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本編
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「今日、誕生日なんだけどなぁ」
いつにも増して機嫌の悪いお母さんに1時間くらい殴られた後、追い出されてしまったのでとりあえず街を歩いている。
痛い、辛い、悲しい……死にたい。
そんな感情が僕の中を埋めつくしていく。
その時───
「危ない!!」
え……?
キキーーーッ!!バンッ!
「だ…か……救……車を……!」
周りの声が遠くに聞こえ、全身が酷く痛い。
僕……死ぬのかな……?これで、解放される…。
そして僕は意識を手放した。
気がつくと真っ白な空間にいた。
「ん……ここは…?」
天国?それともまだ死んでないの?それはやだよ…。
「おはよう、私の愛しい子…。やっと会えたね。」
だれ……?
隣から声が聞こえ、起き上がってみると人が立っていた。
「かみ…さま?」
「そうだよ。」
やっぱりそうなんだ。なんの確証もなかったが、自然とそう思ったのだ。
「君は私の愛し子だ。本来は別の世界で幸せに暮らすはずだったのに、手違いであの母親の元に生まれてしまった…。君の悲しみは私の悲しみ。この16年間何もしれあげられなくて胸が張り裂けそうだったよ。」
そう…なんだ。非現実的過ぎて頭が混乱している。でも……
「神様はずっと僕を見て下さってたんですね。」
その事が嬉しい……。
「百花……。君には幸せになって欲しい。これからはその世界で生きてみないかい?」
えっ……?もう一度生きる…?
「でも…僕はいらない子だから。」
そう思うと涙がぽろぽろ溢れてくる。
「あぁ、泣かないで……。大丈夫、そこには百花の運命の人がいるんだ。君を心から愛し、必ず幸せにしてくれる。」
「愛してくれる、の?ほんとに……?」
僕なんかが愛されることなんてあるの?
「ほんとだよ。運命の相手とは自然と惹かれ合うものだよ。」
運命の人……。会ってみたいな。
そんな考えが僕に芽生えたのが分かったのか、神様は安心したように微笑んでいる。
「神様……、僕、もう一度生きてみようかな。」
そこに幸せがないのならその時は…
「何も恐れることは無いのだよ。いつも私が見守っているよ。」
「ふふっ、心強いですっ。」
自然と笑顔が溢れ、さっきの暗い気持ちもなんとなく晴れたような気がした。
「よし、じゃあ私が送っていこう。私が干渉しやすい世界なんだ。それと、」
「…わぁっ、すごい」
神様がパンっと手を叩くと僕のボロボロの服があっという間に綺麗な物に変わった。
神様ってなんでも出来るんだなぁ
「うん、綺麗だ。もう既に神託は下している。心の準備はいいかな?」
「…はい。神様、僕頑張ってみます。」
「あまり気負いすぎないようにね。やりたい事をやりなさい。」
ふわっと抱きしめられると、その温もりに心まで温かくなる。
「それじゃあ目を瞑って。次に起きる時に私はもう居ない。幸せになって、百花。」
「っ、はぃ…!」
その言葉を合図に僕の意識は再び途絶えた。
ありがとうこざいます、神様。
いつにも増して機嫌の悪いお母さんに1時間くらい殴られた後、追い出されてしまったのでとりあえず街を歩いている。
痛い、辛い、悲しい……死にたい。
そんな感情が僕の中を埋めつくしていく。
その時───
「危ない!!」
え……?
キキーーーッ!!バンッ!
「だ…か……救……車を……!」
周りの声が遠くに聞こえ、全身が酷く痛い。
僕……死ぬのかな……?これで、解放される…。
そして僕は意識を手放した。
気がつくと真っ白な空間にいた。
「ん……ここは…?」
天国?それともまだ死んでないの?それはやだよ…。
「おはよう、私の愛しい子…。やっと会えたね。」
だれ……?
隣から声が聞こえ、起き上がってみると人が立っていた。
「かみ…さま?」
「そうだよ。」
やっぱりそうなんだ。なんの確証もなかったが、自然とそう思ったのだ。
「君は私の愛し子だ。本来は別の世界で幸せに暮らすはずだったのに、手違いであの母親の元に生まれてしまった…。君の悲しみは私の悲しみ。この16年間何もしれあげられなくて胸が張り裂けそうだったよ。」
そう…なんだ。非現実的過ぎて頭が混乱している。でも……
「神様はずっと僕を見て下さってたんですね。」
その事が嬉しい……。
「百花……。君には幸せになって欲しい。これからはその世界で生きてみないかい?」
えっ……?もう一度生きる…?
「でも…僕はいらない子だから。」
そう思うと涙がぽろぽろ溢れてくる。
「あぁ、泣かないで……。大丈夫、そこには百花の運命の人がいるんだ。君を心から愛し、必ず幸せにしてくれる。」
「愛してくれる、の?ほんとに……?」
僕なんかが愛されることなんてあるの?
「ほんとだよ。運命の相手とは自然と惹かれ合うものだよ。」
運命の人……。会ってみたいな。
そんな考えが僕に芽生えたのが分かったのか、神様は安心したように微笑んでいる。
「神様……、僕、もう一度生きてみようかな。」
そこに幸せがないのならその時は…
「何も恐れることは無いのだよ。いつも私が見守っているよ。」
「ふふっ、心強いですっ。」
自然と笑顔が溢れ、さっきの暗い気持ちもなんとなく晴れたような気がした。
「よし、じゃあ私が送っていこう。私が干渉しやすい世界なんだ。それと、」
「…わぁっ、すごい」
神様がパンっと手を叩くと僕のボロボロの服があっという間に綺麗な物に変わった。
神様ってなんでも出来るんだなぁ
「うん、綺麗だ。もう既に神託は下している。心の準備はいいかな?」
「…はい。神様、僕頑張ってみます。」
「あまり気負いすぎないようにね。やりたい事をやりなさい。」
ふわっと抱きしめられると、その温もりに心まで温かくなる。
「それじゃあ目を瞑って。次に起きる時に私はもう居ない。幸せになって、百花。」
「っ、はぃ…!」
その言葉を合図に僕の意識は再び途絶えた。
ありがとうこざいます、神様。
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