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1章 王都ルーデリー 出会い編

1‐41 出発、そして魔物の種類

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「では皆さん、宜しくお願いします。」

 「商人ジーモ」のあいさつから旅は始まる。
 

「まず向かうのはルーダという村です。」

 馬車は全部で四台、ジーモを筆頭とした小さな商人グループで、カルドラとルーデリーを定期的に行き来しているらしい。

 そのうちの一台を俺たちの専用としてもらい出発する。

 馬車の荷台は想像以上に揺れる。
 街道が整備されている道はともかく、多くは未舗装の場所を走る。
 大商人や軍の関係者なんかは、ショックを軽減する装置の付いた馬車を使うそうだが、量産化されていない為、なかなか高額で手が出せないらしい。

「私達が運ぶのは主に手紙や購入依頼があった物程度なので、なくてもそれほど困りはしません。」

ーーーーーーーーー

 馬車に揺られてどのくらいだろうか。

 酔って気分が悪くなった為しばらくおとなしくしていたが、落ち着いてきたところで疑問が湧く。

「ナツキがあんまり心配ないとは言ってたけど、なかなか魔物って襲ってこないんだね。」

「そうですね、基本的には魔物にも2種類います。」

〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 大きく分けて
 ①ダンジョンで生まれた魔物
 ②動物が後から魔物になるケース

 があるらしい。
 
 ①のダンジョンで生まれた魔物は比較的凶暴で、人を襲う性質がある(親であるダンジョンの養分を確保する為と考えられている)

 ②動物が魔物になるケースでは元が動物である為、見た目に若干変化があっても行動原理が変わらない。
 人間が魔人になるのと同じで、害がない場合は特に対処もしないらしい。

 そして少しだけ厄介なのが、狼や熊のような人を襲う動物が魔物化した場合。
 対処に慣れた冒険者であればさほど問題なく倒せるが、子供や戦い慣れていない人が襲われるケースも無くは無いらしい。

 ちなみにグリフォンやペガサスのように、もともと動物だったものが魔物として進化を遂げて種族として定着した生き物もいるらしく、同種の魔物が交尾した場合は魔物がうまれるそうだ。
 
 大きな街はダンジョンを資源として発展しているケースが多い為周辺に強い魔物が出現しやすいが、ダンジョンが近くにない町は比較的穏やかで、一番怖いには盗賊の類だとか。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「ダンジョン化してはいないけど、魔力濃度の高い場所では動物の魔物化が起こりやすいので、そういう意味では魔物の絶対数自体は少なくありません。」

 なるほど、魔物と動物の境界線は体内に魔石があるか無いかだけで、魔物でも人になつくものは動物のように飼ったりもするのか。

ーーーーーーーーー

 ルーダ村までは3日かかる。

 日が暮れてきたところで野営の準備を整え、皆で食事を取る。

「それにしても珍しい組み合わせですね。
 グリーグ島へ向かう人達に護衛についてもらえるなんて、ついてました。」

 ジーモ達一行はまだ若く、戦闘力に乏しい。
 年長のジーモでも40歳という若さで、平均年齢は35歳。
 全員のレベル平均も28と高くない為、弱い魔物程度なら何とかなるが、連携を取ってくる盗賊には手も足も出ないそうだ。

「こちらこそありがたいです。
 馬車を丸ごと一台使わせてもらって助かってます。」

 移動中の聖水の補充などを見られずに済むのは助かる。
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