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1章 王都ルーデリー 出会い編
1‐34 ウルザとウルガ
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今日は初めての4人パーティでのダンジョンだ。
「私とナツキで後ろの警戒をするから、二人は前だけに気を配って大丈夫よ。」
作戦の指揮を執っているようで、内容は昨日と同じなので特に意味はない。
それよりもナツキの手を握って上機嫌なのが怖い。
ナツキは半ばあきらめモードで、
「そういう事なので、進めるところまで行ってみましょう。」
ーーーーーーーーー
「へぇ、強くなったね、ミーシャ。」
「ありがと!」
俺たちは第5層まで到達していた。
この層では出てくる魔物は特段強くないが、数が多い。
息の合った連携でミーシャとふたり、小さな触手を伸ばす鶏のような魔物を処理し、休憩しているところだ。
「この魔物も初めて見るわね、完全に新型のダンジョンと言っていいわね。」
リーズの言葉に引っかかる。
「新しく見つかったから、「新型」じゃないの?」
「そうね、簡単に説明するなら…
未発見の島に上陸して、そこにいる生き物の多くは知っているものなのか、ほぼすべて新種なのか。
このダンジョンは後者という事。」
ダンジョンが生きている以上、その土地の魔力から生まれる魔物は似たようなものや同じものになりがちだが、今回のダンジョンは強くはないが、ほぼすべてが新型のようだ。
「あの触手は厄介かもしれません。
以前退治した寄生型の魔物の件を考えても、このダンジョンの本質は「寄生」と考えられそうです。」
ダンジョンの本質か…
「いずれにしても他の冒険者が持ち帰ってるサンプルも含めて、解析部から詳しい情報が入るまでは十分注意したほうが良いわね。」
ーーーーーーーーー
休憩を終え、さらに奥へと進む。
洞窟のような場所を深く進むも、呼吸をする酸素は失われない。
懐中電灯替わりの照明石は魔力で光る、宝箱はないけど、いつか夢見た冒険をしてるようだ。
だが、8層に到達すると少しだけ状況が変わる。
ここには大きな池が有り、他の冒険者たちが休憩場所として使っているようだ。
「何だいリーズ、結局ナツキとパーティ組んだのかい?」
2mはある大きな女性が声をかけてくる。
「もう少ししたらグリーグ島に行くつもりだからパーティ組んだのよ。」
「そうかい、うちらもあのバカが腹を決めたら向かうつもりなんだけどね。」
そういって指さしたのは同じく2mはある男性だ。
「ナツキ!
久しぶり!」
一気に距離を詰めてくる。
近い。
「お久しぶりです、ウルガ殿。」
皆顔見知りのようだ。
だが、ウルガと呼ばれた男は俺と目が合うと、敵でも見つけたように顔色を変える。
「お前か!
ナツキをたぶっ」
ガンッ、と音が鳴ったかと思うと、さっきまでウルガのいた場所にはすでに姿がなく、遠くの岩にぶつかる衝撃音で吹っ飛んだことを知る。
「ごめんね、馬鹿な弟が失礼して。」
彼女の名前は「ウルザ」獅子族の上級冒険者で、大きな剣を振り回して戦うそうだ。
それにしても、彼女がウルガを吹っ飛ばすところが全く見えなかった。
「最近ナツキに男が出来たって噂があってね。
まさかとは思ったけど、本当だったとはね。」
「いえ、お付き合いしてるとかでは…」
真っ赤な顔で否定するナツキだが、ウルザはニヤニヤしている。
「大事にしてやってくれよ、リーズの事もね。」
まだ数分しか話してないのに見抜かれているようだ。
「私は特に鼻が利くのさ、匂いのごまかしは効かないよ。」
そういう事か、匂いで見抜かれたと思うと少し恥ずかしくなる。
「ま、事情はそれぞれさね。
野暮なことは効かないよ。」
「あ、ありがとうございます。」
心から感謝する。
「私とナツキで後ろの警戒をするから、二人は前だけに気を配って大丈夫よ。」
作戦の指揮を執っているようで、内容は昨日と同じなので特に意味はない。
それよりもナツキの手を握って上機嫌なのが怖い。
ナツキは半ばあきらめモードで、
「そういう事なので、進めるところまで行ってみましょう。」
ーーーーーーーーー
「へぇ、強くなったね、ミーシャ。」
「ありがと!」
俺たちは第5層まで到達していた。
この層では出てくる魔物は特段強くないが、数が多い。
息の合った連携でミーシャとふたり、小さな触手を伸ばす鶏のような魔物を処理し、休憩しているところだ。
「この魔物も初めて見るわね、完全に新型のダンジョンと言っていいわね。」
リーズの言葉に引っかかる。
「新しく見つかったから、「新型」じゃないの?」
「そうね、簡単に説明するなら…
未発見の島に上陸して、そこにいる生き物の多くは知っているものなのか、ほぼすべて新種なのか。
このダンジョンは後者という事。」
ダンジョンが生きている以上、その土地の魔力から生まれる魔物は似たようなものや同じものになりがちだが、今回のダンジョンは強くはないが、ほぼすべてが新型のようだ。
「あの触手は厄介かもしれません。
以前退治した寄生型の魔物の件を考えても、このダンジョンの本質は「寄生」と考えられそうです。」
ダンジョンの本質か…
「いずれにしても他の冒険者が持ち帰ってるサンプルも含めて、解析部から詳しい情報が入るまでは十分注意したほうが良いわね。」
ーーーーーーーーー
休憩を終え、さらに奥へと進む。
洞窟のような場所を深く進むも、呼吸をする酸素は失われない。
懐中電灯替わりの照明石は魔力で光る、宝箱はないけど、いつか夢見た冒険をしてるようだ。
だが、8層に到達すると少しだけ状況が変わる。
ここには大きな池が有り、他の冒険者たちが休憩場所として使っているようだ。
「何だいリーズ、結局ナツキとパーティ組んだのかい?」
2mはある大きな女性が声をかけてくる。
「もう少ししたらグリーグ島に行くつもりだからパーティ組んだのよ。」
「そうかい、うちらもあのバカが腹を決めたら向かうつもりなんだけどね。」
そういって指さしたのは同じく2mはある男性だ。
「ナツキ!
久しぶり!」
一気に距離を詰めてくる。
近い。
「お久しぶりです、ウルガ殿。」
皆顔見知りのようだ。
だが、ウルガと呼ばれた男は俺と目が合うと、敵でも見つけたように顔色を変える。
「お前か!
ナツキをたぶっ」
ガンッ、と音が鳴ったかと思うと、さっきまでウルガのいた場所にはすでに姿がなく、遠くの岩にぶつかる衝撃音で吹っ飛んだことを知る。
「ごめんね、馬鹿な弟が失礼して。」
彼女の名前は「ウルザ」獅子族の上級冒険者で、大きな剣を振り回して戦うそうだ。
それにしても、彼女がウルガを吹っ飛ばすところが全く見えなかった。
「最近ナツキに男が出来たって噂があってね。
まさかとは思ったけど、本当だったとはね。」
「いえ、お付き合いしてるとかでは…」
真っ赤な顔で否定するナツキだが、ウルザはニヤニヤしている。
「大事にしてやってくれよ、リーズの事もね。」
まだ数分しか話してないのに見抜かれているようだ。
「私は特に鼻が利くのさ、匂いのごまかしは効かないよ。」
そういう事か、匂いで見抜かれたと思うと少し恥ずかしくなる。
「ま、事情はそれぞれさね。
野暮なことは効かないよ。」
「あ、ありがとうございます。」
心から感謝する。
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