上 下
68 / 97
2章

2‐16 グリフォン

しおりを挟む
「終わり~!」

 すべての狼を運び終える頃には日はすっかり上っていた。

 リーズが血抜きなどの処理を済ませて残りがせっせと運ぶ。
 
 すべて運び終える頃にはグリフォンは目を覚ましてリーズの傍でおとなしくしていた。

 グリフォンまで運ぶ必要が無くて良かった。

 拠点へ連れて帰ろうとしたとき、小さな問題が起こる。

「キュィ」

 なぜかなつかれてしまった。
 
 俺の傍に来ては頭を擦り付けてくる。

「この子は賢い子だ、恐らく聖水の匂いであんたが救ってくれたってわかってるのよ。」

 頭を撫でてやる。

「近くで見ると、思ったより小さいんだな。」

 明るい所で見るとよくわかるが仔馬程のサイズしかなかった。

「まだ幼い子なんだよ。
 どうやってここまで来たかは分からないけど、巣立って間もなく襲われたのは間違いないね。」

 そういえばモンスターにもレベルとかあるのだろうか。

「ある。
 ただ、「鑑定」系統の高レベルスキル出なければ見抜けない上、大体鑑定スキル持ちは戦闘に不向きだから強い魔物のレベルはほとんどわかってない。」

 そういえば長らく新しいスキルを獲得してない、もしかすると鑑定スキルも獲得できるかもしれない。
 いやしかし、リーズみたいに飛ぶスキルも欲しい。

 そんなことを考えている間もそばを離れないグリフォン。

「まずは拠点へ帰ろう。」

ーーーーーーーーー

「キュー」

 想像してたグリフォンの鳴き声とはだいぶ違うが可愛いものだ。

「この子の名前は「シルフィ」に決定。」

 いきなりそう言うと、頭を撫でながら

「君はシルフィだよ。」

 自分の子を可愛がる親のようだ。

「いい名前だね。」

 そう言ってリーズの頭を撫でる。

「風の精霊から取ったの。」

 嬉しそうにこちらを見るリーズ。
 やばい、めちゃくちゃカワイイ。

「新しい仲間も増えてめでたいけど、大量の狼を処理しなくちゃね。」

 頭を撫でながらも仕事の催促をする。

「そうね、やれることはさっさと済ませましょう。」

ーーーーーーーーー

 シルフィは賢い子だ、俺たちが狼の処理をしている間おとなしく待っていた。

 俺たちが食べる部位などを確保し、「温度干渉」スキルを応用して作った簡易氷室に保管する。

「あれば荷車を購入して、なければギルドに発注お願い。」

 素材と肉を売りにナツキとアンナとミーシャが「村」へ行くことに。

 仲間が増え、必要な道具も多くなる。
 移動に便利な荷車が確保できれば移動が楽になる。

「もしあれば荷馬車の方が良いわね。」

「シルフィにひかせるの?」

 引いてくれるだろうか?

「大丈夫、引いてくれるよね?」

「キュー!」

 本当に意味が分かってるのか、可愛く鳴く。

 ま、その時考えればいいか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おしっこ我慢が趣味の彼女と、女子の尿意が見えるようになった僕。

赤髪命
青春
~ある日目が覚めると、なぜか周りの女子に黄色い尻尾のようなものが見えるようになっていた~ 高校一年生の小林雄太は、ある日突然女子の尿意が見えるようになった。 (特にその尿意に干渉できるわけでもないし、そんなに意味を感じないな……) そう考えていた雄太だったが、クラスのアイドル的存在の鈴木彩音が実はおしっこを我慢することが趣味だと知り……?

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話

赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。 前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...