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第3章謎の少女とダンジョン革命
157・エドナの誕生日大作戦①
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「遅くなってすみません」
郊外の見晴らしが良い丘の上に私とエドナは立っていた。
そこには大きな墓があった。
キャシーさんに作ってもらったレイラのお墓がようやく完成したのだ。
「レイラ、喜んでくれるかな」
「喜ぶわよ。きっと」
そうして私はレイラの墓に花を供えたのだった。
◆
そうして家に帰る途中で私とエドナは何てことのない雑談をしながら歩いていた。
「それにしても良かったの?
わざわざ土地まで買って、高かったんじゃないの?」
「でもあそこの景色はレイラが気に入ると思ったんです」
そうして歩いていると市場に入った。
レイラのお墓は家とは反対方向にあるので、
市場を通らないと家に帰れないのだ。
「そう、レイラも喜ぶわよ。
良いプレゼントになったんじゃないの」
「あー、そういえば
11月25日がレイラの誕生日でしたね。
良い誕生日プレゼントにはなったかもしれません」
「へぇ私と1日違いね」
「え? エドナの誕生日もうすぐなんですか?」
「ええ、11月26日が私の誕生日なの」
「11月26日!?」
そ、それもうかなり近いじゃないか。
「何で黙ってたんですか!?」
「まぁ私には祝ってくれる家族は居ないし、
ただ一つ年を取るだけだからね。別にめでたくも何ともないわ」
「いやでも誕生日って大事なことですよ!」
「そういえばあなたの誕生日はいつなの?」
「7月6日です」
「それってもう過ぎてるじゃない…」
「魔族騒動でゴタゴタしてましたからね。
それどころじゃないから黙ってたんですよ」
「そう…」
その時エドナがとある店の前で立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「これいいわ。欲しいわね」
ショーウィンドウにはきらびやかなドレスが飾ってあった。
よし、エドナが欲しいって言うなら、これを誕生日プレゼントにしよう。
そう私は決めたのだった。
◆
「というわけで協力してください」
エドナを抜いた『金色の黎明』のメンバーに私はそう言った。
ちなみに今は深夜でエドナは寝ている。
「エドナの誕生日が近いとは知らなかったのだ」
「ていうか誕生日なんて忘れてたぜ。
普通祝わないからな。妖精は」
「妖精は誕生日は祝わないんですか?」
「ああ、祝う風習自体ないな。
だから自分の誕生日を知らないって奴は多いぜ。
俺もいつだった忘れたし」
ずいぶんと適当だな。
まぁその方がガイらしいか。
「わたくしも自分の誕生日は忘れました。
さすがに何百年も閉じ込められると、細かいことは忘れますね」
「そうなんだ」
フォルトゥーナもガイも誕生日を忘れたのか、
まぁ祝う人間がいないとそうなるのも無理ないか。
「じゃあイオは誕生日はいつですか?」
「私は1月だからまだ先なのだ」
「そうですか、それでエドナの誕生日プレゼントなんですが、
結構高いんですよね」
「いくらするのだ?」
「金貨7枚はします」
「た、高いのだ」
「エドナの性格から考えてそういう高価な物を欲しがるとは思えませんが…」
「でもエドナはそれが欲しいって言ったんです。
だから買ってあげたいんです」
「しかし私達の貯金を合わせても、
金貨7枚なんて無理だと思いますよ」
「私も最近仕送りしたからお金があまり無いのだ」
「俺は元からお金なんて持ってないしな~」
「確かに今の私の貯金は700万のドレスはほど遠いですからね。
だから一週間以内に金貨7枚分は稼ぎたいと思うんです。
協力してください」
「はぁ、まぁいいですよ。協力しましょう」
「お前がそう言うなら手伝うよ」
「分かったのだ。セツナに協力するのだ」
「ありがとうございます」
本当に良い仲間に恵まれたと私は思った。
「それでお金を稼いでいる間、エドナはどうするんですか?」
「うーん、エドナさんにバレないようにお金を稼がないといけませんから、
誕生日になるまでエドナにはわざとそっけなくするんです」
「それ傷つきませんか?」
「ふふふ、わざと冷たくすることによって、
後の喜びが増すんです。名付けてエドナの誕生日大作戦です」
「前のキューピット大作戦といい、
あなたは本当にネーミングセンスが無いですね」
うっさい、余計なお世話だよ。
そういうわけでエドナの誕生日大作戦がスタートしたのだった。
郊外の見晴らしが良い丘の上に私とエドナは立っていた。
そこには大きな墓があった。
キャシーさんに作ってもらったレイラのお墓がようやく完成したのだ。
「レイラ、喜んでくれるかな」
「喜ぶわよ。きっと」
そうして私はレイラの墓に花を供えたのだった。
◆
そうして家に帰る途中で私とエドナは何てことのない雑談をしながら歩いていた。
「それにしても良かったの?
わざわざ土地まで買って、高かったんじゃないの?」
「でもあそこの景色はレイラが気に入ると思ったんです」
そうして歩いていると市場に入った。
レイラのお墓は家とは反対方向にあるので、
市場を通らないと家に帰れないのだ。
「そう、レイラも喜ぶわよ。
良いプレゼントになったんじゃないの」
「あー、そういえば
11月25日がレイラの誕生日でしたね。
良い誕生日プレゼントにはなったかもしれません」
「へぇ私と1日違いね」
「え? エドナの誕生日もうすぐなんですか?」
「ええ、11月26日が私の誕生日なの」
「11月26日!?」
そ、それもうかなり近いじゃないか。
「何で黙ってたんですか!?」
「まぁ私には祝ってくれる家族は居ないし、
ただ一つ年を取るだけだからね。別にめでたくも何ともないわ」
「いやでも誕生日って大事なことですよ!」
「そういえばあなたの誕生日はいつなの?」
「7月6日です」
「それってもう過ぎてるじゃない…」
「魔族騒動でゴタゴタしてましたからね。
それどころじゃないから黙ってたんですよ」
「そう…」
その時エドナがとある店の前で立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「これいいわ。欲しいわね」
ショーウィンドウにはきらびやかなドレスが飾ってあった。
よし、エドナが欲しいって言うなら、これを誕生日プレゼントにしよう。
そう私は決めたのだった。
◆
「というわけで協力してください」
エドナを抜いた『金色の黎明』のメンバーに私はそう言った。
ちなみに今は深夜でエドナは寝ている。
「エドナの誕生日が近いとは知らなかったのだ」
「ていうか誕生日なんて忘れてたぜ。
普通祝わないからな。妖精は」
「妖精は誕生日は祝わないんですか?」
「ああ、祝う風習自体ないな。
だから自分の誕生日を知らないって奴は多いぜ。
俺もいつだった忘れたし」
ずいぶんと適当だな。
まぁその方がガイらしいか。
「わたくしも自分の誕生日は忘れました。
さすがに何百年も閉じ込められると、細かいことは忘れますね」
「そうなんだ」
フォルトゥーナもガイも誕生日を忘れたのか、
まぁ祝う人間がいないとそうなるのも無理ないか。
「じゃあイオは誕生日はいつですか?」
「私は1月だからまだ先なのだ」
「そうですか、それでエドナの誕生日プレゼントなんですが、
結構高いんですよね」
「いくらするのだ?」
「金貨7枚はします」
「た、高いのだ」
「エドナの性格から考えてそういう高価な物を欲しがるとは思えませんが…」
「でもエドナはそれが欲しいって言ったんです。
だから買ってあげたいんです」
「しかし私達の貯金を合わせても、
金貨7枚なんて無理だと思いますよ」
「私も最近仕送りしたからお金があまり無いのだ」
「俺は元からお金なんて持ってないしな~」
「確かに今の私の貯金は700万のドレスはほど遠いですからね。
だから一週間以内に金貨7枚分は稼ぎたいと思うんです。
協力してください」
「はぁ、まぁいいですよ。協力しましょう」
「お前がそう言うなら手伝うよ」
「分かったのだ。セツナに協力するのだ」
「ありがとうございます」
本当に良い仲間に恵まれたと私は思った。
「それでお金を稼いでいる間、エドナはどうするんですか?」
「うーん、エドナさんにバレないようにお金を稼がないといけませんから、
誕生日になるまでエドナにはわざとそっけなくするんです」
「それ傷つきませんか?」
「ふふふ、わざと冷たくすることによって、
後の喜びが増すんです。名付けてエドナの誕生日大作戦です」
「前のキューピット大作戦といい、
あなたは本当にネーミングセンスが無いですね」
うっさい、余計なお世話だよ。
そういうわけでエドナの誕生日大作戦がスタートしたのだった。
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