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1章 王都ルーデリー 出会い編

1-20 ルーデリアと帝国

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 万事屋を出てからもいくつか街を案内してもらう。
 下宿しているエリアは中所得者が多いエリアらしく比較的綺麗で落ち着いていたが、さすが王都だ。
 大衆浴場もあるし、カジノもある。 
 
 当然低所得者層の集まるエリアもある。
 だがスラムとまでは言えないようだ。
 安月給ながらも国が雇い、清掃他雑用を与えている。
 生活保護とは少し違うが、動けない者には餓えないように食事も与えられる。
 
 この国の王はいい人なのだろうと勝手に思った。

「カズ殿がさらわれた事とも無関係ではないのですが、この国では基本的に奴隷は禁止されています。
 ですが隣の帝国では奴隷制が残っており、たびたびこの国の国民もさらわれて奴隷にされています。」

 静かだが、怒りに震えた表情でナツキは話す。

「今は休戦状態ですが、帝国はいずれ侵攻してくるでしょう。」

 いままでそこまで気にする余裕も無かったが、すごく興味が湧いてきた。
 他の種族を受け入れ拡大したこの国について。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 数百年前、この中央大陸で最大の勢力を誇った帝国に対し、当時帝国の植民地であった大陸南(現在のルーデリー)の国が反旗を翻し、周辺の小国と協力し帝国との戦争に勝利(ルーデリアの教科書的に)。
 「迷い人」の血を引く指導者がリーダーとなり、奪還した地域と周囲の小国と同盟を組む。
 帝国との幾度かの戦争を経て、周囲の小国はい教育が行き届き、戦力も充実し始めたルーデリーの傘下に入る事を望み、ルーデリーを中心とした国家「ルーデリア」が誕生したという。
 
 しかし帝国の戦力はすさまじい為、軍拡や生活向上を求めて積極的に他種族を受け入れた結果、他民族国家になった。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
 
 歴史の中に「迷い人」ありと言うべきか。
 この場合子孫なので少し違うか。

「そういえばさっき、「基本的に」奴隷は禁止されているって言ってたけど、例外があるって事?」

「はい。
 奴隷、とも少し違うのですが。
 重犯罪を犯し、「強制労働相当」と認められたものは、市民権をはく奪されて財産は全没収、その上で強制労働を強いられます。
 強制労働判決にも度合いが有りますが、どれも帝国の「奴隷」よりはましです。」

「私たちが最初にあった時の奴隷商は貴重な情報源で、何とか取引先を一人だけ聞き出せたので、あとは情報部が調査を進めています。」

 なるほど、そういう経緯だったのか。

ーーーーーーーーーー

 日も暮れてきて宿への道すがら聞いてみる。

「明日はどうしようか?」

「そうですね、ギルドの訓練室を使って刀を使った練習をしましょう。」

 ナツキの提案に頷く。
 焦って外へ出る必要はない。
 しっかりと鍛錬をすれば必要なスキルが理解できるかもしれない。
 上がったレベルからすると、まだスキルが獲得できるはずと言われたので、その為にも明日は基礎練習だ。
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