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2章

2‐1 上陸

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「待っていたよ、ナツキ。」

「お久しぶりです、お世話になります。」

 船を降りるとグリーグの駐屯兵が数十人待機しており、その代表と思われる女性がナツキに声を掛ける。
 他には小さな船が二つだけ、簡易的に作った港のようでその船も海岸から少し離れた位置に碇を下ろして停泊している。

「私もいるよ!
 カリーナちゃ~ん!」

 リーズは「カリーナ」目掛けて飛びつくが、ひらりと交わされてしまう。

 金髪のポニーテール、身長はナツキより少しだけ小さい。
 だが実力はリーズに匹敵するこの島の責任者。

「はじめまして、この島の領主代行として派遣されているカリーナです。」

 初めて会う俺とアンナに向かって手を差し伸べてくる。

ーーーーーーーーー

 簡単な自己紹介を済ませ、「グリーグ島攻略基地作戦本部」へ。
 実際には大きなテントが並んでいるだけだが…

「まさかリーズとナツキがパーティを組むとは思ってもみなかったけど…
 この島へ来てくれてありがとう、正直停滞気味だったの。」

 カリーナは地図を取り出し、現状を説明する。

「今いるのは島の北東部、冒険者の探索によってここから20㎞程南西、つまり島の中心部へと向かうとダンジョンがあるのが確認されてる。
 距離的にも本格的に攻略する為には、中間にもう一つ拠点を作る必要がある。」

 ため息を吐いて続ける。

「問題は道中の森に生えている木が太く・固いため、開拓に時間がかかってしまっている。
 そしてもう一つ…」

 そう言って資料を取り出す。

「かつてこの島から逃げてきた人達の証言では、島の南で発生したダンジョンから強力な魔物が出てきたと報告があった事…
 つまりこの島には、少なくとも2つダンジョンが存在する。
 それも、南側のダンジョンはさらに強力な可能性すらある。」

 話を聞いていたアンナは、力になれると割って入る。

「私は、ルーダ村で木工職人をしていた、木の事に関しては騎士や冒険者より詳しい自信がある。」

 アンナにとっては、未知の島の未知の木にすでにワクワクしているようだ。

「それは助かります、ギルド本部や軍の上層部に掛け合ってはいたのですが、この島に来たがる人がいなくて困っていたんです…
 力仕事に関しては我々もお手伝いできますので、指示してください。」

 一応、一つ解決だろうか。

「ねぇカリーナ、領主代行って言うのはどういう事?」

 話を黙って聞いていたリーズだが、ずっと気になっていたようだ。

「国王様からの命令で、この島の調査・攻略命令が発令された時、私に攻略軍「隊長」ではなく、駐屯地の「領主」として派遣を決定いたしました。」

 つまりこの島でのあらゆる決定はカリーナの一存で決められるという事だ。

「現在この島には納めるべき民がいない為、「領主代行」を名乗っています。
 それに…
 領主の器ではないですから。」

 そう言って話を切り替える。
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