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第3章謎の少女とダンジョン革命

115・新たな仲間

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翌朝、起きた私達は早速獣人達と会議を始めた。

「領主は今年の分の税金を納めて欲しいと言いました。
今まで納めなかった分の税金はかなりの額になるので、
今年からでいいとのことです」
「金を払わないといけないのか、だがこの村には貯蓄が無いぞ」

熊獣人のダコタさんがそう言った。

「ですから私が教えた石けんや紙などを作って、
この村の産業にして欲しいのです。
出来た石けんや紙はアアルの市場で売ってください。
そしてイオを含めた獣人の何人かは冒険者として働いてください。
あなた方は力が強いですから冒険者に向いていると思います」
「しかしもし迫害されたらどうする?」
「その場合は私達か領主に相談してください。
もしキツいようなら辞めてもらって構いません。
それと領主が獣人の何人かは自分の元で働いて欲しいといいました」
「その領主は信頼出来るのか?」
「信頼出来ます。それは私が保証します」

そんな感じで会議を進め、
希望する獣人は冒険者か領主の近くで働くことになった。
そして彼らを連れ、私達は村を出ることになった。

「その、寂しくなるな」
「病気には気を付けてね」

そんな感じで別れを済ませ、
私達『金色の黎明』のメンバーと獣人達は、
ルーガルー村を後にした。
そしてアアルに戻ってくると、
お触れが出てるとはいえ、人目を集めた。

「さてこれからギルドに向かいます。
冒険者になりたい方は私についてきてください」
「領主の元で働きたい人はわたくしが案内します」

ここで半数の獣人達はフォルトゥーナについていった。
私達とイオ達残った獣人達とみんなでギルドに向かった。
そしてギルドに着くとイザベラが受付をやっていた。

「おや、そこに居るのは噂の獣人かい?」
「ええ、そうです。冒険者になりたいのですがいいですか?」
「ああ、冒険者になってくれるなら大歓迎だよ。
でも子供はね…」
「私は22なのだ」

イオの言葉に周囲の人間はびっくり仰天した。

「この子達はみんな大人ですよ」
「ま、まぁ登録してくれるなら誰だっていいさ」

そしてイオを含めた獣人達の登録作業が始まった。
獣人達はほとんど全員が読み書きは出来ないので、
イザベラが代筆して登録作業を進めた。

「じゃあ、ギルドに登録するには、
こっちが指定した魔物を倒して欲しいんだけど出来るかい?」
「それぐらい余裕なのだ!」
「それだけでいいのか、簡単だな」
「よし、頑張るぞー」

そう言ってイオを含めた獣人達は意気揚々とギルドを出て行った。

「大丈夫ですかね」
「まぁこればかりは私達が手伝うわけには行かないんだし、
待っていましょう」

そうエドナに言われ、私達はギルドの食堂で待つことにした。
しかしいくら待っていてもイオ達が来ることは無かった。
やがて日も暮れ始めた。

「何かあったのかな」

ガイがそう言った。
獣人は力が強いので多少のことは大丈夫だと思っていたが、
ガイの言う通り、何かあったのだろうか。
そう思った時、ドアが開き、イオ達が帰ってきた。

「遅かったですね。心配しましたよ」
「ごめんなのだ。どれが討伐する魔物か分からなかったから、
全部倒してきたのだ」
「全部って、何がです?」
「町の周囲に居た魔物は全部倒したのだ」

ちょっと待て。アアルの周囲には魔族が呼び出した魔物が数多く居る。
強い魔物は全部私とエドナが倒しておいたが、
弱い魔物はかなりの数が居たのでそのまま放置していた。
まさかそれを全部倒したのか?

「本当かい?」
「倒した証拠なのだ」

イザベラの言葉に、そう言うとイオはカバンに入っている魔石を見せた。
かなりの量の魔石がぎっしぎしに詰まっている。
それを見たイザベラもたまたま来ていたギルドマスターも絶句した。
しまった。獣人の身体能力に恐れを抱いたかもしれない。
もしそうなら迫害される可能性がある。

「やった、やったよ!」
「こんな強い子がうちのギルドに入るとはな…」

そう言うとイザベラとギルドマスターは手を叩いて喜んだ。
あれ? 逆に喜んでる?
まぁアアルの冒険者は魔族騒動が原因で出て行った人も多いので、
慢性的な人手不足だ。
そんな中、強い獣人が冒険者になってくれれば、
ギルドの評判も上がり、ギルドに登録する人も増える。
だから喜ぶのは分かるが、この反応は予想外だったな。

「歓迎するよ。ようこそアアルギルド組合へ」

そう言うとみんなのギルドカードが配られた。
こうしてイオ達、獣人達は冒険者なった。
冒険者になったことを見た人が勧誘に来たが、
私が事前にステータスでカルマ値をチェックして、選別しておいた。
じゃないと騙されるか搾取されるかのどちらだからな。
獣人は世間知らずだと他の冒険者に言うと、
逆にそういうところも含めて、色々教えてあげると言ってくれた。
まぁカルマ値は正常値だったので大丈夫だろう。

「イオは誰と組むんですか?」
「私はセツナと組みたいのだ」
「え、なんで私と?」
「セツナは私の村を助けてくれたのだ。
その恩返しがしたいのだ」
「え? 私なんかで大丈夫ですか?」
「私はセツナがいいのだ」

うーん、どうしようか。
仲間が増えるなら嬉しいけど、どうしよう。

「私は少し特殊な事情があって、人助けをしないといけないんです。
私の仲間になるということは人助けで苦労するということですよ」
「それぐらい別に構わないのだ。
冒険者になると決めた以上、苦労することは覚悟しているのだ」
「そうですか、なら歓迎しますよ」

そうしてチーム『金色の黎明』に仲間が一人増えたのだった。

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