下にでも埋もれているのだろう。彼女は、不要になった予備弾薬が詰まったマガジン・ベルトを捨てることにした。
 携帯食と小型の水筒は、背負ったデザート・パックの中に残っていた。テアは水筒に詰まったミネラル・ウォーターで、渇いた喉を潤した。

 改めて、周囲を見回す。
 惑星ヴァーミリオン特有の三つの衛星が、漆黒の夜空に淡い光を放っていた。それらの光のおかげで、夜になっても完全な暗闇にはほど遠かった。歩くことに不自由はなさそうだ。
 不意に、プルシアン・ブルーの瞳が、月明かりを受けてきらめくものを映した。

(何?)
 テアの位置から、五十メートルくらい離れた場所に、金属のような碑が建っていた。砂漠の下に埋まっていたものが、グレネード・ランチャーの爆風を受けて姿を現したのだ。
 ゆっくりとした足取りで、テアがその碑に近づいた。

 碑の前に立つと、それが思ったよりも大きいことに驚いた。高さ二メートル、幅一メートルくらいはある。厚みは三十センチくらいか。墓石のような薄い碑である。材質は黒曜石のように見えるが、月の光を反射していることから、金属かも知れない。
 テアはその碑に刻まれている文字を読んだ。古代プライマイオス語で書かれていた。

「汝が秘めたる力を発現す。その力、星を動かし、銀河を跳ぶ……」
(これは、ESP発現装置について書かれているの?)
 驚くテアの脳裏に、プライマイオス遺跡管理局長ジャック=アズベールの言葉が甦った。彼は、この遺跡のどこかに、ESP発現装置が存在する可能性を告げていたはずである。
 プルシアン・ブルーの瞳が、碑に刻まれた言葉に釘付けになった。彼女は急いで、続きを読み始めた。

「汝が力を解放すべくは、全てこれ大神ヴァルディーンの意志なり。ヴァルディーンに選ばれたる者のみが、大いなる力をその手に握らん。秘めたる力、小さき者がヴァルディーンの意志を試す時、大いなる災いが汝を滅ぼさん」
(つまり、潜在ESPのレベルが一定より低かったら、この装置は作動しないか、最悪の場合、その人を殺してしまうってこと?)

「大いなる力を欲する者、この碑に触れたし。ヴァルディーンが汝を認めんば、星への道が開かれん」
 そこで、碑に刻まれた文章は終わっていた。
 テアはジェイの言葉を思い出した。

『俺は、彼女の能力を覚醒させるつもりはない。ESPなど持っていても、不幸になるだけだ。まして、その能力が、あまりにも強大すぎる場合は絶対にな』
 遺跡管理局で<テュポーン>のソルジャー=スコーピオンと対峙した時、確かに彼はそう告げたのである。
(私の両親は、ESPだった)
 テアは会ったこともない両親を思い浮かべた。

 DNA戦争の首謀者であり、DNAアンドロイド軍の統率者ジョウ=クェーサー。彼の能力は、最強のESPレベルであるΣナンバーをさえ、遙かに超越していたと言う。
 そして、その副官であったエマ=トスカ。彼女も、ジョウ=クェーサーに勝るとも劣らぬESPだったと伝えられていた。
(その二人の血を引く私が、強力な潜在ESPを有していても、不思議じゃないわ)

 テアはかつて、何度もESP検査を受けていた。だが、そのいずれもが、陰性との結果であった。その彼女に潜在ESPがあると見抜いたのは、『全宇宙最強のESP』と呼ばれる男だ。
(もし本当に、私にESPがあるならば、絶対に目覚めさせたい。それがあれば、ジェイの仇敵が討てるわ)

 テアはゆっくりと両腕を前に差し出した。骨折した左腕が激痛を発したが、強い意志でそれを抑え込む。
 彼女の両手が、碑の表面に触れた。
 だが、何も起こらない。

(私の潜在能力では、ヴァルディーンは満足してくれないの?)
 悄然として、テアが碑から両手を離そうとした。
「……!」
 しかし、彼女の両手は碑に吸いつけられたように、動かすことができなかった。
(どういうこと……?)

 その時、碑が強烈な閃光を放った。
「きゃあッ!」
 テアが思わず、眼を閉じる。
 その閃光が、テアの全身を包み込んだ。
 次の瞬間、テアの全身が碑に吸い込まれるかのように消失した。


「どこ、ここは?」
 プルシアン・ブルーの瞳を開いて周囲を見回した途端、テアは愕然とした。
 不思議な金属で覆われた広い部屋に、彼女は瞬間移動させられていたのだ。
 天井がドーム状になっている。窓も照明もないのに、部屋全体は昼間のように明るい。円形の床は、半径五十メートルほどあるだろうか。天井や壁と同様に、白く輝く金属のようなもので造られていた。

『永い年月でした……』
 不意に、テアの脳裏にテレパシーが響いた。限りなく年老いた男のテレパシーだった。
「誰、あなたは?」
 テアが周囲を見回しながら訊ねた。この入り口一つない部屋には、彼女の他に誰もいなかった。

『二百三万五千三十七年ぶりです。この<覚醒の間>に人間が入ってきたのは……』
 異様な感慨を秘めて、テレパシーが告げた。
(プライマイオス人?)
 遙か古代に絶滅した異星人類の名が、テアの脳裏に浮かんだ。その疑問に答えるかのように、テレパシーが告げた。

『私は、太古に滅びたプライマイオス人によって造られたコンピューターです。あなた方の言葉で言い表すならば、ヒューマノイド・バイオ・コンピューターとでも言いましょうか』
「ヒューマノイド? 人間の脳を使ったバイオ・コンピューターなの?」
 通常のバイオ・コンピューターは、イルカなどの高等哺乳類の脳を組み込んでいる。人間の脳を使用することも技術的には可能だが、道徳的人権問題に抵触するため、実際には使われていなかった。

『そうです。私はかつて、プライマイオス人が開いたヴァスタード王朝銀河帝国の科学者でした。そして、このESP発現装置の発明者です』
「ESP発現装置? 本当に、それは存在したのね」
 興奮を抑えきれずに、テアはテレパシーに向かって叫んだ。

『プライマイオス人は誰もが、ある程度のESPを有しておりました。しかし、個人個人のレベルはごく低いものです。私は、プライマイオス人が銀河系を席巻するためには、強大なESPが必要であると考えて、この装置を開発しました』
「それが、ここにあるの?」
『そうです。この部屋全体が、ESP発現装置になっているのです』
 テレパシーの告げる言葉に、テアは改めて部屋全体を見渡した。

『ある時、非常に優秀な潜在ESPを有する若者が私を訪ねてきました。その若者が、私のESP発現装置を使った最初で最後の人間です』
「最初で最後?」
『そう。彼は、ヴァスタード王朝ではごく身分の低い男でした。しかし、この装置によって強大なESPをその手に入れると、王位簒奪を企てたのです』
「簒奪?」
 次々と明かされる超古代史に、テアは驚愕と興味を抑えきれなかった。

『当時の銀河皇帝エッフェン=ドウ=ヴァスタードは、あなた方の言うAクラスのESPでした。しかし、このESP発現装置によって覚醒したその若者は、Σナンバーをも超越するESPだったのです』
 テレパシーが告げるその言葉を聞いた瞬間、テアは自分の思考や知識全てを読み取られていることに気づいた。そうでなければ、Σナンバーなどという単語が出てくるはずがない。
 彼女の考えを知ってか、それとも、故意に無視してか、テレパシーが続けた。

『強大すぎる彼のESPは、結局、ヴァスタード王朝を崩壊させてしまいました。これがプライマイオス人を滅亡させるきっかけとなったのです』
「たった一人のESPが、プライマイオス人を滅亡させたきっかけなの?」
 驚いて、テアが聞き返した。個人レベルのESPが、銀河系人類を崩壊させるほどの力を有するとは、信じられなかったのである。

『あなたの父親である一人のESPが、銀河系を未曾有の混乱に陥れたことを思い出して下さい』
 テレパシーの主が告げた言葉は、テアを絶句させるのに充分だった。その善悪はともかく、彼女の両親が、二千億の生命を奪ったDNA戦争の首謀者であることに間違いはなかったのだ。

『あなたがここにいるということは、地上の碑を見たからだと思います。そこに書かれている<大いなる力>……。星を動かし、銀河系をもテレポートする偉大なる力。それを、その若者は得たのでした。信じられないかも知れませんが、私が告げていることは、二百万年以上も前に起こった事実です』
 想像もしない衝撃の事実を前に、テアは言葉を失った。

『彼がヴァスタード王朝を崩壊させた時、私はESP発現装置に三つのロックをかけました。その一つが、地上の碑です。あれは、あなたたちの言うΣナンバー・レベルのESPを潜在させている者以外には、反応しません』
「それは、私がΣナンバーのESPを秘めていると言うこと?」
『そうです。そして、二つ目のロックは、その者の流してきた血を調べます』

「流してきた血? どういう意味……?」
『かつての若者のように、大きな野望を持つ人間かどうかを調べます。そして、その者が今までどれほどの哀しみを乗り越えてきたのかを……。強大なESPを手にするには、それなりの代償が必要です。地獄のような悲哀を経験せずにそれを求めても、あの若者の二の舞になるだけです』
「私にも、野望はあるわ」
 額にかかる淡青色の髪を左手でかき上げると、プルシアン・ブルーの瞳に蒼炎を燃やしながらテアが告げた。

「銀河系最大の麻薬ギルド<テュポーン>を潰すという野望が……!」
 プルシアン・ブルーの瞳が強い意志を浮かべ、睨むように宙を見据えた。
『愛する者を殺されたからですか?』
「そうよ。私のような人間をこれ以上増やさないためにも、私は<テュポーン>と闘うわ。そのためには力が欲しいの。銀河を動かすほどの強大な力が!」

『あなたの秘めた力は、強大すぎます。このESP発現装置でも、その全てを覚醒させることは不可能です。ただ、その強大な力を解放するきっかけにはなるでしょう』
「それで、充分よ。私の両親は、Σナンバーを遙かに超えるESPだったらしいわ。GPSのESP検査では私は完全に陰性だったけれど、逆に言えば、強大すぎる潜在ESPは通常のESP検査では発見できないと聞いたことがあるわ。その全てを欲しいなんて言わない。きっかけだけで充分よ」

『分かりました。でも、最後に言っておきます。あなたの愛する人も言ったようですが、強大すぎるESPは、あなた自身を不幸にします。それでも、あなたはその力を望みますか?』
 テレパシーが限りない悲哀をおびて訊ねた。
「私は、<テュポーン>を倒すこと以外、何もいらないわ。そのために、人々が私を魔女だと指差しても……」
 プルシアン・ブルーの瞳に、言い知れぬ哀しみを浮かべて、テアが告げた。彼女の眼には、強力なESPを得た未来の自分が見えていたのだ。

 銀河系最大の麻薬ギルド<テュポーン>を相手に、壮絶な死闘を繰り広げる自分の姿が……。
 凄まじい戦闘の跡に、数え切れないほどの死体が転がっていた。
 脳漿が流れ出ているもの。内臓がはみ出し、眼球が飛び出ている男。手足をもがれ、苦悶の呻きを上げている兵士たち……。
 その女性は、数百に及ぶ死骸を冷然と見下ろしていた。

 灼熱の炎が、彼女の横顔を美しく照らした。真紅の返り血を浴び、微笑を浮かべている唇が、白い肌と絶妙のコントラストを映し出していた。
 爆風に淡青色の髪を舞い上げ、鮮血に全身を染め上げている魔女……。その魔女のプルシアン・ブルーの瞳が、それらの惨殺を深い悲哀とともに見つめていた。
 数え切れないほどの戦闘を経験し、鮮血と硝煙とを友としながら、微笑を浮かべている自分……。
 <銀河系最強の魔女>と呼ばれ、全ての人々から恐れられている自分の姿が、はっきりと脳裏に浮かび上がったのである。

『あなたは、このESP発現装置を使う最後の人間に相応しいようです』
 テアの哀しき未来を知ってか、テレパシーが告げた。
「最後の人間?」
 怪訝な表情を浮かべながら、テアが訊ねた。

『私は、ESP発現装置に三つのロックをかけたと言いました。最後のロックは、この装置をあと一度使用したら、五分後に爆発するようにしたのです』
「爆発? そうしたら、あなたも……」
 ESP発現装置に連動しているバイオ・コンピューターも、無事でいられるはずがなかった。

『私は二万年以上も孤独に耐えてきました。バイオ・コンピューターと言っても、人間の脳を持っています。言い換えれば、私は不老不死の人間なのです。最後に、あなたのような女性に出会えたことを感謝します。もう、気づかれているでしょうが、私はあなたの心を読ませて頂きました』
「……」
『あのような地獄を経験して、その上、愛する人を殺されても強い意志を失わない。あなたならば、強大な力を得てもそれを自らのために使おうとはしないと信じます。それでは、始めましょうか?』

「待って!」
 テアが叫んだ。そして、限りなく優しい笑みを浮かべながら言った。
「あなたが、私の心を読んだことは分かっていたわ。でも、私はあなたの名前さえ知らない。不公平じゃない?」
『そうですね。失礼しました。私の名前は、エッフェン=ドウ=ヴァスタード』
「……! まさか、あなたが?」
 テアはその名前に聞き覚えがあった。いや、その名前こそ、このテレパシーの主が告げた古代銀河帝国皇帝の名ではないか。

『そう、私はヴァスタード王朝最後の皇帝です。テア=スクルトさん、二百万年の時を越えて、最後にあなたと出逢えたことを、大神ヴァルディーンに感謝します。あなたのESPが覚醒したら、すぐにここからテレポートして下さい。あなたの能力を覚醒させたら、五分後にこの私は爆発しますから』
「分かったわ、ヴァスタード陛下……。私も、あなたのことを忘れないわ」
『では、始めましょう。大神ヴァルディーンのご加護を!』
 ヴァスタードがそう告げた瞬間、凄まじい光が部屋全体を包み込んだ。圧倒的な光彩が、熱く激しい閃光が、銀河系最高の美女の全身を包み込んでいった。
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