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第七章 エルフの里

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「やっぱり、少し恥ずかしいわ」
 寝台の上に仰向けに横たわると、アルフィが頬を赤く染めながら言った。
 アルフィは胸当てと下着だけの姿を、ティアたちの前に晒していた。仰向けの状態でも形の崩れない豊かな胸と、引き締まった腹部に続く丸みを帯びた腰つきは、非の打ち所のない完璧な曲線を描いていた。滑らかな白い肌に、黒い下着が悩ましい女の色香を感じさせた。

「すみません。魔力回路の状態を見るのには、服の上からだと分かりづらいので少しの間我慢をお願いします」
「分かっています。ダグラス、やっぱりあんたは外に出ていて」
 アストレアの言葉に頷くと、アルフィがダグラスを睨みながら告げた。
「俺もアルフィが心配だから、ここに……」
「私が見ているから、心配しないで外に行きなさい」
 ダグラスの言い訳を、<イルシオン>の柄を握りながらティアが一蹴した。

「そ、そうだな。じゃあ、外で待ってる。何かあったら声をかけてくれ」
 金碧異彩ヘテロクロミアの瞳に睨まれながら、ダグラスがすごすごと寝室から出て行った。
 寝室に残ったのは、アルフィの他に、アストレア、ティア、アンジェの女性陣だけとなった。

「アルフィさんって、着痩せするんですね。その……大っきくて羨ましいです」
 アンジェリーナがアルフィの大きく盛り上がった胸を見つめながら呟いた。
「大っきいだけじゃなくて、すごく柔らかいわよ。触ってみる?」
「いいんですか?」
 ティアの言葉に、アンジェリーナが右手を差し出した。

「ちょっと、そこ! ふざけてないで真面目にやりなさい。アストレアさん、この娘たちが馬鹿なまねする前に、早く始めてください」
 アルフィが焦ったように、アストレアを見上げながら言った。
 その様子を笑いながら見つめていたアストレアが、アルフィに向かって告げた。

「では、始めますね。力を抜いて、気持ちを楽にしてください」
 アストレアは両手をアルフィにかざすと、小さく呪文を唱え始めた。すると、彼女の両手の平が淡い光りに包まれた。
 その光った手で、アルフィの全身を調べるように肌すれすれをなぞっていった。
「んっ……何か、暖かい……あっ!」
 不意にアルフィが顎を反らして全身をビクンと震わせた。

「アルフィさんの魔力回路の中心は、このあたりですね」
 アストレアの右手が、アルフィの下腹部で止まった。ちょうど子宮のあたりだった。
「アストレアさん、それ、ちょっと変な感じが……あっ……くっ」
 声を押し殺すように、アルフィは右手を握りしめて口元に近づけると、拳を噛んだ。まるで、快感を押さえ込むような仕草だった。

「子宮に近い分、性感を感じるかも知れません。申し訳ありませんが、少しの間、我慢してください」
「は、はい……くっ……あっ……」
 アルフィの目元が赤く染まり、黒曜石の瞳がトロンと蕩け始めた。
「なんか、ちょっと悩ましいですね」
 アンジェが顔を赤くしながら、小声で囁いた。
「ダグラスを追い出して正解だったわね」
 アンジェの言葉に、ティアが頷きながら言った。

 二人の言葉を無視して、アストレアが目を閉じると詠唱を始めた。それとともに、アルフィの下腹部にかざした両手が眩い光に包まれていった。
「あ……くっ……アストレアさん、それ……だめ……あ、あっ、くぅ……」
 アルフィが顔を左右に振り始めた。長い漆黒の髪が舞い乱れ、頬にまとわりついた。
「今、魔力回路の場所を特定しました。これから歪みを修復していきます。少し感覚が強くなりますが、我慢してください」
 アストレアの両手を包んでいる光が、アルフィの下腹部に入っていった。

「あ、あああ! だめぇ……それ、あっ……ひぃ!」
 アルフィが大きく背中を仰け反らせて叫んだ。全身に鳥肌が立っていた。ティアはアルフィの下着の中心が湿っていることに気づいた。
「これは……思っていたよりも歪みが大きいようです。ティアさん、アンジェ、二人でアルフィさんの両手を握ってください。もし魔力の暴走を感じたら、すぐに魔力を流し入れて押しとどめてください」
「はい!」
「わかりました!」
 アストレアの言葉に、アルフィの右手をティアが、左手をアンジェリーナがそれぞれ握りしめた。

「アルフィさん、もう少しの辛抱です。絶頂すると魔力が暴走する可能性がありますので、我慢してください」
 そう告げると、アストレアは詠唱を続けた。眩いほどの光がアストレアの両手を包み込み、アルフィの中へ注ぎ込まれた。

「ひいっ……だ、だめ、それぇ……あ、いや……あ、ああ……」
 アルフィの全身が小刻みに痙攣を始めた。ティアたちの手を握る力が強くなった。閉じた目尻に涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちた。
「アルフィ、がまんして!」
 アルフィの手を強く握り返しながら、ティアが言った。
 アンジェは恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤に染めながらアルフィの手を握りしめた。

「あ、ああっ……い、いっちゃう……あ、あっ……だめぇ……」
 アルフィが背中を大きく仰け反らせながら、ビクンッビクンッと痙攣した。涙が頬を伝って流れ、口元から涎が糸を引いた。
 アルフィの全身から魔力が溢れだした。魔道士クラスSの魔力が暴走を始めたのだ。

「アルフィ!」
 ティアは喘ぎ声を上げるアルフィの唇を、自分の唇で塞いだ。
「ん……んっ……んん……」
 ティアの舌がアルフィの舌に絡みついた。溢れ出る魔力を吸い尽くそうとでもするかのように、ティアはアルフィの舌を吸い上げた。

「アンジェ、今のうちにアルフィさんの魔力を押さえ込みなさい」
 ティアたちの口づけを呆然と見つめていたアンジェに、アストレアが厳しい声で告げた。
「は、はい!」
 アンジェが詠唱を始め、溢れ出るアルフィの魔力を包み込んだ。アルフィの躰が、アンジェの光魔法に覆われた。

(アルフィ、がんばって!)
 ティアは舌を絡めながら、アルフィの右手を強く握りしめた。
 アルフィの痙攣が激しくなっていった。しかし、アンジェの光魔法により、魔力の暴走は抑えられていた。

「アルフィさん、最後の修復をします」
 そう告げると、アストレアの両手が眩いほどの光に包まれた。その光がアルフィの下腹部に吸収されていった。
「ん……んぁああああ!」
 アルフィが大きく仰け反った。アルフィの唇がティアから離れて、お互いを細い糸が結んだ。

「アルフィ!」
 ビックンッビックンッと大きく痙攣をし、アルフィは歓悦の頂点に押し上げられた。そして、全身を硬直させると、グッタリと弛緩して荒い息を吐きながら寝台に躰を預けた。
「は、はぁ、はぁ……はひっ……は、はあっ……」
 全身をビクンッビクンッと痙攣させながら、アルフィは肩を切らせて熱い息を吐き続けた。
 黒曜石の瞳はトロンと蕩けきり、目元を真っ赤に染めながら涙を流していた。口元からはティアの唾液が混ざった涎がトロリと糸を引いて垂れていた。

「はぁ……はぁ……アストレアさん……こんなの……聞いてない……」
 魔道回路の修復中に、これほど激しい絶頂を経験させられるなど、アルフィは予想さえしていなかった。
「すみません。魔道回路の場所が、性感中枢のすぐ近くだったので……」
 アストレアが申し訳なさそうに答えた。
「でも、これでアルフィの魔法回路は正常に戻ったんですよね?」
「はい。体力が戻れば、従来の数倍の魔力が使えるはずです」
 ティアの喜びに満ちた言葉に、アストレアが大きく頷きながら答えた。

「よかったね、アルフィ」
「はぁ……はぁ……ちっとも、よくない……こんな恥ずかしい目に遭わされて……」
 息を整えながらそう告げると、アルフィは羞恥のあまり顔を逸らせた。
「大丈夫よ。さっきのアルフィ、可愛かったわよ。ねえ、アンジェ」
「え、ええ……と」
 アルフィが絶頂を迎えるところを初めて見たアンジェは、驚きと恥ずかしさとで真っ赤になっていた。

「ティア……はぁ、はあ……覚えてなさい……」
「い、いやよ。ちゃんと私、協力したじゃない?」
 アルフィの言葉の意味に気づき、ティアが顔を引き攣らせた。その様子を見て、アンジェもアルフィが何を言っているのかを察した。

(またティアのことを愛せそうです。楽しみです)
 アンジェがティアの顔を見つめて、嬉しそうに微笑んだ。その表情からティアはアンジェの考えを読み取ると、睨みながら告げた。
「アンジェ、変なこと考えてない?」
「え……? いえ、別に……」
 ティアの言葉を慌てて否定すると、アンジェは赤くなりながら顔を逸らせた。

「お二人のおかげで、アンジェも少しは成長したようですね。この娘、そっちの方面に疎いようなので、色々と教えてやってください」
 アストレアが笑いながら告げた。千四百年以上を生きるハイエルフにとっては、ティアとアルフィの関係も娘の勉強の一環に映るのかも知れなかった。

「ち、ちょっと、アストレアさん。変なこと言い出さないでください」
「あたし、アルフィさんの魔道具に興味があります。ぜひ、色々と教えてください」
 アンジェが顔を赤く染めながら、アルフィに頭を下げた。
「な、何を言って……」

「いいわよ。またティアでたくさん試させてあげるわ」
 ニヤリと邪悪な笑みを浮かべると、アルフィがアンジェに告げた。横を見ると、アストレアは満足そうに頷いていた。

(どうしてこんな話になってるの?)
 急展開した話の成り行きに、ティアは呆然として立ち尽くした。
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