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1章 王都ルーデリー 出会い編

1‐43 アンナ ☆

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 仲間達に確認してみるとアンナには伝え、戻ってくる。
 村の人には聞かれないように、パーティーメンバーにだけ話をする。

「私はカズ殿が良いのなら、異論ありません。」

 リーダーとして俺を立てるナツキ。

「冒険したいなら冒険者だよ!」

 楽天的なミーシャ。

「熱意だけじゃどうにもならないわよ。
 実力を見てみなきゃ。」

 冷静なリーズ。

ーーーーーーーーー

 と言うわけで、村近くの森でリーズにアンナの実力を確認してもらう。
 ミーシャとナツキは集会所に置いてきた。

「お嬢ちゃん、好きなタイミングでかかってきなさい。」

 酔ってるからか、リーズは乗り気だ。

「後悔しないでよ!」

 重そうな斧を軽々担ぎながらリーズに向かっていくアンナ。

 とても斧を振っているとは思えない速度で攻撃を繰り出すが、リーズにはかすりもしない。

 やがて息を切らして膝をつく。

「はぁ、はぁ…
 何て速さだ…」

「あなたがいつも切りかかってる木と違って、強力な魔物は切られるのを待ってはくれない。
 その程度で終わり?」

 リーズは挑発するようにそう言うと、次の瞬間一気に距離を詰め足払いをする。
 尻餅をついたアンナに向かって。

「もう満足?」

 わざと挑発しているようだ。

 さっきまで冷静さを失っていたアンナだったが、尻餅をついた後冷静になったようで挑発には乗らない。

「焦ったら思うつぼだよね。」

 そう言った後、斧を置いてリーズへと走り出す。

 重い斧を置いたおかげかさっきとは比べ物にならない程の速さだ。

「ふっ、フン!
 セイッ!」

 どれも当たったらかなりのダメージを与えそうだが、リーズは紙一重でよけていく。

 そして腹に重い一撃を与え、吹っ飛んだアンナは木を2・3本なぎ倒し倒れこむ。

「クッソ、私の負けだ…
 一発も当てられなかったのは初めてだ。
 私もまだまだという事…」

 負けを認めてリーズへそう言う。

「いえ、あなたの攻撃はなかなかでした。」

 そういって聖水を差し出す。

「これが飲めたら合格です。」

 差し出された物をのまま飲もうとしたアンナだったが、匂いで尿だと気づき躊躇する。

「もし冒険者になるんだったら、それくらいは飲めなくてどうするの?」

 リーズの挑発を受けて一気に飲み干すアンナ。
 一瞬せき込みそうになるも抑え込む。

「ヴうん!
 おいしいわ、おかわり。」

 リーズはさらに聖水の入った水筒を一本差し出し、アンナはそれを飲み干す。

ーーーーーーーーー

「同行を許可します。」

 声に出さず喜ぶアンナを尻目にリーズに確認を取る。

「本当にいいんだな?」

「もちろん。
 あなたにとっても女性の方が良いでしょ?」

 恐らく聖水の事を言っているのだろうが…
 その通りだ。
 男に飲ませることは想像したくない。
 「あなたにとっても」の部分で、リーズ的には男の仲間を増やしたくない意図が見える。

「一つだけいいかい?」

 俺たちの会話を聞いていたアンナだったが、疑問があるようだ。

「さっき飲んだものは明らかにおしっこだったと思うんだけど…
 痛みが引いてるのは…?」

「今はまだ教えられません。
 このことも口外しないこと。
 それがルールです。」

 釘をさすリーズ。

「分かった、とりあえず連れてってもらえることのに感謝するよ。」

 仲間が一人増えた。
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