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第七章 夢魔と銀龍

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「くっ……あ、あああ!」
 何度目になるか分からない高みに押し上げられ、ティアは全身を硬直させた。すでに意識は朦朧としていた。脳を焼き尽くし、全身を溶かしかねない快楽にティアは支配されていた。
 硬直が解け、ビクンッビクンッと痙攣を続けているティアから離れると、アルヴィスは傍らに立つ二柱の悪魔伯爵に命じた。

「ヴァラク、エリゴス、待ちかねた来客が来たわ。ここに案内しなさい」
「ハッ、かしこまりました。アルヴィス様」
「ただちに」
 ヴァラクとエリゴスは跪くと、アルヴァスに一礼して部屋から出て行った。

 悪魔伯爵の魔力は、人間に例えるなら魔道士クラスSSに相当した。先ほど逃げ出した魔道士クラスSの小娘が何人来たとしても、相手になるものではないとアルヴィスは唇の端に笑みを浮かべながら思った。

 アルヴァスは、寝台の上にグッタリと総身を投げ出しているティアを抱き寄せると、唇を重ねた。
「あなた、本当に美味しいわね。一気に食べ尽くしたいくらいよ」
 夢魔であるアルヴィスにとって、魔力と精力は食料だった。どちらかというと男の精力は空腹を癒やし、魔道士の魔力は己の存在自体を高める役割を果たした。
 ヘテロクロミア(虹彩異色)であるティアは、魔力の大きさだけなら魔道士クラスSのアルフィさえも上回っていた。

 舌を絡まれ、媚薬効果のあるアルヴィスの唾液を飲まされるだけで、ティアの全身は熱を持ったように熱く火照った。
 アルヴィスは左手でティアの腰を支えて、口づけをしたまま右手でティアの左胸を優しく揉みしだいた。人差し指と親指で硬く尖りきった乳首を摘まむと、しごきながら捏ね回した。

「んッ……ん、んぁあっ……!
 媚薬に侵されきったティアは、口づけだけで絶頂に押し上げられた。愉悦の極みに達した回数など、すでに数え切れなくなっていた。

 アルヴィスは塞いでいた唇を離した。二人の唇を繋いでいた唾液が、細い糸を引いて部屋の灯りに照らされた。
 ティアのヘテロクロミアの双眸は、霞がかかったように光を失い、その目尻からは涙が止めどなく流れ出ていた。発熱したように頬を赤く染めながら、ティアは囁くように呟いた。

「おねがい……もう、ゆる……して」
 心臓の鼓動はこれでもかと速まり、小さめの赤い唇は酸欠状態に陥ったように忙しなく空気を求めていた。

「つれないことを言わないで。この世のものとは思えない快楽を与えてあげるから」
 そう告げると、アルヴィスはティアの左乳首を口に含んだ。甘噛みしながら、尖りきった先端を舌で捏ね回す。
「や……やめ……あ、ああ……」
 ティアが涙ながらに哀願した。
「これ以上……されたら……くっ、狂っちゃう……あっ、あぁあああ!」
「狂いなさい。そして、何もかも忘れて、私の物になりなさい」

 アルヴィスが無情に告げた。その右手がティアの秘唇を撫ぜながら、愛液に塗れた突起を探し当てた。
「ひっ、や……やめ……あ、あっあああ!」
 少しでも快感を逃そうと、ティアが首を左右に振った。長い淡紫色の髪が振り乱れるさまは、アルヴィスの嗜虐心をあおり立てた。

 アルヴィスは人差し指と中指を、濡れそぼったティアの膣にゆっくりと差し込んだ。そして、激しく抜き差しを繰り返した。
「ひぃいいい! あ、あっ! あ、ひぃああぁ!」

 くちゅくちゅと淫らな水音が、部屋中に響き渡った。ティアは涙と涎を垂れ流しながらよがり啼いた。瞼の裏に、チカチカと白い閃光が見え始めた。
 アルヴィスが二本の指を鉤状にし、膣の天井を擦りつけた。それと同時に、外から親指で敏感な突起を捏ね回した。

「ひぃいっ! いやあっ! それぇ、だめぇえ! おかしくなるっ! あ、ひぃいい!」
 ティアが断末魔の声を上げて背中を仰け反らせた。プシャっという音とともに、ティアの秘唇から大量の愛液が液が噴出した。

「だめぇ、また、いくぅうう! あっ、あぁあああ!」
 ビックンッビックンッと総身を痙攣させると、ティアは歓悦の極みへ駆け上がった。歯をガチガチと鳴らしながら激しい愉悦を噛みしめると、硬直した肢体をぐったりと脱力させて、ティアはアルヴィスにもたれかかった。

 限界を遥かに超えた快感に耐えきれず、ティアは何度目かの失神をした。閉じた長い睫毛が涙で濡れ、目尻から大粒の涙が流れ落ちた。ティアの頬に伝わる涙を赤い舌で舐め取ると、アルヴィスは不意に顔を上げた。
 その表情が真剣なものに変わった。

「思っていたより、やるようね」
 嬉しそうな笑みを浮かべると、アルヴィスは寝台から降り立って司祭服を身につけ始めた。
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