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第4章起業しましょう。そうしましょう
194・襲来
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「喜んでくれて良かったわね」
「うん、そうですね」
領主邸の帰り道、私はみんなと歩いていた。
「それよりセツナ、今日は寝ないでください」
「え? 何で?」
「あなたはあの大神官のメンツを、
塔の上から落とした卵のごとく見事に粉砕しました。
あの手のタイプはプライドを傷つけられたら、
絶対に許さないでしょう。
仕掛けるとすれば今夜にでも何かしてくるでしょう」
「つまり戦闘になるってこと?」
「そうです。今夜は寝ずに家で待機していましょう」
そうして家に帰ると、深夜になるまで待った。
そして夜中の2時になると襲撃者は現れた。
「どう、セツナ?」
「家の前に居ます。数は21人ってところです」
エリアマップに襲撃者達が映っていた。
「とりあえず私が表に出て注意を引きつけるから、
その間に3人は勝手口から外に出て、
襲撃者の裏手に回って、挟み撃ちにしよう」
そう言うと私は玄関を出た。
「これはどういうことですか。大神官様」
「おやおや、ずいぶんと余裕ですね」
余裕たっぷりと言った表情で大神官のボブは言う。
彼の周りには20人の覆面をかぶった者がいる。
「あなたが全て悪いのですよ。
こちらに来ないのならば力ずくで奪うまでです」
「そんなに私を自分の物にしたいですか。
そこまで地位やお金が欲しいですか」
「当然でしょう。
地位や金は誰もが欲しがるものです。
聖眼持ちが出す恩恵、
それを欲しがらない人間が果たしていますか?」
「つまりあなたが聖眼持ちを狙うのは、
国や神殿のためではなく自分のためですか?」
「ふっ、よく気がつきましたね。
そうですよ。自分のためです。
そのためにサーシャを利用してきました。
彼女が持つ予知能力は貴重なものですからね。
本当に彼女を洗脳するのはたやすかったですよ。
あなたも洗脳して差し上げます」
「その言葉を聞いて安心しました。
ありがとうございます。
最低のクズ野郎でいてくれて、
これなら罪悪感も抱かなくてすみます」
「ハッ、これだけの人数相手にどうするつもりですか?
あなたのような女が勝てるとでも?」
「あなたは何も理解していないみたいですね。
『金色の黎明』で最強なのは実はこの私なんですよ。
《大地よ》」
そう言うと土魔法を使って、
襲撃者達の周りにドーム状の壁を作った。
「こ、これは…」
「その中でしばらく反省してください」
「ふざけるな。出せー!!」
ドンドンと壁から声が聞こえたが関係なかった。
「セツナ、せっかく回り込んだのに、もう倒したのか?」
そうイオが言ってきた。
「まぁいいじゃない。
それよりセツナ、こいつらどうするの?
「とりあえず警察に引き渡しましょう」
そうして私達は襲撃者を警察に引き渡した。
大神官とはいえ、他人の家を襲撃しようとしたのは許される罪では無い。
しかも警察が調査した結果、
どうも今までのしていた悪行も芋ずる式に発覚したらしく、
大神官のボブにはそれなりに重い罪が下されるとのことだった。
そして聖女サーシャだが、今日帰ることになった。
「しかし残念ですせっかく仲良くなれたのに」
「そうですね。でもここは王都から1カ月はかかりますから、
そんな長期間王都を留守にするわけにはいかないのです」
「確かにそうですよね」
「それとセツナ様に言っておくべきことがあります」
「何ですか?」
「実は私が持つ聖眼持ちとしての能力は予言。
先の未来が見通すことが出来る力です」
「え、それってすごいですね」
「まぁすごいといっても、
予言がいつ来るのか私にも分かりませんがね。
それで今朝起きた時、
こんな予言が降りたのです。
金色の夜明け、
それを取り囲むうちの1人が最悪な別れ方をするであろうと」
「え?」
「金色の夜明けということは、
『金色の黎明』のことだと思います。
黎明は夜明けという意味もありますから、
そして最悪な別れ方というのは――」
「誰かが死ぬってことですか?」
「すみません。予言はあくまで一方的に告げるだけなので、
私にも意味は分かりません。
でも私の予言は今まで外れたことがありません」
「金色の夜明けを取り囲むうちの1人。
取り囲むってことは私達の身の回りにいる人ってことですか?
私達の友人ってことですか?」
「さぁ私にも分かりませんが、
気をつけた方がいいのは確かです」
気をつけろって一体どう気をつけろっていうんだ?
しかしこの予言が後に、
私の人生を大きく変えることとなるのだが、
それはまた先の話だ。
「うん、そうですね」
領主邸の帰り道、私はみんなと歩いていた。
「それよりセツナ、今日は寝ないでください」
「え? 何で?」
「あなたはあの大神官のメンツを、
塔の上から落とした卵のごとく見事に粉砕しました。
あの手のタイプはプライドを傷つけられたら、
絶対に許さないでしょう。
仕掛けるとすれば今夜にでも何かしてくるでしょう」
「つまり戦闘になるってこと?」
「そうです。今夜は寝ずに家で待機していましょう」
そうして家に帰ると、深夜になるまで待った。
そして夜中の2時になると襲撃者は現れた。
「どう、セツナ?」
「家の前に居ます。数は21人ってところです」
エリアマップに襲撃者達が映っていた。
「とりあえず私が表に出て注意を引きつけるから、
その間に3人は勝手口から外に出て、
襲撃者の裏手に回って、挟み撃ちにしよう」
そう言うと私は玄関を出た。
「これはどういうことですか。大神官様」
「おやおや、ずいぶんと余裕ですね」
余裕たっぷりと言った表情で大神官のボブは言う。
彼の周りには20人の覆面をかぶった者がいる。
「あなたが全て悪いのですよ。
こちらに来ないのならば力ずくで奪うまでです」
「そんなに私を自分の物にしたいですか。
そこまで地位やお金が欲しいですか」
「当然でしょう。
地位や金は誰もが欲しがるものです。
聖眼持ちが出す恩恵、
それを欲しがらない人間が果たしていますか?」
「つまりあなたが聖眼持ちを狙うのは、
国や神殿のためではなく自分のためですか?」
「ふっ、よく気がつきましたね。
そうですよ。自分のためです。
そのためにサーシャを利用してきました。
彼女が持つ予知能力は貴重なものですからね。
本当に彼女を洗脳するのはたやすかったですよ。
あなたも洗脳して差し上げます」
「その言葉を聞いて安心しました。
ありがとうございます。
最低のクズ野郎でいてくれて、
これなら罪悪感も抱かなくてすみます」
「ハッ、これだけの人数相手にどうするつもりですか?
あなたのような女が勝てるとでも?」
「あなたは何も理解していないみたいですね。
『金色の黎明』で最強なのは実はこの私なんですよ。
《大地よ》」
そう言うと土魔法を使って、
襲撃者達の周りにドーム状の壁を作った。
「こ、これは…」
「その中でしばらく反省してください」
「ふざけるな。出せー!!」
ドンドンと壁から声が聞こえたが関係なかった。
「セツナ、せっかく回り込んだのに、もう倒したのか?」
そうイオが言ってきた。
「まぁいいじゃない。
それよりセツナ、こいつらどうするの?
「とりあえず警察に引き渡しましょう」
そうして私達は襲撃者を警察に引き渡した。
大神官とはいえ、他人の家を襲撃しようとしたのは許される罪では無い。
しかも警察が調査した結果、
どうも今までのしていた悪行も芋ずる式に発覚したらしく、
大神官のボブにはそれなりに重い罪が下されるとのことだった。
そして聖女サーシャだが、今日帰ることになった。
「しかし残念ですせっかく仲良くなれたのに」
「そうですね。でもここは王都から1カ月はかかりますから、
そんな長期間王都を留守にするわけにはいかないのです」
「確かにそうですよね」
「それとセツナ様に言っておくべきことがあります」
「何ですか?」
「実は私が持つ聖眼持ちとしての能力は予言。
先の未来が見通すことが出来る力です」
「え、それってすごいですね」
「まぁすごいといっても、
予言がいつ来るのか私にも分かりませんがね。
それで今朝起きた時、
こんな予言が降りたのです。
金色の夜明け、
それを取り囲むうちの1人が最悪な別れ方をするであろうと」
「え?」
「金色の夜明けということは、
『金色の黎明』のことだと思います。
黎明は夜明けという意味もありますから、
そして最悪な別れ方というのは――」
「誰かが死ぬってことですか?」
「すみません。予言はあくまで一方的に告げるだけなので、
私にも意味は分かりません。
でも私の予言は今まで外れたことがありません」
「金色の夜明けを取り囲むうちの1人。
取り囲むってことは私達の身の回りにいる人ってことですか?
私達の友人ってことですか?」
「さぁ私にも分かりませんが、
気をつけた方がいいのは確かです」
気をつけろって一体どう気をつけろっていうんだ?
しかしこの予言が後に、
私の人生を大きく変えることとなるのだが、
それはまた先の話だ。
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