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小話
酔っ払いモモ君
しおりを挟む「今日はこれで終わろうか。2人ともご苦労だった。」
今日中にやらなくてはならない仕事のがあり、こんな時間までかかってしまった。
いつもはモモと夕食をとっている時間だが、遅くなると分かっていたので父上と母上に一緒に食べて貰っている。
ダリアとジェイドもこの時間まで執務室に残ってもらっている。
「あー、モモ君に会いたいなー」
「知らん、帰れ。」
またジェイドがふざけたことを言っているが、とりあえず早く部屋に戻ってモモに抱きつきたい。
「おや?騒がしいですね、なにかあったのでしょうか。」
あとかたずけをしていると、何やら話し声がドアのその外から聞こえて来たので、ダリアが様子を見ようとすると。
───バンッ
「あっ、ルー!」
勢いよくモモが部屋に入ってきて、俺の元に駆け寄ってくる。
その後ろでメリッサが苦笑いをしていた。
来てくれたのは嬉しいがモモの様子、少しおかしくないか?
「モモね、ルーに抱っこしてもらいにきたの~。あとちゅーもだよ?」
抱っこをねだるモモが可愛いのはもう当たり前だがこれは……
「モモ、お酒飲んだ?」
「んーん、飲んでなぁい。あっ、でもパパにちょこもらったんだぁ」
「そっかそっか。…メリッサ、説明を頼む」
「えっと、陛下がモモ様にウィスキーボンボンを食べさせたらこうなられまして…」
ウィスキーボンボンでこんなに酔うのか。
「ちゅー、は?」
「部屋戻ってからね。あ、こらいたずらしないの。」
抱っこはしたがキスしないのが不満なのか俺の首筋をはむはむと甘噛みしだした。
「モモくーん、俺がキスしたげるよー」
「…ほんとぉ?」
もぞもぞと俺の腕の中から降りようとするモモをぎゅっと捕まえる。
「ジェイド。」
「あー、俺帰りまーす。」
そそくさと帰って行った。長期の視察でも行ってもおうか。
「モモ、そのまま噛んででいいから、部屋着くまでそれで我慢して?」
「ん、分かったぁ」
部屋に戻ると、モモがもじもじしだした。
「…ね、ルー。えっち、しよ……?」
先程よりも顔を赤らめ、恥ずかしそうに言う。
なるほど、モモが発情している。それ自体は珍しくないのだが、恥ずかしがってるのは初めてだな。
これはもしかして……
「もじもじして、そんなに昨日のが良かったの?奥のとこ、ぐりぐりする度イッてたもんね。」
「あぅ…いわないでぇ。もも、あれやなのっ」
「嫌なの?おかしいな、あんなにもっとって欲しがってたのに。でも嫌ならこれからはしないようにするね。」
少し意地悪なことを言うと、モモは目に涙を溜めてふるふると首を振った。
「ふふ、ごめんごめん。いっぱいしてあげるから機嫌治して?」
「…してくれるの?やったぁ。さっきももね、うそついたの。ほんとはね、あれすき……。」
「……モモ?…………まじか。」
急に静かになったので、モモを見るとすやすやと眠っていた。
そしてモモの恥ずかしがっている様子を見て元気になった自分の下半身を見て、ため息をつくのだった。
翌日、モモはすっかり酔った時のことを忘れていた。
「モモはお酒禁止ね。」
「?はぁい。」
モモに何度も言い聞かせ、そして城の中でも暗黙の了解となった。
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